第9話 最後の一歩

文字数 4,579文字


 カリムがラ・クリム湧水湖(ゆうすいこ)に到着してから10分ほどが経過する頃、愈々(いよいよ)湖底に(ひそ)むルーシー・ドランジアの元へ到達するための道筋が作られ始めようとしていた。

 黒い湖の岸辺にはクランメが両手を差し出すようにして座り、氷結を生み出す姿勢をとっていた。背後にはステラが立ち、更にその後方にはピナス、ドール、イリア、ネリネ、ロキシーが左から並ぶようにして立っていた。


 段取りとしてはまず最後方の5人の魔力を魔魂(まこん)ごとステラの(つる)に吸収させると同時に、ステラの魔力(すべ)てを(あわ)せてクランメに送り込み、クランメがそれを一気に解き放つようにして湖中央部の底に続く氷穴(ひょうけつ)を作り上げるというものであった。

 当然にクランメ自身の魔力も(すべ)(つい)やすことが前提であり、どこまで精巧な通り道が出来上(できあ)がるかは本人の腕次第なのだが、イリアはそれも含めてクランメに(たく)すことを踏まえて、(みな)に段取りを周知させていた。


 イリアが左右に並ぶ顔を()気無(げな)(うかが)うと、4人とも生きた感覚が終わる(むな)しさを(いだ)きながらもどこか清々(せいせい)しているようで、イリア自身も胸を()で下ろした。

 あれほど(まと)まりのなかった悪魔の『宿主』達が、紆余曲折(うよきょくせつ)を経て(ようや)く足並みを(そろ)えていることに溜飲(りゅういん)が下がるような思いであった。


——結局私が(みな)を統率するには力不足だった…いや、この世界での私は所詮(しょせん)(みな)

。軍隊長の肩書(かたがき)もこの風貌(ふうぼう)も高圧的な装飾にしか成り得ず、かえって軋轢(あつれき)を生むこともあった。

——そのなかで(みな)(つな)ぎ止められたのは、ステラの思い()る姿勢があってこそだった。彼女の(しん)の強さには本当に助けられた。そのお(かげ)で、(ようや)くこの不可思議な(せい)の続きを終えることが出来(でき)る。

——最後に議長ともう一度会って話せないことは…あの御方(おかた)の行動の真意を聞き出せないことは残念ではあるが、元より叶うはずのない願いだ。(むし)ろこれからの未来を生きる者が優先して知るべきことであり、私はその導きと成れるよう生命(いのち)の残り火を(ささ)げるべきなのだ。


「…(みな)、思い残すことは何も無いな? それならば、ラ・クリマスの悪魔の『宿主』として最後に成すべきことを成すとしよう。…ステラ、(よろ)しく頼む。」


 ステラが(りん)とした声音で呼びかけると、(みな)が静かに(うなず)いた。
 間もなくしてイリア達5人が並び立つ足元から青白い(つる)が生え出て、魔力を吸収するために各人に絡み付こうとした。

 だがその延伸(えんしん)は力無く(たわ)み、(しお)れるように動かなくなった。


 その現象を(いぶか)しんだイリアが咄嗟(とっさ)にステラを見遣(みや)ると、彼女の背中が明らかに強張(こわば)り、立ち尽くしたまま(かす)かに肩を震わせているのが(わか)った。


「…ステラ? 大丈夫か?」


 イリアは問いかけながらも、ステラの心境には察しが付いていた。

 これまでステラには何度か(つる)を操って他者を拘束したり魔力を吸い上げるなど依頼したりすることはあったが、生命(いのち)の源が枯渇(こかつ)するまで害するよう指示したことはなかった。
 元より彼女は生前厄災を引き起こした際も、誰1人としてその力で(あや)めてはいないことをイリアは知っていた。


『何があるか(わか)らない世界で(ひと)りで無茶をして、傷付いてほしくない。貴女(あなた)が自分を(かえり)みないのなら、私も全力で貴女(あなた)を止めてみせる。』

『誰の手も取り(こぼ)さず(すく)い上げること、それが私の欲望なんです。そのためなら、不思議と力が湧いてくるんです…!!』

『本当は悪魔の力を振り(かざ)さずとも話を交わし合えるはずだから、それまで貴女(あなた)を手放したくないだけなの。』


 そう言って(すで)に死んだ身である『宿主』達でさえ見捨てようとしなかったにも(かかわ)らず、護り続けてきた(みな)の存在を消し去る役割を課すことが如何(いか)に非情なことか、イリアは重々承知していたつもりだった。


『もうこれ以上、誰もこの世界で(ひと)りになんてさせない。(みな)が納得して人生の続きを終えられることを、私は諦めたくないから。』


 他方でステラがこのように発言したことも確かであり、今がまさにその時なのだと彼女自身も納得したものだと思い込んでいた。

 だが実際にその時を最も受け入れ(がた)く感じていたのは、(まぎ)れもなくステラ本人だった。



「…ごめんなさい、イリアさん。私、ちゃんとやるから……!」


 (うつむ)きながら背中越しに答えたステラの声音は、(わか)(やす)怖気(おじけ)づいていた。
 イリアの両隣の4人も事態の膠着(こうちゃく)に気付き始め、クランメも座ったままステラの様子を一瞥(いちべつ)しようと顔を(かし)げた。

 そんななかピナスは真っ先にステラの心境に勘付(かんづ)いていたのか、小さく溜息を付いたのちぶっきらぼうに提案した。


最期(さいご)の最後で不本意な(ごう)を背負うこともなかろう。やはりここは(わし)蒼獣(そうじゅう)と化して(みな)を喰らい、残った(わし)だけを(つる)の力で呑み込む手筈(てはず)が好ましいのではないか。魔力を集約して譲渡するという原理自体には(ほとん)ど大差は無いはずだが。」


 だがそれに対し、イリアの右側からネリネが即座(そくざ)に難色を示した。


「嫌よ、獣に喰らわれて迎える最期(さいご)だなんて(みじ)めったらしい…()(つる)(くる)まれて消え行く方が(やす)らかで良いわ。」


「…何だと!?」


 (たちま)ちピナスとネリネが(にら)みを()かせ合い、ドールがピナスを、ロキシーがネリネを(なだ)めようと慌ただしく声をかけた。
 その間もステラは振り返ることなく押し黙っており、地中から生えた(つる)も一向に伸びる気配がなかった。

 不穏な空気に囲まれたイリアは一旦この場を落ち着かせるべく一喝(いっかつ)しようと息を吸い込んだが、(すんで)のところで躊躇(ためら)って言葉を詰まらせた。
 一度決したこととはいえ、軍人どころか部下ですらない彼女達に頭ごなしに命じる立場も(いわ)れも無いという再三の警告がイリアの脳裏(のうり)に響いていた。


——どうする? ステラの精神的負担が大きいのなら段取り自体を変えるべきか? いや、リヴィア女史(じょし)に次善策を相談する余裕は無い…最も重要な役割を担うリヴィア女史(じょし)にとって最も都合の良いやり方を貫徹するしかない。

——ステラも理屈ではそれが正しいと(わか)っているはずだ。そんな彼女に…今更何と(さと)すべきなのだろう。


 ステラとは生前から親交があったとはいえ、根本的には軍人と軍管轄(かんかつ)施設の職員という関係性であり、(よわい)の差もあってかイリアは最初から敬われ(した)われていた。
 この死後の世界でも彼女は常にイリアに随伴(ずいはん)するように行動し、指示を仰いでいた。

 だがその心情と彼女が(いだ)く信条とは別物であり、献身的な態度に甘んじてこれを(ないがし)ろにしていた自分を、イリアは今になって(かえり)みた。

 すると、胸の孔の奥に(つか)えていた何かが忽然(こつぜん)と消え去ったような気がした。


——役割分担や効率ばかりを考えて…道理で最期(さいご)まで心が晴れないわけだ。ステラの負担は(やわ)らげるのではなく、(みな)



——共に悪魔を宿した仲間として。その提案を納得させられるだけの功労が、ステラにはある。



 意を決したイリアはもう一度ゆっくりと息を吸い込み、冷たく(いが)み合うピナスとネリネの間で静かに言い聞かせた。


「…(みな)、足元に生えている(つる)(つか)むんだ。そして我々自身で悪魔の力を手放し、この(つる)に注ぎ込むんだ。(たましい)ごと力が奪われる感覚は、各々(おのおの)が生前に味わったはずだろう。(すで)に本当の死を迎える決意を(いだ)いた我々になら、その奔流(ほんりゅう)を再現することが出来(でき)るはずだ。」


 そして(かが)み込み率先して左手で(つる)(つか)むと、ピナスやネリネ、ドール、ロキシーは段取りを裏返すような提案に呆気(あっけ)にとられた。

 それでも()ぐに理解を示したドールが身を(かが)め、イリアの姿勢に(なら)った。


「そうですね。多分、出来(でき)ると思います。やってみましょう。」


 その隣ではピナスもまた、(あき)れた表情のまま同意を示して腰を下ろした。


「確かに、その方が手っ取り早いだろうな。決意が揺らがぬうちに一思(ひとおも)いに終わらせるとしよう。」


 反対側では、ネリネもまたロキシーに引き寄せられる形で姿勢を低くしており、渋々(しぶしぶ)提案に応じていた。


「まぁアヴァリーさんには色々と迷惑もかけたし、自分の最期(さいご)まで(ゆだ)ねてたらまるで釣り合わないわよね。」


「アヴァリー様、この世界では本当にお世話になりました。リヴィア様も…(みな)の魔力を、どうか(よろ)しくお願いいたします。」


 ロキシーが代表するように謝辞を述べると、次々に差し向けられる気遣(きづか)いにステラの強張(こわば)りが限界を迎え、(くすぐ)られる感覚から(のが)れるように声音をひっくり返した。


「ちょ、ちょっと待ってよ!? (みんな)急にそんなこと……!?」


「ステラ、振り向くな。(つる)に意識を集中させろ。」


 だがその身動(みじろ)ぎをイリアが低い声音で制すると、ステラは反射的に身を堅くして震えを抑えつけようとした。
 それでも不安と焦燥(しょうそう)(にじ)む背中を見つめながら、イリアは穏やかに声を掛けた。


「…ステラ、(きみ)にはとても感謝している。(きみ)の献身的な心が…生前から何一つ変わらない、誰にでも手を差し伸べようとする姿が、今ここにいる(みな)(つな)ぎ止めたんだ。だから我々は、最後にその献身に(こた)えさせてもらう。(きみ)が差し出すことを躊躇(ためら)うその手を、今度は我々が握り返す。だから我々の生命(いのち)を、(すべ)てを預かってほしい。後のことは…頼んだぞ。」



 そう告げた直後、イリアは左手で(つる)を握り締めたまま黄蘗色(きはだいろ)の瞳を閉じ、胸元に開いた(あな)鎧越(よろいご)しに(おお)うように右手を添えた。

 脳裏(のうり)には(かつ)てルーシー・ドランジアに首元を(つか)まれ、全身が崩れて1つの(かたまり)に押し込められる悪夢のような記憶が焼き付いていた。
 だが(おく)すことなくそれを再現するように——もう一度心臓を作り出すように、(みずか)らの存在を構成する魔力を推し崩して右の(てのひら)に集約させていった。


 他方でそれが進行するに連れて意識が徐々に靄掛(もやが)かり、両手を除く感覚が曖昧(あいまい)なものと化していった。

 だがそこには痛みも苦しみもなく、(むし)

能動性があった。元より魔力の残滓(ざんし)のような存在であったためか、内側から自壊することに不思議と支障がなかった。

 とはいえそれだけでは意味がなく、最終的には魔魂(まこん)に戻ろうとするこの身をステラに(つる)の力で吸収してもらう必要があった。
 その結末をイリアが見届けることは叶わなかったが、ステラが必ず受け止めてくれることを信頼し託していた。


——ソンノム霊園での死に(ぎわ)、私は議長に対して確かな不満を(こぼ)していた。何故(なぜ)(ひと)りで(すべ)てを抱え込むのか、力になりたいと願う眼差(まなざ)しを見てくれないのか、と。

——だが至らなかったのは私の言葉や態度ではなく、手を取るために踏み出す一歩だったのだ。いや、家柄や立場を気にして常に周囲を退()いて見ていた私は、他人(ひと)よりも

踏み込まなければ真に相手の心に手が届くことなどなかったのだ。

——最期(さいご)の最後でそのことに気付いて…(みな)のために役割を果たすことが出来(でき)て、本当に良かった……。




 ステラはイリアの残した言葉を()み締める一方で、背後を振り返ることが出来(でき)なかった。

 (つる)を握られる力が彼方此方(あちこち)で弱々しくなっていくのが(わか)り、相対的にステラの全身に鳥肌が立っていった。
 この不気味な白黒の世界で出会い、支え合ってきた(いく)つもの(とうと)い存在が(つい)に失われていく様は、覚悟していても胸の(あな)の奥に冷たい痛みを生み、立ち(くら)みを引き起こしそうであった。


 それでも(つる)の先端を細長く引き伸ばし、(かす)かに握られる力を辿(たど)って収縮しつつある各々(おのおの)魔魂(まこん)を絡め獲ると、一息にそれら(すべ)てを吸収した。

 途端(とたん)にステラの肩には想像を絶する重圧がかかり、愈々(いよいよ)立つことも(まま)ならず地に膝を付いた。


——これが…生命(いのち)の重みなのね……(いく)つもの他人(ひと)の命を奪うということなのね……!
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登場人物紹介

【ドール】齢19の修道女。

▶ラ・クリマス大陸北西部にあるディレクト州の歴史ある街ディレクタティオで暮らしており、グレーダン教の総本山であるディレクタティオ大聖堂に連なる修道院に属している。

▶生まれつきの白髪が忌み嫌われ、赤子の頃に大聖堂に託された孤児だった。

▶対人関係が希薄なため幼い頃から本の虫であり、好奇心が旺盛。

▶その性格が災いしてか、あることをきっかけに異端者、廻者として糾弾されることになり、その理不尽な仕打ちを機にラ・クリマスの悪魔を顕現させてしまう。

【死神】ドールの命を狙い対峙する謎めいた人物。

▶グレーダン教徒に似た紫紺のローブを纏い、真っ白で無機質な仮面を着けている。

▶グレーダン教に代々継承されてきた司教杖に似た、武器と言い難い杖を構える。

▶その先端に着装された黒い鉱石からは、悪魔を脅かす不思議な力が醸し出されている。

▶「死神」という名称は、ドールが便宜上付与したものにすぎない。

【ネリネ・エクレット】齢16の貴族令嬢。

▶大陸南東部ヒュミリア州、2大交易都市の1つであるメンシスを治める領主ホリー・エクレットの1人娘。

▶穏やかで物腰柔らかな性格だが、箱入り故に世間知らずである。艶のある金髪の持ち主。

▶だが突如メンシスを襲った猛烈な竜巻で被災し、親も家も失う。

▶街の再建を大陸軍に任せて親戚の元へ身を寄せることになるが、その言動はまるで別人になったようであった。

【カリム】大陸議会の事務官を名乗る青年。

▶年齢はネリネと同じくらいと思われ、左目を前髪で隠しており陰気そうな印象である。

▶身に付けている赤を基調としたシャツと議会所属を表すバッジを留めた黒地のチョッキは所定の制服のようなもの。

▶馬車に乗りメンシスを去るネリネに随行し、竜巻被害について聴取しようとする。

▶大陸北東部の孤児院の出身で、過去に何か苦い経験をしているようである。

【リリアン・ヴァニタス】ヴァニタス海賊団の若き首領。

▶巻き毛の金髪が特徴で、体術では随一の戦闘力を持つ。

▶急逝した父の遺言により、齢16にして首領の座を継承しているが、経験が乏しく未熟であるため、父の右腕であった幹部ローレンの助力を得ながら海賊団を存続させている。

▶海賊団はアルケン商会という善良な団体を騙る裏で、密輸品などの取引を働いていた。

【ロキシー・アルクリス】齢17の女使用人。

▶大陸中央部プディシティア州にあるセントラム農業盆地の領主クレオーメ・フォンス伯爵の別邸に仕える。

▶物心ついた頃から母レピアと共に別邸に棲み込みで従事しており、あまり外界との接触がない。

▶長い藍色の髪をしており、やや陰鬱な印象とは裏腹に齢離れした恵体の持ち主。

▶使用人長でもあるレピアとともに好からぬ秘密を抱えており、大陸軍側からの詮索を敬遠している。

【ルーシー・ドランジア】大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長。

▶すらりとした上背に長い黒髪を湛え、銀縁の眼鏡の奥に黄金色の瞳を覗かせる齢28の女性。

▶メンシス港の機能停止を受け、セントラムの生産品の出荷計画などを見直すべく部隊を牽引しフォンス邸別邸を訪れるが、密かに別の目的も念頭にあるらしくロキシーに探りを入れる。

▶飄々として掴みどころのない性格。身内も大陸議会の関係者であるらしい。

【ステラ・アヴァリー】齢24の孤児院管理人。

▶大陸北東部カリタス州の新興都市グリセーオで大陸軍が設立し運営を委託するジェルメナ孤児院に従事している。

▶領主キーウィ―・アヴァリーの1人娘であり、2年前に母から管理人の立場を継承している。

▶赤みがかった茶髪を三つ編みで束ねている。世話焼きで責任感や正義感が強い。

▶過去に厄災を経験して以来、1人でも多くの親なき子の命を護りたいと身を粉にして働いているが、結果としてこれ以上収容できないほどの孤児を拾ってしまい、食糧などの遣り繰りに頭を悩ませている。

【リオ】かつてジェルメナ孤児院で暮らしていた少女。

▶物語開始時点から7年前、グリセーオ西端を流れる川に独り漂着していたところを救助されたが、虚弱体質に陥っていたためジェルメナ孤児院に引き取られ静養することになる。

▶救助以前の記憶をほとんど引き出すことが叶わず、当時は齢7,8程度と推測されていた。

▶2年後に『強欲の悪魔』を顕現させてしまい、命を落としている。栗毛と鈍色の瞳が特徴。

【ピナス・ベル】伝説の瑠璃銀狼の血を引くラピス・ルプスの民の少女。

▶外見は齢12,3ほどだが、人間と比べて齢を重ねる間隔が緩やかで、既に30年生きている。

▶大陸北部アヴスティナ連峰の中腹にあるクラウザという集落で同胞と共に密かに暮らしている。

▶とある目的を果たすため『貪食の悪魔』を宿して鳥の姿となり、大陸西部へ向かっている。

▶7年前のとある出来事で人間側との軋轢を経験し、その際に『貪食の悪魔』を宿した母を失っているほか、サキナとも面識をもっている。

【オドラ―・ベル】ピナスの祖父であり、クラウザの集落を束ねる長老。

▶齢200を超え、ラピス・ルプスの民の特徴である銀色の毛並みは灰色にくすみ、全身毛むくじゃらである。

▶大陸の人間が内戦時代を経て現代に至るまでの歴史だけでなく、千年前から続く厄災についても口伝により知識を蓄えている。

▶人間と対立する気はないが、緩やかに数を減らしてく一族の行く末を憂い、『貪食の悪魔』を同胞から生み出さぬためにも、人間の手を借りてでも種を存続させるべきか思案している。

【クランメ・リヴィア】齢28の博物館職員兼調査研究員

▶大陸西部グラティア州、首都ヴィルトス近郊のアーレア国立自然科学博物館に従事している。

▶やや小柄で、分厚い眼鏡と象牙色の髪が特徴。大陸南西部ミーティス州の農村出身で、独特な訛りで喋る。

▶ルーシーとはグラティア学術院で同期生の関係だが、当時はあまり好ましい印象を抱いていなかった。

▶ラ・クリマスの悪魔の『封印』に関わるとある仕事を引き受けている。

【イリア・ピオニー】齢26にして大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長を務める軍人。

▶桃色がかった金髪と強い正義感の持ち主。国の平和のため心身を尽くそうとする厳格な性格。

▶現代に至る国内軍事を統括し続けた由緒あるピオニー家の娘。父ジオラスは元帥の地位にあり、2人の兄も同じく軍人である。

▶十代のころに出会ったルーシーの理想に感銘を受け、励まされたことでその背中を追い続けている。

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