第3話 古びた杖の使い方

文字数 4,845文字



「カリム殿、如何(いかが)されましたか。その不気味な青白い(つる)は、早急(さっきゅう)にディヴィルガムで取り払った方が(よろ)しいのではないでしょうか。」


 (ほの)かに明るく(きら)めく7体の(もや)にディヴィルガムを通じて語り掛けていたカリムは、突如(とつじょ)後方から低く(しと)やかな声音で問いかけられて思わず硬直していた。

 懸命に説得を試みるあまり周囲の警戒が(おろそ)かになっていたとはいえ、音も気配もなく背後に現れた『(かげ)の部隊』には気付く余地もなかった。
 そしてその声の主は、アーレア国立自然科学博物館の地下水路で出会った部隊員と同じ人物であった。


『…おい、どうしたカリム?』


 脳内にはイリアの(いぶか)しむ声音が響いたが、カリムはそれ以前の『(かげ)の部隊』からの素朴(そぼく)な進言に何と答えるべきかに(きゅう)しており、(こた)える余裕を持ち得なかった。

 部隊員の無機質な仮面越しからは、(もや)と化した『宿主』を視認しているのか(うかが)うことは困難であった。
 7体の(もや)はディヴィルガムを経由して初めて視認出来(でき)たものの、それが杖を持たぬ他者の目にも同様に映っているのか(いな)かは問い(ただ)しようがなかった。
 
 現に経緯(いきさつ)は不明だが地中から伸びた青白い(つる)に空色と碧色(へきしょく)(もや)が捕らえられており、彼女の進言からはどの範囲までを異変として認識しているのか判断するには不充分であった。


——『すみません、安易に話し込みすぎました。今この場で『(かげ)の部隊』から…詮索(せんさく)を受けています。』



 ディヴィルガムを通じて咄嗟(とっさ)に短く念じるように7体の(もや)へ語り掛けた(のち)、カリムは部隊員へと向き直った。


「大丈夫です、この通り…襲い来る気配がありませんから。それより、『宿主』は見つかりましたか。僕にはどうにも意思のない、(から)っぽの厄災が偶発的に生じているように感じるのですが。」


貴方様(あなたさま)の任は厄災を(はら)うこと。それはディヴィルガムを使う者としての唯一の責務であり、それ以外のことを憶測する必要はございません。」


 話題を()らそうと試みたものの、その部隊員は(まった)(なび)くことなく冷淡に(たしな)めた。

 カリムは内心舌打ちをしながら不自然に生えた青白い(つる)見遣(みや)ったが、掲げていた杖の先端を差し向けることには逡巡(しゅんじゅん)していた。
 現実の世界に集中していると、

にいる『宿主』から届く呼びかけも遠い木霊(こだま)のように判然としなかった。


——この(つる)()ぎ払うことは造作(ぞうさ)もないし、向こうの世界に()したる影響は出ないだろう。だがその行為自体は、この杖を通して『敵意』を向けることに他ならない。一度成功した向こうの世界との接触を切断しなければならない上に、向こうから見える自分がまた蛇のような脅威として映る可能性がある。

——()だドールさん以外の人達から明確な答えを得られていない以上、下手に脅威を(さら)して刺激させることはかえって不都合になるんじゃないのか? それともステラ先生に強くお願いすれば、(つる)を消してくれるのか? 今の俺をもう一度信用してくれるのか…?



 ディヴィルガムを使って悪魔を『封印』するため、ならびに具現化した魔力を遮断(しゃだん)するためには、『敵意』という感情が必要だった。

 元より鋭利(えいり)とはいえない先端を他人(ひと)の胸元に突きつけたり、厄災という脅威に立ち向かう所作(しょさ)そのものにある程度の『敵意』は含蓄(がんちく)されているのか、特段意識せずとも先端部分の隕石が魔力に接触すればそれで条件はほぼ充足されていた。

 そこに『命を奪う』『破壊する』などという意思を()せることでより具体的な結果を生み出すことが出来(でき)、カリム自身はディヴィルガムを繰り返し振るう中で、これを単なる悪魔対策の武器ではなく、悪魔に対して意思の方向性を定め拡張する道具であると捉えるようになっていた。


 それは隕石部分に蓄積された魔力の残滓(ざんし)(ふる)うに当たり(つく)んだ理解であり、現在もその理解に(のっと)って向こうの世界で存在し続ける『宿主』達との接触と意思疎通(いしそつう)を実現していた。

 他方でステラが宿した悪魔を『封印』する際、躊躇(ためら)っても動作を遡及(そきゅう)出来(でき)なかったように、一度隕石に()せた意思を即座(そくざ)に上書きすることに関しては(にぶ)いようであった。
 (ゆえ)に部隊員の指示通りに青白い(つる)へ杖を向けることは、『宿主』達に表明した意志や引き付けかけた関心を反故(ほご)にしてしまう懸念(けねん)があった。


 だがそうして立ち(すく)んでいるうちに(つる)は何かを察したように地中へと引っ込み、空色と碧色(へきしょく)の2体の(もや)が解放されて集合するように(ただよ)った。

 会話は個別に交わすことしか出来(でき)ないようで、カリムが意識を傾けても『宿主』達が何を話し合っているのかは聞き取れなかった。
 そのため一先(ひとま)ずは事態が好転したことに胸を()で下ろし、もう一度背後の部隊員へ向き直ると、何事もなかったかのように応対を続けた。


「…そうですね。(おっしゃ)る通り、僕は自分の役目だけに専念します。いま(しばら)くこの場で警戒を続けたいのですが、(よろ)しいでしょうか。」


「いいえ、カリム様にはこの場でディヴィルガムを引き渡していただき、本部にて実施される厄災対策会議に出席するよう要請が下っております。」



 部隊員は粛々(しゅくしゅく)言伝(ことづて)を果たしながら(ひざまず)き、両手を差し出して杖を受け取ろうという(わか)(やす)い姿勢に移った。

 カリムはその言動を前にして悪寒(おかん)が走ったが、同時に(ひら)けているはずのこの場所の彼方此方(あちこち)から部隊員と(おぼ)しき視線を向けられているような気がして、愈々(いよいよ)誤魔化(ごまか)しが機能しなくなった。


 そもそもジオラス元帥(げんすい)から電話で受けた命令は『ディヴィルガムを持って本部に(おもむ)』き『一連の事情を知る』者として部隊に協力することであり、その杖を掲げて厄災と対峙(たいじ)することではなかった。

 この部隊員はあくまでその命令を従順に遂行(すいこう)するために(ひざまず)いており、カリムが今ここで杖の譲渡を拒むことは造反ととられるどころか、幼稚な意地をひけらかす愚行(ぐこう)にしか成り得なかった。


——まずいな。ディヴィルガムを明け渡せば伯母さん(あのひと)対峙(たいじ)するどころか、それ以前に何か伝えることすら叶わなくなる。かといって直ちに場所を変えることも現実的じゃない。

——また飛行が出来(でき)蒼獣(そうじゅう)に連れ出してもらうか? いや、あのラピス・ルプスの民とは(ほとん)ど接点がなかったし、俺が向こうの人達に対してあれこれ指図(さしず)出来(でき)るような立場でもない。そもそも向こうの世界に干渉すれば、現実世界で不自然な沈黙が生まれてしまう。


——でも…この機を逃したら、俺はきっと一生後悔する。



 ルーシー・ドランジアが密かに厄災の無い世界を完成させるという趨勢(すうせい)自体は大義そのものであり、それを(はば)もうとするカリムの意志は、事情を知らないジオラス元帥(げんすい)や『(かげ)の部隊』が(さいな)まれているであろう焦燥(しょうそう)(あやか)った利己的な叛逆(はんぎゃく)でしかなかった。

 カリムはその客観的事実を()み締めながらも、自分の立つこの地が平穏な世界へと音もなく移り変わることを忌避(きひ)していた。
 静か過ぎる平穏の訪れは、(いく)つもの(ごう)を背負った自分ごと上塗りして埋めてしまうように思えて(むし)(おぞ)ましかった。

 実際ドランジアの別荘に着電があるまでは、重荷の()け口を失ってしまったような気がして(ひど)(うわ)ついていた。
 (ゆえ)にドールからルーシーの所在について聞かされてからは、その忌避(きひ)が叶えられる猶予(ゆうよ)と可能性に(すが)ろうとしていた。


——伯母さん(あのひと)が実現しようとしていることは正しい。でも何故(なぜ)最後の最後になって、誰にも知られない形で本懐(ほんかい)()げようとしているのかが(わか)らない。それじゃあ犠牲になった命もこれからを生きる命も、誰一人(だれひとり)(むく)われたと言えないんじゃないのか。

——だから、悪魔を宿し犠牲になった人達を頼ってでも伯母さん(あのひと)()い止める。いや、現実に生きている俺が立ち会わなければ意味がないし、唯一の肉親として俺だけがそれを成し得るんだ。今はそのためには…向こうの世界からの協力を切望するしかない。



 カリムは一旦大きな呼吸を挟むと、(ひざまず)き待ち構える名も知らぬ部隊員に向かって()っ気なく話し掛けた。


「その前に1つお尋ねしたいんですが…上層部はドランジア議長が悪魔の『封印』に失敗したと判断しておられるんですか。」


 思わぬ質問だったのか邪険に扱われたのか、(しば)しの沈黙があった後、部隊員は姿勢を変えることなく(つぶや)くように答えた。


「…その是非(ぜひ)も含めて、これから緊急の会議が予定されております。」


「やっぱりそうですよね。目にも見えない、形にも(のこ)らない成果なんて、()って無いようなものですよね。」


「……。」


「そういえばこの杖は、ドランジアの一族が代々受け継いできた物らしいですね。そして議長は行方(ゆくえ)(くら)ます以前に、所有していた財産の処遇を(すべ)て身内に(ゆだ)ねたそうなんです。その理屈で言うと、この杖もまたその身内の所有物と言えるんじゃないんですかね。」


「…(おそ)(なが)ら、何を(おっしゃ)っているのか…。」


 感情を押し殺したような想定通りの相槌(あいづち)に対し、カリムは一世一代の啖呵(たんか)を切ろうとした。


「それならこの際、はっきりと言わせてください。このディヴィルガムという杖を持つに相応(ふさわ)しいのは……!?」



 そのとき、カリムの威勢を遮断(しゃだん)するかのように突如(とつじょ)周囲に蒼炎(そうえん)()き上がり、(ひざまず)く部隊員との間を分断した。

 そして()()る背中全体を何か大きな物に(つか)まれ、カリムは蒼炎(そうえん)の壁をなぞるように高い(そら)へと放り出された。
 そのまま全身は砲丸(ほうがん)のように空気を切り裂き続け、つい先程蒼獣(そうじゅう)に連れ去られたときを上回る猛烈な速度で夜空を突き進んでいた。

 背後からは再び雷鳴と爆音が聞こえてきたが、(かたわ)らからは今にも()ちてきそうなほどに近い壊月彗星(かいげつすいせい)が、(はやぶさ)のような蒼獣(そうじゅう)とその鉤爪(かぎつめ)に捕らえられた青年を燦々(さんさん)と照らしていた。


 カリムは必死でディヴィルガムを胸に抱え込みながら、身体を運ばれる(まま)(ゆだ)ねつつ隕石部分に意識を集中させて語り掛けた。


——『すみません。ありがとうございます。どうにかあそこから離脱することが出来(でき)ました。』


自惚(うのぼ)れるな。(わし)らが貴様を利用するに値すると判断した(ゆえ)、このような手間を掛けざるを得なかったのだ。』


 すると、蒼獣(そうじゅう)の姿に転じていたピナスからの(あき)れたような返事がカリムの脳内に響いた。

 カリムは苦笑いを浮かべながらも、懇願(こんがん)が受け入れられ再び意思疎通(いしそつう)(はか)れたことに安堵(あんど)し、そのまま『宿主』達への対話を続けた。


——『(みな)さん、全員この蒼獣(そうじゅう)の上に乗っているんですか。』


 その問いかけに対しては、ステラの返事が届いていた。


『今ピナスさんに乗っているのは、私とネリネだけよ。ネリネには風の力で飛行速度を上げてもらって、私が2人に魔力を供給してるの。残った4人のうちイリアさんとドールが最低限の目晦(めくら)ましを引き起こしてから、リヴィアさんがセントラムのラ・クリム湧水湖(ゆうすいこ)(みんな)を連れて転移しているわ。』

『私達は今この大陸で記憶している場所に瞬間的に移動することが出来(でき)るみたいなんだけど、流石(さすが)に現実世界に()るカリムを巻き込むことは出来(でき)なくて…。だから別行動を()って、貴方(あなた)を物理的にセントラムへと運んでいるの。』


——『そんなことが…。それでグラティア州の彼方此方(あちこち)で厄災が起きているように見えていたのか。』


『ごめんなさいね。まさか現実の世界に被害が出ているなんて思わなくて…。』


——『大丈夫だよ先生。(むし)ろそのお(かげ)で、上層部が議長の行方(ゆくえ)を把握してないことや、計略の顛末(てんまつ)に不信感を(いだ)いていることが(わか)った。今なら議長を喰い止めても、何も現実世界に影響は出ない。だから気に病む必要なんて…。』


『あのねカリム、そのことなんだけど…貴方(あなた)に1つ()いておきたいことがあるの。』


 だが高揚しながら語り掛けていたカリムの台詞(せりふ)(さえぎ)って、ステラがどこか気後(きおく)れしながら問いかけてきた。


『ルーシーさんはね、今どういう状態なのか(わか)らないの。普通の人間はあんな深い湖の底で生きられないから…私達と同じように生身(なまみ)を捨てて魔力そのものになってるんじゃないかってリヴィアさんは推測しているみたいなの。』

『だから貴方(あなた)がルーシーさんを喰い止めると言っても、対話が出来(でき)るとは限らないし、結果的にルーシーさんの存在自体を消滅させることになるかもしれない。貴方(あなた)は…唯一の肉親だっていう貴方(あなた)は、本当にそれでも構わないの?』
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登場人物紹介

【ドール】齢19の修道女。

▶ラ・クリマス大陸北西部にあるディレクト州の歴史ある街ディレクタティオで暮らしており、グレーダン教の総本山であるディレクタティオ大聖堂に連なる修道院に属している。

▶生まれつきの白髪が忌み嫌われ、赤子の頃に大聖堂に託された孤児だった。

▶対人関係が希薄なため幼い頃から本の虫であり、好奇心が旺盛。

▶その性格が災いしてか、あることをきっかけに異端者、廻者として糾弾されることになり、その理不尽な仕打ちを機にラ・クリマスの悪魔を顕現させてしまう。

【死神】ドールの命を狙い対峙する謎めいた人物。

▶グレーダン教徒に似た紫紺のローブを纏い、真っ白で無機質な仮面を着けている。

▶グレーダン教に代々継承されてきた司教杖に似た、武器と言い難い杖を構える。

▶その先端に着装された黒い鉱石からは、悪魔を脅かす不思議な力が醸し出されている。

▶「死神」という名称は、ドールが便宜上付与したものにすぎない。

【ネリネ・エクレット】齢16の貴族令嬢。

▶大陸南東部ヒュミリア州、2大交易都市の1つであるメンシスを治める領主ホリー・エクレットの1人娘。

▶穏やかで物腰柔らかな性格だが、箱入り故に世間知らずである。艶のある金髪の持ち主。

▶だが突如メンシスを襲った猛烈な竜巻で被災し、親も家も失う。

▶街の再建を大陸軍に任せて親戚の元へ身を寄せることになるが、その言動はまるで別人になったようであった。

【カリム】大陸議会の事務官を名乗る青年。

▶年齢はネリネと同じくらいと思われ、左目を前髪で隠しており陰気そうな印象である。

▶身に付けている赤を基調としたシャツと議会所属を表すバッジを留めた黒地のチョッキは所定の制服のようなもの。

▶馬車に乗りメンシスを去るネリネに随行し、竜巻被害について聴取しようとする。

▶大陸北東部の孤児院の出身で、過去に何か苦い経験をしているようである。

【リリアン・ヴァニタス】ヴァニタス海賊団の若き首領。

▶巻き毛の金髪が特徴で、体術では随一の戦闘力を持つ。

▶急逝した父の遺言により、齢16にして首領の座を継承しているが、経験が乏しく未熟であるため、父の右腕であった幹部ローレンの助力を得ながら海賊団を存続させている。

▶海賊団はアルケン商会という善良な団体を騙る裏で、密輸品などの取引を働いていた。

【ロキシー・アルクリス】齢17の女使用人。

▶大陸中央部プディシティア州にあるセントラム農業盆地の領主クレオーメ・フォンス伯爵の別邸に仕える。

▶物心ついた頃から母レピアと共に別邸に棲み込みで従事しており、あまり外界との接触がない。

▶長い藍色の髪をしており、やや陰鬱な印象とは裏腹に齢離れした恵体の持ち主。

▶使用人長でもあるレピアとともに好からぬ秘密を抱えており、大陸軍側からの詮索を敬遠している。

【ルーシー・ドランジア】大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長。

▶すらりとした上背に長い黒髪を湛え、銀縁の眼鏡の奥に黄金色の瞳を覗かせる齢28の女性。

▶メンシス港の機能停止を受け、セントラムの生産品の出荷計画などを見直すべく部隊を牽引しフォンス邸別邸を訪れるが、密かに別の目的も念頭にあるらしくロキシーに探りを入れる。

▶飄々として掴みどころのない性格。身内も大陸議会の関係者であるらしい。

【ステラ・アヴァリー】齢24の孤児院管理人。

▶大陸北東部カリタス州の新興都市グリセーオで大陸軍が設立し運営を委託するジェルメナ孤児院に従事している。

▶領主キーウィ―・アヴァリーの1人娘であり、2年前に母から管理人の立場を継承している。

▶赤みがかった茶髪を三つ編みで束ねている。世話焼きで責任感や正義感が強い。

▶過去に厄災を経験して以来、1人でも多くの親なき子の命を護りたいと身を粉にして働いているが、結果としてこれ以上収容できないほどの孤児を拾ってしまい、食糧などの遣り繰りに頭を悩ませている。

【リオ】かつてジェルメナ孤児院で暮らしていた少女。

▶物語開始時点から7年前、グリセーオ西端を流れる川に独り漂着していたところを救助されたが、虚弱体質に陥っていたためジェルメナ孤児院に引き取られ静養することになる。

▶救助以前の記憶をほとんど引き出すことが叶わず、当時は齢7,8程度と推測されていた。

▶2年後に『強欲の悪魔』を顕現させてしまい、命を落としている。栗毛と鈍色の瞳が特徴。

【ピナス・ベル】伝説の瑠璃銀狼の血を引くラピス・ルプスの民の少女。

▶外見は齢12,3ほどだが、人間と比べて齢を重ねる間隔が緩やかで、既に30年生きている。

▶大陸北部アヴスティナ連峰の中腹にあるクラウザという集落で同胞と共に密かに暮らしている。

▶とある目的を果たすため『貪食の悪魔』を宿して鳥の姿となり、大陸西部へ向かっている。

▶7年前のとある出来事で人間側との軋轢を経験し、その際に『貪食の悪魔』を宿した母を失っているほか、サキナとも面識をもっている。

【オドラ―・ベル】ピナスの祖父であり、クラウザの集落を束ねる長老。

▶齢200を超え、ラピス・ルプスの民の特徴である銀色の毛並みは灰色にくすみ、全身毛むくじゃらである。

▶大陸の人間が内戦時代を経て現代に至るまでの歴史だけでなく、千年前から続く厄災についても口伝により知識を蓄えている。

▶人間と対立する気はないが、緩やかに数を減らしてく一族の行く末を憂い、『貪食の悪魔』を同胞から生み出さぬためにも、人間の手を借りてでも種を存続させるべきか思案している。

【クランメ・リヴィア】齢28の博物館職員兼調査研究員

▶大陸西部グラティア州、首都ヴィルトス近郊のアーレア国立自然科学博物館に従事している。

▶やや小柄で、分厚い眼鏡と象牙色の髪が特徴。大陸南西部ミーティス州の農村出身で、独特な訛りで喋る。

▶ルーシーとはグラティア学術院で同期生の関係だが、当時はあまり好ましい印象を抱いていなかった。

▶ラ・クリマスの悪魔の『封印』に関わるとある仕事を引き受けている。

【イリア・ピオニー】齢26にして大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長を務める軍人。

▶桃色がかった金髪と強い正義感の持ち主。国の平和のため心身を尽くそうとする厳格な性格。

▶現代に至る国内軍事を統括し続けた由緒あるピオニー家の娘。父ジオラスは元帥の地位にあり、2人の兄も同じく軍人である。

▶十代のころに出会ったルーシーの理想に感銘を受け、励まされたことでその背中を追い続けている。

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