第5話 悪手

文字数 4,645文字

「ピナスさん!? 大丈夫!?」


 ステラは青白い背中を軽く叩きながら直接名を呼んだが、ピナスは何ら応答せず力無い滑空(かっくう)を続けていた。

 その突き進む先にはセントラムを囲む黒い丘陵(きゅうりょう)地帯が待ち構えており、このままではそこを超えられず激突するように不時着する(おそれ)があった。
 鉤爪(かぎつめ)に抱えているはずのカリムの安否も心配であったが、ステラは(つる)を伝って生み出せる限りの魔力をピナスに送ることを何より優先しようとした。

 だがピナスの魔力は枯渇(こかつ)していたわけではなく、それを全身に行き渡らせるための(ほとぼ)りが冷めつつあることが(わか)った。
 それが少し前に(いだ)いた違和感と似ていたことを不図(ふと)思い出し、また新たな焦燥(しょうそう)()られた。


——ロキシーを介抱していたときと同じ手応(てごた)え…それってつまり、ピナスさんが(いだ)く悪徳が弱まっているってこと!?



「…ネリネ! どうにかピナスさんを支えられない!?」


「無茶言わないで! 自分以外の人や物を運ぶなんて器用なことは出来(でき)ない…(むし)ろ私が自由に動けるようこの(つる)(ほど)いてもらいたいんだけど!?」


 ステラは出来(でき)る限り背後を振り向いてネリネに救援を求めたが、ピナスの異変を察していたネリネは(すで)に離脱を視野に入れていた。
 
 一見(いっけん)薄情(はくじょう)に思えたものの、彼女が風を操れることを知りつつ、何の説得もなく(つる)(つな)ぎ止めておくことは現状ただの道連(みちづ)れにしか成り得ないことをステラは自覚していた。

 それでも(みな)で共有した方針を狂わせないために、自分がただ魔力を供給するだけではなく、それ以上に果たせる役割を見出そうとしていた。(はな)から誰1人として見捨てるつもりなどなかった。


——悪徳については今もよく(わか)ってない…けど、ピナスさんは誰よりもルーシーさんを目の(かたき)にしていた。いや、人間という存在そのものを()み嫌っていた。そのことは最初にクラウザに転移したとき、イリアさんから聞かされていた。


『私は以前このクラウザの地に、議長直々(じきじき)の命で訪問したことがあった。明朝だったにも(かかわ)らず、(ひと)仁王立(におうだ)ちをして我々を出迎えたのがピナス・ベルだった。我々を軽蔑(けいべつ)し、一切の迎合(げいごう)を拒まんとするあの(するど)い眼光は今でもよく思い出せる。』

『ラピス・ルプスの民は代々人間からの迫害に()い閉鎖的に集落を作っているとは聞いていたが、あれは単なる偏見ではない…人間との直接的な確執(かくしつ)を積み重ねた結果なのだと思う。彼女は幼く見えるが、あの種族は人間と(よわい)を重ねる間隔が異なるらしい。恐らく私よりも長く生きているかもしれない…彼女とは、そのつもりで接するべきだろう。』


——それでも彼女は私達と協力して動くことを選んだ。その理由はついさっき判明した…リオやサキナと接した過去に測り知れない後悔があって、そこから接点が生まれた私に負い目があったんだ。その後も我慢や不満が(つの)って、カリムにすら自分の主張に同調してもらえないどころか否定された感覚になって…矜持(きょうじ)を見失ってしまったのかもしれない。

——悪徳が機能しなくなるって、そういうことなの? ロキシーはカリムとの接触で目覚めたけど、リヴィアさんは彼女が宿す悪魔を『淫蕩(いんとう)』と呼んでいたから、生前にカリムと何らかの関係があったのだと推測出来(でき)る。もしそういう因果関係が悪徳全般(ぜんぱん)に当て()まるのなら、私がピナスさんに対してすべきことは……!


 依然として()ち行く蒼獣(そうじゅう)の背で、拘束されたまま苛立(いらだ)つネリネに申し訳なく思いながらも、ステラはピナスの青白い体表に(ひたい)を押し当てて念じるように呼び掛けた。


「ピナスさん…()だ意識はあるのよね? それならちゃんと聞いてほしいの。私は……貴女(あなた)軽蔑(けいべつ)するわ。」




 すると、ピナスの身体がまた一瞬震えて弥立(よだ)った。ステラはその宣告が彼女の心を捕らえたことを確信して、叱責するように語り続けた。


貴女(あなた)が昔リオやサキナと何があったのかは詳しく知らないけれど、危害を与えたことを今でも引き()るほど貴女(あなた)にとっては大事な存在だったのでしょう。でも貴女(あなた)はその悲しみから何も学ばないどころか…(にく)まれ役に(いそ)しむことで自己実現を(はか)ろうとしているでしょう。」

(たと)貴女(あなた)(いだ)く悪徳のためだとしても、(いま)だに他人(ひと)の命を挑発のためにしか用い得ないのなら、それは私にとって嫌悪(けんお)の対象になる。私はカリムがルーシーさんと対峙(たいじ)することを認めたけど…貴女(あなた)(きば)を向けることは認めないから。何なら私が、その前に立ち(ふさ)がってみせるわ。」



 その台詞(せりふ)の結びに弾かれるようにして、青白い(はやぶさ)丘陵(きゅうりょう)地帯へ激突する寸前で真白(ましろ)の空へと再び舞い上がった。
 突然の急上昇に、ステラとネリネは顔を(しか)めながら背中に()(つくば)っていた。

 だが(やが)てピナスは、穏やかにセントラムの上空を(ただよ)い始めた。
 
 彼女が調子を取り戻したことに安堵(あんど)したステラは、青白い背中に身を(うず)めて(おぼろ)げな毛並みをそっと()でた。


「よかった…戻って来てくれて。さっきはごめんなさいね。」


「…貴様が謝る必要はないし、発言を取り消す必要もない。(むし)ろ貴様が先のような心証(しんしょう)()ってくれた方が…(わし)は割り切れるのかもしれん。」


 ピナスからの返事は、()だ多少なりとも鬱屈(うっくつ)しているような口振りであった。その他人事のような発言に、ネリネが()かさず不満をぶつけた。


「謝るべきなのは貴女(あなた)の方でしょ。(ひと)りでに愚図(ぐず)ついて墜落しそうになって…任されたことはちゃんと(まっと)うしなさいよ。」


「…その通りだな。面目(めんぼく)無かった。例の湖は、もう目と鼻の先だ。」


 一方でステラは、沈黙したままのカリムのことを思い出し恐る恐る声を掛けた。ディヴィルガムを通した(つな)がりは()だ確かに感じていたが、何の呼びかけも無くなっていたことには一抹(いちまつ)の不安を覚えていた。


「カリムは、大丈夫? ()だちゃんとそこにいるのよね?」


『…大丈夫だよ先生。蒼獣(そうじゅう)の足に少し強く(つか)まれていて苦しかったけど、今は何ともない。そっちで何かあったの?』


「いいえ…貴方(あなた)が気にすることではないわ。」


 どうやらピナスにかけた脅迫めいた言葉はカリムに届いていなかったようで、その意味でもステラは胸を()で下ろしていた。
 
 カリムがピナスのことをどう思っているのかを知り得ない中で、負い目に付け込むような言い回しをしたことが足並みの乱れに(つな)がってしまわないか、密かに危惧(きぐ)していた。
 そもそも危難を切り抜けるためであったとはいえ、ピナスを意図的に突き放したことで良心の呵責(かしゃく)(さいな)まれていた。


——ピナスさんはああやって敵意を(あお)らなければ…誰かと確実に敵対する余地を作り出さなければ、心の()(どころ)を失いかねない極限状態だったのだと思う。でもあんなの、寄り添い(はげ)ましただなんて到底言えない。私が成し遂げたい形じゃない。

——もっとちゃんと話し合えるはずなのに、軋轢(あつれき)を抱えながら接しないと息苦しくなるだなんて悲しすぎる。それともこの(むな)しさは、私が宿している『強欲』の悪徳に影響されたものなのかしら…。


 そのように推測していると、(たちま)ちステラの脳内もぼんやりして意識が遠退(とおの)いていくような気がした。慌てて頭を左右に振ってその(むな)しさを払拭(ふっしょく)しながらも、やはり胸に開いた(あな)の奥には(しこ)りのようなものが残っていた。


——(すで)に死んだ身の私達は、きっと生前(つの)らせた悪徳に縛られて人生を続けているようなものなんだ。私が出来(でき)るのは精々(せいぜい)(みな)の容姿を形作(かたちづく)ることくらい。その内側にどれだけ手を差し伸べても、心から向き合おうとしても、悪徳そのものを支えることは出来(でき)ないし、ピナスさんの場合みたく私にとって不本意な結果にしか成り得ない。

——そしてその(むな)しさは、私自身の悪徳を委縮させることに(つな)がりかねない。私の魔力も無限に湧き出るものじゃない。…元々ここは、

なんだろうな。そんな世界の中で、私が本当にすべきことって……?


 ステラは茫然(ぼうぜん)項垂(うなだ)れるように考え込んでしまい、その背中を後方に座るネリネが冷ややかな眼差(まなざ)しで振り返っていた。




 大きな(はやぶさ)の姿を模した蒼獣(そうじゅう)は、ラ・クリム湧水湖(ゆうすいこ)の中央に(そび)える金色の(うず)の周りを旋回(せんかい)するように下降して、先に転移していた悪魔の『宿主』達が待つ湖畔(こはん)へと着地した。

 まず鉤爪(かぎつめ)から解放された影の青年が降り立ったのち、ステラとネリネが背中から滑り降りてから、ピナスは元の人型に戻った。


「お疲れさん。取り()えず合流出来(でき)て何よりやけど……。」


 出迎えたロキシーとドールの後方からぶっきらぼうにクランメが声を掛けたが、どこか曇りがちなステラとピナスの表情を(うかが)うと台詞(せりふ)途切(とぎ)れた。その代わりにネリネが周囲を見渡しながら、クランメに問いかけた。


「この前と場所が違うみたいだけど、作り掛けの氷穴(ひょうけつ)はどうしたのよ? あんなに敬遠してた金色の渦巻(うずま)きにも(いく)らか近付いた位置じゃない。」


「ああ、それはな…ピオニー隊長とロキシーの意見を元に、より都合のええ場所に変更したんや。うちが生前この街に来たんはもう10年近く前のことやったからな。」


 そして続け様に、イリアが(みな)に向かって言い聞かせた。


「だが現実世界も深夜であるとはいえ、駐屯(ちゅうとん)している大陸軍は飛来する蒼獣(そうじゅう)を視認したはずだ。捜索(そうさく)の手を近付けさせないためにも、一先(ひとま)ずピナス・ベルには数体の蒼獣(そうじゅう)を放って(しば)攪乱(かくらん)させて欲しい。カリムもなるべく身を隠しておく方が賢明だろう。」


 その要請に応じてピナスは3頭の青白い(おおかみ)を生み出して湖面とは反対側の茂みへと解き放ち、影の青年もその茂みの方へ移動しながら潜伏(せんぷく)出来(でき)そうな場所を模索した。
 
 他の『宿主』達も彼に追随(ついずい)するように(まと)まって動いていたが、不図(ふと)ステラが心配そうにイリアに尋ねた。


「イリアさん、(しばら)くの間ってどれくらいなんですか。ピナスさんにずっと魔力を放出させておくわけには…それに深夜ってことは、カリムは眠ってすらいないでしょうし…。」


 だが問いかけに答えたのはクランメであり、イリアと同様に改まって全員に言い聞かせた。


「それに関しては、うちから説明させてもらう。()うても先に転移してきた面々で(あらかじ)め話しとったことなんやけどな。」

「まずもってドランジアは、あの金色の(うず)魔素(まそ)奔流(ほんりゅう)が注ぎ込むこの湖の底におるのが(わか)っとる。そこで大陸一帯に降り注ぐ魔素(まそ)を独占する『(はこ)』として自己の存在を維持しつつ、この地に()み付く悪魔に魔素(まそ)を渡さんようにして厄災が起きひん仕組みを作り上げようとしているんや。…現世では多分(なん)も見えてへんと思うけどな。」


 その神々(こうごう)しい光の(うず)を初めて目の当たりにしたステラは息を呑んでいたが、影の青年は不審そうに座り込んでいるだけだった。
 一方でピナスは、忌々(いまいま)しそうに黒い湖面に流れ込む金色の粒子を見つめながら(つぶや)いていた。


(わし)は似たような奔流(ほんりゅう)を生前にも何度か観測した。恐らく、貴様らが厄災を引き起こしたときに生じていた『(かたよ)り』なのであろう。それがこんなにも濃密に集約され、大量に喰らわれておるとは…つくづく彼奴(あやつ)は底が知れんな。」


(まった)く溜息が出るわな…そういうわけで、当初うちはドランジアが居座(いすわ)っとる湖の底まで氷の洞窟(どうくつ)(こしら)えようと画策しとった。ネリネ嬢から聞いた1日ちょいの猶予(ゆうよ)をじっくり使(つこ)うて、確実に奴と対峙(たいじ)出来(でき)るようにな。奴の居場所にこの身で辿(たど)り着くんは、それしか方法がないと思う。」

「せやけど現実世界との(つな)がりやら諸々(もろもろ)の情報や出来事(できごと)が積み重なって、色々と事情が変わってもうた。結論から言わしてもらう。この作業は今直(います)ぐ突貫で終わらせて、現実世界の夜明けまでに奴との対峙(たいじ)を終わらせる。そしてそれには瞬間的に莫大(ばくだい)な魔力を一括投入する必要がある…ここにおる悪魔()き全員分の魔力をな。」
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登場人物紹介

【ドール】齢19の修道女。

▶ラ・クリマス大陸北西部にあるディレクト州の歴史ある街ディレクタティオで暮らしており、グレーダン教の総本山であるディレクタティオ大聖堂に連なる修道院に属している。

▶生まれつきの白髪が忌み嫌われ、赤子の頃に大聖堂に託された孤児だった。

▶対人関係が希薄なため幼い頃から本の虫であり、好奇心が旺盛。

▶その性格が災いしてか、あることをきっかけに異端者、廻者として糾弾されることになり、その理不尽な仕打ちを機にラ・クリマスの悪魔を顕現させてしまう。

【死神】ドールの命を狙い対峙する謎めいた人物。

▶グレーダン教徒に似た紫紺のローブを纏い、真っ白で無機質な仮面を着けている。

▶グレーダン教に代々継承されてきた司教杖に似た、武器と言い難い杖を構える。

▶その先端に着装された黒い鉱石からは、悪魔を脅かす不思議な力が醸し出されている。

▶「死神」という名称は、ドールが便宜上付与したものにすぎない。

【ネリネ・エクレット】齢16の貴族令嬢。

▶大陸南東部ヒュミリア州、2大交易都市の1つであるメンシスを治める領主ホリー・エクレットの1人娘。

▶穏やかで物腰柔らかな性格だが、箱入り故に世間知らずである。艶のある金髪の持ち主。

▶だが突如メンシスを襲った猛烈な竜巻で被災し、親も家も失う。

▶街の再建を大陸軍に任せて親戚の元へ身を寄せることになるが、その言動はまるで別人になったようであった。

【カリム】大陸議会の事務官を名乗る青年。

▶年齢はネリネと同じくらいと思われ、左目を前髪で隠しており陰気そうな印象である。

▶身に付けている赤を基調としたシャツと議会所属を表すバッジを留めた黒地のチョッキは所定の制服のようなもの。

▶馬車に乗りメンシスを去るネリネに随行し、竜巻被害について聴取しようとする。

▶大陸北東部の孤児院の出身で、過去に何か苦い経験をしているようである。

【リリアン・ヴァニタス】ヴァニタス海賊団の若き首領。

▶巻き毛の金髪が特徴で、体術では随一の戦闘力を持つ。

▶急逝した父の遺言により、齢16にして首領の座を継承しているが、経験が乏しく未熟であるため、父の右腕であった幹部ローレンの助力を得ながら海賊団を存続させている。

▶海賊団はアルケン商会という善良な団体を騙る裏で、密輸品などの取引を働いていた。

【ロキシー・アルクリス】齢17の女使用人。

▶大陸中央部プディシティア州にあるセントラム農業盆地の領主クレオーメ・フォンス伯爵の別邸に仕える。

▶物心ついた頃から母レピアと共に別邸に棲み込みで従事しており、あまり外界との接触がない。

▶長い藍色の髪をしており、やや陰鬱な印象とは裏腹に齢離れした恵体の持ち主。

▶使用人長でもあるレピアとともに好からぬ秘密を抱えており、大陸軍側からの詮索を敬遠している。

【ルーシー・ドランジア】大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長。

▶すらりとした上背に長い黒髪を湛え、銀縁の眼鏡の奥に黄金色の瞳を覗かせる齢28の女性。

▶メンシス港の機能停止を受け、セントラムの生産品の出荷計画などを見直すべく部隊を牽引しフォンス邸別邸を訪れるが、密かに別の目的も念頭にあるらしくロキシーに探りを入れる。

▶飄々として掴みどころのない性格。身内も大陸議会の関係者であるらしい。

【ステラ・アヴァリー】齢24の孤児院管理人。

▶大陸北東部カリタス州の新興都市グリセーオで大陸軍が設立し運営を委託するジェルメナ孤児院に従事している。

▶領主キーウィ―・アヴァリーの1人娘であり、2年前に母から管理人の立場を継承している。

▶赤みがかった茶髪を三つ編みで束ねている。世話焼きで責任感や正義感が強い。

▶過去に厄災を経験して以来、1人でも多くの親なき子の命を護りたいと身を粉にして働いているが、結果としてこれ以上収容できないほどの孤児を拾ってしまい、食糧などの遣り繰りに頭を悩ませている。

【リオ】かつてジェルメナ孤児院で暮らしていた少女。

▶物語開始時点から7年前、グリセーオ西端を流れる川に独り漂着していたところを救助されたが、虚弱体質に陥っていたためジェルメナ孤児院に引き取られ静養することになる。

▶救助以前の記憶をほとんど引き出すことが叶わず、当時は齢7,8程度と推測されていた。

▶2年後に『強欲の悪魔』を顕現させてしまい、命を落としている。栗毛と鈍色の瞳が特徴。

【ピナス・ベル】伝説の瑠璃銀狼の血を引くラピス・ルプスの民の少女。

▶外見は齢12,3ほどだが、人間と比べて齢を重ねる間隔が緩やかで、既に30年生きている。

▶大陸北部アヴスティナ連峰の中腹にあるクラウザという集落で同胞と共に密かに暮らしている。

▶とある目的を果たすため『貪食の悪魔』を宿して鳥の姿となり、大陸西部へ向かっている。

▶7年前のとある出来事で人間側との軋轢を経験し、その際に『貪食の悪魔』を宿した母を失っているほか、サキナとも面識をもっている。

【オドラ―・ベル】ピナスの祖父であり、クラウザの集落を束ねる長老。

▶齢200を超え、ラピス・ルプスの民の特徴である銀色の毛並みは灰色にくすみ、全身毛むくじゃらである。

▶大陸の人間が内戦時代を経て現代に至るまでの歴史だけでなく、千年前から続く厄災についても口伝により知識を蓄えている。

▶人間と対立する気はないが、緩やかに数を減らしてく一族の行く末を憂い、『貪食の悪魔』を同胞から生み出さぬためにも、人間の手を借りてでも種を存続させるべきか思案している。

【クランメ・リヴィア】齢28の博物館職員兼調査研究員

▶大陸西部グラティア州、首都ヴィルトス近郊のアーレア国立自然科学博物館に従事している。

▶やや小柄で、分厚い眼鏡と象牙色の髪が特徴。大陸南西部ミーティス州の農村出身で、独特な訛りで喋る。

▶ルーシーとはグラティア学術院で同期生の関係だが、当時はあまり好ましい印象を抱いていなかった。

▶ラ・クリマスの悪魔の『封印』に関わるとある仕事を引き受けている。

【イリア・ピオニー】齢26にして大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長を務める軍人。

▶桃色がかった金髪と強い正義感の持ち主。国の平和のため心身を尽くそうとする厳格な性格。

▶現代に至る国内軍事を統括し続けた由緒あるピオニー家の娘。父ジオラスは元帥の地位にあり、2人の兄も同じく軍人である。

▶十代のころに出会ったルーシーの理想に感銘を受け、励まされたことでその背中を追い続けている。

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