第29話
文字数 1,647文字
「日向 」
裕子 さんに肘で突かれて顔を上げると歩行器を使って廊下の奥から病棟患者さんが歩いてきます。
その横で患者さんの体を支えながらこちらを見つめているのは白河さんです。
日向さんが「お疲れ様です」と声をかけると、白河さんも「お疲れ様」とにっこり微笑みながら二人の前を通り過ぎて行きます。
素敵です。
ソウルの私でも今少しキュン、ってなりました。
「ちょっと、日向!
耳まで真っ赤なんですけど!」
裕子さんにからかわれてえーーやだ、そんなことないよ、と言いながら照れる日向さんはとても可愛いくて乙女です。
お二人の仲が上手くいくように私に何か出来ることはないですかね。
日向さんファイトです!
ニッコリと笑う私と目が合った日向さんは小さく手を振りながら笑い返してくれました。
「日向、誰に手振ってるの?」
「いや、何でもない」
「あーー、例のソウルさんね」
そう言いながら裕子さんも日向さんと同じように私に向かって微笑みながら手を振ってくれました。
はい、お気遣いありがとうございます。
裕子さんも今日も可愛いですよ。
「ねえそれより日向、白河さんずーーっとこっち見てたんだよ。
私、絶対白河さんも日向のこと好きなんだと思う。
日向から告白しなよ」
「えーー、無理無理無理無理!!
そんなの絶対無理だよ!」
日向さんは目の前で手をぶんぶん振り回します。
「それに白河さん、もうきっと彼女いるよ」
「そんなの聞いてみなきゃわかんないじゃん」
「いいのーー」
仕事は自分から積極的にこなす日向さんですが、こと恋愛になると奥手のようですね。
「日向、あと何残ってる?
手伝うよ」
「ありがと、もう終わる」
「今日の院内研修どうする?
明日も同じのあるから明日のに出ることにして今日これからミクロの様子見に行かない?」
「うん、私もそう思ってた。
じゃあ、ちょっとだけ待ってて」
そう言うと、日向さんは急いでナースステーションに戻るとパソコンに向かいました。
「あと記録書くだけだからーー」
「日向、私先に着替えてそこのコンビニでミクロの好きそうな物何か買ってくるよ。
あいつ、甘い物好きだよね」
「そうだね、ありがと」
「寮の前で待ってるね」
「了解、なるべく早く終わらせる」
どうやら二人で三久路 君の様子を見に行くようですね。
私も三久路君の様子が気になるので、裕子さんについて先に行ってますね。
三久路君は病院裏にある職員寮に住んでいます。
コンビニで三久路君の好きそうなスイーツやジュース、栄養ドリンクの入ったビニール袋を持った裕子さんと、寮の前で日向さんを待ちます。
寮の前に立っている裕子さんの前を、仕事帰りの病院職員が通り過ぎて行きます。
職員用の駐車場が職員寮の奥にあるため、帰宅する車通勤の職員はここを通るのです。
今日は院内研修があると言っていたので、まだ帰る人はそれほど多くはないですが、何人かの知った顔が裕子さんの前を通り過ぎて行きます。
裕子さんはその都度軽くお辞儀をしながらお疲れ様でした、と声をかけました。
「日向、まだかな」
少し待つのに飽きた裕子さんが携帯でゲームをし始めた時でした。
「桜川 さん?」
「ん?
あっ、白河さん、お疲れ様です。
今帰りですか?」
「うん。
桜川さんはこんなとこで何してるの?
もしかして寮に住んでるの?」
「いえ、私じゃなくて、ミクロがここに住んでるんです。
ちょっと用があって。」
「ーーーー。そうなんだ。
三久路君、ここに住んでるんだ。
そう言えば最近、三久路君見かけないけど、どこか具合でも悪いの?」
「それが、最近ちょっと体調不良で休むこと多くて、中尾師長に頼まれて日向と様子見に行くとこなんです。
今、日向が仕事終わるの待ってるとこで」
「そうなんだーー。
三久路君、大したことなければいいけど。
じゃあ、お先失礼するね」
そう言って白河さんは駐車場に向かって歩き出しました。
その後ろ姿を見ながら何か考えていた裕子さんでしたが、突然、白河さんの背中に向かって言葉をかけました。
「あの、白河さんーーー」
その横で患者さんの体を支えながらこちらを見つめているのは白河さんです。
日向さんが「お疲れ様です」と声をかけると、白河さんも「お疲れ様」とにっこり微笑みながら二人の前を通り過ぎて行きます。
素敵です。
ソウルの私でも今少しキュン、ってなりました。
「ちょっと、日向!
耳まで真っ赤なんですけど!」
裕子さんにからかわれてえーーやだ、そんなことないよ、と言いながら照れる日向さんはとても可愛いくて乙女です。
お二人の仲が上手くいくように私に何か出来ることはないですかね。
日向さんファイトです!
ニッコリと笑う私と目が合った日向さんは小さく手を振りながら笑い返してくれました。
「日向、誰に手振ってるの?」
「いや、何でもない」
「あーー、例のソウルさんね」
そう言いながら裕子さんも日向さんと同じように私に向かって微笑みながら手を振ってくれました。
はい、お気遣いありがとうございます。
裕子さんも今日も可愛いですよ。
「ねえそれより日向、白河さんずーーっとこっち見てたんだよ。
私、絶対白河さんも日向のこと好きなんだと思う。
日向から告白しなよ」
「えーー、無理無理無理無理!!
そんなの絶対無理だよ!」
日向さんは目の前で手をぶんぶん振り回します。
「それに白河さん、もうきっと彼女いるよ」
「そんなの聞いてみなきゃわかんないじゃん」
「いいのーー」
仕事は自分から積極的にこなす日向さんですが、こと恋愛になると奥手のようですね。
「日向、あと何残ってる?
手伝うよ」
「ありがと、もう終わる」
「今日の院内研修どうする?
明日も同じのあるから明日のに出ることにして今日これからミクロの様子見に行かない?」
「うん、私もそう思ってた。
じゃあ、ちょっとだけ待ってて」
そう言うと、日向さんは急いでナースステーションに戻るとパソコンに向かいました。
「あと記録書くだけだからーー」
「日向、私先に着替えてそこのコンビニでミクロの好きそうな物何か買ってくるよ。
あいつ、甘い物好きだよね」
「そうだね、ありがと」
「寮の前で待ってるね」
「了解、なるべく早く終わらせる」
どうやら二人で
私も三久路君の様子が気になるので、裕子さんについて先に行ってますね。
三久路君は病院裏にある職員寮に住んでいます。
コンビニで三久路君の好きそうなスイーツやジュース、栄養ドリンクの入ったビニール袋を持った裕子さんと、寮の前で日向さんを待ちます。
寮の前に立っている裕子さんの前を、仕事帰りの病院職員が通り過ぎて行きます。
職員用の駐車場が職員寮の奥にあるため、帰宅する車通勤の職員はここを通るのです。
今日は院内研修があると言っていたので、まだ帰る人はそれほど多くはないですが、何人かの知った顔が裕子さんの前を通り過ぎて行きます。
裕子さんはその都度軽くお辞儀をしながらお疲れ様でした、と声をかけました。
「日向、まだかな」
少し待つのに飽きた裕子さんが携帯でゲームをし始めた時でした。
「
「ん?
あっ、白河さん、お疲れ様です。
今帰りですか?」
「うん。
桜川さんはこんなとこで何してるの?
もしかして寮に住んでるの?」
「いえ、私じゃなくて、ミクロがここに住んでるんです。
ちょっと用があって。」
「ーーーー。そうなんだ。
三久路君、ここに住んでるんだ。
そう言えば最近、三久路君見かけないけど、どこか具合でも悪いの?」
「それが、最近ちょっと体調不良で休むこと多くて、中尾師長に頼まれて日向と様子見に行くとこなんです。
今、日向が仕事終わるの待ってるとこで」
「そうなんだーー。
三久路君、大したことなければいいけど。
じゃあ、お先失礼するね」
そう言って白河さんは駐車場に向かって歩き出しました。
その後ろ姿を見ながら何か考えていた裕子さんでしたが、突然、白河さんの背中に向かって言葉をかけました。
「あの、白河さんーーー」