第2話 2019年:中国の「おかしな風邪」

文字数 3,761文字

第2話 2019年:中国の「おかしな風邪」

私が新型コロナをはじめて認識したのは、2019年の11月?12月?頃だったと思います。

何で知ったのか、覚えていません。

当時私は、看護系学校で教職をしていました。

「中国でおかしな風邪が流行っているらしいですよ。ヒト・ヒト感染はしてないって、言っているみたいです」と、職場で雑談したことを覚えています。

その時はまだ「おかしな風邪」でした。

中国の「おかしな風邪」について、いつどのように知ったか,記憶は定かでないのです。

多分、SNS?ネットニュース?

中国が「ヒト・ヒト感染」を認めたのは、12月31日(火)のWHOへの集団感染の報告ということです。

「ヒト・ヒト感染はしていないって、言っているみたい」・・・という雑談の内容から、職場では私を含めて、WHOへの報告前には知っていたということになります。

中国といえば、これまでも、鳥インフルエンザの「トリ・ヒト感染」が、何回か起こっています。

中国では、新興感染症の「ヒト・ヒト感染」は、サーベイランス(厳重に監視)されているというイメージがありました。

そんな中国で流行?しかも都市?・・・SARSのときみたいな、不気味さがあるね・・・そんな雑談をした記憶があります。

* * *

当時の職場、看護系学校は同じ敷地内に、保健医療系大学のキャンパスと大学病院がありました。

大学病院は、実習場所でもありました。

そのため、大学病院の医療安全講習を、看護系学校の教職も定期的に受講しなければいけませんでした。

「医療安全」とは、医療事故や医療過誤を防ぎ、訴訟などの人的トラブルを起こさないための対策と、トラブルが起きた場合の対応策に取り組み、安全な医療サービスの提供ができる状態のこと(厚生労働省:PSA:患者の安全を守るための医療従事者の共同行動より)です。

病院で起こるトラブル、例えば、患者の取り違え、誤薬、転倒・転落、医療機器の誤操作、無断離院(徘徊や迷子を含む)、感染、というものから、自殺、暴力、虐待、殺人、過度のクレームや反社対応まで、様々な事案の予防、対応がマニュアル化されていていました。

これら医療安全の様々なテーマの講習が頻繁に行われていて、それらを定期的に受けることが、職員全員に課されていました。

医療安全講習を受けると点数がもらえ、各々が決められた点数を、年度内に取得しなければならないノルマがありました。職務に応じて、受けなければならない必修の講習もありました。

なかにはレポートやペーパーテストや実技試験が義務づけられていて、それをクリアしないと、その職務に就くことが出来なかったり、特定の医療行為が出来なかったりすることもありました。

看護系学校の教職には必修の講習が無く、日々の業務が多忙なため、つい受講が後回しになり、いつも年度末に、慌てて駆け込み受講していました。

* * *

2019年12月頃?年末に、医療安全の「感染制御」の講習がありました。

そのときのテーマが、不特定多数が集まるイベントでの群衆(モブ)間の感染症を想定したものでした。

この年の夏に、ラグビーのワールドカップが行われました。

その味の素スタジアムを例に、何が起こるのか、どう制御するのか、といった内容でした。

翌年の2020年はオリンピックイヤー・・・タイムリーなテーマ・・・

「不特定多数が集まるイベントでの群衆(モブ)からの世界的なパンデミック・シミュレーション」があまりに恐く、驚愕しました。

が、この時は、私は、あまり現実味を感じていませんでした。

看護教育の教材で、古くから、「新型インフルエンザ・パンデミック・シュミレーション」がありました。

それに似ている・・・とは、思いました。

どちらも話しが大きすぎて、SF映画でも見ている感じです。

中国の「おかしな風邪」とこの講習内容を、関連づけることもありませんでした。

オリンピックに向けて、万が一の様々な対策が、私たちの知らないところで行われているのだ・・・と感心した・・・というのが、このときの感想でした。

大学病院は、オリンピックの協力施設になっていたと思います。

テロなど、様々な危機管理訓練も行われているという噂もありました。

その一環なのだろう、と思いました。

* * *

この講習のときだったのか?その後の別の医療安全講習だったのか?なんせ、年末の点数稼ぎの受講がたくさんで、定かではないのですが。

年度末の駆け込み受講の何かの講習の終わりに、講師(病院医師)が、中国の感染症の話題にふれたのを覚えています。

私は、年明けの1~2月まで長期出張に行っていて、医療安全講習には参加していなかったと思います。

なんで、多分、2019年の年末の、何かの講習だったのだと思います。

「中国からの情報がない(情報を出さない?)ので、何もわかっていない。わかり次第、お知らせする」ということでした。

公式の場で、中国の「おかしな風邪」について、はじめて聞いたのが、この時でした。

* * *

<12月6日(金)>東京国際フォーラムC いつも歌があったツアー

東京国際フォーラムCで、こうせつの「いつも歌があったツアー」年末スペシャルコンサートがありました。

アフガニスタンで、医師の中村哲さんが亡くなったことがあり、「愛する人へ」で追悼されたことを思えています。

福岡かから遠征に来た友人と、有楽町の居酒屋で二次会をしました。

いつもの居酒屋で、鰹のタタキを鱈フク食べて、美味しかったです。

<12月21日(土)>

この日の名古屋市公会堂「いつも歌があったツアー」年末スペシャルコンサートは、職場の行事のキャンドルサービスのために不参加でした。

キャンドルサービスは、キャンドルを手に持った有志の学生の聖歌隊が、クリスマスソングを歌いながら病院内を行進するという行事です。

この日のために、有志の学生たちは、放課後にクリスマスソングと聖歌隊の行進の練習を重ねてきました。

インフルエンザ対策をしながらとはいえ、こんな行事が普通に行われていたのです。

<12月24日(火)>

職場の忘年会がありました。

私は、この日、仕事はお休みで、自宅から紬の訪問着を着ての忘年会出席でした。

仕事帰りの同僚たちも、かなりのドレスアップで、都心の超有名高級和食寿司店で、豪華コース料理をいただきました。

この忘年会の豪遊のために、毎月、積み立てをしていました。学校法人からの福利厚生の補助もありました。それでも足りないぶんは、上司たちの自腹でした。

<12月25日(水)>

職場の年末の大掃除で、下っ端の教職たちで、研究室と演習室、実習室の整理整頓と物品請求、掃除を分担しました。私は、ガラス戸つきの本棚の整理をしました。

<12月26日(木)>

午前の仕事中、私は38.4度の発熱をしました。

で、職場の敷地内の大学病院に受診しました。

このとき、海外渡航歴者との接触などの聞き取りは、全くありませんでした。

インフルエンザは陰性でした。

タクシーで帰宅し、その夜は、高熱に喘息様発作、呼吸困難、結膜炎、鼻水に鼻づまり、嘔吐、下痢・・・散々でした。

でも、翌朝4時頃には、すっかり元気になりました。

前日の本棚の整理が原因だと思います。

これまでにも、自宅や職場の大掃除をして、発熱することが何度もありました。

後々、このときの発熱を、「新型コロナだったのでは?」と、友人や同僚が言い出しました。

しかし、新型コロナの特徴的な症状はありませんでした。

しかも、次の日の朝には、何事も無かったように、すっかり普通でした。

なんで、やっぱり、いつもの掃除後の発熱だと思います。

大掃除をすると高熱が出るということで、年末の大掃除の分担を、ガラス戸付きの本棚の整理にしてもらったのですが。

知人の医師からは、本の化学物質・・・紙や表紙の加工、インク、製本の糊などがアレルゲンではないか、ガラス戸で密封されて濃縮していたのか・・・といわれました。

もう二度と、戸付の本棚の整理はしないと誓いました。

<12月28日(土)>大阪NHKホール いつも歌があったツアー 年末スペシャル

念のためのインフルエンザのリチェックは、マイナスでした。

なので、大阪NHKホールの「いつも歌があったツアー」年末スペシャルコンサートに参加しました。

年末スペシャルコンサートらしく、エレキにドラムにシンセサイザーにサックスに・・・で、迫力ありました。

アンコールの最後は『あの日の空よ』

この年、2019年の9月28日(土)「サマーピクニック~さよなら、またね」が、海の中道海浜公園野外劇場(福岡県)~で開催されました。

この年が、サマーピクニックイヤーだったことを実感。

暑い、熱い野外ライブを思い出し、この曲で終われたことをこうせつに感謝しました。

<12月29日(日)>大阪NHKホール 正やん(伊勢正三さん)

で、こうせつの翌日は、同じ会場で、正やんのコンサートでした。

2ディズ、一泊の遠征を楽しみました。

<12月31日(火)>

大晦日は、年越しそばとカニを食べながら、紅白歌合戦を見ながらの晩酌で、寝落ちしました。

この日、中国が「ヒト・ヒト感染」を認め、WHOへ集団感染を報告したということですが、私は、そんなことは知らずに、毎年変わらずの年越しでした。


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み