第11話 領地への帰還。慌ただしい日常へ……
文字数 1,431文字
「ただいま」
「お帰りなさいませ。旦那様。奥様」
お屋敷に着くと使用人全員が出迎えてくれた。私とエドは使用人たちの間を通って屋敷に入っていく。
やっぱりホッとするわね。帰って来ると……。
「ケイシー、疲れているところ悪いのだけど、ベッキーと一緒にみんなへのお土産の整理をしてちょうだい」
「かしこまりました」
私がすぐ後ろに控えていたケイシーに指示を出すと、そう言ってすぐにベッキーと二人で奥に入って行きながら使用人たちに告げている。
「さぁさぁ、旦那様と奥様からのお土産がありますよ」
ケイシーとベッキーに加わって侍女頭のイライザもお土産の仕分けをしてくれるようだ。
使用人が馬車から降ろした荷物の確認に向かっている。
「旦那様。留守の報告はいかがいたしましょう」
エドに執事のジュードが訊いている。
「ああ。そうだな。執務室で聞こう」
そしてエドは私の方を向いて言う。
「マリー。そういう訳で、俺はそのまま執務室に向かうが」
言葉の端々 に私への気遣いが感じ取れた。
「ええ。わたくしの事はお気になさらず。お仕事を優先させてくださいませ」
だから私もにこやかにそう言った。
「すまないな」
本当にすまなそうに言って、エドとジュードは階段を上って言っている。
「さて、ナディア。わたくしの着替えを手伝ってちょうだい」
いつの間にか、使用人たちも持ち場へ戻り、私のすぐ後ろへ控えていた私付きの侍女ナディアにそう言った。
「かしこまりました。奥様」
そうして私も、お部屋へ戻る。
お部屋で着替えを済ませて、紅茶を飲んでひと息ついたら領地経営責任者補佐をしているアンガスが入室許可を取って来た。
「留守の間はご苦労様。それで用事は何かしら?」
入り口でかしこまっている、アンガスに声を掛ける。
私の声掛けに反応して、側までやって来ていた。
……何だか、えらくかしこまっているわね。
「お疲れのところ申し訳ありません。留守中の領地の報告をしてよろしいでしょうか?」
「それはかまわないけど……。わたくしで良いの? 旦那様は執務室にいるわよ」
旦那様が不在の時はともかく、普通は奥方にアンガスのような立場の使用人が直接伝える事は無い。
屋敷内の事は、奥方の管轄だけど、それでも伝えるのは侍女頭だ。
奥方が動かないといけない場合は、旦那様本人か、旦那様の伝言を伝えるのみだったと思う。
「はい。旦那様から孤児院の事は奥様に任せるよう承っております。それと、領地の主な動きは奥様にも伝えるように……と」
「わかったわ。孤児院……というと、まずは港側の事かしら? ビリーはちゃんと運営出来ている?」
エドの指示だったのね。私の事を信用してくださっているのだわ。
嬉しい。
「はい。まだ、経営面の不安は残るものの、彼のおかげでストリートキッズは壊滅致しました」
そうね。ビリーは、ストリートキッズのリーダーをしていたのだもの。
それでもたやすい事では無いわ。彼らは、なぜだか保護されるのをとても嫌がるから。
「そう、それは良かった事。近いうちに慰問に行かなければね。旦那様との日程調節をしてもらえるかしら」
「かしこまりました。後は……」
アンガスは、次の話題に入って行った。
帰って来てホッとしたのもつかの間。
多分、こんな慌ただしい日が私の日常になって行くのね。
エドが屋敷内だけでなく、領地の仕事を任せてくれるのも信頼してくれているからだもの。
身が引き締まる思いだわ。
信頼を裏切らないように頑張らなくちゃ。
「お帰りなさいませ。旦那様。奥様」
お屋敷に着くと使用人全員が出迎えてくれた。私とエドは使用人たちの間を通って屋敷に入っていく。
やっぱりホッとするわね。帰って来ると……。
「ケイシー、疲れているところ悪いのだけど、ベッキーと一緒にみんなへのお土産の整理をしてちょうだい」
「かしこまりました」
私がすぐ後ろに控えていたケイシーに指示を出すと、そう言ってすぐにベッキーと二人で奥に入って行きながら使用人たちに告げている。
「さぁさぁ、旦那様と奥様からのお土産がありますよ」
ケイシーとベッキーに加わって侍女頭のイライザもお土産の仕分けをしてくれるようだ。
使用人が馬車から降ろした荷物の確認に向かっている。
「旦那様。留守の報告はいかがいたしましょう」
エドに執事のジュードが訊いている。
「ああ。そうだな。執務室で聞こう」
そしてエドは私の方を向いて言う。
「マリー。そういう訳で、俺はそのまま執務室に向かうが」
言葉の
「ええ。わたくしの事はお気になさらず。お仕事を優先させてくださいませ」
だから私もにこやかにそう言った。
「すまないな」
本当にすまなそうに言って、エドとジュードは階段を上って言っている。
「さて、ナディア。わたくしの着替えを手伝ってちょうだい」
いつの間にか、使用人たちも持ち場へ戻り、私のすぐ後ろへ控えていた私付きの侍女ナディアにそう言った。
「かしこまりました。奥様」
そうして私も、お部屋へ戻る。
お部屋で着替えを済ませて、紅茶を飲んでひと息ついたら領地経営責任者補佐をしているアンガスが入室許可を取って来た。
「留守の間はご苦労様。それで用事は何かしら?」
入り口でかしこまっている、アンガスに声を掛ける。
私の声掛けに反応して、側までやって来ていた。
……何だか、えらくかしこまっているわね。
「お疲れのところ申し訳ありません。留守中の領地の報告をしてよろしいでしょうか?」
「それはかまわないけど……。わたくしで良いの? 旦那様は執務室にいるわよ」
旦那様が不在の時はともかく、普通は奥方にアンガスのような立場の使用人が直接伝える事は無い。
屋敷内の事は、奥方の管轄だけど、それでも伝えるのは侍女頭だ。
奥方が動かないといけない場合は、旦那様本人か、旦那様の伝言を伝えるのみだったと思う。
「はい。旦那様から孤児院の事は奥様に任せるよう承っております。それと、領地の主な動きは奥様にも伝えるように……と」
「わかったわ。孤児院……というと、まずは港側の事かしら? ビリーはちゃんと運営出来ている?」
エドの指示だったのね。私の事を信用してくださっているのだわ。
嬉しい。
「はい。まだ、経営面の不安は残るものの、彼のおかげでストリートキッズは壊滅致しました」
そうね。ビリーは、ストリートキッズのリーダーをしていたのだもの。
それでもたやすい事では無いわ。彼らは、なぜだか保護されるのをとても嫌がるから。
「そう、それは良かった事。近いうちに慰問に行かなければね。旦那様との日程調節をしてもらえるかしら」
「かしこまりました。後は……」
アンガスは、次の話題に入って行った。
帰って来てホッとしたのもつかの間。
多分、こんな慌ただしい日が私の日常になって行くのね。
エドが屋敷内だけでなく、領地の仕事を任せてくれるのも信頼してくれているからだもの。
身が引き締まる思いだわ。
信頼を裏切らないように頑張らなくちゃ。