第44話 メアリー様とジョール様の事とわたくしたち
文字数 1,655文字
そういえば、エド様の方ばかり気にしていて、ジョール・フォーブズ様に挨拶をしていないと思い、そちらを見たら、ちょうどメアリー様に自分の上着を掛けてあげているところだった。
メアリー様のお顔は、真っ赤に染まっている。
「なんだ? ここにずっと座っていたら寒いのか?」
エド様が、私にも自分の上着を掛けようとする。
「エ……エド様、寒くないです。大丈夫です」
「ああ。多分、薄着で恥ずかしいんだろう。普段は、重装備のドレスだからな、メアリーは」
ジョール様が笑いながら、エド様に説明をしてた。ジョール様は、ちゃっかり、メアリー様の横に座ってケイシーが入れたお茶を飲んでいる。
エド様は、なんだかよくわからないって顔をしていた。
しばらく、みんなでお茶やビスケットを食べていてふと、気付いたようにジョール様が言う。
「そういえば、今日はうつむいてないな、メアリー」
「う……うつむいていたら、せっかくの景色が……」
メアリー様は、ジョール様が言った言葉に一生懸命答えていた。その事に少し驚いた様に、それでも嬉しそうにメアリー様に言う。
「そうか。見たい景色があればうつむかない……か。そうすれば、俺もメアリーの顔が見られるし、おしゃべりもしてくれるんだな」
そう言われて、メアリー様は顔を真っ赤にしながら、それでもジョール様を見ていた。
「わ……わたくしの顔など……」
「ん? 見ていたいよ。メアリー、可愛いし。可愛いといわれる歳で無くなっても、やっぱり見ていたいと思うかな?」
ジョール様は口づけをしそうな程、メアリー様にお顔を近づけてしれっとそんなことを言っていた。
メアリー様は、さらに真っ赤になって固まってしまった。
ジョール様……そうやって、いつも女性を口説いているなんて言わないよね。
私はついつい、ジト目になってしまった。
ケイシーも心なしか、こっちよりに来ている。
エド様は、しれっと二人を視界から外してるみたいだし。
お……お邪魔かな? 私たち。
お屋敷で、夕食を取ってそれぞれの自室に戻って行った。
私は、エド様のお部屋で紅茶を飲んでいるけど。
一応、イライザとケイシーもお部屋のすみに控えてるからね。誰に言い訳しているんだろう、私。
「メアリー様は、不安だったのですわ。報奨品としてジョール様から選ばれたものの、なぜ自分が選ばれたのかわからないと言ってましたもの。その辺を、ジョール様が愛情深く教えてあげることが出来れば何とかなるのではない……か……と。エド様?」
なんだか、エド様が変なお顔をしている。
「報奨品?」
「そうでございましょう? メアリー様も、わたくしも」
「そんな風に思っていたのか……」
ジョールに言ってやらねばな、なんてブツブツ言っている。
私、何か変なこと言ったかしら?
「そういえば、マリーもそんな風に思っているのか?」
ふと、思い付いたようにエド様が訊いてきた。
「エド様には、申し訳なかったと思ってますわ。せっかく選べる立場でしたのに、わたくしのせいで……」
私は、「でもっ」と胸を張って言う。
「わたくしで良かったと思って頂けるように、一生懸命がんばりますわ。至らないことがありましたら、何でも言って下さいませ。エド様」
エド様は、何かすごく切なそうな目で私を見た。
そして、私を優しく抱きしめる。
「そんなことは、考え無くて良い。もう、充分だから……。報奨品だなんて思ったことも無い。俺が良いと言ってくれて、ここが好きだと言ってくれて。俺があげた安物のネックレスを宝物だと言ってくれる。それだけで」
エド様の身体が少し離れた、私は上を向いてエド様のお顔を見る。
「それだけで、俺はマリーで良かったと思っているよ」
そうして、ふれるだけの……でも、少しだけ長いキスをした。
エド様の腕の中は、暖かい。
私は、この腕の中で安心していて良いんだと思ったら、少しだけ涙が出てしまった。
メアリー様のお顔は、真っ赤に染まっている。
「なんだ? ここにずっと座っていたら寒いのか?」
エド様が、私にも自分の上着を掛けようとする。
「エ……エド様、寒くないです。大丈夫です」
「ああ。多分、薄着で恥ずかしいんだろう。普段は、重装備のドレスだからな、メアリーは」
ジョール様が笑いながら、エド様に説明をしてた。ジョール様は、ちゃっかり、メアリー様の横に座ってケイシーが入れたお茶を飲んでいる。
エド様は、なんだかよくわからないって顔をしていた。
しばらく、みんなでお茶やビスケットを食べていてふと、気付いたようにジョール様が言う。
「そういえば、今日はうつむいてないな、メアリー」
「う……うつむいていたら、せっかくの景色が……」
メアリー様は、ジョール様が言った言葉に一生懸命答えていた。その事に少し驚いた様に、それでも嬉しそうにメアリー様に言う。
「そうか。見たい景色があればうつむかない……か。そうすれば、俺もメアリーの顔が見られるし、おしゃべりもしてくれるんだな」
そう言われて、メアリー様は顔を真っ赤にしながら、それでもジョール様を見ていた。
「わ……わたくしの顔など……」
「ん? 見ていたいよ。メアリー、可愛いし。可愛いといわれる歳で無くなっても、やっぱり見ていたいと思うかな?」
ジョール様は口づけをしそうな程、メアリー様にお顔を近づけてしれっとそんなことを言っていた。
メアリー様は、さらに真っ赤になって固まってしまった。
ジョール様……そうやって、いつも女性を口説いているなんて言わないよね。
私はついつい、ジト目になってしまった。
ケイシーも心なしか、こっちよりに来ている。
エド様は、しれっと二人を視界から外してるみたいだし。
お……お邪魔かな? 私たち。
お屋敷で、夕食を取ってそれぞれの自室に戻って行った。
私は、エド様のお部屋で紅茶を飲んでいるけど。
一応、イライザとケイシーもお部屋のすみに控えてるからね。誰に言い訳しているんだろう、私。
「メアリー様は、不安だったのですわ。報奨品としてジョール様から選ばれたものの、なぜ自分が選ばれたのかわからないと言ってましたもの。その辺を、ジョール様が愛情深く教えてあげることが出来れば何とかなるのではない……か……と。エド様?」
なんだか、エド様が変なお顔をしている。
「報奨品?」
「そうでございましょう? メアリー様も、わたくしも」
「そんな風に思っていたのか……」
ジョールに言ってやらねばな、なんてブツブツ言っている。
私、何か変なこと言ったかしら?
「そういえば、マリーもそんな風に思っているのか?」
ふと、思い付いたようにエド様が訊いてきた。
「エド様には、申し訳なかったと思ってますわ。せっかく選べる立場でしたのに、わたくしのせいで……」
私は、「でもっ」と胸を張って言う。
「わたくしで良かったと思って頂けるように、一生懸命がんばりますわ。至らないことがありましたら、何でも言って下さいませ。エド様」
エド様は、何かすごく切なそうな目で私を見た。
そして、私を優しく抱きしめる。
「そんなことは、考え無くて良い。もう、充分だから……。報奨品だなんて思ったことも無い。俺が良いと言ってくれて、ここが好きだと言ってくれて。俺があげた安物のネックレスを宝物だと言ってくれる。それだけで」
エド様の身体が少し離れた、私は上を向いてエド様のお顔を見る。
「それだけで、俺はマリーで良かったと思っているよ」
そうして、ふれるだけの……でも、少しだけ長いキスをした。
エド様の腕の中は、暖かい。
私は、この腕の中で安心していて良いんだと思ったら、少しだけ涙が出てしまった。