第45話 惚気爆裂メアリー様
文字数 1,631文字
私が朝食後、朝の支度を済ませた頃に慌ただしくドアがノックされる音がした。
丁度、ベッキーが私の頭にリボンをつけ終わったところで、ナディアとケイシーも衣装や小物を片づけてるところだった。
「マリー様。刺繍……です。刺繍のお話をいたしましょう」
先触れも何もなく部屋をノックされたからてっきりエド様かと思って、ケイシーにドアを開けさせてしまったのだけど。
開けた途端、メアリー様が滑り込むように部屋に入って来た。
なんだか、来たばかりの事がウソのように元気だ。
よく考えたら、エド様はドアの外から声をかけてから入ってくる。
「あの……」
珍しくケイシーが、お客様用の用意を何もせずに言ってくる。
「廊下にジョール・フォーブズ様がいらしたようなのですが、よろしいのでしょうか?」
「なんですって?」
私は思わずメアリー様を見てしまった。お顔を真っ赤にしてお部屋の床にしゃがみこんでしまっていた。
「ケイシー。お茶の準備をしてから、まだジョール様がいらっしゃるようでしたらこのお部屋にお招きして」
「かしこまりました」
「ベッキー。悪いんだけど、エド様を呼んできてちょうだい」
「はい」
ベッキーは、返事をしてすぐに廊下に出る。
ドアを開けたところで、ペコンとお辞儀をしていたので未だにジョール様は廊下にいるようだった。
ケイシーとナディアが慌ただしく部屋を整え、お茶の準備をしている横で、私はメアリー様の横に同じようにしゃがみ込む。
「何が、あったのですか? メアリー様」
真っ赤なお顔で、少し目に涙を溜めながら私を見てくる。その様子を見て、まさかジョール様、婚約もまだなのにメアリー様に不埒な事を……とか思っていたら
「昨日からジョール様が、わたくしの顔を見ながら話しかけてくるのです」
ん?
「うつむいたら、下から覗き込んでこられて……」
んん~っ? あれ? 私の耳が変になった?
それとも、私の認識が間違っていた?
「ジョール様が、メアリー様のお顔を見ながらお話に……と、聞こえたのですが」
「はい。朝の挨拶の時も……その、世間話の時も……」
あ~、これはエド様いらなかったかも……。
「メアリー様、それって普通の事です」
「ふつう?」
「今、わたくしたちも顔を見ながらおしゃべりしてますよね」
メアリー様は、え? っていうような顔をして私を見た。
「そう……ですわね」
メアリー様は、まだわかっていないご様子で……。
「…………慣れてください」
私は、脱力しながら言ってしまった。
「えっ? ええ~? 無理です、だって」
だって?
「だって、あんなにカッコ良いお顔が近づいて来るのに」
また、言いながら赤くなってる。
いや、もう……部屋から追い出して良いかな~。この、惚気娘 。
お茶の用意が出来て、ジョール様とエド様をお部屋に招き。
お顔を真っ赤にしてうつむいてるメアリー様とオロオロしているジョール様を、横から見ているエド様と私。
どうしてこうなった?
「メアリーは、選ぶ権利が無かったのだよね。気に入らない縁談で」
ごめんねって小さな声でジョール様が言っている。
「いいえ。そんな……気に入らないなんて……その、慣れなくて」
「慣れない?」
「わたくしの家には、父と母と……使用人はもう年配の方々で……その」
メアリー様が一生懸命自分の想いを伝えている。何か聞いてる方が恥ずかしい。
私の方が慣れないよ。こんなラブラブな雰囲気……。
「なぁ、マリー」
ボソッと小声で私のすぐ横に座っていたエド様が言ってくる。
「これ、俺たちいるか?」
いえ、メアリー様に不埒な事をしていたら、エド様にジョール様を叱ってもらおうと思ってたのだけど……。
「…………いらないと、思います」
ごめんなさい、エド様。そして、変な勘違いしてごめんなさい、ジョール様。
丁度、ベッキーが私の頭にリボンをつけ終わったところで、ナディアとケイシーも衣装や小物を片づけてるところだった。
「マリー様。刺繍……です。刺繍のお話をいたしましょう」
先触れも何もなく部屋をノックされたからてっきりエド様かと思って、ケイシーにドアを開けさせてしまったのだけど。
開けた途端、メアリー様が滑り込むように部屋に入って来た。
なんだか、来たばかりの事がウソのように元気だ。
よく考えたら、エド様はドアの外から声をかけてから入ってくる。
「あの……」
珍しくケイシーが、お客様用の用意を何もせずに言ってくる。
「廊下にジョール・フォーブズ様がいらしたようなのですが、よろしいのでしょうか?」
「なんですって?」
私は思わずメアリー様を見てしまった。お顔を真っ赤にしてお部屋の床にしゃがみこんでしまっていた。
「ケイシー。お茶の準備をしてから、まだジョール様がいらっしゃるようでしたらこのお部屋にお招きして」
「かしこまりました」
「ベッキー。悪いんだけど、エド様を呼んできてちょうだい」
「はい」
ベッキーは、返事をしてすぐに廊下に出る。
ドアを開けたところで、ペコンとお辞儀をしていたので未だにジョール様は廊下にいるようだった。
ケイシーとナディアが慌ただしく部屋を整え、お茶の準備をしている横で、私はメアリー様の横に同じようにしゃがみ込む。
「何が、あったのですか? メアリー様」
真っ赤なお顔で、少し目に涙を溜めながら私を見てくる。その様子を見て、まさかジョール様、婚約もまだなのにメアリー様に不埒な事を……とか思っていたら
「昨日からジョール様が、わたくしの顔を見ながら話しかけてくるのです」
ん?
「うつむいたら、下から覗き込んでこられて……」
んん~っ? あれ? 私の耳が変になった?
それとも、私の認識が間違っていた?
「ジョール様が、メアリー様のお顔を見ながらお話に……と、聞こえたのですが」
「はい。朝の挨拶の時も……その、世間話の時も……」
あ~、これはエド様いらなかったかも……。
「メアリー様、それって普通の事です」
「ふつう?」
「今、わたくしたちも顔を見ながらおしゃべりしてますよね」
メアリー様は、え? っていうような顔をして私を見た。
「そう……ですわね」
メアリー様は、まだわかっていないご様子で……。
「…………慣れてください」
私は、脱力しながら言ってしまった。
「えっ? ええ~? 無理です、だって」
だって?
「だって、あんなにカッコ良いお顔が近づいて来るのに」
また、言いながら赤くなってる。
いや、もう……部屋から追い出して良いかな~。この、
お茶の用意が出来て、ジョール様とエド様をお部屋に招き。
お顔を真っ赤にしてうつむいてるメアリー様とオロオロしているジョール様を、横から見ているエド様と私。
どうしてこうなった?
「メアリーは、選ぶ権利が無かったのだよね。気に入らない縁談で」
ごめんねって小さな声でジョール様が言っている。
「いいえ。そんな……気に入らないなんて……その、慣れなくて」
「慣れない?」
「わたくしの家には、父と母と……使用人はもう年配の方々で……その」
メアリー様が一生懸命自分の想いを伝えている。何か聞いてる方が恥ずかしい。
私の方が慣れないよ。こんなラブラブな雰囲気……。
「なぁ、マリー」
ボソッと小声で私のすぐ横に座っていたエド様が言ってくる。
「これ、俺たちいるか?」
いえ、メアリー様に不埒な事をしていたら、エド様にジョール様を叱ってもらおうと思ってたのだけど……。
「…………いらないと、思います」
ごめんなさい、エド様。そして、変な勘違いしてごめんなさい、ジョール様。