第23話 子どもの教育用の冊子
文字数 1,203文字
これで、港側の孤児院の事は一段落してしばらくは私が関わる事は無くなったのだけど……。
私は孤児院を出てすぐにエドにお伺いを立てた。
まだ騎士団のボブがいるから詳細ははなせない。だから、エドの予定を伺う事にした。
「あの。エド。後でお時間を頂けますでしょうか?」
私のお伺いにエドは、ん? という感じで振り返ってくれる。
「ああ。これから国境の近くに顔を出してから戻るから。そうだな。夕飯の後でならかまわない」
エドは仕事の話だろうと思って言っている。間違いじゃ無いんだけど、公私をきっちり分けているわ。
私とケイシーは、エド達と別れ、お屋敷に戻った。すぐにアンガスを呼び来週からドムとヘンリーが上の学校に通う手続きを取るように指示を出す。
そして、夕食が出来るまで私の個室の方にいるからとアンガスに言った。
だから今は、この部屋にケイシーと私の二人きり。
ケイシーは自分のカバンから例の冊子……、子どもの教育用の冊子を全て取り出す。
ストリートキッズを保護する時、そのほとんどが路上や良くても今にも崩れそうな小屋にいたらしい。
だから、冊子自体は薄汚れているのだけど、質の良い紙を使っているのが分かる。
よく見ると表紙には透かしまで入っているわ。
そして中身を見ると。うん、最初はの一冊はね。文字の練習、そして単語。短い文なんかが書いてある。
次は、簡単な計算と日常で必要になるだろう文章題。
この辺は、商人の子どもとかの方が得意だわね、きっと。……じゃなくて、問題は次の冊子から。いえ、内容自体は問題では無いの。
王族や上位貴族なら、知っていて当たり前の知識。
手紙や文章、その文字を見て、これを書いた人がどんな階級で、どのような立場か、男性か女性かまで推測できるようにするための教育冊子だわ。
階級や立場によって、使う文章がある程度決まっているのもあるけど、貴族の子ども……特に嫡子として生まれたなら5歳児でもできる事だもの。
そのような教養的な冊子が三冊。
さすがに詩歌の冊子までは無いわね。
あれを学習するには評価する家庭教師でもいないと無理だし、本当に平民には関係無いわ。
いや、三冊目も普通に暮らしている平民には全く関係無いけど。
夕食が済み。エドは私との約束通り時間をとってくれた。
「こちらをビリーから預かりましたの。総元締めから仕事に入用になるから勉強を、と言われたそうですわ。人伝に、だそうですが」
エドは椅子に座って、冊子をパラパラとめくっていたが少し厳しい顔になっていた。
「内容自体は、あの屋敷から出て来てもおかしくは無いが」
「そうですの?」
あら。意外だわ。
「ああ。問題なのは、この紙と筆跡の方だな」
エドの言っている意味が分からない。だって、同じものを私も持っているわ。
「この紙も、これを書いたお方も、王室御用達なのだからな」
エドはため息を吐きながら、その冊子をテーブルに置いた。
私は孤児院を出てすぐにエドにお伺いを立てた。
まだ騎士団のボブがいるから詳細ははなせない。だから、エドの予定を伺う事にした。
「あの。エド。後でお時間を頂けますでしょうか?」
私のお伺いにエドは、ん? という感じで振り返ってくれる。
「ああ。これから国境の近くに顔を出してから戻るから。そうだな。夕飯の後でならかまわない」
エドは仕事の話だろうと思って言っている。間違いじゃ無いんだけど、公私をきっちり分けているわ。
私とケイシーは、エド達と別れ、お屋敷に戻った。すぐにアンガスを呼び来週からドムとヘンリーが上の学校に通う手続きを取るように指示を出す。
そして、夕食が出来るまで私の個室の方にいるからとアンガスに言った。
だから今は、この部屋にケイシーと私の二人きり。
ケイシーは自分のカバンから例の冊子……、子どもの教育用の冊子を全て取り出す。
ストリートキッズを保護する時、そのほとんどが路上や良くても今にも崩れそうな小屋にいたらしい。
だから、冊子自体は薄汚れているのだけど、質の良い紙を使っているのが分かる。
よく見ると表紙には透かしまで入っているわ。
そして中身を見ると。うん、最初はの一冊はね。文字の練習、そして単語。短い文なんかが書いてある。
次は、簡単な計算と日常で必要になるだろう文章題。
この辺は、商人の子どもとかの方が得意だわね、きっと。……じゃなくて、問題は次の冊子から。いえ、内容自体は問題では無いの。
王族や上位貴族なら、知っていて当たり前の知識。
手紙や文章、その文字を見て、これを書いた人がどんな階級で、どのような立場か、男性か女性かまで推測できるようにするための教育冊子だわ。
階級や立場によって、使う文章がある程度決まっているのもあるけど、貴族の子ども……特に嫡子として生まれたなら5歳児でもできる事だもの。
そのような教養的な冊子が三冊。
さすがに詩歌の冊子までは無いわね。
あれを学習するには評価する家庭教師でもいないと無理だし、本当に平民には関係無いわ。
いや、三冊目も普通に暮らしている平民には全く関係無いけど。
夕食が済み。エドは私との約束通り時間をとってくれた。
「こちらをビリーから預かりましたの。総元締めから仕事に入用になるから勉強を、と言われたそうですわ。人伝に、だそうですが」
エドは椅子に座って、冊子をパラパラとめくっていたが少し厳しい顔になっていた。
「内容自体は、あの屋敷から出て来てもおかしくは無いが」
「そうですの?」
あら。意外だわ。
「ああ。問題なのは、この紙と筆跡の方だな」
エドの言っている意味が分からない。だって、同じものを私も持っているわ。
「この紙も、これを書いたお方も、王室御用達なのだからな」
エドはため息を吐きながら、その冊子をテーブルに置いた。