気まずい
文字数 1,189文字
「本当は個室を取ろうかと思っていたのですが、万が一にも魔人の襲撃が無いとも言えませんので」
「そうですね、確かに……」
マスカルが取ったのは、二部屋。マスカルと剣士のゴーダ、マルクエンのむさ苦しい男部屋が一つ。
そして、魔道士のアレラとラミッタの女部屋だ。
何を話せば良いのか気まずいマルクエン。それは、隣の部屋のラミッタも同じだった。
二人部屋で、特に話もしたことの無い相手で、どうするかと考えている。
「ラミッタさん?」
「あっ、はい。なんでしょう?」
「何かお考えごとですか?」
クスクスと笑いながら話しかけてくるアレラ。年は知らないが、ラミッタよりも上だろう。
「特にこれと言って考え事はしていませんね。あと、敬語でなくて結構ですよ」
「あら、そう? なるべく使わないようにするわ」
何処となく掴みどころのない印象を持つアレラ。いつの間やら、お茶を入れてくれていたらしく、お盆に乗せてラミッタの元へやって来た。
「ありがとうございます」
目の前に置かれた紅茶を見てラミッタは礼を言う。
「お砂糖はどう?」
「えぇ、頂きます」
角砂糖を3つ溶かし、スプーンで混ぜて口をつけた。
「ラミッタさんの事、色々お伺いしても良いかしら?」
正面に座り、アレラも紅茶を一口飲んで話し始める。
「伺うと言われましても……。私の事は殆 ど話してしまいましたよ?」
ラミッタが言うと、アレラはクスクスとまた笑う。
「確かに、ラミッタさんがこの世界へ来た経緯は聞きましたけど、ラミッタさん自身の事をまだ聞いていないわ」
「私の事なんて聞いてもつまらないと思いますよ?」
面倒だからという訳ではなく、純粋にそう思ったラミッタは素直な言葉を口にする。
「でも、聞きたいわ」
優しい笑みで言われ、観念するラミッタ。
「それでは、何からお話しましょうか?」
「そうね……。気になっていることは色々あるけど、やっぱり一番最初に聞きたいのはマルクエンさんをどう思っているかについてね」
マルクエンの名を出され、ラミッタは一瞬。焦りそうになるが、冷静さを保つ。
「あいつは宿敵です。それだけですよ」
「あら? そうなの? でも、それって昔に居た世界でのお話じゃないかしら?」
「今でも奴は宿敵です。一時的に協力関係を結んでいるだけで……」
ラミッタがそこまで言うと、アレラはニヤニヤとして話す。
「そうなの? それは良かった! 私、マルクエンさんの事、気になっていたのよねー」
思わず紅茶を吹き出しそうになり、咳き込むラミッタ。
「なっ、いやいや、アレラさん!! アイツは、アイツだけは辞めたほうが良いですよ!!」
「どうしてかしら? お顔もスタイルも良いし、物凄く見た目が好みなのよね」
「いや、ですが……。騙されてはいけません!!」
「ふーん。お顔とスタイルが良い事は否定しないのね」
しまったとラミッタは思った。まんまと誘導尋問に引っかかった気分だ。
「そうですね、確かに……」
マスカルが取ったのは、二部屋。マスカルと剣士のゴーダ、マルクエンのむさ苦しい男部屋が一つ。
そして、魔道士のアレラとラミッタの女部屋だ。
何を話せば良いのか気まずいマルクエン。それは、隣の部屋のラミッタも同じだった。
二人部屋で、特に話もしたことの無い相手で、どうするかと考えている。
「ラミッタさん?」
「あっ、はい。なんでしょう?」
「何かお考えごとですか?」
クスクスと笑いながら話しかけてくるアレラ。年は知らないが、ラミッタよりも上だろう。
「特にこれと言って考え事はしていませんね。あと、敬語でなくて結構ですよ」
「あら、そう? なるべく使わないようにするわ」
何処となく掴みどころのない印象を持つアレラ。いつの間やら、お茶を入れてくれていたらしく、お盆に乗せてラミッタの元へやって来た。
「ありがとうございます」
目の前に置かれた紅茶を見てラミッタは礼を言う。
「お砂糖はどう?」
「えぇ、頂きます」
角砂糖を3つ溶かし、スプーンで混ぜて口をつけた。
「ラミッタさんの事、色々お伺いしても良いかしら?」
正面に座り、アレラも紅茶を一口飲んで話し始める。
「伺うと言われましても……。私の事は
ラミッタが言うと、アレラはクスクスとまた笑う。
「確かに、ラミッタさんがこの世界へ来た経緯は聞きましたけど、ラミッタさん自身の事をまだ聞いていないわ」
「私の事なんて聞いてもつまらないと思いますよ?」
面倒だからという訳ではなく、純粋にそう思ったラミッタは素直な言葉を口にする。
「でも、聞きたいわ」
優しい笑みで言われ、観念するラミッタ。
「それでは、何からお話しましょうか?」
「そうね……。気になっていることは色々あるけど、やっぱり一番最初に聞きたいのはマルクエンさんをどう思っているかについてね」
マルクエンの名を出され、ラミッタは一瞬。焦りそうになるが、冷静さを保つ。
「あいつは宿敵です。それだけですよ」
「あら? そうなの? でも、それって昔に居た世界でのお話じゃないかしら?」
「今でも奴は宿敵です。一時的に協力関係を結んでいるだけで……」
ラミッタがそこまで言うと、アレラはニヤニヤとして話す。
「そうなの? それは良かった! 私、マルクエンさんの事、気になっていたのよねー」
思わず紅茶を吹き出しそうになり、咳き込むラミッタ。
「なっ、いやいや、アレラさん!! アイツは、アイツだけは辞めたほうが良いですよ!!」
「どうしてかしら? お顔もスタイルも良いし、物凄く見た目が好みなのよね」
「いや、ですが……。騙されてはいけません!!」
「ふーん。お顔とスタイルが良い事は否定しないのね」
しまったとラミッタは思った。まんまと誘導尋問に引っかかった気分だ。