第33話
文字数 1,264文字
「担当だった西田さんが明日から産休に入るのは知ってるわよね?
代わりに富永 さんに引き継いでもらおうと思ってたんだけど、三久路 君もそろそろ担当持ってもいい時期だし、どう?」
「はい……」
三久路君は、小さな声で返事したきり下を向いたままです。
「勿論、今まで通り富永さんや桜川 さんにプリセプターとしてサポートしてもらうし、私や主任も出来る限り協力するわ。
お願いできる?」
すると、三久路君は決心したようにうつむいていたを顔をすっと上げて言いました。
「はい、担当させてもらいます」
「日向 、日向!
ちょっと!
師長も主任も何考えてるんだろ。
ミクロに三山さん担当させるだなんてーー。
絶対無理じゃん!
私だって出来たらやりたくないもん。
ミクロにはまだまだ荷が重いって!」
「うーーん、そうだよね。
でも何か考えがあってのことじゃないかな」
賑やかな地下の職員食堂は麺類が美味しいと評判です。
日向さんはきつねうどんにかやくご飯がついたきつねセット、裕子 さんはちゃんぽんにこれまたかやくご飯がついたちゃんぽんセットを食べています。
「まさか、役立たずのミクロを追い詰めて辞めさせようとしてるとかーー」
「しっ!
三久路君が来た」
「すいません、遅くなってーー」
「えーー、ミクロ、それだけ?
まだ食欲ないの?」
三久路君のトレーにはこぶしほどの大きさのおにぎり二つと、お味噌汁があるだけです。
「いえ、早く食べて三山さんのカルテで情報取ろうと思ってーー」
そう言うと、大きく口を開け一口でおにぎり二つを丸ごと口に入れました。ウソでしょーーとつぶやきながら裕子さんもズルズルーーっとちゃんぽん麺をすすります。
「ここいい?」
3人が同時に顔を上げると、理学療法士の白河さんが日向さん達のテーブルの前に立っています。
「あっ、はい。
あっ、空いてます。
どうぞ」
日向さんはうどんを食べる手を止めて白河さんのために椅子を引きました。
ありがとう、と言いながら日向さんの隣に座った白河さんの今日のお昼は日向さんと同じきつねセットです。
「三久路君、体調はもういいの?」
「はいーー。
ーー大丈夫ですーー」
言い終わると同時にお味噌汁とお茶を一気に飲み干すと、お先ですと声をかけ、三久路君は食器返却口にトレーを入れ早足で食堂を出て行きました。
「少し元気になったみたいだね。
良かったよ」
そう言うと白河さんはにっこり笑いました。
私が確認出来ただけで、食堂にいる女子職員の少なくとも8人のハートがキュン! と鳴った音が聞こえました。
相変わらずの人気っぷりですね。
「そうだ、桜川さん。
この前の話なんだけどーー」
「わっ、あのーー。
ちょっとそれはーー」
裕子さんが食べかけていたちゃんぽんの野菜を口からポロポロ落としながら何やら慌てています。
「ちょっ、ユッコーー。
行儀悪いよ。
口の中の物食べてから話しーー」
「いつがいいかなあと思って」
「えっ?」
「僕はいつでもいいんだけど」
「何の話ですか?」
日向さん一人が不思議そうな顔をしています。
そうです、これ、あの時の話ですよね。
代わりに
「はい……」
三久路君は、小さな声で返事したきり下を向いたままです。
「勿論、今まで通り富永さんや
お願いできる?」
すると、三久路君は決心したようにうつむいていたを顔をすっと上げて言いました。
「はい、担当させてもらいます」
「
ちょっと!
師長も主任も何考えてるんだろ。
ミクロに三山さん担当させるだなんてーー。
絶対無理じゃん!
私だって出来たらやりたくないもん。
ミクロにはまだまだ荷が重いって!」
「うーーん、そうだよね。
でも何か考えがあってのことじゃないかな」
賑やかな地下の職員食堂は麺類が美味しいと評判です。
日向さんはきつねうどんにかやくご飯がついたきつねセット、
「まさか、役立たずのミクロを追い詰めて辞めさせようとしてるとかーー」
「しっ!
三久路君が来た」
「すいません、遅くなってーー」
「えーー、ミクロ、それだけ?
まだ食欲ないの?」
三久路君のトレーにはこぶしほどの大きさのおにぎり二つと、お味噌汁があるだけです。
「いえ、早く食べて三山さんのカルテで情報取ろうと思ってーー」
そう言うと、大きく口を開け一口でおにぎり二つを丸ごと口に入れました。ウソでしょーーとつぶやきながら裕子さんもズルズルーーっとちゃんぽん麺をすすります。
「ここいい?」
3人が同時に顔を上げると、理学療法士の白河さんが日向さん達のテーブルの前に立っています。
「あっ、はい。
あっ、空いてます。
どうぞ」
日向さんはうどんを食べる手を止めて白河さんのために椅子を引きました。
ありがとう、と言いながら日向さんの隣に座った白河さんの今日のお昼は日向さんと同じきつねセットです。
「三久路君、体調はもういいの?」
「はいーー。
ーー大丈夫ですーー」
言い終わると同時にお味噌汁とお茶を一気に飲み干すと、お先ですと声をかけ、三久路君は食器返却口にトレーを入れ早足で食堂を出て行きました。
「少し元気になったみたいだね。
良かったよ」
そう言うと白河さんはにっこり笑いました。
私が確認出来ただけで、食堂にいる女子職員の少なくとも8人のハートがキュン! と鳴った音が聞こえました。
相変わらずの人気っぷりですね。
「そうだ、桜川さん。
この前の話なんだけどーー」
「わっ、あのーー。
ちょっとそれはーー」
裕子さんが食べかけていたちゃんぽんの野菜を口からポロポロ落としながら何やら慌てています。
「ちょっ、ユッコーー。
行儀悪いよ。
口の中の物食べてから話しーー」
「いつがいいかなあと思って」
「えっ?」
「僕はいつでもいいんだけど」
「何の話ですか?」
日向さん一人が不思議そうな顔をしています。
そうです、これ、あの時の話ですよね。