ここが私達のハウスね

文字数 1,090文字

「こちらでございまーす!」

 案内されたのは二階建ての小綺麗な家だった。

「おぉ、中々いい場所じゃないかラミッタ」

「そうね、宿敵」

 案内してくれた女性がふと何かを思い出したように話し始める。

「そう言えばお名前をお伺いしていませんでした! そちらがラミッタさんで、こちらがシュクテキ? さんですか?」

 その天然な発言にラミッタは大笑いする。

「いや、違っ!! 私の名は……」

「ド変態卑猥野郎よ」

 言いかけたマルクエンに言葉を重ねてラミッタが言う。

「なるほど、ド変態卑猥野郎さん!! えーっと、良い名前ですねー」

 最大限のフォローをされ、更にラミッタは笑った。

「違う!! 私はマルクエン・クライスです!!」

「あっ、あぁー! マルクエンさんですね!!」

 思わずケイも笑い、悪いと思いながらも笑いを抑えきれず、シヘンまで笑っている。

「ちなみに私はケイ、こっちはシヘンです」

「わかりました! この家はご自由に使って下さい! 何かありましたら冒険者ギルドまでー。それでは失礼します!」

 そう言って女性は何処かへ行ってしまった。

「私はもう休みたいわ、ベッドくらいあると良いんだけど」

 ラミッタは渡された鍵を使い、家のドアを開ける。

 空き家と言っていたが、中は綺麗に掃除をされており、最低限の家具はあった。

「中々良いじゃない。二階はどうなっているのかしら?」

 階段を登り、二階を確認する。きちんと部屋は人数分あり、それぞれベッドも完備されていた。

「私はここの部屋にするわ。少し休ませて」

 階段から一番近い部屋をラミッタは選び、中へと消えていく。

「私はどこでもいいですが」

 シヘンが言うとケイも同じ様な事を言う。

「それじゃ、私はここで」

 マルクエンはラミッタの横の部屋を選び、シヘンとケイは対面の部屋になった。

 部屋に入り、一息つくマルクエン。荷物をしまってベッドの上に寝転んだ。




「マルクエンさーん? マルクエンさん?」

 部屋のノックの音でマルクエンは目が覚めた。いつの間にか眠ってしまっていたみたいだ。

「あ、あぁ、すみません。今、向かいます」

 ドアを開けると、声の主はシヘンだったようだ。エプロン姿が似合っている。

「勝手に作っちゃったんですけど、ご飯が出来ましたので……」

「おぉ、それはありがたい。ちょうどお腹が空いていました」

 美味いシヘンの料理が食べられることにマルクエンは喜んでいた。その様子を見てシヘンは何だか恥ずかしくなる。

 一階に降りると皆が着席して待っていた。

「遅いわよネボスケ」

「あぁ、すまん。いつの間にか寝ていたみたいだ」

 日は暮れかけてすっかり夕方だ。赤い光が窓から差し込んでいる。
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