第1話 ただいま。マクファーレン領
文字数 1,226文字
無造作な森を抜けると、整えられた草原や林、畑が有り水路が引かれている。
道は石畳で舗装され、川があって橋が架かり、その向こうに村が見えてきた。
なんだか、色とりどりで可愛い造りになっている。
マクファーレン領に入ると最初に目にする光景。
やっと帰って来れたわ。
ここを出たのがすごく昔に感じる。
だって、ここを出た時は私の名前はマリー・ウィンゲートだったのよ。
なのに今は、マクファーレン。
マリー・マクファーレンなのだわ。
気を引き締めて無いと、すぐに顔がにやけてしまう。
「だから、馬車から身を乗り出さないでください。奥様」
ケイシーが、慌てて私の体を引きずり込もうとしているわ。
うふふ。
奥様だって。
なんて良い響き。
相変わらず、エド様は馬に乗っているのよね。
時々、馬車に来て下さるけど。
なんだか窮屈で、長く乗る気がしなんだって。
帰ったら一週間後には、領地での婚礼の儀をするの。
王都でした仰々しいものではなく。
お屋敷の人達や、私が仲良くしている村の人を招待して。
後の宴会は、領地の人ならだれでも参加できるように、広場にテーブルを出して料理もそこで振舞うようにするのよ。
町の人達が、お祝いの時に呼んでいる楽団の人達の曲に合わせて、踊るのだわ。
「ただいま」
私は、エド様のエスコートで馬車を降り、玄関先に勢ぞろいで迎えてくれている、お屋敷の使用人たちに言う。
「お帰りなさいませ。旦那様。奥様」
執事のジュードがみんなの代表の様に挨拶を返してくれた。
エド様は、ジュードに留守の間の領地の事を訊く為に、執務室へ向かっている。
長旅で疲れているのに大変だわ、エド様も。
私とケイシーは、自分のお部屋へ向かう事にした。
あれ? このお部屋こんな感じだったかしら。
広くなっているし、お部屋数も増えているような……。
ケイシーも驚いているから、間違いないよね。
私たちが入り口で呆然としていると、ベッキーが教えてくれる。
「旦那様がお部屋の改装を業者に依頼してから、王都に向かわれたのですよ。今日からここは、旦那様と奥様のお部屋です」
「え?」
ええ~! 一緒のお部屋? って……。
「もちろん、奥様の個室もあるんですよ。旦那様の隣の部屋に。でも、ほとんど使わないと思いますよ」
「そ……そうなの?」
私はかろうじて、声を出せた。
今まで通りだと思ってた。
だって、夫婦同じ寝室という事はあるけど……。貴族の普通が、分からないわ。
お父様とお母様は、別居しているし。
王族の方々のありようは参考にならないだろうから。
とりあえず、私の個室にも案内してもらったけど、ベッドも一緒になった一部屋だけの……と言っても、広いのだけど。
「こちらは、具合が悪い時とか……まぁ、夫婦喧嘩した時、とかですね。使うとすれば」
ベッキーが、あっけらかんと言っていた。
だけど、ケンカ……エド様とケンカなんて想像もつかない。
やっぱり、夫婦になると色々変わるのねぇ。
道は石畳で舗装され、川があって橋が架かり、その向こうに村が見えてきた。
なんだか、色とりどりで可愛い造りになっている。
マクファーレン領に入ると最初に目にする光景。
やっと帰って来れたわ。
ここを出たのがすごく昔に感じる。
だって、ここを出た時は私の名前はマリー・ウィンゲートだったのよ。
なのに今は、マクファーレン。
マリー・マクファーレンなのだわ。
気を引き締めて無いと、すぐに顔がにやけてしまう。
「だから、馬車から身を乗り出さないでください。奥様」
ケイシーが、慌てて私の体を引きずり込もうとしているわ。
うふふ。
奥様だって。
なんて良い響き。
相変わらず、エド様は馬に乗っているのよね。
時々、馬車に来て下さるけど。
なんだか窮屈で、長く乗る気がしなんだって。
帰ったら一週間後には、領地での婚礼の儀をするの。
王都でした仰々しいものではなく。
お屋敷の人達や、私が仲良くしている村の人を招待して。
後の宴会は、領地の人ならだれでも参加できるように、広場にテーブルを出して料理もそこで振舞うようにするのよ。
町の人達が、お祝いの時に呼んでいる楽団の人達の曲に合わせて、踊るのだわ。
「ただいま」
私は、エド様のエスコートで馬車を降り、玄関先に勢ぞろいで迎えてくれている、お屋敷の使用人たちに言う。
「お帰りなさいませ。旦那様。奥様」
執事のジュードがみんなの代表の様に挨拶を返してくれた。
エド様は、ジュードに留守の間の領地の事を訊く為に、執務室へ向かっている。
長旅で疲れているのに大変だわ、エド様も。
私とケイシーは、自分のお部屋へ向かう事にした。
あれ? このお部屋こんな感じだったかしら。
広くなっているし、お部屋数も増えているような……。
ケイシーも驚いているから、間違いないよね。
私たちが入り口で呆然としていると、ベッキーが教えてくれる。
「旦那様がお部屋の改装を業者に依頼してから、王都に向かわれたのですよ。今日からここは、旦那様と奥様のお部屋です」
「え?」
ええ~! 一緒のお部屋? って……。
「もちろん、奥様の個室もあるんですよ。旦那様の隣の部屋に。でも、ほとんど使わないと思いますよ」
「そ……そうなの?」
私はかろうじて、声を出せた。
今まで通りだと思ってた。
だって、夫婦同じ寝室という事はあるけど……。貴族の普通が、分からないわ。
お父様とお母様は、別居しているし。
王族の方々のありようは参考にならないだろうから。
とりあえず、私の個室にも案内してもらったけど、ベッドも一緒になった一部屋だけの……と言っても、広いのだけど。
「こちらは、具合が悪い時とか……まぁ、夫婦喧嘩した時、とかですね。使うとすれば」
ベッキーが、あっけらかんと言っていた。
だけど、ケンカ……エド様とケンカなんて想像もつかない。
やっぱり、夫婦になると色々変わるのねぇ。