第23話 2021.8.30京都劇場~いつも歌があったツアー
文字数 2,944文字
第23話 2021年8月30日(日)京都劇場
南こうせつコンサートツアー2021~いつも歌があった~
8月に入ると、新規感染者が急激に増えました。
高齢者のワクチン接種がすすみ、これまでの状況と大きく変化しました。
新規感染者が、若年層にシフトしたのです。
デルタ株の感染拡大で、妊婦、子ども、基礎疾患無し肥満無し喫煙歴無しの若年層の重症化が問題になりました。
これまでも常に「医療の逼迫」と騒がれていましたが、都市部の状況は深刻でした。
しかし、依然として、日本の経済と感染対策の両立の方針は維持されて、イベントやスポーツ観戦は開催基準内で行われていました。
東京パラリンピックは8月24日~9月5日、無観客でした。
* * *
このコンサートは、2020年8月30日(日)の振替公演で、一年越しに開催されました。
8月20日(金)から緊急事態宣言下の京都なので、色々な制限がありましたが、
チケットが送付されてきたとき、感染予防対策の厳しい注意喚起のチラシが同封されていました。
同じ内容が、京都劇場のHPにも告知されていました。
「開催するが、払い戻し可」と記載がありました。・・・「開催するが、払い戻し可」というのは、後にも先にも、これまでになかったことです。
デルタ株は深刻だと、医療従事者仲間から聞いていました。
5月のインドでの、デルタ株の流行の惨状が、頭をかすめました。
* * *
8月のお盆すぎ、私は、新型コロナ関連の派遣バイトにひと区切りつけて、また、金沢で生活していました。
無職なので、仕事による制限はありません。
京都には、1999年の研修所の同期であり、人生の師であり、飲み仲間でもある前職の先輩が住んでいます。
毎年、京都のコンサートは、その先輩と参加します。
先輩の顔を見たい・・・京都に行くことにしました。
いつもなら前乗りをして、先輩とともに京都の町散策、喫茶店巡りに、美味しい京料理を堪能、仕事の聖地巡りをし、先輩宅にお邪魔して先輩のお孫ちゃんと遊び、夜遅くまで飲んで語り明かしていました。
今年は、デルタ株と思われる流行のため、日帰りとしました。
先輩も私もワクチン接種は済んでいますが、先輩宅にはワクチン接種がまだの息子さん家族に、お孫ちゃんもおられるからです。
泊まりとなると、どうしてもマスクを外す状況が生まれます。
昨年の京都劇場は延期となっているので、先輩と会ったのは2年ぶり。
でも、普段からSNSのやりとりをしていて、定期的にリモート飲み会をしているせいか、久しぶりといった感じはしませんでした。
オープニングは、やはり京都のあの曲?セトリは、まだ盛夏?夏の終わりの秋の気配?
などなど、期待を膨らませて、サンダーバードの車窓の琵琶湖を眺めました。
* * *
京都駅に到着し、京都劇場側の出口を駅員さんに聞いて、そちらに向かって歩いていたら。
何と何と、こうせつご一行と遭遇しました。
な~んてラッキー!ヤッホー!!
このご時世なので、遠くから手を振って、挨拶させていただきました。
* * *
例年であれば、開館直前のロービーは人でいっぱいですが、この日は、あまり人はいませんでした。
客席は、4割ほどの入りで、たくさんの方がキャンセルしたであろうと予測できました。
開演前のアナウンスでは「座席の背もたれに背をつけて離さず、前かがみにならないでください」とまで注意喚起があったほどでした。
このようなアナウンスは、後にも先にも、ここだけ、このときだけでした。
それだけ、デルタ株が深刻ということでしょう。
* * *
客席の拍手、緞帳が上がると、こうせつのカウントからのスタート。
「お!あの曲からじゃ無いんだ!」とちょっと驚きました。
オープニングは「夏の少女」から。
夏は暑い京都。残暑も厳しい。
セトリは、まだ夏盛りでした。
1部最後の休憩前、ここで、マイクスタンドが3本ステージに運ばれてきて、泰ちゃんがアコーディオンを持って4人がステージ前方に並びました。
ちょっと早めのメンバー紹介。
順平さんもこうせつも、いつも奥さんに譲り言いたいことを飲み込む方と一致。
徹ちゃんが、最近そうめん作りに凝っているという話から「徹ちゃん!そうめん!」を連呼する即興新曲を披露しました。
そのあとの泰ちゃんのときは、昔カレーをつくったら娘ちゃんが吐いてしまったというエピソードで、「カレー!オエオエ!」を連呼する即興新曲を続けて披露。
こうせつがギターをかき鳴らして連呼すると、笑顔でメンバーも音を合わせてついてきます。
こうせつは、「こうやって、曲作りをしています」と、笑って言いました。
坂崎幸之助さんが、こうせつのスイッチが入った状態を「降臨」と呼んでいますが、坂崎さんとのクローンズのセッションを、また、降臨こうせつを見たいなあなんて、思いました。
4人並んで、何の曲?「夏休み」でした。
つま恋サマーピクニックでの「夏休み」を思い出しました。
姉と一緒に行った、つま恋サマピ。
こうせつが歌う「夏休み」をきいて、拓郎ファンの姉は号泣しました。
そのとき、拓郎さんは病気療養中でした。
その後、復活・・・拓郎さん元気かなあ・・・
1部の終わりは「Summer♪Angel」。「海」からの「Summer♪Angel」ですが、途中で歌詞を間違え、再度「海」からの「Summer♪Angel」を歌い直し。
いえいえ、歌詞の間違いではなく、京都スペシャルです。ライブ(生)のアクシデントもエンタメにするのが、こうせつです。
「Summer♪Angel」「夏休み」と2曲続けて聴くと、きれいな姉さん先生がもういないと言っていた少年が、成長して恋をしたような、そんな物語のようでした。
休憩のあとの一曲目が、京都のあの曲「加茂の流れに」。そして、広島と違うのは、後半は全てかぐや姫でした。
* * *
隣の席の先輩は、アンコールの「夜明けの風」を聴いて、泣いていました。
先輩の涙を見て、私も泣けました。
整列退場の後、京都駅前で先輩とハグしました。
先輩いわく、「さっきの歌じゃないけど、今をひたすら生きるっきゃないね」。
再会を約束して、別れました。
京都駅0番線から、サンダーバードで金沢へ戻りました。
* * *
京都駅への日帰り直行直帰の遠征でしたが、京都タワーがとても美しく光って、唯一、京都感を演出してくれました。
今年は先輩と、あんまり話はできなかったけど。
先輩と並んで歌を聴いて、明日からまた頑張れると確信しました。
「同じ場所で同じ音楽を聴いて共有する、人間には絶対に必要な時間」という、こうせつの言葉が身にしみました。
来年も先輩と並んでこうせつを聴きたいし、一緒に美味しいご飯を食べてお酒を飲んで、積もる話がしたいと思いました。
* * *
この京都劇場のコンサートについては、後々考えて、若干反省するところがあります。
ピークは、過ぎて振り返ってみて、はじめてそれがピークだったとわかります。
8月30日(日)の京都劇場は、デルタ株の流行が深刻な時期で、5波のピークでした。
確かに、京都のコンサートでは、観覧に際しての注意喚起が、これまでのなかで一番厳しくて、空席も多かったと思います。
デルタ株の深刻さを思うと、京都劇場には行くべきでは無かったかもしれないと思うのです。
南こうせつコンサートツアー2021~いつも歌があった~
8月に入ると、新規感染者が急激に増えました。
高齢者のワクチン接種がすすみ、これまでの状況と大きく変化しました。
新規感染者が、若年層にシフトしたのです。
デルタ株の感染拡大で、妊婦、子ども、基礎疾患無し肥満無し喫煙歴無しの若年層の重症化が問題になりました。
これまでも常に「医療の逼迫」と騒がれていましたが、都市部の状況は深刻でした。
しかし、依然として、日本の経済と感染対策の両立の方針は維持されて、イベントやスポーツ観戦は開催基準内で行われていました。
東京パラリンピックは8月24日~9月5日、無観客でした。
* * *
このコンサートは、2020年8月30日(日)の振替公演で、一年越しに開催されました。
8月20日(金)から緊急事態宣言下の京都なので、色々な制限がありましたが、
チケットが送付されてきたとき、感染予防対策の厳しい注意喚起のチラシが同封されていました。
同じ内容が、京都劇場のHPにも告知されていました。
「開催するが、払い戻し可」と記載がありました。・・・「開催するが、払い戻し可」というのは、後にも先にも、これまでになかったことです。
デルタ株は深刻だと、医療従事者仲間から聞いていました。
5月のインドでの、デルタ株の流行の惨状が、頭をかすめました。
* * *
8月のお盆すぎ、私は、新型コロナ関連の派遣バイトにひと区切りつけて、また、金沢で生活していました。
無職なので、仕事による制限はありません。
京都には、1999年の研修所の同期であり、人生の師であり、飲み仲間でもある前職の先輩が住んでいます。
毎年、京都のコンサートは、その先輩と参加します。
先輩の顔を見たい・・・京都に行くことにしました。
いつもなら前乗りをして、先輩とともに京都の町散策、喫茶店巡りに、美味しい京料理を堪能、仕事の聖地巡りをし、先輩宅にお邪魔して先輩のお孫ちゃんと遊び、夜遅くまで飲んで語り明かしていました。
今年は、デルタ株と思われる流行のため、日帰りとしました。
先輩も私もワクチン接種は済んでいますが、先輩宅にはワクチン接種がまだの息子さん家族に、お孫ちゃんもおられるからです。
泊まりとなると、どうしてもマスクを外す状況が生まれます。
昨年の京都劇場は延期となっているので、先輩と会ったのは2年ぶり。
でも、普段からSNSのやりとりをしていて、定期的にリモート飲み会をしているせいか、久しぶりといった感じはしませんでした。
オープニングは、やはり京都のあの曲?セトリは、まだ盛夏?夏の終わりの秋の気配?
などなど、期待を膨らませて、サンダーバードの車窓の琵琶湖を眺めました。
* * *
京都駅に到着し、京都劇場側の出口を駅員さんに聞いて、そちらに向かって歩いていたら。
何と何と、こうせつご一行と遭遇しました。
な~んてラッキー!ヤッホー!!
このご時世なので、遠くから手を振って、挨拶させていただきました。
* * *
例年であれば、開館直前のロービーは人でいっぱいですが、この日は、あまり人はいませんでした。
客席は、4割ほどの入りで、たくさんの方がキャンセルしたであろうと予測できました。
開演前のアナウンスでは「座席の背もたれに背をつけて離さず、前かがみにならないでください」とまで注意喚起があったほどでした。
このようなアナウンスは、後にも先にも、ここだけ、このときだけでした。
それだけ、デルタ株が深刻ということでしょう。
* * *
客席の拍手、緞帳が上がると、こうせつのカウントからのスタート。
「お!あの曲からじゃ無いんだ!」とちょっと驚きました。
オープニングは「夏の少女」から。
夏は暑い京都。残暑も厳しい。
セトリは、まだ夏盛りでした。
1部最後の休憩前、ここで、マイクスタンドが3本ステージに運ばれてきて、泰ちゃんがアコーディオンを持って4人がステージ前方に並びました。
ちょっと早めのメンバー紹介。
順平さんもこうせつも、いつも奥さんに譲り言いたいことを飲み込む方と一致。
徹ちゃんが、最近そうめん作りに凝っているという話から「徹ちゃん!そうめん!」を連呼する即興新曲を披露しました。
そのあとの泰ちゃんのときは、昔カレーをつくったら娘ちゃんが吐いてしまったというエピソードで、「カレー!オエオエ!」を連呼する即興新曲を続けて披露。
こうせつがギターをかき鳴らして連呼すると、笑顔でメンバーも音を合わせてついてきます。
こうせつは、「こうやって、曲作りをしています」と、笑って言いました。
坂崎幸之助さんが、こうせつのスイッチが入った状態を「降臨」と呼んでいますが、坂崎さんとのクローンズのセッションを、また、降臨こうせつを見たいなあなんて、思いました。
4人並んで、何の曲?「夏休み」でした。
つま恋サマーピクニックでの「夏休み」を思い出しました。
姉と一緒に行った、つま恋サマピ。
こうせつが歌う「夏休み」をきいて、拓郎ファンの姉は号泣しました。
そのとき、拓郎さんは病気療養中でした。
その後、復活・・・拓郎さん元気かなあ・・・
1部の終わりは「Summer♪Angel」。「海」からの「Summer♪Angel」ですが、途中で歌詞を間違え、再度「海」からの「Summer♪Angel」を歌い直し。
いえいえ、歌詞の間違いではなく、京都スペシャルです。ライブ(生)のアクシデントもエンタメにするのが、こうせつです。
「Summer♪Angel」「夏休み」と2曲続けて聴くと、きれいな姉さん先生がもういないと言っていた少年が、成長して恋をしたような、そんな物語のようでした。
休憩のあとの一曲目が、京都のあの曲「加茂の流れに」。そして、広島と違うのは、後半は全てかぐや姫でした。
* * *
隣の席の先輩は、アンコールの「夜明けの風」を聴いて、泣いていました。
先輩の涙を見て、私も泣けました。
整列退場の後、京都駅前で先輩とハグしました。
先輩いわく、「さっきの歌じゃないけど、今をひたすら生きるっきゃないね」。
再会を約束して、別れました。
京都駅0番線から、サンダーバードで金沢へ戻りました。
* * *
京都駅への日帰り直行直帰の遠征でしたが、京都タワーがとても美しく光って、唯一、京都感を演出してくれました。
今年は先輩と、あんまり話はできなかったけど。
先輩と並んで歌を聴いて、明日からまた頑張れると確信しました。
「同じ場所で同じ音楽を聴いて共有する、人間には絶対に必要な時間」という、こうせつの言葉が身にしみました。
来年も先輩と並んでこうせつを聴きたいし、一緒に美味しいご飯を食べてお酒を飲んで、積もる話がしたいと思いました。
* * *
この京都劇場のコンサートについては、後々考えて、若干反省するところがあります。
ピークは、過ぎて振り返ってみて、はじめてそれがピークだったとわかります。
8月30日(日)の京都劇場は、デルタ株の流行が深刻な時期で、5波のピークでした。
確かに、京都のコンサートでは、観覧に際しての注意喚起が、これまでのなかで一番厳しくて、空席も多かったと思います。
デルタ株の深刻さを思うと、京都劇場には行くべきでは無かったかもしれないと思うのです。