第13話 孤立無援

文字数 4,686文字

『『貪食(どんしょく)の悪魔』は、俗に言う怪奇現象としては厄災の中でも最も大陸で語り継がれている存在だろう。『蒼獣(そうじゅう)』と呼ばれる狼のような獣や猛禽類(もうきんるい)を模した青白い動物が、()()な人を(さら)って食べてしまうというものだ。』

『それは『宿主』が魔力を具現化させて生み出した存在である一方で、『宿主』本体が化けている姿でもある。前者はディヴィルガムで容易(たやす)く打ち消すことは出来(でき)るが、それ以外に対抗手段がなく『宿主』が持ちうる魔力の限り何体でも湧いて出る。』

『過去の厄災は後者である『宿主』本体を逸早(いちはや)く狙撃することで鎮圧させていたようだ。その正体は人なのだから、人並みの致命傷を負えば到底(とうてい)助からないというわけだ。蒼獣(そうじゅう)はあくまで攻撃手段であり、そのための魔力は(みずか)らの傷を治癒する力としては機能しないらしい。』


『悪徳として定義される『貪食(どんしょく)』とは簡単に言えば不特定多数への攻撃的・殲滅(せんめつ)的思想であり、拒絶を振り()いた

周囲を殲滅(せんめつ)させる『悲嘆(ひたん)』とは性質が異なる。また人を()らって魔力に変換することから、()らう量が増えれば『悲嘆(ひたん)』よりもずっと寿命が長くなる余地がある。』

『そして『貪食(どんしょく)の悪魔』は、古来より大陸に生きるラピス・ルプスの民という種族に決まって顕現すると言われている。その理由は2つ。1つは、伝説の動物である瑠璃銀狼(るりぎんろう)の血を引き外見的特徴を継承する彼らは、千年前から(すで)に世間一般の畏怖(いふ)や一部好事家(こうずか)の執着によって迫害され、人間に対し強い敵愾心(てきがいしん)(いだ)いていたこと。もう1つは、長きに(わた)る人間の内戦時代に蒼獣(そうじゅう)跋扈(ばっこ)しなかったことだ。』


(ゆえ)に『貪食(どんしょく)』はラピス・ルプスの民が宿す特有の悪徳だと見做(みな)され、彼らを種族ごと国の管理下に置くべきだという意見も実際に大陸議会で交わされている。だが私は、必ずしも人間が『貪食(どんしょく)の悪魔』を宿さないとは言えないと考えている。』

『特定の集団を殲滅(せんめつ)させたいなどと(にく)しみを(つの)らせる女性が滅多に存在しないだけであり、何より預言者グレーダンが他の(いまし)めと主語を区別していない。従って人間が蒼獣(そうじゅう)に化ける可能性も十二分(じゅうにぶん)にあるはずであり、『封印』する際も

留意しなければならない。』


『『貪食(どんしょく)の悪魔』の対策については、大陸軍側に協力を仰ぐことを前提に準備を進めている。人が()われれば()われるほど、『宿主』は力を増長させていくからな。理想は地の利を()かせるトレラントに誘い込んで一網打尽(いちもうだじん)()ることだが、蒼獣(そうじゅう)に対抗する有効手段を用意できるか(いな)かは計画全体の進捗(しんちょく)次第になる。』

『だが、必ずしも時と場を同じくしてディヴィルガムを持つ者が迎撃出来(でき)るとは限らない。その場合はやむを得ず『宿主』を始末して厄災を(しず)めるほかないが、決して神経質になる必要はない。『貪食(どんしょく)の悪魔』は、7体の悪魔の中でも最も広く知られていて見つけやすいのだからな。』



——ラ・クリマス大陸暦999年6月27日 朝7時頃 プディシティア州北部の蒸気機関車沿線



「まぁ、今回はサキナに(めん)じて見逃してやるとしよう。首都ヴィルトスを適当に襲撃すれば、いずれ首相は(あぶ)り出せるであろう。そうして目的を果たした後ならば、(いく)らでも相手になってやらんこともない…では、さらばだ。」


 急襲を仕掛けたラピス・ルプスの民の少女は(あざけ)るような台詞(せりふ)を最後に青白い怪鳥へと転身し、高く舞い上がってあっという間に暗雲(ただよ)う西の空へと羽搏(はばた)いていった。

 崖際(がけぎわ)()ける蒸気機関車の屋根に乗っているにも(かかわ)らず、その後ろ姿を追い掛けようと躍起(やっき)になるサキナを、カリムは羽交(はが)()めにして必死に(なだ)めようとしていた。


「ピナス!! 待ちなさいよ!!

!? 目的があるなら私を殺してから行きなさいよ!!!」


 サキナは飛び去る『宿主』に向かって激しい剣幕でがなり立て、癇癪(かんしゃく)を起こした子供のように地団駄(じだんだ)を踏んでいた。

 双方に何らかの因縁があることを、カリムは(わず)かな邂逅(かいこう)の中で察していた。だが普段から冷淡で物怖(ものお)じしないサキナが、これほどまでに感情を()き出しにしている様子に戸惑いを隠さずにはいられなかった。


「おい、落ち着けって! 機関車の上なんだぞ!? 飛んでる奴に自力で追い掛けられるわけがないだろ!?」


(うるさ)い!! 放せ!!!」


 だがサキナは何も聞く耳を持たずより一層暴れ始めたので、カリムは愈々(いよいよ)揺れる足元で踏ん張りが効かなくなり、後退(あとずさ)るように彼女を解放するしかなかった。

 一方のサキナはそれを待っていたかのようにカリムに()ってかかり、右手に握られていたディヴィルガムを()かさず強奪した。
 カリムはあまりの唐突(とうとう)さに(ひる)みかけたが、やはり狭い足場が気になって抵抗すること自体を躊躇(ためら)っていた。

 杖を奪われた反動を(こら)えるように反射的に体勢を(かが)めたが、顔を上げたときにはその(ひたい)にディヴィルガムの先端がこれ見よがしに突き付けられていた。
 血走った(まなこ)で見下すサキナに対し、カリムは呼吸を落ち着かせながら問いかけた。


「…何のつもりだ?」


「それはこっちの台詞(せりふ)。悪魔に立ち向かう気がないのなら、この杖を持つ資格なんてない。」


「空を自由に飛べる相手を前に、こんなに狭くて不安定な足場で真面(まとも)に戦えるわけがない。それに今は、『封印』した『強欲の悪魔』を安全に持ち帰ることも任務の1つだ。下手に挑んで致命傷を負ったら元も子もないだろ。」


「…そんな弱腰だから、あいつに()められたんだ。今のあんたは、自分が傷付くことに臆病になりすぎている。『強欲の悪魔』の『宿主』だったあの人に(ほだ)されて、『(かげ)の部隊』としての存在意義を見失っている。」


 サキナはいつも通りの冷淡な口振りでカリムを(なじ)ったが、その声音は所々で語気が強く、()り場のない怨嗟(えんさ)で震えていた。

 他方でカリムは指摘通りに踏み込みの悪さを自覚しつつも、あからさまにステラとの応酬(おうしゅう)槍玉(やりだま)に挙げられたことに神経を逆撫(さかな)でされた。


「議長も言ってただろ。『自分の命を、仲間の命を(かえり)みない奴に部隊の一翼(いちよく)を担わせる気はない』って。そっちの方こそあの『貪食(どんしょく)の悪魔』の『宿主』と確執があるのか知らないけど、挑発に乗せられて真面(まとも)な判断が出来(でき)なくなってるんじゃないのか。そんな調子じゃ、援護なんて到底出来(でき)ないね。」


 カリムが応戦しながら昨晩の会話を引用すると、紅潮(こうちょう)していたサキナの顔が一段と(あか)らんでいくように見えた。破裂しそうなほどに(ほお)戦慄(わなな)き、(やが)て暴発したような喚声(かんせい)を放った。


「もういい!! あんたの助けなんて必要ない!!!」


 そしてサキナは身を(ひるがえ)すと、ディヴィルガムを握り締めたまま蒸気機関車の先頭へと一目散(いちもくさん)()け出した。

 いつの間にか機関車は今にも止まりそうなほどに減速しており、俊敏(しゅんびん)なサキナの方が速度を上回っていることに気付いたカリムは、慌てて遠くなる背中に向かって声を張り上げた。


「おい待てよ!? 無茶なことはやめろ!!!」


 だがサキナはあっという間に到達した機関車の先頭から飛び降り、そのまま西に向かって線路の上を疾走(しっそう)していった。

 その後ろ姿が徐々に小さくなっていく様を、カリムはうんざりしながら見送っていた。


——ここからヴィルトスまでは何百kmもある。どんなに足が早くて体力があっても(ゆう)に1日はかかるはずだ。仮にあの『宿主』に追い付けたとしても、余力が(とぼ)しい状態で満足に対峙(たいじ)出来(でき)るはずがないことくらい(わか)らないのか。


 そして西の空から小さな雨粒が舞ってきたこともあり、カリムは間もなく停滞する蒸気機関車の内情でも確認しようと車内に戻ることにした。サキナは頭を冷やせばそのうち戻って来るだろうと、このときは(たか)(くく)っていた。



 機関車内は客室も火室(かしつ)(まった)くの無人と化しており、突如(とつじょ)出現した蒼獣(そうじゅう)によって余さず(たい)らげられていたことを知った。
 流石(さすが)にカリム自身が燃料を投入するわけにもいかず、(むし)ろ本降りになった雨脚(あまあし)によって車体は更に冷やされた。

 カリムは立ち往生した機関車で元居(もとい)た座席に腰を下ろし、打ち付ける雨音に耳を傾けながら救援を待つしかなかった。


 だが2時間、3時間と経過しても一向に状況は変わらず、サキナも依然として姿を現さなかった。
 ヴィルトスを襲撃すると言っていた『宿主』の動向も気掛かりであったが、丸腰同然のカリムには懸念(けねん)する必要性すら希薄(きはく)になりつつあった。


——やっぱり俺の中ではもう、ラ・クリマスの悪魔なんてどうでもよくなってるのかな…。



 振り返れば最初の『悲嘆(ひたん)』や『虚栄(きょえい)』との対峙(たいじ)では、死線を彷徨(さまよ)いながらも『封印』のために無我夢中だった。
 『淫蕩(いんとう)』相手には失態を(おか)すも深く反省し、『強欲』を宿したステラには動揺したものの最終的には情を振り払って屈服させた。

 因縁のある『強欲』を『封印』してからも、残る3体の悪魔と相対(あいたい)するという決意に迷いはないはずだった。だが現実の自分は標的を目前にして、あれこれと言い訳を並べて委縮(いしゅく)していた。

 ステラに(ほだ)されたというサキナの指摘は図星(ずぼし)であり、(みずか)萌黄色(もえぎいろ)の粒子と化し目前で消滅していったステラの最期(さいご)の言葉が——何故(なぜ)か頭の中に直接語り掛けてきたような台詞(せりふ)が、今も(なお)カリムの脳裏(のうり)にはっきりと焼き付いていた。


『ちゃんと私の命に、意味を見出(みいだ)して……。前を向いて、最後までしっかり生きるのよ……!』



 つい昨日までのカリムは、(こころざし)(なか)ばで死にたくなかっただけで生きることに頓着(とんちゃく)がなかった。
 ステラに(たしな)められた通り、悪魔を(すべ)て『封印』した後など(ほとん)ど何も考えたことのない軽薄(けいはく)な人生を送っていた。

 だがステラを犠牲にしたことで、

初めて自覚した。

 (かつ)てリオを失ったときには、人の命を小さくて(もろ)硝子細工(がらすざいく)のように捉えていた。
 (ゆえ)に親近感の湧かない硝子細工(がらすざいく)を壊しても、 壊したという事実に対する罪悪感しか付き(まと)うことがなかった。

 それが今では人の命が、(はる)か昔にこの地に()ちた隕石のように思えていた。

 計り知れないほどに大きくて重くて到底(とうてい)受け止めきれるはずもなく、それでいて()ちれば一溜(ひとたま)りもない唯一無二(ゆいいつむに)の存在であり、カリムは気付けばそんな隕石を2つ、3つと背負いながら生き(なが)らえることを余儀(よぎ)なくされていた。


 (なげう)つことは許されず、解放される方法を自力で探し出さなければならない——そんな宛のない途方(とほう)もない目的が、強引に人生に(くく)り付けられていた。

 そうしてまた別の何者かの命を奪うことに、そして自分が命を落とすことに明確な忌避(きひ)(いだ)いた。復讐心(ふくしゅうしん)(せい)(ゆだ)ねていた頃よりも覚束(おぼつか)ない、漠然とした生き地獄に(とら)われていた。


——だから俺は、刹那的(せつなてき)にもサキナのためになろうとしたのかな…。


 カリムは対面座席に放置されたままのサキナの小さな手荷物をぼんやりと見つめながら、彼女と短くも行動を共にしたことを回顧(かいこ)していた。

 サキナとは『強欲の悪魔』相手にも決して連携が取れていたとは(ひょう)(がた)かったが、リオという接点を通して少しは打ち解けることが出来(でき)たように実感していた。
 (ゆえ)に無意識にも彼女のために動くことで、曖昧(あいまい)になりつつあった悪魔への戦意を持続させようとしていた。


 だがあっさりとその意思が振り切られたとき、肩透(かたす)かし以上の(むな)しさが心に新たな(あな)を開けていた。

 その思いもよらぬ(あな)の大きさに、カリムは狼狽(うろた)えながらも無気力に椅子に(もた)れていた。


——やっぱり…追い掛けた方がよかったのかな。でも、追い掛けたところで多分何も意味なんて……。



 時刻が正午を回っても、依然として機関車は()まぬ雨中(うちゅう)に孤立したままであった。

 (ひと)律義(りちぎ)に乗客を続けているカリムは、生まれてこの(かた)最も無意義な時間を過ごしていることに憮然(ぶぜん)とし、疲労を(ぬぐ)えていない身体を休ませようと徐々に微睡(まどろ)みかけていた。
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登場人物紹介

【ドール】齢19の修道女。

▶ラ・クリマス大陸北西部にあるディレクト州の歴史ある街ディレクタティオで暮らしており、グレーダン教の総本山であるディレクタティオ大聖堂に連なる修道院に属している。

▶生まれつきの白髪が忌み嫌われ、赤子の頃に大聖堂に託された孤児だった。

▶対人関係が希薄なため幼い頃から本の虫であり、好奇心が旺盛。

▶その性格が災いしてか、あることをきっかけに異端者、廻者として糾弾されることになり、その理不尽な仕打ちを機にラ・クリマスの悪魔を顕現させてしまう。

【死神】ドールの命を狙い対峙する謎めいた人物。

▶グレーダン教徒に似た紫紺のローブを纏い、真っ白で無機質な仮面を着けている。

▶グレーダン教に代々継承されてきた司教杖に似た、武器と言い難い杖を構える。

▶その先端に着装された黒い鉱石からは、悪魔を脅かす不思議な力が醸し出されている。

▶「死神」という名称は、ドールが便宜上付与したものにすぎない。

【ネリネ・エクレット】齢16の貴族令嬢。

▶大陸南東部ヒュミリア州、2大交易都市の1つであるメンシスを治める領主ホリー・エクレットの1人娘。

▶穏やかで物腰柔らかな性格だが、箱入り故に世間知らずである。艶のある金髪の持ち主。

▶だが突如メンシスを襲った猛烈な竜巻で被災し、親も家も失う。

▶街の再建を大陸軍に任せて親戚の元へ身を寄せることになるが、その言動はまるで別人になったようであった。

【カリム】大陸議会の事務官を名乗る青年。

▶年齢はネリネと同じくらいと思われ、左目を前髪で隠しており陰気そうな印象である。

▶身に付けている赤を基調としたシャツと議会所属を表すバッジを留めた黒地のチョッキは所定の制服のようなもの。

▶馬車に乗りメンシスを去るネリネに随行し、竜巻被害について聴取しようとする。

▶大陸北東部の孤児院の出身で、過去に何か苦い経験をしているようである。

【リリアン・ヴァニタス】ヴァニタス海賊団の若き首領。

▶巻き毛の金髪が特徴で、体術では随一の戦闘力を持つ。

▶急逝した父の遺言により、齢16にして首領の座を継承しているが、経験が乏しく未熟であるため、父の右腕であった幹部ローレンの助力を得ながら海賊団を存続させている。

▶海賊団はアルケン商会という善良な団体を騙る裏で、密輸品などの取引を働いていた。

【ロキシー・アルクリス】齢17の女使用人。

▶大陸中央部プディシティア州にあるセントラム農業盆地の領主クレオーメ・フォンス伯爵の別邸に仕える。

▶物心ついた頃から母レピアと共に別邸に棲み込みで従事しており、あまり外界との接触がない。

▶長い藍色の髪をしており、やや陰鬱な印象とは裏腹に齢離れした恵体の持ち主。

▶使用人長でもあるレピアとともに好からぬ秘密を抱えており、大陸軍側からの詮索を敬遠している。

【ルーシー・ドランジア】大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長。

▶すらりとした上背に長い黒髪を湛え、銀縁の眼鏡の奥に黄金色の瞳を覗かせる齢28の女性。

▶メンシス港の機能停止を受け、セントラムの生産品の出荷計画などを見直すべく部隊を牽引しフォンス邸別邸を訪れるが、密かに別の目的も念頭にあるらしくロキシーに探りを入れる。

▶飄々として掴みどころのない性格。身内も大陸議会の関係者であるらしい。

【ステラ・アヴァリー】齢24の孤児院管理人。

▶大陸北東部カリタス州の新興都市グリセーオで大陸軍が設立し運営を委託するジェルメナ孤児院に従事している。

▶領主キーウィ―・アヴァリーの1人娘であり、2年前に母から管理人の立場を継承している。

▶赤みがかった茶髪を三つ編みで束ねている。世話焼きで責任感や正義感が強い。

▶過去に厄災を経験して以来、1人でも多くの親なき子の命を護りたいと身を粉にして働いているが、結果としてこれ以上収容できないほどの孤児を拾ってしまい、食糧などの遣り繰りに頭を悩ませている。

【リオ】かつてジェルメナ孤児院で暮らしていた少女。

▶物語開始時点から7年前、グリセーオ西端を流れる川に独り漂着していたところを救助されたが、虚弱体質に陥っていたためジェルメナ孤児院に引き取られ静養することになる。

▶救助以前の記憶をほとんど引き出すことが叶わず、当時は齢7,8程度と推測されていた。

▶2年後に『強欲の悪魔』を顕現させてしまい、命を落としている。栗毛と鈍色の瞳が特徴。

【ピナス・ベル】伝説の瑠璃銀狼の血を引くラピス・ルプスの民の少女。

▶外見は齢12,3ほどだが、人間と比べて齢を重ねる間隔が緩やかで、既に30年生きている。

▶大陸北部アヴスティナ連峰の中腹にあるクラウザという集落で同胞と共に密かに暮らしている。

▶とある目的を果たすため『貪食の悪魔』を宿して鳥の姿となり、大陸西部へ向かっている。

▶7年前のとある出来事で人間側との軋轢を経験し、その際に『貪食の悪魔』を宿した母を失っているほか、サキナとも面識をもっている。

【オドラ―・ベル】ピナスの祖父であり、クラウザの集落を束ねる長老。

▶齢200を超え、ラピス・ルプスの民の特徴である銀色の毛並みは灰色にくすみ、全身毛むくじゃらである。

▶大陸の人間が内戦時代を経て現代に至るまでの歴史だけでなく、千年前から続く厄災についても口伝により知識を蓄えている。

▶人間と対立する気はないが、緩やかに数を減らしてく一族の行く末を憂い、『貪食の悪魔』を同胞から生み出さぬためにも、人間の手を借りてでも種を存続させるべきか思案している。

【クランメ・リヴィア】齢28の博物館職員兼調査研究員

▶大陸西部グラティア州、首都ヴィルトス近郊のアーレア国立自然科学博物館に従事している。

▶やや小柄で、分厚い眼鏡と象牙色の髪が特徴。大陸南西部ミーティス州の農村出身で、独特な訛りで喋る。

▶ルーシーとはグラティア学術院で同期生の関係だが、当時はあまり好ましい印象を抱いていなかった。

▶ラ・クリマスの悪魔の『封印』に関わるとある仕事を引き受けている。

【イリア・ピオニー】齢26にして大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長を務める軍人。

▶桃色がかった金髪と強い正義感の持ち主。国の平和のため心身を尽くそうとする厳格な性格。

▶現代に至る国内軍事を統括し続けた由緒あるピオニー家の娘。父ジオラスは元帥の地位にあり、2人の兄も同じく軍人である。

▶十代のころに出会ったルーシーの理想に感銘を受け、励まされたことでその背中を追い続けている。

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