第50話 王族の方々との謁見が終わった後のエド様と私
文字数 1,440文字
謁見の間での王族方への挨拶は、正直に言ってデビュタントより楽だった。
私はエド様の横で礼を執ったり、立ったりしているだけ。国王陛下も私に何か言ってくることは無く、全てエド様が受け答えをしていた。
慣例のごとく、一通りの挨拶や世間話的な国王との会話も終わりエド様と2人で退出しようとしていた時だった。
「マリー・ウィンゲート。後でわたくしの所へ来るように」
王妃様から、そんなお声かけを頂いたのは。
何かやらかしたかしら……私は、そんな事を考えながらも礼を執り
「かしこまりました」
と答え、謁見の間を退出した。
何をやらかしたんだろう? 私。礼の仕方がおかしかった? それとも立ち姿が?
思わず、エド様の上着の裾を掴んでしまっている。
「マリー、どうした?」
エド様は、相変わらず平気な顔をしているけど……なんでいつも平気なの?
「わたくし……何か変だったでしょうか? 無礼な行動とか。礼の仕方がおかしいとか」
私は必死にエド様に言いすがる。だって、リンド夫人は言っていた。
私の行動一つで、エド様の名に傷をつけるって……。
「いや……大丈夫だったと思うが」
エド様が周囲をチラ見したのを受けて私もその方向を見た。
謁見の間の扉の所で護衛としている近衛兵たちがの肩が震えて、顔を下に向けている。
顔を横に向けて口元を自分の拳で押さえている者もいた。
いや、ここまで見たらわかるわ。笑ってる。みんな、必死で笑いをこらえているわ。
そりゃね、謁見の間から出た途端、立ち振る舞いの心配する令嬢なんかいないでしょうから。
「おいで、マリー」
そう言ってエド様は私を連れて謁見の間から遠ざかり、少し広いサンルームのような場所に連れて来た。
エド様が人払いをしたので、周囲には誰も居ない。
「いつも通りで大丈夫だ。いつものマリーで十分王宮で通用する振る舞いになってきている」
領地にいる時の私と、ここでの私の態度、振る舞いが同じではないのは分かっているのにそう言ってくれる。
そして、私を優しく抱きしめてくれた。いえ……なんだか、少し力が強い。
「エド様?」
「これから婚礼の儀までは、ほとんど俺たちは会うとこができない。婚礼前に会えるのは、俺の家族にマリーを紹介する時と、夜会の時くらいだ」
会えない? エド様と? 婚姻前にそんな慣例あったかしら……。
「王妃様が、家族ごっこをしたいと言い出して、俺たちを引き離した」
家族ごっこ? 誰と誰が?
私はエド様の腕の中で、理解できない事を聞かされた。
私が固まっているうちに、エド様が額や頬にキスをしてくる。
「エ……エド様? 何を」
人払いをしているとはいえ、ここ、王宮なんですけど。
「すまない。マリーと1か月近くも会えないと思ったら……存外辛いものだな」
顔を上げてみるとエド様の優しいけど何か痛みをこらえているようなそんな顔が見えた。
私と会えない事が、辛いっておっしゃってくれた。
そんな風に思ってもらえる日が来るなんて、思ってもみなかったわ。
「わたくしも、寂しいです。大好きなエド様に会えないのは」
「そう……か。俺も、愛してる」
エド様のお顔が近くなる。私は目を閉じてエド様のキスを受け入れた。
私は……もしかしたらエド様も、知らなかったのだ。
いくら人払いしても、この王宮内で起こったことは、全て王妃様の知るところになると言う事を。
私はエド様の横で礼を執ったり、立ったりしているだけ。国王陛下も私に何か言ってくることは無く、全てエド様が受け答えをしていた。
慣例のごとく、一通りの挨拶や世間話的な国王との会話も終わりエド様と2人で退出しようとしていた時だった。
「マリー・ウィンゲート。後でわたくしの所へ来るように」
王妃様から、そんなお声かけを頂いたのは。
何かやらかしたかしら……私は、そんな事を考えながらも礼を執り
「かしこまりました」
と答え、謁見の間を退出した。
何をやらかしたんだろう? 私。礼の仕方がおかしかった? それとも立ち姿が?
思わず、エド様の上着の裾を掴んでしまっている。
「マリー、どうした?」
エド様は、相変わらず平気な顔をしているけど……なんでいつも平気なの?
「わたくし……何か変だったでしょうか? 無礼な行動とか。礼の仕方がおかしいとか」
私は必死にエド様に言いすがる。だって、リンド夫人は言っていた。
私の行動一つで、エド様の名に傷をつけるって……。
「いや……大丈夫だったと思うが」
エド様が周囲をチラ見したのを受けて私もその方向を見た。
謁見の間の扉の所で護衛としている近衛兵たちがの肩が震えて、顔を下に向けている。
顔を横に向けて口元を自分の拳で押さえている者もいた。
いや、ここまで見たらわかるわ。笑ってる。みんな、必死で笑いをこらえているわ。
そりゃね、謁見の間から出た途端、立ち振る舞いの心配する令嬢なんかいないでしょうから。
「おいで、マリー」
そう言ってエド様は私を連れて謁見の間から遠ざかり、少し広いサンルームのような場所に連れて来た。
エド様が人払いをしたので、周囲には誰も居ない。
「いつも通りで大丈夫だ。いつものマリーで十分王宮で通用する振る舞いになってきている」
領地にいる時の私と、ここでの私の態度、振る舞いが同じではないのは分かっているのにそう言ってくれる。
そして、私を優しく抱きしめてくれた。いえ……なんだか、少し力が強い。
「エド様?」
「これから婚礼の儀までは、ほとんど俺たちは会うとこができない。婚礼前に会えるのは、俺の家族にマリーを紹介する時と、夜会の時くらいだ」
会えない? エド様と? 婚姻前にそんな慣例あったかしら……。
「王妃様が、家族ごっこをしたいと言い出して、俺たちを引き離した」
家族ごっこ? 誰と誰が?
私はエド様の腕の中で、理解できない事を聞かされた。
私が固まっているうちに、エド様が額や頬にキスをしてくる。
「エ……エド様? 何を」
人払いをしているとはいえ、ここ、王宮なんですけど。
「すまない。マリーと1か月近くも会えないと思ったら……存外辛いものだな」
顔を上げてみるとエド様の優しいけど何か痛みをこらえているようなそんな顔が見えた。
私と会えない事が、辛いっておっしゃってくれた。
そんな風に思ってもらえる日が来るなんて、思ってもみなかったわ。
「わたくしも、寂しいです。大好きなエド様に会えないのは」
「そう……か。俺も、愛してる」
エド様のお顔が近くなる。私は目を閉じてエド様のキスを受け入れた。
私は……もしかしたらエド様も、知らなかったのだ。
いくら人払いしても、この王宮内で起こったことは、全て王妃様の知るところになると言う事を。