第47話 マリッジブルー
文字数 1,613文字
いつも通り、台の上で香油でマッサージされたり酢 を飲んで……って、だからこれ本当に白くなるの?
婚礼の儀まで後3か月……正確にいえば後2か月ちょっと……。エド様のお役に立ちたい、早く私も戦力にって思ってたのだけど……いえ、今もそれは思っているのだけれど。
婚姻を結んで子を生 してというのが、あの本に書いているような事をって思わなかったのよ。いえ、知識としてはあったのだけど、結びついて無かったというか。
エド様は、当主の義務であのような事をなさるのかしら。
今さら思っても仕方が無いのだけれど、メアリー様がうらやましい。選んでもらえて……。
エド様は、あの時誰も選ぶつもりは無かったっておっしゃっていた。なのに私はあんな事言ってしまったんだよね。
『わたくしは、貴方が良いです。ど う せ 誰かと結婚しなければならないのですもの。それならば、お相手は貴方が良いです』
今思い返しても、なんて失礼な言葉、『どうせ』なんて……。
「マリー様? 香油が目に沁みました?」
ボディーケアをしてくれているエイダが慌てたように言ってきた。
しまった涙が出てしまっている。
「な……なんでも無いの」
「やっぱりローズ系よりピーチとか、優しい香りに致しましょうか」
「そ……そうね。その方が良いかも」
「かしこまりました」
エイダが他の王宮侍女に指示を出している。ごまかせたかな……。
本当は、私が跡継ぎを産んだ後にエド様が連れてくるかもしれない愛人の事を思ったら涙が出てしまったの。だって、私たち政略結婚で……私の方は、エド様の事好きだけど。
エド様の方は、王妃様からの命令と言うだけで婚姻を結ぶのだから。
「マリー、王都入りは婚礼の儀の1か月前で良いかな? 慣例でお茶会だの夜会だの1度は出ないといけなくなるだろうから」
エド様が紅茶を飲みながらそう言ってくる。お茶を入れたらケイシーたちはさっさと下がってしまった。
私のお部屋のソファーで2人並んで座って、これからの予定を話している。
私はともかく、エド様は仕事の調整をしないといけないので、早く日程を決めてしまわなくてはならない。
「そうすると後1か月ちょっとですね、都に入るのに2週間かかりますから。また、王宮侍女さんたちと一緒に帰る事になるのでしょうか?」
「そうだな。ああ、今回はマリーは王宮住まいだそうだぞ」
おうきゅう? 王宮。
「ええ~、何で王宮?」
思わずガバッと前に出てしまった私の身体をエド様が自分の方に引き戻した。
「女主人がいないからじゃないか? 男親に花嫁の世話……特に精神的なケアをするのは不可能だろうと言われていたからな」
確かにあの父でなくとも、男性に女性の気持ちは理解できないと思うけど。
「で……でも、王宮にも私の精神的ケアをする方は……ああ、エイダとかがそばにいてくれると確かに心強いかも……」
ケイシーじゃ経験も無いし、2人でオロオロするのが目に見えてるものね。
「何を言っているんだ、王妃様が母親役をして下さるそうだ。身分的にも王妃様も元公爵家出身だからおかしくないし、お気に入りアピールも出来て良いと思っての事だろう」
な……なるほど、政治的なものでしたか、エド様のお立場もこれでさらに……って。
「エ……エド様? あの、何を」
「ん?」
どうした? という感じで、エド様は訊いてくる。
いつの間にか、私はエド様のお膝に乗る勢いで近づいていた。
エド様の手が私の背中にあるのがわかる。身じろぎしようとしても動けない。
……いや別に、この距離で話をしたことはある。
けれど、いつもはエド様付きのイライザやケイシーが部屋の中の壁のところに控えていたのだけど、今は私たち2人だけだ。
エド様の手が私の頬をサラッと撫でた。
婚礼の儀まで後3か月……正確にいえば後2か月ちょっと……。エド様のお役に立ちたい、早く私も戦力にって思ってたのだけど……いえ、今もそれは思っているのだけれど。
婚姻を結んで子を
エド様は、当主の義務であのような事をなさるのかしら。
今さら思っても仕方が無いのだけれど、メアリー様がうらやましい。選んでもらえて……。
エド様は、あの時誰も選ぶつもりは無かったっておっしゃっていた。なのに私はあんな事言ってしまったんだよね。
『わたくしは、貴方が良いです。
今思い返しても、なんて失礼な言葉、『どうせ』なんて……。
「マリー様? 香油が目に沁みました?」
ボディーケアをしてくれているエイダが慌てたように言ってきた。
しまった涙が出てしまっている。
「な……なんでも無いの」
「やっぱりローズ系よりピーチとか、優しい香りに致しましょうか」
「そ……そうね。その方が良いかも」
「かしこまりました」
エイダが他の王宮侍女に指示を出している。ごまかせたかな……。
本当は、私が跡継ぎを産んだ後にエド様が連れてくるかもしれない愛人の事を思ったら涙が出てしまったの。だって、私たち政略結婚で……私の方は、エド様の事好きだけど。
エド様の方は、王妃様からの命令と言うだけで婚姻を結ぶのだから。
「マリー、王都入りは婚礼の儀の1か月前で良いかな? 慣例でお茶会だの夜会だの1度は出ないといけなくなるだろうから」
エド様が紅茶を飲みながらそう言ってくる。お茶を入れたらケイシーたちはさっさと下がってしまった。
私のお部屋のソファーで2人並んで座って、これからの予定を話している。
私はともかく、エド様は仕事の調整をしないといけないので、早く日程を決めてしまわなくてはならない。
「そうすると後1か月ちょっとですね、都に入るのに2週間かかりますから。また、王宮侍女さんたちと一緒に帰る事になるのでしょうか?」
「そうだな。ああ、今回はマリーは王宮住まいだそうだぞ」
おうきゅう? 王宮。
「ええ~、何で王宮?」
思わずガバッと前に出てしまった私の身体をエド様が自分の方に引き戻した。
「女主人がいないからじゃないか? 男親に花嫁の世話……特に精神的なケアをするのは不可能だろうと言われていたからな」
確かにあの父でなくとも、男性に女性の気持ちは理解できないと思うけど。
「で……でも、王宮にも私の精神的ケアをする方は……ああ、エイダとかがそばにいてくれると確かに心強いかも……」
ケイシーじゃ経験も無いし、2人でオロオロするのが目に見えてるものね。
「何を言っているんだ、王妃様が母親役をして下さるそうだ。身分的にも王妃様も元公爵家出身だからおかしくないし、お気に入りアピールも出来て良いと思っての事だろう」
な……なるほど、政治的なものでしたか、エド様のお立場もこれでさらに……って。
「エ……エド様? あの、何を」
「ん?」
どうした? という感じで、エド様は訊いてくる。
いつの間にか、私はエド様のお膝に乗る勢いで近づいていた。
エド様の手が私の背中にあるのがわかる。身じろぎしようとしても動けない。
……いや別に、この距離で話をしたことはある。
けれど、いつもはエド様付きのイライザやケイシーが部屋の中の壁のところに控えていたのだけど、今は私たち2人だけだ。
エド様の手が私の頬をサラッと撫でた。