第11話 無粋な少年少女

文字数 4,828文字

——ラ・クリマス大陸暦999年6月22日 20時頃 城郭(じょうかく)都市トレラント 地下『(かげ)の部隊』本部


『『淫蕩(いんとう)』とは一般に情事に(おぼ)れて素行(そこう)が悪い様を指すが、悪徳の定義として一言で表すなら『愛への執着と拒絶』だ。現代でも不純な肉体関係を()いられる女性は(あまね)く存在するものだが、厄災の起源となった千年前は知っての通り男尊女卑(だんそんじょひ)が色濃く、望まぬ性干渉等から生じた男性への強い忌避感(きひかん)を具現化させるものが『淫蕩(いんとう)の悪魔』だと考えられている。』

『簡単に言えば魔力により生成した神経毒を空気感染にて広範囲に発生させ、伝染病に似た現象を引き起こすことで不特定多数を拒絶する性質を持っている。とりわけ成人男性が重症化する傾向にあるが、女子供にも被害は生じる。』

『他方でもう1つ奇怪な点として、この現象は(おおよ)そ1週間ほどで鎮静し、()せっていた者は何の投薬も無く自然回復することが挙げられる。この突発性と極端な症例から今でも『魔性病(ましょうびょう)』と呼ばれ伝承されているようだが、厄災の1つとして語る者は(ほとん)どいないようだ。被害が短期間で終わるのは、発生源である『宿主』が魔力を使い果たして寿命を迎えるからなんだがな。』


『だが『淫蕩(いんとう)の悪魔』にはもう1つ重大な特徴がある。不特定多数への拒絶は、特定個人に強い執着を寄せたいという渇望(かつぼう)の裏返しであるということだ。(すなわ)ち愛情を注ぎたい相手を毒を(もっ)て精神的に、肉体的に支配することこそがこの悪徳の本質であり、この場合の毒は人体に苦痛を与えるものとは性質が異なると言われている。これは不特定多数への拒絶とは正反対の魔力の奔流(ほんりゅう)であり、厄災としての寿命をかえって長期化させる要因となる。』

(もっと)も、毒で(おか)してまで注ぐ束縛的な愛情など長続きしないのか異常に長期化したような記録はなく、そもそも『宿主』がそのような特定個人を見出(みいだ)せなければ破滅の一途(いっと)辿(たど)るに過ぎない。(ゆえ)に『淫蕩(いんとう)の悪魔』を『封印』するのであれば、魔力を浪費し弱体化した頃に隙を突く方が比較的安全だと考えられる。』


「『引き続き

任務に(のぞ)め。』…と言ったはずだが、このような(おとり)作戦が最善の策略だと本当に思っていたのか?」



 今回も報告書を読み終えたルーシー・ドランジアは成果と裏腹に顔を(しか)めており、()だ血の気の薄いカリムに対して皮肉めいた詰問(きつもん)を寄せていた。


 明朝にセントラムを()ったカリムは揺れ動く馬車の室内で横たわりながら、少しずつ神経経路が回復し麻痺(まひ)していた全身が自由を取り戻していくのを実感する一方で、その反動か馬車の振動か徐々に込み上げる嘔気(おうけ)を必死に耐え(しの)んでいた。

 夕刻にトレラントへ到着する頃には(かろ)うじて歩行が出来(でき)るようになっていたが、頭の中は(なまり)が詰まっているかのように重く(にぶ)く、充分な受け答えすら(まま)ならない状態であった。
 『淫蕩(いんとう)の悪魔』は『封印』したとはいえ、数時間に(わた)り拒絶と執着の毒に(おか)された後遺症は想像を絶する不快な倦怠感(けんたいかん)であった。


「おまえもだぞ、サキナ。視野が狭いから余計な傷を負うことになるんだ。」


 他方でルーシーは、カリムの隣に立ち並ぶ栗毛の少女にも一言(とが)めることを忘れなかった。
 
 サキナと呼ばれた隊員の左手首には分厚い包帯が幾重(いくえ)にも巻き付いており、(あか)を基調とした制服の上からでもその膨らみが明らかに浮き上がっていた。


「…申し訳ございません。」


 サキナは視線をやや()せ気味に小さく(つぶや)いたが、カリムにはどこか不満が(にじ)んでいるように聞こえていた。
 カリムにとっても今回の一件は不服な結果となり、失態と醜態(しゅうたい)(さら)したことで体調以上に気分は最悪であった。

 ルーシーは無様な少年少女を見比べたのち、自虐混じりに冷たく言い聞かせた。


「どうやら私は前回の報告書を受けて以来、行動を共にしていたおまえ達が充分に連携をとれているものだと誤認していたようだ。『淫蕩(いんとう)の悪魔』との対峙(たいじ)に備えておまえ達男女2人の組み合わせを試していたんだが、これほど協調性がなかったとはな。『封印』を達成出来(でき)たからそれで良し、などと私は言うつもりはない。自分の命を、仲間の命を(かえり)みない奴に、『(かげ)の部隊』の本懐(ほんかい)()げるその一翼(いちよく)を担わせる気はないぞ。」




 そもそも3日前、セントラムで発生した『淫蕩(いんとう)の悪魔』の『封印』役に引き続き登用(とうよう)された事実にカリムは耳を疑った。
 未成年であるとはいえ男性である以上は感染と重症化は避けられず、ディヴィルガムを(たずさ)えていたとしても視認すら出来(でき)ない魔力の毒に対抗し得ないと考えていたからである。

 だがルーシーからの命令が(したた)められた伝書には、カリムが『身体検査の結果

と判明したこと』から『標的の動揺と隙を誘う有効打となり得る』と推薦(すいせん)され、『前回までの成果も踏まえた上で

』任務を(まっと)うするよう記載されていた。

 そのような検査結果は初耳であり依然として気後(きおく)れしていたものの、直々(じきじき)推薦(すいせん)反故(ほご)にするわけにもいかず、大陸軍に紛れながら馬車にて出立(しゅったつ)し予定通りセントラムを訪れていた。


 だが前回リリアン・ヴァニタスを計画的に誘導した時とは打って変わり、標的であるロキシー・アルクリスという使用人の身辺情報と彼女が仕える領主邸宅の現況以外に情報や作戦は乏しく、カリムは自身に(ゆだ)ねられた裁量の大きさを()み締めていた。

 馬車を引く黒尽(くろづ)くめの御者(ぎょしゃ)は前回と同じ人物のようであったが、相変わらず口を()きそうにない雰囲気だったので、カリムは独自に方針を立案していた。

 (すなわ)ち、最初はディヴィルガムを(たずさ)えず伝染病の調査と称してフォンス邸別邸(べってい)に乗り込み、立ち込める毒や『宿主』の具合など現状を怪しまれずに把握した上で改めて襲撃の機会を(うかが)うというものであり、御者(ぎょしゃ)にはその間待機するよう依頼していた。


 過去の『封印』経験を経て、それが最善だと無意識に自負していた。その己惚(うぬぼ)(ゆえ)に、カリムは標的との接触で何らかの選択を誤った。
 差し(さわ)りのない会話の何かが標的の気に触れたのだろうかと後から思い返すも、原因は(わか)らず(じま)いであった。

 そして()えなく毒に(おか)されて意識が曖昧(あいまい)なうちに、『宿主』は御者(ぎょしゃ)によって(たお)され悪魔は『封印』された。その御者(ぎょしゃ)の正体が、サキナと呼ばれた(よわい)1つ上の少女であった。


 サキナは『宿主』であるロキシーが1日の活動を終えて警戒を弱める機を待ってから、充満する毒を避けるために屋根裏(づた)いにフォンス邸へ侵入していた。
 そしてディヴィルガムの先端に蓄積されていた『虚栄(きょえい)の悪魔』の魔力の残滓(ざんし)を使って暴風を発動させ、ロキシーの居た寝室の窓を破壊することで更に毒気を払っていた。

 その後の『淫蕩(いんとう)の悪魔』の『封印』、半裸かつ昏蒙(こんもう)状態のカリムの搬出から報告書の作成に至るまで、負傷はしたものの(ほとん)(そつ)なく(こな)していた。


 標的に返り討ちに()うどころか同衾(どうきん)され(もてあそ)ばれていたカリムにとっては、その事実が何よりも屈辱的であり、今この瞬間もサキナの隣に立たされていることで肩身の狭い思いをしていた。

 だがルーシーは何ら意に介さないように、カリムとサキナに対し次なる命令を直接下していた。


「2人とも、明日の午前中には蒸気機関車でクィンクの大陸軍駐屯地(ちゅうとんち)へ向かうように。今後対峙(たいじ)することになるであろう『強欲』と『貪食(どんしょく)』の厄災は、大陸北部から東部に(わた)る地域で発生する可能性が高い。新たな指示があるまではその駐屯地(ちゅうとんち)で待機だ。いいか?

?」



 露骨に念を押す口振りを最後に面会は締め(くく)られ、ルーシーもサキナも早々に立ち去ってしまった。

 ()だ身体が浮ついて足元が覚束(おぼつか)ないカリムは何ら(いた)わられることなく放られているようで、少しずつ自室へ歩みを進めながらセントラムでの一件を苦々しく回顧(かいこ)していた。


——確かに俺には常人より毒の耐性があるみたいだった。でも結果論だとしても、今回は最初からあのサキナって奴に主導権を命じた方が良かったんじゃないのか?

——いや、問題はそこじゃない…なんであいつは俺に一切(かか)わろうとしないんだよ? まるで見殺しにしても構わないような振る舞いをしやがって…!


 『(かげ)の部隊』に属する隊員は身寄りのない者や(いわ)く付きの人材が大半であると聞いたことがあったが、そこには自分と似たようにラ・クリマスの悪魔による厄災で身内や故郷を滅ぼされて復讐心(ふくしゅうしん)(いだ)く者も多いようであった。

 カリムは施設内で暮らす中で、彼らからすれば悪魔撲滅(ぼくめつ)計画の最前線で『封印』の役目を担い続ける自分は、密かに嫉妬(しっと)され出し抜こうと画策されても仕方がないのではないかと思うようになっていた。
 取り分け女性隊員には『封印』の際に

危険性があるらしく、前線から外される傾向にあるとも(ささや)かれていた。


——もしかしたらあいつも、手柄が欲しくて(わざ)と協力しなかったのかもしれない。


 三度(みたび)協力し合えと言われた手前(てまえ)割り切らなければならなかったが、どうしても疑心暗鬼(ぎしんあんき)にならざるを得なかった。
 だがカリムにはサキナに対してそれ以上に動揺している点があり、不満も邪推(じゃすい)有耶無耶(うやむや)に乱されていた。


——なんであいつ…あんなにリオに似てるんだよ。


 猫のように大きな鈍色(にびいろ)の瞳と顎下(あごした)まで伸びた癖のある栗色の髪を(たた)えるサキナの風貌は、5年前に『強欲の悪魔』の犠牲になったリオをそのまま成長させたかのような錯覚をカリムに(もたら)していた。

 上背(うわぜい)もあり華奢(きゃしゃ)な印象を受けた一方で、表情はどこか(くら)く無感情である点はリオとは正反対であるように感じていた。

 とはいえこの関係値で素性(すじょう)を探ることなど門違(かどちが)いであることは明白であり、カリムはもどかしい思いを引き()りながら次なる任務に(のぞ)むことを(うれ)いていた。


——もう二度と失敗するわけには…恥ずかしい思いをするわけにはいかない。己惚(うぬぼ)れた独断専行は命取りだ。

——でも、これからどうやってあいつと協力し合えばいいんだろう…。



 翌日、なんとか容態が回復したカリムはトレラントから徒歩20分ほどの地点にある蒸気機関車の停留駅に向かうと、最後尾の客室車両の前で乗車を待つサキナを見つけた。
 黒尽(くろづ)くめの御者(ぎょしゃ)ではなく、大陸議会の事務官に(ふん)した(りん)とした後ろ姿であった。

 その時点でも(すで)に突き放されているようで話し掛け(づら)い気まずさがあったが、彼女は『(かげ)の部隊』としても先輩(せんぱい)であり、今後の行動を踏まえると自分から頭を下げなければならないと腹を決め、彼女の隣へと重い脚を無理矢理動かした。


「…サキナさん。昨日、一昨日(おととい)とご迷惑をお掛けし申し訳ありませんでした。至らない点があれば改めていきますので、引き続き(よろ)しくお願いします。」


 カリムは深々と頭を下げながら(かしこ)まり、サキナの返答を待機した。数秒の間があった(のち)、頭上からは()()ない声音が降り掛かってきた。


「私の方こそごめんなさい。あと、敬語なんて使わなくていいから。」


 安堵(あんど)と共に顔を上げたカリムだったが、同時に車両の扉が開放されてサキナは颯爽(さっそう)と乗り込んでしまった。

 乗客が(まば)らななか右手側の対面座席に腰かけて早々に目を(つむ)るサキナに対し、カリムは左手側の座席に並ぶように座って窓辺をぼんやりと(なが)める他なかった。
 その後も何ら会話を交わすことなく、蒸気機関車が黙々と走り続けていた。


 カリムは時折(ときおり)窓辺に反射するサキナの姿を視界に捉えつつ、これまで御者(ぎょしゃ)としての同行がありながらも改めて同年代の異性と行動を共にすることに緊張を覚えていた。
 (みじ)めな失態の後始末を()いらせた彼女がリオの面影(おもかげ)を宿していることで、尚更(なおさら)複雑な意識を寄せざるを得なくなっていた。

 一方で同じくらいの(よわい)の異性であった『宿主』ロキシーの面影(おもかげ)も、無意識にサキナと重ねていた。

 何故(なぜ)彼女が一転して自分を生かし篭絡(ろうらく)しようとしたのか、その言葉は朦朧(もうろう)とした意識の渦中(かちゅう)で粗雑に反響しまるで(おぼ)えていなかった。
 だがあの柔らかく瑞々(みずみず)しい唇と恵体(めぐたい)の感触は毒が消えても(なお)身体が鮮明に覚えており、そのことをサキナに気取られないようカリムは道中必死に平静を(よそお)い続けていた。
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登場人物紹介

【ドール】齢19の修道女。

▶ラ・クリマス大陸北西部にあるディレクト州の歴史ある街ディレクタティオで暮らしており、グレーダン教の総本山であるディレクタティオ大聖堂に連なる修道院に属している。

▶生まれつきの白髪が忌み嫌われ、赤子の頃に大聖堂に託された孤児だった。

▶対人関係が希薄なため幼い頃から本の虫であり、好奇心が旺盛。

▶その性格が災いしてか、あることをきっかけに異端者、廻者として糾弾されることになり、その理不尽な仕打ちを機にラ・クリマスの悪魔を顕現させてしまう。

【死神】ドールの命を狙い対峙する謎めいた人物。

▶グレーダン教徒に似た紫紺のローブを纏い、真っ白で無機質な仮面を着けている。

▶グレーダン教に代々継承されてきた司教杖に似た、武器と言い難い杖を構える。

▶その先端に着装された黒い鉱石からは、悪魔を脅かす不思議な力が醸し出されている。

▶「死神」という名称は、ドールが便宜上付与したものにすぎない。

【ネリネ・エクレット】齢16の貴族令嬢。

▶大陸南東部ヒュミリア州、2大交易都市の1つであるメンシスを治める領主ホリー・エクレットの1人娘。

▶穏やかで物腰柔らかな性格だが、箱入り故に世間知らずである。艶のある金髪の持ち主。

▶だが突如メンシスを襲った猛烈な竜巻で被災し、親も家も失う。

▶街の再建を大陸軍に任せて親戚の元へ身を寄せることになるが、その言動はまるで別人になったようであった。

【カリム】大陸議会の事務官を名乗る青年。

▶年齢はネリネと同じくらいと思われ、左目を前髪で隠しており陰気そうな印象である。

▶身に付けている赤を基調としたシャツと議会所属を表すバッジを留めた黒地のチョッキは所定の制服のようなもの。

▶馬車に乗りメンシスを去るネリネに随行し、竜巻被害について聴取しようとする。

▶大陸北東部の孤児院の出身で、過去に何か苦い経験をしているようである。

【リリアン・ヴァニタス】ヴァニタス海賊団の若き首領。

▶巻き毛の金髪が特徴で、体術では随一の戦闘力を持つ。

▶急逝した父の遺言により、齢16にして首領の座を継承しているが、経験が乏しく未熟であるため、父の右腕であった幹部ローレンの助力を得ながら海賊団を存続させている。

▶海賊団はアルケン商会という善良な団体を騙る裏で、密輸品などの取引を働いていた。

【ロキシー・アルクリス】齢17の女使用人。

▶大陸中央部プディシティア州にあるセントラム農業盆地の領主クレオーメ・フォンス伯爵の別邸に仕える。

▶物心ついた頃から母レピアと共に別邸に棲み込みで従事しており、あまり外界との接触がない。

▶長い藍色の髪をしており、やや陰鬱な印象とは裏腹に齢離れした恵体の持ち主。

▶使用人長でもあるレピアとともに好からぬ秘密を抱えており、大陸軍側からの詮索を敬遠している。

【ルーシー・ドランジア】大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長。

▶すらりとした上背に長い黒髪を湛え、銀縁の眼鏡の奥に黄金色の瞳を覗かせる齢28の女性。

▶メンシス港の機能停止を受け、セントラムの生産品の出荷計画などを見直すべく部隊を牽引しフォンス邸別邸を訪れるが、密かに別の目的も念頭にあるらしくロキシーに探りを入れる。

▶飄々として掴みどころのない性格。身内も大陸議会の関係者であるらしい。

【ステラ・アヴァリー】齢24の孤児院管理人。

▶大陸北東部カリタス州の新興都市グリセーオで大陸軍が設立し運営を委託するジェルメナ孤児院に従事している。

▶領主キーウィ―・アヴァリーの1人娘であり、2年前に母から管理人の立場を継承している。

▶赤みがかった茶髪を三つ編みで束ねている。世話焼きで責任感や正義感が強い。

▶過去に厄災を経験して以来、1人でも多くの親なき子の命を護りたいと身を粉にして働いているが、結果としてこれ以上収容できないほどの孤児を拾ってしまい、食糧などの遣り繰りに頭を悩ませている。

【リオ】かつてジェルメナ孤児院で暮らしていた少女。

▶物語開始時点から7年前、グリセーオ西端を流れる川に独り漂着していたところを救助されたが、虚弱体質に陥っていたためジェルメナ孤児院に引き取られ静養することになる。

▶救助以前の記憶をほとんど引き出すことが叶わず、当時は齢7,8程度と推測されていた。

▶2年後に『強欲の悪魔』を顕現させてしまい、命を落としている。栗毛と鈍色の瞳が特徴。

【ピナス・ベル】伝説の瑠璃銀狼の血を引くラピス・ルプスの民の少女。

▶外見は齢12,3ほどだが、人間と比べて齢を重ねる間隔が緩やかで、既に30年生きている。

▶大陸北部アヴスティナ連峰の中腹にあるクラウザという集落で同胞と共に密かに暮らしている。

▶とある目的を果たすため『貪食の悪魔』を宿して鳥の姿となり、大陸西部へ向かっている。

▶7年前のとある出来事で人間側との軋轢を経験し、その際に『貪食の悪魔』を宿した母を失っているほか、サキナとも面識をもっている。

【オドラ―・ベル】ピナスの祖父であり、クラウザの集落を束ねる長老。

▶齢200を超え、ラピス・ルプスの民の特徴である銀色の毛並みは灰色にくすみ、全身毛むくじゃらである。

▶大陸の人間が内戦時代を経て現代に至るまでの歴史だけでなく、千年前から続く厄災についても口伝により知識を蓄えている。

▶人間と対立する気はないが、緩やかに数を減らしてく一族の行く末を憂い、『貪食の悪魔』を同胞から生み出さぬためにも、人間の手を借りてでも種を存続させるべきか思案している。

【クランメ・リヴィア】齢28の博物館職員兼調査研究員

▶大陸西部グラティア州、首都ヴィルトス近郊のアーレア国立自然科学博物館に従事している。

▶やや小柄で、分厚い眼鏡と象牙色の髪が特徴。大陸南西部ミーティス州の農村出身で、独特な訛りで喋る。

▶ルーシーとはグラティア学術院で同期生の関係だが、当時はあまり好ましい印象を抱いていなかった。

▶ラ・クリマスの悪魔の『封印』に関わるとある仕事を引き受けている。

【イリア・ピオニー】齢26にして大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長を務める軍人。

▶桃色がかった金髪と強い正義感の持ち主。国の平和のため心身を尽くそうとする厳格な性格。

▶現代に至る国内軍事を統括し続けた由緒あるピオニー家の娘。父ジオラスは元帥の地位にあり、2人の兄も同じく軍人である。

▶十代のころに出会ったルーシーの理想に感銘を受け、励まされたことでその背中を追い続けている。

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