モテモテマルクエン

文字数 962文字

 ラミッタがホテルの外へ向かうと、見えたのは女冒険者に囲まれているマルクエンだ。

「竜殺しのマルクエンさんですよね!? すっごーい!!」

「マルクエンさん背も高いし、顔もカッコいいですね!!」

「マルクエンさんって、誰か付き合っている人いるんですかー?」

 当の本人は赤面しながらしどろもどろだった。

「い、いや、あのー、そのー……」

「あら。モテモテで良いご身分ね、宿敵?」

「ら、ラミッタ!! あの、待ち合わせをしていたので、これで……」

 マルクエンは女冒険者達を振り切ってラミッタの元へと行く。

「あらー? 待ち合わせなんてしていたかしら?」

 ラミッタが小声でニヤニヤ見てくると、マルクエンは歩き始める。

「そういう事にしておいてくれ!!」

「それじゃ、バーに行くわよ。アンタの奢りでね」

「わかった。誘ったのはこっちだしな」



 バーに着くと、やはりここの冒険者にも気付かれ、好奇の眼差しを浴びる。

「すっかり注目の的ね」

「あぁ、そうだな」

 (すみ)の2人席に座ると、とりあえず飲み物を注文した。

「人の目に晒されるのは元のせか……。元の国ではよくあったから慣れていたはずなのだが」

「流石は騎士様ね。まぁ、私も士気を上げる為に軍の前で演説とかあったけどさ」

 運ばれてきたビールを手に持って、ラミッタはマルクエンのオレンジジュースに軽くぶつける。

「モテモテ騎士様に乾杯よ」

「ははは……」

 ラミッタはビールを半分ぐらいまで一気に飲むと、マルクエンに尋ねた。

「で、何であんな所に居たわけ?」

「そうだな、少し小腹が空いたので、何か食べようかと思ってな……」

「あんだけ食べておいてまだ食べるの!? 呆れた」

 マルクエンはポテトフライやハンバーガーを注文し、ラミッタもつまみになる軽食を頼んだ。

「所で、アンタ結構可愛い子に逆ナンされてたのに手出さないの?」

 言われ、オレンジジュースで咳き込むマルクエン。

「な、何を言うんだ!!」

「もしかしてだけど、女の子に興味ない感じ?」

「本当に何を言うんだ!?」

 真に受けるマルクエンにラミッタは爆笑していた。

「私は騎士だ。心に決めた人以外とそういった事はしない!!」

「真面目ねぇー」

 ラミッタはまたクイッとビールを飲む。

「まぁ、いいわ。話題を変えましょうか、シヘンとケイの修行。どう思う?」

「ふむ、シヘンさんとケイさんか……」
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