第19話 好奇心の終着点

文字数 5,583文字


**********


 ドールは音も匂いもない黒い花畑に(ひと)り腰かけ、イリアに頼まれた通りに誰かがこの広場に再び姿を現すことを待ち(ほう)けていた。
 
 だが舞い散る金色の(ちり)のようなもの以外何も変わり映えするものはなく、()だ数分しか経っていないのか、それとも数刻過ぎてしまったのかさえ(わか)らなくなっていた。
 
 一度死んで闇の中を(ただよ)っていた時と何ら変わらない現状を()いられていることが(みじ)めで、只管(ひたすら)(わび)しかった。
 ラ・クリマスの悪魔を宿した他の6人との邂逅(かいこう)も一時の夢に過ぎなかったような気がしていた最中(さなか)不図(ふと)この現状を皮肉に、自虐的に表象する言葉が脳裏に浮かび上がった。


——無間(むけん)の牢獄。あのときは断固として否定しようとしていたのに、今ではここが本当にその通りの場所なんじゃないかと思えてしまう。

——でも、やっぱり信じたくなんかない。ここが現世を模している世界なんじゃないかって言われてたし、他の人達もそれを確信したからあんな風に姿を消していったのよ。私だって、同じことが出来(でき)るはず…。



 そうして閉じていた(まぶた)を開くと、ドールは無意識にディレクタティオにある修道院の小さな自室へと『転移』していた。
 
 小さなベッドや机、本棚などが並ぶだけの馴染(なじ)みのあるはずの簡素な部屋は、白と黒のみで上塗(うわぬ)りされてかえって落ち着かない印象を受けた。
 イリアの頼みを無下(むげ)にしてしまったことは後ろめたかったが、それよりも扉や窓を一切押し引きすることが叶わず、この身体で物体に干渉出来(でき)ない事実に困惑した。

 自室から出るにはもう一度『転移』しなければならなかったが、ドールは改めてこの世界を見渡すために、一度ディレクタティオを(なが)められる場所へと寄り道がしたくなった。


——少しくらいなら、あの広場を離れていても(とが)められないでしょう。きっと私が居ても居なくても何も変わらない、私が何か主張したところで受け入れられないだろうし、生前と変わらず(うと)まれるだけ。

——それなら(むし)ろ私がやりたいようにこの世界を探索して、何か秘密でも見つけて帰った方が、(みんな)私を受け入れてくれるのかもしれない。



 そう邪推(じゃすい)して転移した先は、小高い丘の上に広がるディレクタティオ大聖堂跡地だった。

 丘から見渡すディレクタティオの街並みは、白と黒で塗り替えられていること以外は記憶に(たが)わぬ通りであった。(ゆえ)に、自身の死後に大聖堂の跡地がどうなったのかという疑問に自然と()かれた。

 だがそこは瓦礫(がれき)(たぐい)彼方此方(あちこち)山積(さんせき)したまま、依然として廃墟以外に表現のしようがない有様だった。
 ただ1ヶ所だけ、人工的に瓦礫(がれき)が押し退()けられたような空間があり、黒ずんだ板のようなものが地面に固定されていた。

 ドールはその位置関係から見て、大司教に『立入禁止区域』と断罪された地下空間への入口であると()ぐに察しが付いた。


——あのとき私が軽率(けいそつ)に忍び込んでしまった()まわしい場所。教団が秘匿(ひとく)したい何かがあった場所。ここにあからさまな(ふた)をしたのが教団側なのか、大陸軍なのかは(わか)らないけど、態々(わざわざ)この辺りだけ整備されてるってことは、間違いなく何らかの捜索(そうさく)が入ったんだわ。

——もし()だこの先に何か残っているのなら、それが現世と同じであるならば、知りたいと思う。私が理不尽に殺されかけて、悪魔を宿す契機になった理由が残っているのなら…今からでも知りたい。


 込み上げる衝動に押されるが(まま)、ドールはその黒ずんだ(ふた)蒼炎(そうえん)を放っていた。
 死の間際(まぎわ)(みずか)らの炎に()し潰されそうになったことで、再び悪魔の力を使うことには抵抗があったが、その躊躇(ためら)いは好奇心を満たそうとした反動で消失した。

 横たわる(ふた)もまた(またた)く間に(くすぶ)ぶって(ちり)も残すことなく焼失し、地下への入口が再び眼前に現れた。
 その通路は(あかり)もないのに(しら)んでおり、暗闇以上に踏み込み(がた)い不気味さが(ただよ)っていたが、ドールは最早(もはや)振り返ることなく足を踏み入れていった。



 長い階段を()り立ち真っ先にドールが見たものは、正面の壁に立て掛けられていた十字架の残骸(ざんがい)だった。

 生前の探索(たんさく)では限られた時間と視界の中で動いていたため、気付くことが出来(でき)なかったのだと思い返した。同時に無惨(むざん)なそれが、紛れもない本物であると察した。

 (かつ)対峙(たいじ)した『死神』が携えていた杖に着装されていた鉱石と似たような、触れ(がた)(ほとぼ)りのようなものを感じ取ったからである。

 そして神聖視されていたはずの遺物が、そこら中を削られて原型を(とど)めなくなりつつあったという事実に落胆(らくたん)し、思わずその場に崩れ落ちた。


——司教杖(しきょうじょう)だけじゃない、祭壇の十字架ですら偽物だったんだわ。…一体いつから? どうしてこんなことに……?


 ドールが不図(ふと)左側を見遣(みや)ると、以前ランタンで照らした流星群の壁画が記憶していた通りに映し出されていた。

 だがその壁画は認識していた以上に横長で、その全容と空間の広さを改めて把握すると、アメリアから聞かされた疑惑と重なって(おの)ずとこの地下空間の意味を理解し始めていた。


——やっぱりこの壁画は(かつ)ての祭壇、旧大陸帝国時代の王宮の名残(なごり)。それが約100年前の大規模改装に(ともな)って埋め立てられるはずが、秘密の空間として()かされたんだわ。

——あの大きさの十字架を()り替えて秘匿(ひとく)するなら、その機会に(じょう)じたとしか考えられない。…教団が資産的な再興に打って出るために。つまり、隕石という希少成分を含んだ十字架を売り物として転用するために。


 他方で壁画の向かい側にあったはずの木箱は跡形(あとかた)も無くなっており、立ち上がったドールはその奥に見つけていた工房のような空間へと足を進めた。
 黒ずんだ作業台の上には様々な工具が染みのようにこびり付いていたほか、以前は見逃していたであろう坩堝(るつぼ)や金型を発見した。

 金型には小さな楕円(だえん)(くぼ)みが(いく)つか等間隔に並んでいる正方形のものと、細長い棒状を(かたど)る長方形の2種類があった。
 ドールは少なくとも前者がその形状から、首から下げていたグレーダン教のペンダントと(ほとん)ど同じ大きさであることを察した。

 そして突き当りにある大きな机——目の前に額縁が立て掛けられた、生前の探索(たんさく)で最後に立っていた場所に辿(たど)り着いた。
 黒一面の机上は当時よりも片付いているように見えたが、そのうえで並べられていた書類に恐る恐る目を通した。

 
 それは様々な素材の使用量や製品の生産量などを日毎(ひごと)に書き留めた記録だった。隕石成分を含む十字架が微量の配合比率で他の素材と混同されていたようで、横には数千から数万単位の金額が欠かさず記載されていた。

 日付は大陸暦999年の5月末日で止まっており、ドールが厄災を引き起こす前日までこの場所が使われていたことが(わか)った。


——これだ。十字架は毎日少しずつ削られて、ペンダントのような装飾品に加工されて教団の資金源になっていた。きっと100年前から毎日少しずつ…それで十字架は7つのうち、もうあの1つしか残っていないんだわ。


 その記録の隣には別の走り書きしたような用紙が重なっており、模倣するように素材の配合比率が何種類かに(わた)って記載されていた。

 だがいずれも十字架素材の比重が格段に大きくなっており、混同されている素材も(すべ)て同じわけではなく、何より日付が同年の6月を指しており金額が書かれていないことに気付くと、途端(とたん)にドールの背筋に悪寒(おかん)(はし)った。


——6月って…大聖堂が焼け落ちた後にもこの空間で何かが作られていたってこと? 教団の関係者が()だ密かにここに立ち入っていたっていうのかしら? あの何の飾り気もない棒状の金型は、もしかしてそのとき使われていたとか…?


 そして更に隣には、ラ・クリマス大陸の地図が広げられていた。地図上には5つの×印と、そのうち4つには日付が付されていた。
 6月1日にディレクタティオ、同月11日にメンシス、18日にセントラム、25日にグリセーオ、そしてグラティア州の首都ヴィルトス付近の×印のみ日付がなかった。


——1日は私が厄災を引き起こした日だったはず。他の街も、同じように悪魔を宿した人たちの居住地が(いく)つか該当してる。ここで作業をしながら厄災の発生日も記録していたってこと? 一体何のために…?



「見つけたぞ、グレーダン教徒の女。」


 突然背後からぶっきらぼうな声をかけられ、ドールは背中を射抜かれたかのように硬直し、思わず口元を両手で(おお)った。

 またもやこの場所で不意打ちを仕掛けられたのかと思うと一瞬気が遠くなりかけたが、その声音には聞き覚えがあったので、顔を引き()らせたままゆっくりと振り向いた。

 見ると作業台を挟んで奥に、ピナスが腕を組みながら露骨に不機嫌な様子で(たたず)んでいた。


「…どうしてここに?」


「たわけ。貴様が例の広場から勝手に姿を消すから、イリア・ピオニーの頼みで捜索(そうさく)(にな)っておったのだ。(まった)くディレクタティオに飛ぶまで無駄に魔力を使わせおって…何故(なにゆえ)このような場所に隠れておったのだ。」


 それを聞いたドールには、(ようや)く罪悪感が芽生え始めていた。翼を持つピナスがどれほどの速度で飛来してきたのかは(わか)らなかったが、数刻と消息を絶っていたつもりはなかった。


「…ごめんなさい。少しの間だけと思って、私が悪魔を宿すきっかけになった場所に戻っていたの。ここはディレクタティオ大聖堂の秘匿(ひとく)された地下室。グレーダン教団が秘密裏に利益を生み出していた場所。生前の私はここを捜索(たんさく)しようとして捕らえられて、殺されかけて…そのときに悪魔を宿したの。」


 ドールが(かろ)うじて釈明すると、ピナスは顔を(しか)めたまま工房を観察するように歩き回り始めた。
 ピナスとは初めて顔を合わせたときにグレーダンの史実に関し衝突していた所以(ゆえん)か、双方の間には明らかに穏やかでない雰囲気が立ち込めているのを感じていた。

 気まずい沈黙が(しば)し続いたのち、ピナスは不意に長方形の金型の前で立ち止まり、棒状の(くぼ)みを冷ややかに見つめながらドールに問いかけた。


「教団の(やから)はあの十字架を削り出して、別の形に加工していたのか?」


「…厳密には、他の色んな素材と混ぜ合わせていたみたいだけど。でもその金型は、もしかしたら教団の人達が使っていたものじゃなかったのかもしれない。」


「だろうな。(わし)は生前、これと似た大きさの棒で我が蒼獣(そうじゅう)を討ち払う者を見た。軍人どもに紛れていたあの怪しげな風貌(ふうぼう)(やから)は、今思えば明らかに(わし)との対峙(たいじ)に備えて派遣されていたようだった。」

「あの奇妙な武器が隕石を含む素材で作られていたのなら、蒼獣(そうじゅう)が抗えなかったことにも合点(がてん)がいく…(まった)(もっ)て気に食わんがな。ルーシー・ドランジアはディヴィルガム以外に悪魔の力に対抗する(すべ)を、事前にここで生み出していたのだからな。」



 ドールはピナスが(ひと)り言のように自分を納得させていくのを聞きながら、大聖堂崩壊後にこの工房を使っていたのがドランジア議長の配下の者であったことを(おおよ)そ確信した。

 それに(ともな)って、一国の首相はこの場所を偶然発見したのではなく最初から認知していて、教団から素材を横取りするために自分に厄災を引き起こさせたのではないかと(いぶか)しんだ。

 ドランジア派閥(はばつ)が大陸議会でグレーダン教派閥(はばつ)屡々(しばしば)対立していたからといって、総本山である大聖堂を焼き討ちにさせるなど正気の沙汰(さた)ではないと思っていたが、ここに来て明らかに(よこしま)魂胆(こんたん)垣間見(かいまみ)えたような気がしていた。


「…やっぱりドランジア議長は悪い人だったのね。グレーダン教団と犬猿(けんえん)の仲でも、千年祭の実施を承諾して協力してくれていたと思っていたのに。」


 ドールが(むな)しく(つぶや)くと、それを聞いたピナスは鼻で笑うように(あしら)った。


「千年祭など、(わし)らにとっては迷惑極まりない計画に過ぎなかったわ。国(ぐる)みになどせず内輪(うちわ)で勝手に盛り上がっていれば良かったものを。」


 その物言いを聞くや(いな)や、ドールは(たま)らず意地を張るように反論した。


「そ、そんな言い方しないでよ。千年祭は大陸の民が厄災の苦しみから救われると共に、神託(しんたく)(いまし)めを(もっ)て人の在るべき生き方が提唱されたことを祝うものなのよ。グレーダン教の信者であろうとなかろうと、今を生きる大陸の民がその(よろこ)びを分かち合うことに意味があったのよ。」


「何を呑気(のんき)なことを。ならば何故(なにゆえ)我が一族は千年の時を経て(なお)迫害を受け、(ある)いは値踏みをされて減少の一途(いっと)辿(たど)っているのか、貴様は答えられるのか?」


 だがピナスの碧色(へきしょく)(きら)めく瞳と(りき)んだ声音に、上背(うわぜい)(まさ)っているはずのドールはすっかり気圧(けお)されていた。


「…ごめんなさい。私は貴女(あなた)の祖先がグレーダンと(やく)した(いまし)めを破って以来、人間の住む世界を追われていると物語で読んだ以上のことは知らないわ。」


(まった)反吐(へど)が出る。貴様らの祖先は再び蒼獣(そうじゅう)を見かけたというだけで、何の疑いもなく我が一族を辺境へと追い()ったのだ。その後も同胞(どうほう)を捕らえては悪魔()きだと決めつけ、魔女狩りのような真似(まね)を繰り返していたと聞いておるのだがのう。」


 ドールはピナスが嫌味を吐きながら、自分の背後に掛けられている額縁に視線を移しているのが(わか)った。

 現に自分も同じような殺され方をしていたことから、最早(もはや)何も言い返せる言葉が見つからなかった。その様子を見て、ピナスが更にがなるように言い放った。


「『人間の寿命は短く、身体は(もろ)く、我々以上に共生を深めなければ存続できない。それ(ゆえ)(おの)が命への執着が強く、保身のためなら真実を捏造(ねつぞう)し、歪曲(わいきょく)し、時に他人の命さえも容易(たやす)く利用する。』…結局人間は千年経っても本質は何も変わっていない。現にグレーダンが儀式のため作ったという十字架すらも、密かに()り替え(かね)に換えていたのであろう。」

「そんな(やから)諸手(もろて)を上げて歴史を祝うなど、何とも滑稽(こっけい)な話だ。…はっきり言っておく。この千年は大陸の民に救いの道が示された歴史などではない。保身と利益のために同士討(どうしう)ちを繰り返し、その都度(つど)虚実で塗り固め続けてきただけの、ただの時間の残骸(ざんがい)だ。」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

【ドール】齢19の修道女。

▶ラ・クリマス大陸北西部にあるディレクト州の歴史ある街ディレクタティオで暮らしており、グレーダン教の総本山であるディレクタティオ大聖堂に連なる修道院に属している。

▶生まれつきの白髪が忌み嫌われ、赤子の頃に大聖堂に託された孤児だった。

▶対人関係が希薄なため幼い頃から本の虫であり、好奇心が旺盛。

▶その性格が災いしてか、あることをきっかけに異端者、廻者として糾弾されることになり、その理不尽な仕打ちを機にラ・クリマスの悪魔を顕現させてしまう。

【死神】ドールの命を狙い対峙する謎めいた人物。

▶グレーダン教徒に似た紫紺のローブを纏い、真っ白で無機質な仮面を着けている。

▶グレーダン教に代々継承されてきた司教杖に似た、武器と言い難い杖を構える。

▶その先端に着装された黒い鉱石からは、悪魔を脅かす不思議な力が醸し出されている。

▶「死神」という名称は、ドールが便宜上付与したものにすぎない。

【ネリネ・エクレット】齢16の貴族令嬢。

▶大陸南東部ヒュミリア州、2大交易都市の1つであるメンシスを治める領主ホリー・エクレットの1人娘。

▶穏やかで物腰柔らかな性格だが、箱入り故に世間知らずである。艶のある金髪の持ち主。

▶だが突如メンシスを襲った猛烈な竜巻で被災し、親も家も失う。

▶街の再建を大陸軍に任せて親戚の元へ身を寄せることになるが、その言動はまるで別人になったようであった。

【カリム】大陸議会の事務官を名乗る青年。

▶年齢はネリネと同じくらいと思われ、左目を前髪で隠しており陰気そうな印象である。

▶身に付けている赤を基調としたシャツと議会所属を表すバッジを留めた黒地のチョッキは所定の制服のようなもの。

▶馬車に乗りメンシスを去るネリネに随行し、竜巻被害について聴取しようとする。

▶大陸北東部の孤児院の出身で、過去に何か苦い経験をしているようである。

【リリアン・ヴァニタス】ヴァニタス海賊団の若き首領。

▶巻き毛の金髪が特徴で、体術では随一の戦闘力を持つ。

▶急逝した父の遺言により、齢16にして首領の座を継承しているが、経験が乏しく未熟であるため、父の右腕であった幹部ローレンの助力を得ながら海賊団を存続させている。

▶海賊団はアルケン商会という善良な団体を騙る裏で、密輸品などの取引を働いていた。

【ロキシー・アルクリス】齢17の女使用人。

▶大陸中央部プディシティア州にあるセントラム農業盆地の領主クレオーメ・フォンス伯爵の別邸に仕える。

▶物心ついた頃から母レピアと共に別邸に棲み込みで従事しており、あまり外界との接触がない。

▶長い藍色の髪をしており、やや陰鬱な印象とは裏腹に齢離れした恵体の持ち主。

▶使用人長でもあるレピアとともに好からぬ秘密を抱えており、大陸軍側からの詮索を敬遠している。

【ルーシー・ドランジア】大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長。

▶すらりとした上背に長い黒髪を湛え、銀縁の眼鏡の奥に黄金色の瞳を覗かせる齢28の女性。

▶メンシス港の機能停止を受け、セントラムの生産品の出荷計画などを見直すべく部隊を牽引しフォンス邸別邸を訪れるが、密かに別の目的も念頭にあるらしくロキシーに探りを入れる。

▶飄々として掴みどころのない性格。身内も大陸議会の関係者であるらしい。

【ステラ・アヴァリー】齢24の孤児院管理人。

▶大陸北東部カリタス州の新興都市グリセーオで大陸軍が設立し運営を委託するジェルメナ孤児院に従事している。

▶領主キーウィ―・アヴァリーの1人娘であり、2年前に母から管理人の立場を継承している。

▶赤みがかった茶髪を三つ編みで束ねている。世話焼きで責任感や正義感が強い。

▶過去に厄災を経験して以来、1人でも多くの親なき子の命を護りたいと身を粉にして働いているが、結果としてこれ以上収容できないほどの孤児を拾ってしまい、食糧などの遣り繰りに頭を悩ませている。

【リオ】かつてジェルメナ孤児院で暮らしていた少女。

▶物語開始時点から7年前、グリセーオ西端を流れる川に独り漂着していたところを救助されたが、虚弱体質に陥っていたためジェルメナ孤児院に引き取られ静養することになる。

▶救助以前の記憶をほとんど引き出すことが叶わず、当時は齢7,8程度と推測されていた。

▶2年後に『強欲の悪魔』を顕現させてしまい、命を落としている。栗毛と鈍色の瞳が特徴。

【ピナス・ベル】伝説の瑠璃銀狼の血を引くラピス・ルプスの民の少女。

▶外見は齢12,3ほどだが、人間と比べて齢を重ねる間隔が緩やかで、既に30年生きている。

▶大陸北部アヴスティナ連峰の中腹にあるクラウザという集落で同胞と共に密かに暮らしている。

▶とある目的を果たすため『貪食の悪魔』を宿して鳥の姿となり、大陸西部へ向かっている。

▶7年前のとある出来事で人間側との軋轢を経験し、その際に『貪食の悪魔』を宿した母を失っているほか、サキナとも面識をもっている。

【オドラ―・ベル】ピナスの祖父であり、クラウザの集落を束ねる長老。

▶齢200を超え、ラピス・ルプスの民の特徴である銀色の毛並みは灰色にくすみ、全身毛むくじゃらである。

▶大陸の人間が内戦時代を経て現代に至るまでの歴史だけでなく、千年前から続く厄災についても口伝により知識を蓄えている。

▶人間と対立する気はないが、緩やかに数を減らしてく一族の行く末を憂い、『貪食の悪魔』を同胞から生み出さぬためにも、人間の手を借りてでも種を存続させるべきか思案している。

【クランメ・リヴィア】齢28の博物館職員兼調査研究員

▶大陸西部グラティア州、首都ヴィルトス近郊のアーレア国立自然科学博物館に従事している。

▶やや小柄で、分厚い眼鏡と象牙色の髪が特徴。大陸南西部ミーティス州の農村出身で、独特な訛りで喋る。

▶ルーシーとはグラティア学術院で同期生の関係だが、当時はあまり好ましい印象を抱いていなかった。

▶ラ・クリマスの悪魔の『封印』に関わるとある仕事を引き受けている。

【イリア・ピオニー】齢26にして大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長を務める軍人。

▶桃色がかった金髪と強い正義感の持ち主。国の平和のため心身を尽くそうとする厳格な性格。

▶現代に至る国内軍事を統括し続けた由緒あるピオニー家の娘。父ジオラスは元帥の地位にあり、2人の兄も同じく軍人である。

▶十代のころに出会ったルーシーの理想に感銘を受け、励まされたことでその背中を追い続けている。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み