特訓しよう

文字数 1,177文字

 マルクエン達は早速、街の外で特訓をすることにした。

「あのー、本当に真剣で大丈夫なんスか?」

「大丈夫よ、それともあなたは宿敵に傷を負わせる自信でもあるのかしら?」

「いや、無いっス!! 微塵も無いッス!」

 ケイは剣を持ってマルクエンと対峙する。シヘンは心配そうに見つめていた。

「私から攻撃はしませんので、遠慮なく来て下さい」

「了解っス。それでは!!」

 ケイは剣を振り上げてマルクエンの元へと走り出す。近づくとそのままの勢いで袈裟斬りにしようとした。

 マルクエンは剣を横に構えてそれを弾く。ケイの手はビリビリとした衝撃を感じていた。

 次はそのまま力を込めて横薙ぎに剣を振るうも、マルクエンはさっと後ろに引いて避ける。

 最後に突きを繰り出すも、簡単に弾かれ、ケイは体勢を崩した。

「なるほどね、ケイはまず基礎中の基礎、体幹を作らないとね」

「は、はいっス……」

 ラミッタに言われ、ケイは言葉に詰まる。

「とりあえずそっちで素振り千回ね」

「うぇっ!? わ、わかりました……」

 そして、ラミッタは心配そうに眺めていたシヘンの方を振り返り、ニッコリ笑う。

「次はあなたの番よ?」

「あっ、はい! わかりました!」

 シヘンは杖を強く握り、ラミッタを見つめる。

「それじゃ、私にどんどん魔法を打ち込んできなさい。殺す気でね」

「わかりました!!!」

 シヘンは杖を振り、火の玉を数発ラミッタに向けて放つ。

 その間にも詠唱を続け、雷を追撃として飛ばす。

 ラミッタは片手で魔法の防御壁を張り、全てを打ち消した。

「もっと打ってきなさい!!」

 シヘンは言われるがまま、火、雷、氷といった魔法を放ち続けた。

 10分程して、シヘンは地面に片膝を付く。

「はぁはぁ……」

 汗をかきながら、うずくまるシヘン。マルクエンは心配そうに歩み寄った。

「大丈夫ですか? シヘンさん」

「平気……。です」

 ラミッタはシヘンに近付いて言う。

「まだまだ魔力が不足しているわね。これから毎日魔法を打つわよ?」

「は、はい……」

 マルクエンはケイに付いて、ラミッタはシヘンの面倒を見ている。

「ケイさん。腕はこう伸ばして、こう構えると良い」

 マルクエンはケイの体を触り、構えを教えている。

「こ、こうっスか?」

 筋肉質なマルクエンの腕や胸に触れて、少しドキドキするケイ。

「あぁ、そうです」

「了解っス!」

 ラミッタは少し回復したシヘンに魔法の打ち方を教えていた。

「それじゃ、あの的に向かって火を打ち込みなさい!」

「わかりました!」

 言われた通り狙って打つが、着弾したのは十発中二発だけだ。

「もっと指先に神経を集中させて、よく狙うのよ」

「はい!!」

 二人の指導を受けた二人は、夕方頃にはすっかりクタクタになっていた。

「も、もうダメ、動けないッス……」

「わ、私も……」

「二人共、体力も作らないといけないわね」

「だが、センスは良い方ですよ」
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