第4話 虚空の不協和音

文字数 4,625文字



「『(かげ)の部隊』から詮索(せんさく)を…? 我々の存在が暴かれているとでもいうのか?」


 影の青年からの切羽詰(せっぱつ)まった一言(ひとこと)に対しイリアが再度問い返したが、青年はまたもや置物のように押し黙ってしまい反応がなく、足元ではロキシーが不安そうにその輪郭(りんかく)を見上げていた。

 白黒の世界には依然として青年以外に人影すら見当たらず、静かに金色の(ちり)(ただよ)っているだけであった。
 一方でその届かぬ問いを(かたわ)らで聞いていたドールが異変の原因に思い当たり、恐る恐るイリアへ言い聞かせた。


「カリム君、確かこう言ってました。…私達が放っている魔力は、厄災として現実の世界で観測されていると。そしてここがトレラントの近郊であり、街の地下には『(かげ)の部隊』の本拠地がある…と。」


「…何だと!?」



 元よりイリアはディレクタティオから転移する際、雷撃を広範に放っても支障のない行先として、咄嗟(とっさ)にトレラントの西側地帯を脳裏(のうり)に導き出していた。

 今()る世界が現実世界と重なり合っている可能性はクランメから再会したときに示唆(しさ)されており、ソリス港での騒動を踏まえ、現実世界で魔力を(ふる)ったとしても人的および物的影響の出ない場所として最適な地点を選んだつもりだった。

 だがそこに『(かげ)の部隊』の拠点が隠されているとは露知(つゆし)らず、イリアは生前対峙(たいじ)した冷徹無比(れいてつむひ)な集団を思い返して胸騒ぎを覚えていた。


 そうして動揺したイリアの視線はドールに向けられたのち、ステラの方へ自然と移ろいだ。ステラもその意味を察し、慌てて青白い(つる)を地中に引っ込めながら捕らえていたネリネとピナスを解放した。

 2人は()うにドールへの戦意を鎮静させていたが、着地したネリネは(むし)膠着(こうちゃく)した現状に辟易(へきえき)していた。


「話を聞く限り、もう隠しても遅いと思うけどね。で、これからどうするの? こいつがどうやって私達と接触しているのか知らないけど、その部隊とやらの命令が下れば

出来(でき)るんじゃないの? それでも()だ、ここでこいつと話を続けるつもり?」


 その冷淡な推測に、ドールとステラは困惑した表情を浮かべた。再び青年に敵意を向けられる展開を想像し、一気に不安に()られていた。

 だがそこへ割って入るように、クランメが落ち着き払って提案を述べた。


「いずれにせよ、この場に(とど)まり続ける理由はあらへん。時間も惜しいからな、早いとこセントラムに戻った方がええ。問題はカリム君を連れて行くべきかどうかやねんけど…恐らく向こう側の状況を考えたら、その議論すらしとる余裕はないやろな。」


 そしてその意見を、イリアが(かたわ)らに歩み寄りながら支持した。


「そうだな。依然としてディヴィルガムが我々に対する脅威となるのであれば、それを今託されている彼を手引きするに越したことはない。『(かげ)の部隊』から何らかの命令が下る前に、彼を連れてセントラムに移動するべきだろう。」


 その方針に対して異を唱える者はいなかったが、ネリネが()かさず疑問を差し挟んだ。


「でも私達はともかく、あいつを(ともな)って転移することは出来(でき)ないでしょう? 現実にある生身の肉体を、物理法則を無視して移動させることになるもの。」


「ああ。だからピナス・ベルよ、もう一度貴女(あなた)の力をお借りしたい。鳥の姿になった貴女(あなた)の背にステラとネリネ嬢を乗せることは可能か? ステラが魔力を供給しつつネリネ嬢の風を推進力として、彼を急ぎ運んでもらいたい。残った者は従来通りセントラムに転移する。」


 イリアが口早(くちばや)かつ具体的にピナスに依頼をかけたが、ピナス自身もその指名をある程度勘付(かんづ)いており渋々(しぶしぶ)提案に乗っていた。


蒼獣(そうじゅう)と化した(わし)の姿は向こうの世界で観測されるのであろう? ならば貴様らは転移の前に派手に目晦(めくら)ましでも仕掛(しか)けよ。」




 そうして(またた)く間に段取りが組まれ、ステラは大柄な(はやぶさ)と化したピナスの背中に青白い(つる)を巻き付けて自分とネリネの身体を固定し、鉤爪(かぎつめ)に捕らえられた影の青年と共にその場を離脱していた。

 だが体感したことのない高度と移動速度に(おのの)き、真白(ましろ)の空を突き進む中で周囲を見渡す余裕もなく、蒼獣(そうじゅう)の背に()(つくば)っていた。
 身体が(よじ)れそうな恐怖に呑まれないよう必死で(こら)えながら、一刻も早くこの旅程が終わることを(こいねが)っていた。


 だが影の青年が発した感謝の言葉が脳裏(のうり)に響くと、動転していた胸の内が少しだけ落ち着きを取り戻していた。

 直接表情や立ち振る舞いを(うかが)いながら会話を交わすわけではなかったが、孤児院で面倒を見てきた先生として醜態(しゅうたい)(さら)したくないという意地が(まだ)だ心の奥底に根付いていた。


 その一方で、生と死の境界を乗り越えて意思疎通(いしそつう)出来(でき)る奇跡を歓迎しつつも、(かつ)て悪魔への復讐心(ふくしゅうしん)(おぼ)れていたカリムに今更(いまさら)掛けるべき言葉を(ひね)り出せずにいた。

 (あまつさ)え死後になって知った青年の左目の秘密とイリアの発した『私怨(しえん)』という言葉が尾を引いており、以前よりも更に葛藤(かっとう)を膨らませていたカリムに何を(もっ)て寄り添うべきか思い悩んでいた。
 
 それでもこの奇跡が(なが)く続かないものであることを()み締め、今度こそカリムから納得出来(でき)る答えを引き出そうと意を決していた。その結果、ステラの脳内には青年の淡泊(たんぱく)な答えが返って来ていた。



『別に…構わないよ。伯母さん(あのひと)の計略を阻止することは、伯母さん(あのひと)を犠牲にすることと同義だと思うから。』


「本当にそれで、後悔しないのね? 貴方(あなた)はルーシーさんの何もかもを奪うことになったとしても、そこにちゃんと意味を見出(みいだ)してくれるのよね?」


『……。』


 ステラはグリセーオで再会したカリムに刹那的(せつなてき)な衝動を(とが)めたときと同じように、ルーシー・ドランジアに手を掛けることへの覚悟を問い(ただ)していた。
 (くど)い追及であることを自覚しつつも、命の(とうと)さと(はかな)さを覚えて生きて欲しいという願いから、カリムに対して明確な意思表示を求めていた。

 案の(じょう)カリムは押し黙ってしまったのか(しば)し何の声も届くことはなく、ステラは蒼獣(そうじゅう)の背に顔を(うず)めているしかなかった。

 その代わり、会話を聞き流していたピナスの鼻で笑ったような声音が脳裏(のうり)に横槍を入れてきた。


「人が人を(あや)める理由は大きく分けて2つある。1つは偏見や恐怖といった、主に人の外面に起因した感情的な殺意。もう1つは思想や言動を(たが)えるが(ゆえ)の、人の内面に起因した打算的な殺意だ。」

「だがいずれにせよ邪魔な存在を同じ世界から消し去り、(おのれ)の意志を体現したいという結論に変わりはないであろう。(あや)めることそれ自体に意味があるのであり、(あや)めた後の意味など(いく)(かたど)ろうとも空虚なものとしかなり得ないのではないか。」


 それに対しステラは何か言い返そうとしたが、その前に背後で気流を操作しているネリネからも同様にして口を挟まれた。


「同感ね。私の人生は私だけのものでしかない。

に私の分まで人生を充実させて欲しいだなんて微塵(みじん)も思わないわ。(むし)ろそんな(しがらみ)(いく)つも(とら)われていたら、結局自分が生きやすいようになんて生きられないでしょう。」



 ステラは高速で飛行する虚空(こくう)の中で、思わぬ孤立を味わっていた。
 悪魔の『宿主』達は紆余曲折(うよきょくせつ)を経て和解し互いに協力的になったものとステラは捉えていたが、人の生死に対する価値観は元より両極端であることに変わりはなかった。

 2人の意見がカリムに届いているのかは定かでなかったが、ステラはもう一度カリムとのか(ぼそ)(つな)がりを辿(たど)って訴えかけた。


「ねぇカリム、これだけは教えて。…貴方(あなた)はルーシーさんに(うら)みや(にく)しみを晴らすために動いているわけじゃないのよね? 何があったのかは知らないのだけれど、イリアさんが私怨(しえん)という言い回しをしたとき、貴方(あなた)は何も答えていなかったから……。」


 本来ならイリアに尋ねて解消するべき疑問であったが、蒼獣(そうじゅう)の背に乗って立ち去るに当たりそのような余裕は一切なかった。
 カリムに問いかけを重ねることは(はばか)られていたが、ステラは返事を信じて獅噛(しが)み付いていた。


『…(うら)みや(にく)しみなら…あるよ。伯母さん(あのひと)本懐(ほんかい)()げる足掛かりとしてリオの命を利用したから。魔力入りのリンゴを俺に運ばせて、期待通りに厄災を引き起こして…先生がそれを真似(まね)る元凶にもなったわけだからね。』



 だが低い声音で打ち明けられたその内容に、ステラは身体を凍り付かせた。同時に蒼獣(そうじゅう)の背筋もまた一瞬波打つように震えて、(おぼろ)げな毛並みが弥立(よだ)った。

 ステラがその異変にも驚かされていたが、間もなくカリムの台詞(せりふ)の続きが聞こえてきた。


『でも、その感情をぶつける気はない。(いく)ら過去を悔やんで蒸し返しても、何も満たされないって(わか)ったから。だから血の(つな)がりがどうとか、そういうのも今更(いまさら)俺にとっては(くびき)でしかない。これは俺が納得出来(でき)る未来を見出(みいだ)すための…最後の(あらが)いなんだ。どんなに不義だと指を差されようと、その好機を()()(のが)すつもりはない。』


「そう…。それが、貴方(あなた)の決意なのね。」


 冷静に言葉を選ぶような口振りを聞いたステラは、溜息混じりの相槌(あいづち)を最後にカリムへの追及を差し控えた。

 カリムが感情的かつ場当たり的に行動するのではなく、過去を踏まえて将来を見定めようとしている姿勢が(わか)っただけでも、自分が青年に向き合おうと努めた意思が確かに(むく)われたのだと思えていた。


——それならもう、生きている貴方(あなた)へお節介をかける必要はないのでしょうね。私の命も(しか)と受け止めて生きようと藻掻(もが)いているのが、ちゃんと伝わってくるから…。



「おい、貴様…リオとはサキナの妹のことを指しているのか。」


 だがその一方で、青白い身体を()(かす)かに震わせていたピナスが牽制(けんせい)するようにカリムへ問い(ただ)していた。


『ああ、そうだ。昔孤児院にいたとき2年ほど面倒を見ていた。そういえばあんたは、サキナと確執(かくしつ)があったんだったな…リオのことも知っていたのか。』


(わし)には貴様の腑抜(ふぬ)けた性根(しょうね)が理解出来(でき)ん。大切な存在を奪われたのなら、報復をして(しか)るべきではないのか。」


『以前の俺ならそう考えていた…悪魔への復讐心(ふくしゅうしん)が生きる(かて)だった。でもその心をどんなに満たそうとしても、代わりに別の何かを失うだけだった。同じ(あやま)ちは…もう繰り返したくない。』


「図に乗るな。人間は千年以上同じ(あやま)ちを繰り返し続けている。貴様もまたそのうち大切な存在を見出(みいだ)せば、それを(まも)ろうと血眼(ちまなこ)になり、それを失えば理不尽を(なげ)き我を失うであろう。」


『確かにそうかもしれない。でもその衝動に歯止めをかけられる人間になることが…失ったものに対する(むく)いになるんじゃないかとも思う。』


小賢(こざか)しいぞ貴様…! 人間など精々(せいぜい)百年も生きられぬ癖に、(さと)ったような口を……!」


 ピナスが再び癇癪(かんしゃく)を起しかけていることを察したステラは、咄嗟(とっさ)(なだ)めるための言葉を模索した。だが(すで)に遅く、ピナスは(せき)を切ったように(わめ)き散らした。


(わし)のせいで…(わし)浅慮(せんりょ)にも人間と関わろうとしたせいで、リオナを死の間際(まぎわ)へと追いやり、サキナの心に深い(きず)を負わせることとなった…それがドランジアの計略に(つな)がり今へと至っているのなら、諸悪の根源は(わし)にあるのだ!」

「ドランジアよりも(うら)まれ、(にく)まれて当然なのだ! それなのに貴様らは、(ちか)しかったドランジアにすら

歯向かう意志を持ち得ない…綺麗事(きれいごと)を並べたり(おのれ)(てら)ったり…これでは(わし)が学習能力の無い(おろ)かな(けだもの)のようではないか!!」


 その自嘲(じちょう)と同時に蒼獣(そうじゅう)の全身は突如(とつじょ)脱力し、ステラは一瞬身体が浮くような奇妙な感覚を味わった。

 ()だセントラムまでは距離があるにも(かかわ)らず、ピナスの飛行高度が徐々に下がり始めていた。
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登場人物紹介

【ドール】齢19の修道女。

▶ラ・クリマス大陸北西部にあるディレクト州の歴史ある街ディレクタティオで暮らしており、グレーダン教の総本山であるディレクタティオ大聖堂に連なる修道院に属している。

▶生まれつきの白髪が忌み嫌われ、赤子の頃に大聖堂に託された孤児だった。

▶対人関係が希薄なため幼い頃から本の虫であり、好奇心が旺盛。

▶その性格が災いしてか、あることをきっかけに異端者、廻者として糾弾されることになり、その理不尽な仕打ちを機にラ・クリマスの悪魔を顕現させてしまう。

【死神】ドールの命を狙い対峙する謎めいた人物。

▶グレーダン教徒に似た紫紺のローブを纏い、真っ白で無機質な仮面を着けている。

▶グレーダン教に代々継承されてきた司教杖に似た、武器と言い難い杖を構える。

▶その先端に着装された黒い鉱石からは、悪魔を脅かす不思議な力が醸し出されている。

▶「死神」という名称は、ドールが便宜上付与したものにすぎない。

【ネリネ・エクレット】齢16の貴族令嬢。

▶大陸南東部ヒュミリア州、2大交易都市の1つであるメンシスを治める領主ホリー・エクレットの1人娘。

▶穏やかで物腰柔らかな性格だが、箱入り故に世間知らずである。艶のある金髪の持ち主。

▶だが突如メンシスを襲った猛烈な竜巻で被災し、親も家も失う。

▶街の再建を大陸軍に任せて親戚の元へ身を寄せることになるが、その言動はまるで別人になったようであった。

【カリム】大陸議会の事務官を名乗る青年。

▶年齢はネリネと同じくらいと思われ、左目を前髪で隠しており陰気そうな印象である。

▶身に付けている赤を基調としたシャツと議会所属を表すバッジを留めた黒地のチョッキは所定の制服のようなもの。

▶馬車に乗りメンシスを去るネリネに随行し、竜巻被害について聴取しようとする。

▶大陸北東部の孤児院の出身で、過去に何か苦い経験をしているようである。

【リリアン・ヴァニタス】ヴァニタス海賊団の若き首領。

▶巻き毛の金髪が特徴で、体術では随一の戦闘力を持つ。

▶急逝した父の遺言により、齢16にして首領の座を継承しているが、経験が乏しく未熟であるため、父の右腕であった幹部ローレンの助力を得ながら海賊団を存続させている。

▶海賊団はアルケン商会という善良な団体を騙る裏で、密輸品などの取引を働いていた。

【ロキシー・アルクリス】齢17の女使用人。

▶大陸中央部プディシティア州にあるセントラム農業盆地の領主クレオーメ・フォンス伯爵の別邸に仕える。

▶物心ついた頃から母レピアと共に別邸に棲み込みで従事しており、あまり外界との接触がない。

▶長い藍色の髪をしており、やや陰鬱な印象とは裏腹に齢離れした恵体の持ち主。

▶使用人長でもあるレピアとともに好からぬ秘密を抱えており、大陸軍側からの詮索を敬遠している。

【ルーシー・ドランジア】大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長。

▶すらりとした上背に長い黒髪を湛え、銀縁の眼鏡の奥に黄金色の瞳を覗かせる齢28の女性。

▶メンシス港の機能停止を受け、セントラムの生産品の出荷計画などを見直すべく部隊を牽引しフォンス邸別邸を訪れるが、密かに別の目的も念頭にあるらしくロキシーに探りを入れる。

▶飄々として掴みどころのない性格。身内も大陸議会の関係者であるらしい。

【ステラ・アヴァリー】齢24の孤児院管理人。

▶大陸北東部カリタス州の新興都市グリセーオで大陸軍が設立し運営を委託するジェルメナ孤児院に従事している。

▶領主キーウィ―・アヴァリーの1人娘であり、2年前に母から管理人の立場を継承している。

▶赤みがかった茶髪を三つ編みで束ねている。世話焼きで責任感や正義感が強い。

▶過去に厄災を経験して以来、1人でも多くの親なき子の命を護りたいと身を粉にして働いているが、結果としてこれ以上収容できないほどの孤児を拾ってしまい、食糧などの遣り繰りに頭を悩ませている。

【リオ】かつてジェルメナ孤児院で暮らしていた少女。

▶物語開始時点から7年前、グリセーオ西端を流れる川に独り漂着していたところを救助されたが、虚弱体質に陥っていたためジェルメナ孤児院に引き取られ静養することになる。

▶救助以前の記憶をほとんど引き出すことが叶わず、当時は齢7,8程度と推測されていた。

▶2年後に『強欲の悪魔』を顕現させてしまい、命を落としている。栗毛と鈍色の瞳が特徴。

【ピナス・ベル】伝説の瑠璃銀狼の血を引くラピス・ルプスの民の少女。

▶外見は齢12,3ほどだが、人間と比べて齢を重ねる間隔が緩やかで、既に30年生きている。

▶大陸北部アヴスティナ連峰の中腹にあるクラウザという集落で同胞と共に密かに暮らしている。

▶とある目的を果たすため『貪食の悪魔』を宿して鳥の姿となり、大陸西部へ向かっている。

▶7年前のとある出来事で人間側との軋轢を経験し、その際に『貪食の悪魔』を宿した母を失っているほか、サキナとも面識をもっている。

【オドラ―・ベル】ピナスの祖父であり、クラウザの集落を束ねる長老。

▶齢200を超え、ラピス・ルプスの民の特徴である銀色の毛並みは灰色にくすみ、全身毛むくじゃらである。

▶大陸の人間が内戦時代を経て現代に至るまでの歴史だけでなく、千年前から続く厄災についても口伝により知識を蓄えている。

▶人間と対立する気はないが、緩やかに数を減らしてく一族の行く末を憂い、『貪食の悪魔』を同胞から生み出さぬためにも、人間の手を借りてでも種を存続させるべきか思案している。

【クランメ・リヴィア】齢28の博物館職員兼調査研究員

▶大陸西部グラティア州、首都ヴィルトス近郊のアーレア国立自然科学博物館に従事している。

▶やや小柄で、分厚い眼鏡と象牙色の髪が特徴。大陸南西部ミーティス州の農村出身で、独特な訛りで喋る。

▶ルーシーとはグラティア学術院で同期生の関係だが、当時はあまり好ましい印象を抱いていなかった。

▶ラ・クリマスの悪魔の『封印』に関わるとある仕事を引き受けている。

【イリア・ピオニー】齢26にして大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長を務める軍人。

▶桃色がかった金髪と強い正義感の持ち主。国の平和のため心身を尽くそうとする厳格な性格。

▶現代に至る国内軍事を統括し続けた由緒あるピオニー家の娘。父ジオラスは元帥の地位にあり、2人の兄も同じく軍人である。

▶十代のころに出会ったルーシーの理想に感銘を受け、励まされたことでその背中を追い続けている。

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