第61話
文字数 1,469文字
コンコンーー
「三橋さん、どうされました?」
「自宅に電話を入れてほしい」
「えっ!?
先ほど奥様に来ていただいたところじゃないですかーー。
さすがにもうお呼びするのは無ーー」
「違う!
誰がここへ呼べと言った!?
ちゃんと家に着いたか知りたいだけだ」
「えっ?」
「自宅までは車で25分だ。
あと、10分したら着くはずだからちゃんと家に着いたかどうか確認してほしいだけだ。
最近のタクシーは飛ばすからな。
事故でも起こされちゃかなわん!」
「ーーーーわかりました。
10分後にお電話して奥様がご自宅に、無事に到着されたか私が責任を持って確認します」
「確認したら報告に来いよ。
ホウレンソウーー」
「ホウレンソウーー」
あらあらーー、二人で同時にホウレンソウを二重奏するなんてーー。
「ーーが大事ですもんね?」
「わかってればよろしいーー」
そう言うと、三橋さんはフン! っと鼻息荒く布団を被ると向こうを向きました。
「とんちゃん、夜勤明けでお疲れのとこ悪いんだけどちょっといい?」
朝礼後のバタバタとした雰囲気の中、救急外来の夜勤を終えて病棟に戻ってきた東主任を見つけると、中尾師長が声をかけ、二人は面談室に入りました。
「昨夜また三橋さん大変だったんだって?」
「あーー、そうなんですけどーー」
「あれっ、でもなんかいいことあった?
大変だったって聞いたわりにスッキリした顔してるじゃない」
「えーー、そうですかーー?
んーー、なんか三橋さん夫婦と接してると夫婦って深いなあーーって」
東主任は昨夜三橋さんが、奥様が無事に家に着いたかを心配していた話をしました。
「三橋さん、奥様が無事に自宅に着いたか電話で確認をとって、自分に報告しろーーって言うもんだから、私電話したんです。
そうしたら奥様、「全くもうあの人はーー」って。
クスクス笑いながら「さっき、私を呼び出したのも昨夜、寝端に私が気分が悪くなって倒れてる夢を見たらしくて。あの通り心配症なもんですから私の元気な姿を見るまで安心できないーーって夜中に呼び出したらしいんですけど、私の姿を見るなり、今度はもう遅いから早く帰れーー!って。あんなわがままなおじいさんに育ててしまった私が悪いんですけど、あの人は私のことが大好きな大切な夫なんです。どうぞよろしくお願いします」ーって」
「へーーーー。
三橋さんって、てっきり奥さんにも嫌われてるって勝手に思ってたけどーー。
けど、何となく三橋さんは奥様のこと愛してるんだろなあとは思ってたーー。
ホント夫婦って長い間一緒にいた時間が作る二人だけの関係性があるわよね。
到底他人には推量れないーー」
「はい。
三橋さん見てて正直、かあくんとの結婚生活に漠然とした不安感じて、ブルーになってたんですけど、始まる前からあれこれ考えたって仕方ないなあーって。
どんな夫婦関係を作っていくかも二人次第ですけど、きっとかあくんなら夜中に呼び出しても三橋さんの奥様みたいに飛んできてくれる気がします!」
「はーー、そうねーー」
この場合、自分を三橋さんに置き換えられるということは、東主任はとても冷静な判断力を持っていると言うことですね、中尾師長!
私の心の声が聞こえたのでしょうか、中尾師長がしっかりと頷いています。
「師長、用件はそのことですか?」
「いやいや、違うのーー」
「葉山さん?」
「そうそう」
「寛人 くんの考え変わらずなんですか?」
「そうなのーー。
富永 さんが何度か呼び出して話してくれたんだけど、意志は固くってーー。
時間見つけてとんちゃんからも寛人くんに話してみてくれない?
今日はもういいからーー。
帰って休みなさい」
「三橋さん、どうされました?」
「自宅に電話を入れてほしい」
「えっ!?
先ほど奥様に来ていただいたところじゃないですかーー。
さすがにもうお呼びするのは無ーー」
「違う!
誰がここへ呼べと言った!?
ちゃんと家に着いたか知りたいだけだ」
「えっ?」
「自宅までは車で25分だ。
あと、10分したら着くはずだからちゃんと家に着いたかどうか確認してほしいだけだ。
最近のタクシーは飛ばすからな。
事故でも起こされちゃかなわん!」
「ーーーーわかりました。
10分後にお電話して奥様がご自宅に、無事に到着されたか私が責任を持って確認します」
「確認したら報告に来いよ。
ホウレンソウーー」
「ホウレンソウーー」
あらあらーー、二人で同時にホウレンソウを二重奏するなんてーー。
「ーーが大事ですもんね?」
「わかってればよろしいーー」
そう言うと、三橋さんはフン! っと鼻息荒く布団を被ると向こうを向きました。
「とんちゃん、夜勤明けでお疲れのとこ悪いんだけどちょっといい?」
朝礼後のバタバタとした雰囲気の中、救急外来の夜勤を終えて病棟に戻ってきた東主任を見つけると、中尾師長が声をかけ、二人は面談室に入りました。
「昨夜また三橋さん大変だったんだって?」
「あーー、そうなんですけどーー」
「あれっ、でもなんかいいことあった?
大変だったって聞いたわりにスッキリした顔してるじゃない」
「えーー、そうですかーー?
んーー、なんか三橋さん夫婦と接してると夫婦って深いなあーーって」
東主任は昨夜三橋さんが、奥様が無事に家に着いたかを心配していた話をしました。
「三橋さん、奥様が無事に自宅に着いたか電話で確認をとって、自分に報告しろーーって言うもんだから、私電話したんです。
そうしたら奥様、「全くもうあの人はーー」って。
クスクス笑いながら「さっき、私を呼び出したのも昨夜、寝端に私が気分が悪くなって倒れてる夢を見たらしくて。あの通り心配症なもんですから私の元気な姿を見るまで安心できないーーって夜中に呼び出したらしいんですけど、私の姿を見るなり、今度はもう遅いから早く帰れーー!って。あんなわがままなおじいさんに育ててしまった私が悪いんですけど、あの人は私のことが大好きな大切な夫なんです。どうぞよろしくお願いします」ーって」
「へーーーー。
三橋さんって、てっきり奥さんにも嫌われてるって勝手に思ってたけどーー。
けど、何となく三橋さんは奥様のこと愛してるんだろなあとは思ってたーー。
ホント夫婦って長い間一緒にいた時間が作る二人だけの関係性があるわよね。
到底他人には推量れないーー」
「はい。
三橋さん見てて正直、かあくんとの結婚生活に漠然とした不安感じて、ブルーになってたんですけど、始まる前からあれこれ考えたって仕方ないなあーって。
どんな夫婦関係を作っていくかも二人次第ですけど、きっとかあくんなら夜中に呼び出しても三橋さんの奥様みたいに飛んできてくれる気がします!」
「はーー、そうねーー」
この場合、自分を三橋さんに置き換えられるということは、東主任はとても冷静な判断力を持っていると言うことですね、中尾師長!
私の心の声が聞こえたのでしょうか、中尾師長がしっかりと頷いています。
「師長、用件はそのことですか?」
「いやいや、違うのーー」
「葉山さん?」
「そうそう」
「
「そうなのーー。
時間見つけてとんちゃんからも寛人くんに話してみてくれない?
今日はもういいからーー。
帰って休みなさい」