第8話 白銀の継承

文字数 4,628文字

 リリアンとロキシーが座る位置から少し離れた岸辺で、ドールは黒一色の平たい湖面に逆巻(さかま)く金色の(うず)をぼんやりと(なが)めていた。

 風も音もないこの世界で唯一といっていいほど壮大(そうだい)(うごめ)きを見せる(ちり)奔流(ほんりゅう)に改めて目を奪われつつ、犇々(ひしひし)と伝わり来る畏怖(いふ)に浸っていた。

 悪魔を宿したときにディレクタティオの夜空から降り注いでいた(きら)めきも、北の山脈に積もる雪ではなくこの『魔素(まそ)』と呼ばれる不思議な物質だったのだろうと()()み思い返していた。


——この湖の底には千年前に()ちた巨大な隕石が埋まっていて、壊月彗星(かいげつすいせい)から降り注ぐ魔素(まそ)を大陸に誘引し続けている…リヴィアさんからはそんな仮説を聞いた。どれだけ古い本を読んでも、そんなことを推論する記述はなかった。もし本当なら、歴史がひっくり返るほどの大発見になる。

——でも実際に悪魔を宿さずして、誰もその可能性に気付くことはないのだろう。そもそも魔素(まそ)という不可解な物質の存在が(おおやけ)に知られ渡る方が、測り知れない混乱の原因になりかねない。結局はこれからも現実世界では、悪魔が何食(なにく)わぬ顔で厄災という名の『(いまし)め』を続けていくのだろう。


 だが眼前では、自分が厄災を引き起こしたときとは比較にならない量と密度の魔素(まそ)が絶えず湖に吸い込まれていることから、ルーシー・ドランジアという人物がいかに絶大な魔力を消費し続けているのかを想像し、対峙(たいじ)の時を待つカリムを案じた。


——そんな未来をドランジア議長が嫌悪(けんお)して、途轍(とてつ)もない執念で人知れず()じ曲げようとしているのが(いや)(おう)でも伝わってくる。カリム君はこの壮大(そうだい)な魔力と意志を、本当に(ひと)りで(しの)ぐことが出来(でき)るのかな。

——仮に(しの)げたとして、その先は具体的にどうするつもりなのかな。あんなことを言った手前、心配をかけるだけ野暮(やぼ)なのだと思うけど……。



「…おい、グレーダン教徒の女。」


 思い(ふけ)っていたドールは背後から不愛想(ぶあいそう)な声音で突然話しかけられ、その場で飛び上がりそうになった。

 聞き覚えのある口調から声の主を察して気不味(きまず)そうに振り返ったが、そこに立っていたピナスの姿は以前とは打って変わって(きば)を抜かれたように映っていた。
 更に背後ではステラが2人を見守るように立っており、ドールは言わなければならないことを今になって思い出して咄嗟(とっさ)に口走った。


「あ、その…変な意地を張って炎をぶちまけて危害を加えてしまって、申し訳ありませんでした。特に貴女(あなた)には随分(ずいぶん)(ひど)い当たり方をしてしまって……。」


「お互い様だ。元より(わか)り合うつもりなどない。本当の死を迎えるまで(わし)(わし)であるために、(すで)に口にした言葉は取り消さぬし、取り消してもらいたいとも思わん。」


 だが依然として当たりの強そうなピナスの物言いに、ドールは戸惑い口籠(くちごも)った。湖畔(こはん)で再会したピナスは移動中に何があったのか目に見えて様子が変わっており、穏便になったものと見做(みな)していたために、和解以外に態々(わざわざ)話しかけてくる要件に思い当たる(ふし)がなかった。


「その代わり…貴様に尋ねたいことがある。」


 たじろぐドールの反応を他所(よそ)に、ピナスは淡泊(たんぱく)に切り出した。


「貴様の両親は…どちらかがラピス・ルプスの民だったのではないか?」




 予想だにしない問いかけに、ドールは唖然(あぜん)として立ち尽くした。質問の意図すら(つか)めず、辿々(たどたど)しく事実を口にする他なかった。


「…(おぼ)えてないわ。私は赤子の頃に()てられて、記憶があるのは…ディレクタティオの修道院に引き取られたときからでしかないの。この生まれつきの白髪(はくはつ)が、きっと()てられた原因。」


「いや、その純白はラピス・ルプスの民の赤子が(たた)えるものと酷似(こくじ)しておる。生まれつきの雪のような純白が(よわい)を重ねるごとに瑠璃色(るりいろ)を帯びた銀へと転じ、(やが)て老いればくすんだ灰色となる…それが我が一族の体毛の変遷(へんせん)なのだ。それが人間に遺伝するということは、貴様の父か母のどちらかが、我が故郷と訣別(けつべつ)した同胞だった可能性がある。」


「そ、そんなことがあり得るの? だって貴女達(あなたたち)の一族は、今の時代でも迫害を受けてて……!?」



 ピナスの突飛(とっぴ)な推察を受け止め切れず制止させようと狼狽(ろうばい)するドールだったが、疑問を(みずか)ら口にしたことで、脳内に点在していた違和感が不意に1本の線で(つなが)がったような気がした。深紅(しんく)の瞳を見開き、再び声を失った。


——白髪(はくはつ)を差別するような因習は聞いたことがないとカリム君は言っていた。ここにいる人達も、今思えば誰1人として私の髪に軽蔑(けいべつ)眼差(まなざ)しを向けていない。そして私が孤児院ではなく修道院に引き取られた理由、悪魔を宿した私が人並み以上の身体能力を発揮出来(でき)た理由……。

——もし私の片親が教団の人間で、ラピス・ルプスの民との間に子を授かったのだとしたら。


——教団は早々(そうそう)に『(いまし)め』を破ったとされるラピス・ルプスの民を長い歴史の中で毛嫌いしていたけど、明確に接触を禁じるような教義があったわけじゃない。それでも信者達はその赤子を、

()み子だと認識するだろう。その子が教団から()でた命だと知られないよう秘匿(ひとく)し、()み子を産んだ両親を迫害するだろう。

——もしかして私が度々(たびたび)受けてきた『悪魔の子』という蔑称(べっしょう)は、本当はそういう意味が込められていたっていうの!? でもそれなら、どうして私は赤子のうちに殺されなかったのだろう。それこそ売り飛ばされるようなこともなかった。ああ、少し仮定しただけでどんどん疑問が湧いてくる……。


「…勿論(もちろん)(わし)が直接そのような事例を生前に見たわけでも、聞いたわけでもない。あくまでも可能性の話だ。少なくとも、我が一族に純粋な好意を(いだ)く人間が極僅(ごくわず)かでも存在し得ることを…(わし)は知っているからな。」


 ドールが邪推(じゃすい)(さいな)まれていると、気付けばピナスが(ひと)郷愁(きょうしゅう)(ひた)るように(つぶや)いていた。
 その振る舞いがどこかぎこちないように見えたドールは、この気紛(きまぐ)れにも思える(いたずら)な指摘がせめてもの和睦(わぼく)なのではないかと察した。

 ピナスには生前の自分について明かした覚えはなく、不遇を(なぐさ)めるための発言ではないことは明らかだった。思想信条が相容(あいい)れない中で、少しでも(わだかま)りを清算しようという彼女らしい歩み寄りなのだとドールは捉えていた。


「…そう。最期(さいご)

その可能性を聞けて嬉しかったわ。ありがとう。」


 ドールもまた不器用な微笑を浮かべて(こた)えると、ピナスは不愛想(ぶあいそう)な表情のまま外方(そっぽ)を向いてステラの元へと戻っていった。
 
 彼女の揺らめく白銀の尾を見送りながら、ドールは黒い湖面に再び向き直り、無いはずの胸の高鳴りに改めて身を(ゆだ)ねた。


——もし本当に私がラピス・ルプスの民の血を引いていたのなら、それはどんなに素晴らしい奇跡だったのだろう。私にはどんな可能性があったのだろう。何より…この白髪(はくはつ)を誇りに思えていたのだろう。

——でもその夢を手繰(たぐ)り寄せようとする(たび)に、残念で悲しい感情が込み上げてくる。


 生みの親には(ほとん)ど思いを()せたことがなかったために、ドールは今になって両親の凄惨(せいさん)最期(さいご)を想像して身震いした。
 自分の命の価値が唐突(とうとつ)高騰(こうとう)したような気がして、充分に(せい)(まっと)出来(でき)なかった事実がより一層口惜(くちお)しく感じた。

 それでもドールは金色の(うず)に再び視線を移すと、影の青年が持つ黄金色(こがねいろ)の瞳を不図(ふと)連想し、その苦くて()っぱい感情を胸の(あな)の奥深くに押し込んだ。


——受け継いだ価値を()かすも殺すも自分次第なのだろうけど、その意味を()み締められることはきっと幸福に違いないわ。願わくば彼もまた、虹彩(こうさい)異色の瞳に前向きな意味を感じられますように。そして創世の神様がこの先の未来で…その幸福を分かち合える人を1人でも多く導いて下さいますように。




「…終わったぞ。これで良いのであろう。」


 ドールとの短い会話を終えたピナスは、不本意な心情を(あら)わにしたままステラの前へと立ち返った。

 敵愾心(てきがいしん)喪失(そうしつ)(みずか)らを構成する悪徳の弱体化に(つな)がることを痛感した以上、和合(わごう)など微塵(みじん)も望んでいなかったが、ここに来てドールとの軋轢(あつれき)を気に留めたステラに促され、渋々(しぶしぶ)ドールと交わす話の種を引っ張り出していた。

 だが当人がお世辞(せじ)にも謝礼を口にしたために、結局は調子を狂わされてしまっていた。


——あの女、所詮(しょせん)絵空事(えそらごと)でしかないというのに動揺しおってからに…我が一族と人間が交わる可能性など、万に一つも考えられん。


 それでもドールの白髪(はくはつ)については(まった)くの戯言(ざれごと)を述べたわけではなく、彼女には一目(ひとめ)見たときから違和感を——人間であって人間でないような、親近と忌避(きひ)(せめ)ぎ合う複雑な印象を(いだ)いていたことは事実であった。

 クラウザの集落に混血を認めない仕来(しきた)りがあったわけではないが、そのような存在を想定し受け入れること自体に躊躇(ためら)いがあった。
 ()してや彼女が因縁のあるグレーダン教の修道服を(まと)っていたこともあり、結果として当たりが強くなっていたことを認めざるを得なかった。


——だが万に一つなくとも、億に一つという一縷(いちる)の可能性ならあるのかもしれん。そもそもラ・クリマスの大陸に億単位もの人は()んでいないが、(かろ)うじて人間との交わりを肯定するのであればその程度の(はかな)い確率にしか成り得ないのであろう。そしてその確率は…ラピス・ルプスの民が滅亡し行く未来を変える余地と同義だ。


——瑠璃銀狼(るりぎんろう)様が絶滅を危惧(きぐ)して人間と交わったように、我が一族も血を絶やさぬよう再び人間と交わるか(いな)か選択を迫られる将来が必ず近くに訪れる。…(いな)、集落を見限った者たちは(すで)にその選択を()と定めていたのかもしれん。

——だがそうして生まれ育った結果があのドールという女の姿だとすれば…瑠璃銀狼(るりぎんろう)様から継承した外見や面影(おもかげ)(ほとん)ど失われてしまうことになる。そもそも人間と交わるならば、人間の社会と迎合(げいごう)し『貪食(どんしょく)の悪魔』を宿すこともなくなるのではないか。果たしてそれは、一族の血と誇りを受け継いだと言えるのであろうか。


「…ピナスさん?大丈夫? また具合が悪くなったりしていない?」


 思い詰めた表情が更に苦々しく(ゆが)むのを見兼ねたのか、ステラが姿勢を(かが)めて心配そうに尋ねてきた。
 
 ピナスは(わず)かに視線を合わせて(こた)えるのみで、()ぐにその碧色(へきしょく)の瞳を伏せた。


——いずれにせよお爺様(じいさま)やアリスに何を持ち帰ることも、そもそも顔を見せることすら叶わなかった。ドランジアを仇討(あだう)ちすることも、我が一族の新たな可能性を示すことも出来(でき)ずに間もなく生涯(しょうがい)を終えようとしている。悪徳の(たかぶ)(まま)に破壊と殺戮(さつりく)を繰り返すのみで何を成すことも出来(でき)ず、愚かで情けない人生であった。


——()れども、不思議と満足している自分もいる。リオナの人生に続きがあったことを知り、あの娘の世話をしたというステラと出会い、あの娘と同じように手を差し伸べられ…そして突き放された。

——もっとリオナのその後を聞き出したいとも思ったが、この()に及んで此奴(こやつ)と距離を詰めるのも野暮(やぼ)というものだ。そしてカリムとかいう青二才(あおにさい)もまた、リオナを失う悲劇を経験した者……同じ不甲斐無(ふがいな)さを(かか)えて生きる者になら、ドランジアとの決着を(ゆだ)ねることも(やぶさ)かではないな。


 ピナスが静かに心の中の整理を付けると同時に肩の力も抜けて、口元からは小さな溜息が漏れた。そしてもう一度目の前に(たたず)むステラを見上げると、その表情を小突(こづ)くように指摘を返した。


(わし)は何も問題はない。それよりも心配すべきは、貴様自身の方ではないのか? (わし)らの魔力を(すべ)て注ぎ込むということは、(わし)らを(みな)(にえ)にする…(すなわ)ち殺すことと同義だ。(みな)に寄り添い助けることを信条とする貴様が、本当にその非情な重役を完遂(かんすい)出来(でき)るのか?」
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登場人物紹介

【ドール】齢19の修道女。

▶ラ・クリマス大陸北西部にあるディレクト州の歴史ある街ディレクタティオで暮らしており、グレーダン教の総本山であるディレクタティオ大聖堂に連なる修道院に属している。

▶生まれつきの白髪が忌み嫌われ、赤子の頃に大聖堂に託された孤児だった。

▶対人関係が希薄なため幼い頃から本の虫であり、好奇心が旺盛。

▶その性格が災いしてか、あることをきっかけに異端者、廻者として糾弾されることになり、その理不尽な仕打ちを機にラ・クリマスの悪魔を顕現させてしまう。

【死神】ドールの命を狙い対峙する謎めいた人物。

▶グレーダン教徒に似た紫紺のローブを纏い、真っ白で無機質な仮面を着けている。

▶グレーダン教に代々継承されてきた司教杖に似た、武器と言い難い杖を構える。

▶その先端に着装された黒い鉱石からは、悪魔を脅かす不思議な力が醸し出されている。

▶「死神」という名称は、ドールが便宜上付与したものにすぎない。

【ネリネ・エクレット】齢16の貴族令嬢。

▶大陸南東部ヒュミリア州、2大交易都市の1つであるメンシスを治める領主ホリー・エクレットの1人娘。

▶穏やかで物腰柔らかな性格だが、箱入り故に世間知らずである。艶のある金髪の持ち主。

▶だが突如メンシスを襲った猛烈な竜巻で被災し、親も家も失う。

▶街の再建を大陸軍に任せて親戚の元へ身を寄せることになるが、その言動はまるで別人になったようであった。

【カリム】大陸議会の事務官を名乗る青年。

▶年齢はネリネと同じくらいと思われ、左目を前髪で隠しており陰気そうな印象である。

▶身に付けている赤を基調としたシャツと議会所属を表すバッジを留めた黒地のチョッキは所定の制服のようなもの。

▶馬車に乗りメンシスを去るネリネに随行し、竜巻被害について聴取しようとする。

▶大陸北東部の孤児院の出身で、過去に何か苦い経験をしているようである。

【リリアン・ヴァニタス】ヴァニタス海賊団の若き首領。

▶巻き毛の金髪が特徴で、体術では随一の戦闘力を持つ。

▶急逝した父の遺言により、齢16にして首領の座を継承しているが、経験が乏しく未熟であるため、父の右腕であった幹部ローレンの助力を得ながら海賊団を存続させている。

▶海賊団はアルケン商会という善良な団体を騙る裏で、密輸品などの取引を働いていた。

【ロキシー・アルクリス】齢17の女使用人。

▶大陸中央部プディシティア州にあるセントラム農業盆地の領主クレオーメ・フォンス伯爵の別邸に仕える。

▶物心ついた頃から母レピアと共に別邸に棲み込みで従事しており、あまり外界との接触がない。

▶長い藍色の髪をしており、やや陰鬱な印象とは裏腹に齢離れした恵体の持ち主。

▶使用人長でもあるレピアとともに好からぬ秘密を抱えており、大陸軍側からの詮索を敬遠している。

【ルーシー・ドランジア】大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長。

▶すらりとした上背に長い黒髪を湛え、銀縁の眼鏡の奥に黄金色の瞳を覗かせる齢28の女性。

▶メンシス港の機能停止を受け、セントラムの生産品の出荷計画などを見直すべく部隊を牽引しフォンス邸別邸を訪れるが、密かに別の目的も念頭にあるらしくロキシーに探りを入れる。

▶飄々として掴みどころのない性格。身内も大陸議会の関係者であるらしい。

【ステラ・アヴァリー】齢24の孤児院管理人。

▶大陸北東部カリタス州の新興都市グリセーオで大陸軍が設立し運営を委託するジェルメナ孤児院に従事している。

▶領主キーウィ―・アヴァリーの1人娘であり、2年前に母から管理人の立場を継承している。

▶赤みがかった茶髪を三つ編みで束ねている。世話焼きで責任感や正義感が強い。

▶過去に厄災を経験して以来、1人でも多くの親なき子の命を護りたいと身を粉にして働いているが、結果としてこれ以上収容できないほどの孤児を拾ってしまい、食糧などの遣り繰りに頭を悩ませている。

【リオ】かつてジェルメナ孤児院で暮らしていた少女。

▶物語開始時点から7年前、グリセーオ西端を流れる川に独り漂着していたところを救助されたが、虚弱体質に陥っていたためジェルメナ孤児院に引き取られ静養することになる。

▶救助以前の記憶をほとんど引き出すことが叶わず、当時は齢7,8程度と推測されていた。

▶2年後に『強欲の悪魔』を顕現させてしまい、命を落としている。栗毛と鈍色の瞳が特徴。

【ピナス・ベル】伝説の瑠璃銀狼の血を引くラピス・ルプスの民の少女。

▶外見は齢12,3ほどだが、人間と比べて齢を重ねる間隔が緩やかで、既に30年生きている。

▶大陸北部アヴスティナ連峰の中腹にあるクラウザという集落で同胞と共に密かに暮らしている。

▶とある目的を果たすため『貪食の悪魔』を宿して鳥の姿となり、大陸西部へ向かっている。

▶7年前のとある出来事で人間側との軋轢を経験し、その際に『貪食の悪魔』を宿した母を失っているほか、サキナとも面識をもっている。

【オドラ―・ベル】ピナスの祖父であり、クラウザの集落を束ねる長老。

▶齢200を超え、ラピス・ルプスの民の特徴である銀色の毛並みは灰色にくすみ、全身毛むくじゃらである。

▶大陸の人間が内戦時代を経て現代に至るまでの歴史だけでなく、千年前から続く厄災についても口伝により知識を蓄えている。

▶人間と対立する気はないが、緩やかに数を減らしてく一族の行く末を憂い、『貪食の悪魔』を同胞から生み出さぬためにも、人間の手を借りてでも種を存続させるべきか思案している。

【クランメ・リヴィア】齢28の博物館職員兼調査研究員

▶大陸西部グラティア州、首都ヴィルトス近郊のアーレア国立自然科学博物館に従事している。

▶やや小柄で、分厚い眼鏡と象牙色の髪が特徴。大陸南西部ミーティス州の農村出身で、独特な訛りで喋る。

▶ルーシーとはグラティア学術院で同期生の関係だが、当時はあまり好ましい印象を抱いていなかった。

▶ラ・クリマスの悪魔の『封印』に関わるとある仕事を引き受けている。

【イリア・ピオニー】齢26にして大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長を務める軍人。

▶桃色がかった金髪と強い正義感の持ち主。国の平和のため心身を尽くそうとする厳格な性格。

▶現代に至る国内軍事を統括し続けた由緒あるピオニー家の娘。父ジオラスは元帥の地位にあり、2人の兄も同じく軍人である。

▶十代のころに出会ったルーシーの理想に感銘を受け、励まされたことでその背中を追い続けている。

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