無限ループは怖い
文字数 1,163文字
![](https://img-novel.daysneo.com/talk_02/thumb_66db3c567073418634bffce8097135cc.png)
(イラスト:叶海ネム先生)
何百歩と
「何よこれ、どれだけ登らせるつもりなのよ!!」
「まぁ、そう言うな」
やっとのことで扉が現れ、マルクエンは重いそれを開く。
部屋の中を見た二人は驚いた。先程のエントランスそのままの部屋が目の前には広がっていたのだ。
「これは……」
「さっきの部屋じゃない」
動揺する二人だが、また更に階段が続いている。
「この先をまた進めば良いのか?」
マルクエンがそう言った時に、ラミッタはポーチから傷薬を出して通路に置く。
「何をしているんだラミッタ?」
「おまじないよ」
またも階段を登る二人、そして扉が待ち構えていた。
それを開いてマルクエンは驚愕する。
「この部屋!!」
ラミッタは冷静にスタスタと通路まで歩いた。
「完全に同じ部屋ね」
ラミッタは床に置かれた傷薬を指さして言う。
「これは……。どうなっているんだ!?」
「知らないわよ」
ラミッタは片目を閉じてため息をつく。
「試練はもう始まっているって所かしらね」
「なるほどな」
部屋を見渡すマルクエン。ラミッタは魔力を感知しながら部屋の隅から隅まで怪しい場所がないか調べる。
十数分後、ラミッタがため息を吐いてマルクエンに近づく。
「ダメね、魔力の妨害が激しくて、全然分からないわ」
そう言って壁にもたれかかると、なんと一部が崩れてラミッタは尻もちを付く。
「いったぁ……、何よこれ……って!!」
ラミッタの尻には魔力が込められ、一気に射出される。
「いやああああああ!!!」
宙を飛ぶラミッタ。そのまま向かい側の壁にぶつかりそうになる。
とっさに防御壁を張り、激突は免れた。その衝撃を与えた壁からは光が漏れる。
「大丈夫か!? ラミッタ!!!」
マルクエンは落下するラミッタを受け止めようとするが、顔面でラミッタの尻を受けてしまう。
「ぶぐほっ」
「な、何してんのよ!! このド変態卑猥野郎!!!」
理不尽に殴られるマルクエン。地面に降り立ったラミッタは赤面していた。
「っつ……。ったく、この塔の神様はいい趣味をしているみたいで」
そこでラミッタは異変に気付く。壁に小さなヒビが入っていることに。
「なるほどね……。宿敵!! この壁に思いっきり体当たりしてみて」
「体当たり? あぁ、やってみる!!」
何のことか分からないマルクエンだったが、言われた通りに壁にタックルを決めた。
壁は崩れ落ち、マルクエンは向こう側へ勢いよく倒れる。
「なっ、壁が!?」
「どうやら、こっちが正解みたいね」
マルクエンが突き破った通路をくぐり抜けるラミッタ。目の前には上へと続く階段が待っていた。
階段を登ると、扉が見える。
これでまた同じ場所だったら嫌だなと思いながらマルクエンが押して開けると、先程までとは別の部屋が広がり、安堵した。