第58話 王妃様 VS キャロライン様
文字数 1,427文字
「まぁ、わたくしにでも務まるものを、マリー様にお出来にならない、なんてことないでしょう?」
キャロライン様は、目の前にいるのが自国の王妃様だとは知らず反論をしている。
「能力の問題では無いのですよ、キャロライン様。次期当主の奥様を差し置いて、マリーがこのお屋敷の女主人になれるはずも無いでしょう?」
「ああ。あのお方は、こちらのお屋敷には近付きもしませんわね。別にわたくしは、レナルドの奥方でも良かったのですけど」
「レナルド様?」
「マクファーレン家の長子……次期当主」
私の問いに、お母様がヒソヒソという感じで教えてくださった。いや、そうですね。嫁ぎ先のご兄弟の名前覚えてないとか、ありえませんよね。
「そう……では、そちらになさいませ。ご当主がお屋敷を継がないなど、ありえませんからね。そして、キャロライン様はご自分の身の振り方をお考えになった方がよろしいかと思いますわ」
お母様は、キャロライン様にきっぱりとそう言い切った。
我が国は、多分、他国より決まりごとが多い。今、お母様が言った事もその一環だ。
エド様と私が正式にこの屋敷に入るという事は、エド様が次期当主という事になってしまうし、さすがに何の落ち度もない長子を廃嫡になど出来るはずがないわ。
キャロライン様は、その事をご存じ無いのかしら。
「キャロライン様。エドマンド様は辺境伯ですわ。ですからほとんど王都には、滞在しませんの。シーズン中でも……ですわ。ですから、このお屋敷に正 式 に 入る事は出来ませんのよ」
私はにっこり笑って、キャロライン様にそう言った。だって、これ以上このお話を放置しておくと、マクファーレン家が私を使ってよからぬ事をしようとしていると思われてしまう。
今までは、ただの伯爵家だと放置されていた問題だった。
だって所詮は単なる嫁と小姑のトラブルだもの。いちいち、王室もチェックしてないと思う。
最終的に跡取り息子が当主になった時に、本家のお屋敷に入りさえすれば良いのだから。
ただ今回、エド様が辺境伯という爵位を国王陛下から頂き、準王家の家柄の一つといわれるウィンゲート家とのつながりが出来てしまった。
そして、今のキャロライン様の発言だ。これがマクファーレン家当主の考えだとすると、王室としても無視できない問題になってくる。
「まぁ、そうでしたの。残念ですわ。わたくし、エドマンドが王都に屋敷を構えるつもりが無いようだから、てっきりそういう事だと思ってましたのよ」
この人は。
今の発言の責任をエド様に押し付ける気だ。
どうしよう、内々の事じゃ無くなってる。ここにいるのが本当に私の母親だったとしてもだ。
「まぁ、それでしたら、こちらの女主人が決まり次第、キャロライン様はスウィングラー家にお戻りになるのですね」
お母様は、にこやかにそう切り出した。
え? 叔母様、結婚してたの? なんで、そのようなご身分で実家の女主人なんて、型破りな事を。
叔母様の表情が硬くなった。
「あら、ごめんあそばせ。このような席でいう事ではございませんでしたわね」
お母様は、ほほほって笑いながらこの話題を切り上げた。
もう、情報は取れたからいいやっという感じで……。
キャロライン様は、憮然としたお顔になってしまわれたのだけれども。
私も、なんだかもやもやしたものが、心の中に残ってしまっていた。
キャロライン様は、目の前にいるのが自国の王妃様だとは知らず反論をしている。
「能力の問題では無いのですよ、キャロライン様。次期当主の奥様を差し置いて、マリーがこのお屋敷の女主人になれるはずも無いでしょう?」
「ああ。あのお方は、こちらのお屋敷には近付きもしませんわね。別にわたくしは、レナルドの奥方でも良かったのですけど」
「レナルド様?」
「マクファーレン家の長子……次期当主」
私の問いに、お母様がヒソヒソという感じで教えてくださった。いや、そうですね。嫁ぎ先のご兄弟の名前覚えてないとか、ありえませんよね。
「そう……では、そちらになさいませ。ご当主がお屋敷を継がないなど、ありえませんからね。そして、キャロライン様はご自分の身の振り方をお考えになった方がよろしいかと思いますわ」
お母様は、キャロライン様にきっぱりとそう言い切った。
我が国は、多分、他国より決まりごとが多い。今、お母様が言った事もその一環だ。
エド様と私が正式にこの屋敷に入るという事は、エド様が次期当主という事になってしまうし、さすがに何の落ち度もない長子を廃嫡になど出来るはずがないわ。
キャロライン様は、その事をご存じ無いのかしら。
「キャロライン様。エドマンド様は辺境伯ですわ。ですからほとんど王都には、滞在しませんの。シーズン中でも……ですわ。ですから、このお屋敷に
私はにっこり笑って、キャロライン様にそう言った。だって、これ以上このお話を放置しておくと、マクファーレン家が私を使ってよからぬ事をしようとしていると思われてしまう。
今までは、ただの伯爵家だと放置されていた問題だった。
だって所詮は単なる嫁と小姑のトラブルだもの。いちいち、王室もチェックしてないと思う。
最終的に跡取り息子が当主になった時に、本家のお屋敷に入りさえすれば良いのだから。
ただ今回、エド様が辺境伯という爵位を国王陛下から頂き、準王家の家柄の一つといわれるウィンゲート家とのつながりが出来てしまった。
そして、今のキャロライン様の発言だ。これがマクファーレン家当主の考えだとすると、王室としても無視できない問題になってくる。
「まぁ、そうでしたの。残念ですわ。わたくし、エドマンドが王都に屋敷を構えるつもりが無いようだから、てっきりそういう事だと思ってましたのよ」
この人は。
今の発言の責任をエド様に押し付ける気だ。
どうしよう、内々の事じゃ無くなってる。ここにいるのが本当に私の母親だったとしてもだ。
「まぁ、それでしたら、こちらの女主人が決まり次第、キャロライン様はスウィングラー家にお戻りになるのですね」
お母様は、にこやかにそう切り出した。
え? 叔母様、結婚してたの? なんで、そのようなご身分で実家の女主人なんて、型破りな事を。
叔母様の表情が硬くなった。
「あら、ごめんあそばせ。このような席でいう事ではございませんでしたわね」
お母様は、ほほほって笑いながらこの話題を切り上げた。
もう、情報は取れたからいいやっという感じで……。
キャロライン様は、憮然としたお顔になってしまわれたのだけれども。
私も、なんだかもやもやしたものが、心の中に残ってしまっていた。