第13話 お屋敷の探索
文字数 1,877文字
エド様のお部屋は、やっぱり3階にあった。
私のお部屋の更に奥。
「とりあえず座って話そうか」
エド様がそう言ってテーブルの方に促してくれたので取りあえず、椅子に座った。
ジュードは、部屋の隅に立って居る。
エド様は、私の正面の椅子に座って言う。
「この前の……着けてくれているんだな」
私が下げているネックレスを見て言ってくれた。
「ええ。ドレスには合わなくても、この服にはよく似合っているでしょ。わたくしの宝物ですわ」
「そうか」
エド様の目が少し優しくなった。
「その……。ウィンゲート領ではいつも一人で遠くまで出かけていたのか?」
「はい。あちらでは、私を探すことは無かったので。すみません。ご迷惑をおかけしました」
私は素直に謝る。
私の謝罪と告白に、エド様は考え込んでいるようだった。
エド様が考え込んでいるうちに、イライザがお茶とお菓子が乗ったワゴンを押して、部屋に入ってきた。
私とエド様の前にお茶とお菓子を置いて、ワゴンを隅に置き自分はジュードの横に立った。
「ああ。冷める前に飲むといい」
私が、紅茶に口を付けていると、エド様が思いついたように言った。
「昼から暇なのなら、イライザに付いて屋敷の探索をしたら良い。結構広いから、探索のしがいがあるぞ」
そう言って、エド様はイライザに目配せした。
「そうでございますね。マリー様、まずはお屋敷をごらん下さいませ。私どもの、仕事ぶりも是非見て頂かなくては……。一緒に参りましょう」
イライザはにこやかに私に言ってきた。
「そうだな。それと、領地のことはまず、執事であるジュードに聞いてからの方が良いぞ。美味しい店や、女性が楽しめる場所を、俺よりも沢山知っている」
ジュードは、お任せ下さいとばかりに、胸を張っていた。
私は、てっきり怒られるものとばかり思っていたので、エド様の提案にすっかり楽しい気分になってしまっていた。
「ありがとうございます、エド様。よろしくね。イライザ、ジュード」
後から、これも教育の一環だったと知るのだけれども……。
次の日から、昼食の後イライザに付いてお屋敷の中を巡ることになった。
ケイシーと一緒にイライザに付いていく。
まずは、5階。5階と屋根裏のお部屋は、使用人たちのプライベートスペースだった。私が来ると言うことで、非番の子達は廊下に出ていない。
今空いている屋根裏のお部屋を見せて貰ったのだけど、普通に広いし可愛い。
なんだか、秘密基地のようだわ。
「わたくし、ここに住もうかしら」
と、思わずそう言ってしまった。
イライザは、冗談だと思ったのか笑ってくれたけど、私の性格を知っているケイシーは必死になって止めた。
それにしても、使用人が使っている5階と私たちが使っている3階以外は全く使っていないのね。
まぁ、2階には客間があるのだけれども……。勿体ない、どうしてこんなに無駄に広いのかしら。
1階は、まぁお客様スペースね。サロンとかいろいろあるけど、貴族の屋敷なんてどこも一緒なので見るまでも無いのよね。
奥の使用人たちがいる厨房や雑用スペースは、高位貴族が入らない場所。
おもに、庶民の下働きの使用人がいるようだった。
本来なら、公爵令嬢の私や辺境伯になってしまったエド様の視界に入った時点で不敬罪が成立してしまうのだけれども、下町で会ったのならまだしも屋敷内ではそうなってしまう。
でも、今回は私の方から行っているのだし、私さえ気にしなければ、関係無いわ。
「マリー様。そちらにいらしては」
イライザが慌てて止めに入る。屋根裏の時とは別に、ケイシーは知らん顔している。私は、厨房にヒョコッと顔を見せた。
「うわ~。良いにおい。ティータイムのお菓子作っているの? 今日は、何かしら?」
「今日は、レモンケーキとクッキー……で……奥様?」
厨房にいた男性達が、慌ててお辞儀をしている。うん、庶民は礼の執り方なんて知らなくていいものね。
「まだ、奥様じゃないけど。ごめんなさい、邪魔しちゃって。気にしないで続けてね」
「マリー様。あの……」
「心配しないで、わたくしは不敬罪なんて言わないわよ。ただ、他の……お客様が来た時は気を付けた方が良いけど」
なにか、仕切りとかあった方が良いのかしら……。
お客様が、ちょっと迷いでもしたら、見えちゃうものね。
「イライザ。ものは相談なのだけど……」
私は、思い付いたことを提案として、イライザに耳打ちした。
私のお部屋の更に奥。
「とりあえず座って話そうか」
エド様がそう言ってテーブルの方に促してくれたので取りあえず、椅子に座った。
ジュードは、部屋の隅に立って居る。
エド様は、私の正面の椅子に座って言う。
「この前の……着けてくれているんだな」
私が下げているネックレスを見て言ってくれた。
「ええ。ドレスには合わなくても、この服にはよく似合っているでしょ。わたくしの宝物ですわ」
「そうか」
エド様の目が少し優しくなった。
「その……。ウィンゲート領ではいつも一人で遠くまで出かけていたのか?」
「はい。あちらでは、私を探すことは無かったので。すみません。ご迷惑をおかけしました」
私は素直に謝る。
私の謝罪と告白に、エド様は考え込んでいるようだった。
エド様が考え込んでいるうちに、イライザがお茶とお菓子が乗ったワゴンを押して、部屋に入ってきた。
私とエド様の前にお茶とお菓子を置いて、ワゴンを隅に置き自分はジュードの横に立った。
「ああ。冷める前に飲むといい」
私が、紅茶に口を付けていると、エド様が思いついたように言った。
「昼から暇なのなら、イライザに付いて屋敷の探索をしたら良い。結構広いから、探索のしがいがあるぞ」
そう言って、エド様はイライザに目配せした。
「そうでございますね。マリー様、まずはお屋敷をごらん下さいませ。私どもの、仕事ぶりも是非見て頂かなくては……。一緒に参りましょう」
イライザはにこやかに私に言ってきた。
「そうだな。それと、領地のことはまず、執事であるジュードに聞いてからの方が良いぞ。美味しい店や、女性が楽しめる場所を、俺よりも沢山知っている」
ジュードは、お任せ下さいとばかりに、胸を張っていた。
私は、てっきり怒られるものとばかり思っていたので、エド様の提案にすっかり楽しい気分になってしまっていた。
「ありがとうございます、エド様。よろしくね。イライザ、ジュード」
後から、これも教育の一環だったと知るのだけれども……。
次の日から、昼食の後イライザに付いてお屋敷の中を巡ることになった。
ケイシーと一緒にイライザに付いていく。
まずは、5階。5階と屋根裏のお部屋は、使用人たちのプライベートスペースだった。私が来ると言うことで、非番の子達は廊下に出ていない。
今空いている屋根裏のお部屋を見せて貰ったのだけど、普通に広いし可愛い。
なんだか、秘密基地のようだわ。
「わたくし、ここに住もうかしら」
と、思わずそう言ってしまった。
イライザは、冗談だと思ったのか笑ってくれたけど、私の性格を知っているケイシーは必死になって止めた。
それにしても、使用人が使っている5階と私たちが使っている3階以外は全く使っていないのね。
まぁ、2階には客間があるのだけれども……。勿体ない、どうしてこんなに無駄に広いのかしら。
1階は、まぁお客様スペースね。サロンとかいろいろあるけど、貴族の屋敷なんてどこも一緒なので見るまでも無いのよね。
奥の使用人たちがいる厨房や雑用スペースは、高位貴族が入らない場所。
おもに、庶民の下働きの使用人がいるようだった。
本来なら、公爵令嬢の私や辺境伯になってしまったエド様の視界に入った時点で不敬罪が成立してしまうのだけれども、下町で会ったのならまだしも屋敷内ではそうなってしまう。
でも、今回は私の方から行っているのだし、私さえ気にしなければ、関係無いわ。
「マリー様。そちらにいらしては」
イライザが慌てて止めに入る。屋根裏の時とは別に、ケイシーは知らん顔している。私は、厨房にヒョコッと顔を見せた。
「うわ~。良いにおい。ティータイムのお菓子作っているの? 今日は、何かしら?」
「今日は、レモンケーキとクッキー……で……奥様?」
厨房にいた男性達が、慌ててお辞儀をしている。うん、庶民は礼の執り方なんて知らなくていいものね。
「まだ、奥様じゃないけど。ごめんなさい、邪魔しちゃって。気にしないで続けてね」
「マリー様。あの……」
「心配しないで、わたくしは不敬罪なんて言わないわよ。ただ、他の……お客様が来た時は気を付けた方が良いけど」
なにか、仕切りとかあった方が良いのかしら……。
お客様が、ちょっと迷いでもしたら、見えちゃうものね。
「イライザ。ものは相談なのだけど……」
私は、思い付いたことを提案として、イライザに耳打ちした。