第16話 大蛇と灯火

文字数 5,104文字



 白と黒で(つく)られた世界。天井に開いた(あな)から金色の(ちり)のようなものが深々(しんしん)と舞い落ちるだけの、無間(むけん)とも表すべき(むな)しき世界。

 その世界は少しずつ音もなく収縮し始めており、陸地の西端にある黒い花畑に囲まれた広場は、(にじ)り寄る金色の波と白い壁に呑まれて




 それを知ってか知らずか、とある黒く広大な廃墟の前では(すべ)てを終わらさんと(なげ)くような(あお)い炎が噴き上がり、他方でそれを抑え込もうと白い天井から雷撃が降り注いでいた。
 双方がぶつかり合う(たび)に連鎖的に弾けるような爆発が生じ、(つんざ)く悲鳴のようにこの世界の隅から隅まで(とどろ)き渡っていた。



 『悲嘆(ひたん)の悪魔』を宿す白髪(はくはつ)の修道女ドールは、この世界で生き(なが)らえようと画策する他の悪魔()きの6人を討ち滅ぼそうと辺り一面に蒼炎(そうえん)を放ち続けていた。

 悪魔を宿した者は預言者グレーダンが授かった神託(しんたく)(すなわ)ち『7つの(いまし)め』に(のっと)り滅ぶべきであり、それは彼女が生前(つちか)ってきた自己保存の手段とも言える信条であった。
 先天的な白髪(はくはつ)を世間から()み嫌われて社会との(つな)がりから脱落しないために、髪を隠す修道服を着用し続けるために必要な模倣だった。

 (ゆえ)にその信条や模倣を否定されることはドールにとって自失の危機であり、止め()ない『悲嘆(ひたん)』の源泉になっていた。
 信条を否定され、抵抗され、相手を焼き尽くさなければ自分が救われないことが只管(ひたすら)(つら)く悲しかった。


 そんなドールの心境は燃え盛る蒼炎(そうえん)とは裏腹に冷たく静まり返っており、(うつ)ろに輝く深紅(しんく)の瞳で戦況を(しか)と捉えていた。

 ドールに反撃を仕掛けているのは雷撃を操るイリアと、風を操るネリネであった。ステラとクランメはそれぞれ気を失ったピナスとロキシーを介抱(かいほう)し、イリアの後方に身を(ひそ)めていた。

 代わりに攻勢に出ているのがネリネであり、暴風を()き散らして味方を(あお)い炎や黒い爆煙から(かば)いつつ、(みずか)らも風に乗りナイフを片手に近接戦を仕掛けていた。
 だがドールの胸の内に(たぎ)る『悲嘆(ひたん)』が全身を(たかぶ)らせる炎熱となり、人並み外れた反射神経を生み出して逆にネリネを蒼炎(そうえん)牽制(けんせい)し返していた。

 その応酬(おうしゅう)がどれだけ続いたのか体感は曖昧(あいまい)だったが、ドールは流石(さすが)(らち)が明かない状況を憂慮(ゆうりょ)し始めていた。


——どうにも私の炎とあの軍人さんの雷撃とは相性が悪い。折角(せっかく)(おこ)した炎が魔力ごと横取りされて、電撃に変換されているみたい。

——あのがなり立てるような雷撃は、『憤怒(ふんど)の悪魔』が生み出すものだったはず。私が力を(ふる)う限りはその(いか)れる感情は収まらないのでしょうけど、そんなに何人も(まも)りながら(あらが)えるとは思えない。それならやっぱり、優先的に仕留(しと)めるべきは……。


 ドールは爆煙に(まぎ)れて死角から何度目かの奇襲を仕掛けるネリネの気配を察すると、舞い踊るように揺らめいてナイフの斬撃や素早(すばや)蹴撃(しゅうげき)(かわ)し、受け流した。

 その中でもネリネの攻撃の(くせ)を徐々に把握しつつあり、(つい)にナイフを(かざ)す右手首を固く捕らえた。

 ネリネはその反撃に驚きを隠せなかったが、()かさず(まゆ)()り上げて、逃げる隙を(うかが)うようにドールを(なじ)った。


「…あんた、本当に修道女なの!? どう見ても教会でお祈りしてる女の動きじゃないんだけど!?」


 ドールはその吸い込まれるような空色に(きら)めく瞳と視線を合わせながら、冷笑(せせらわら)うように答えた。


可笑(おか)しいわよね…もう死んでいるはずなのに全身が(ほとぼ)りに満ちたように湧き立って、まるで私が何人も増えたみたいに感覚が洗練されて、ちょうど今も信じられないほどの腕力と握力と体幹を発揮(はっき)しているの。きっとこれもまた

なのかもね。」

「…それを言うなら貴女(あなた)だって、もう貴族令嬢の振りは止めたの? 嵐を(もたら)す悪魔の宿主は他人(ひと)に成り代わって世の中に()け込む『虚栄(きょえい)』なる者だって、昔読んだことがあったのだけれど。」


 純白のキャミソール姿で暴れ回っていたネリネはその追及を受けて目を見開き、明らかに動揺したように(うかが)えた。一方のドールは(あや)しい笑みを浮かべたまま、更に追い打ちをかけた。


「それに貴女(あなた)…他の人達よりも一段と炎を恐れてるみたいね。何か生前嫌な思い出でもあったのかしら?」



 だが言い聞かせているネリネの驚愕(きょうがく)の視線が何故(なぜ)かドールを()かしていることを察すると、(たちま)ち脳内に警鐘(けいしょう)が鳴り響き、息を呑んで背後を振り返った。

 その隙をネリネは(のが)さず、暴発するような風をドールに叩きつけて拘束から離脱し、同時に大きく距離をとった。
 流石(さすが)のドールも体勢を崩して仰向(あおむ)けに転倒しかけたが、(かろ)うじて身を(ひね)り両手両膝を地面に付く恰好(かっこう)(こた)えた。

 そして突如(とつじょ)出現した脅威を牽制(けんせい)するように、周囲に蒼炎(そうえん)を一段と高く噴き上げた。

 目の前では全身が黒く(すす)けたような巨大な蛇が鎌首(かまくび)(もた)げており、不気味な黄金色(こがねいろ)の単眼でドールの姿を捉えていた。


 その上空を飛び越えるように青白い鳥が羽搏(はばた)き、ステラの腕に抱えられているピナスの身体に吸い寄せられて溶け込んだ。

 するとピナスは小刻みに身体を震わせてくぐもった笑いを(こぼ)したので、ステラは喜びと戸惑いが入り混じった複雑な表情で声を掛けた。


「ピナスさん…? 大丈夫…なんですか…?」


「…ああ、心配をかけたなステラよ。例の広場の奥で怪しい魔力の痕跡(こんせき)があった(ゆえ)、分身を生み出して捜索(そうさく)させておったのだ。すると何とも禍々(まがまが)しい、魔力を()らう大蛇が(ねぐら)へと戻っていくのを見つけてのう…空腹(ゆえ)か姿を現したところを捕らえて()(さら)ってきたのだ。」


 ピナスは(みずか)らの足で立ち上がりながら釈明すると、黒い大蛇と対峙(たいじ)するドールの背中に向かって北叟笑(ほくそえ)みながら声を荒げた。


「邪教を妄信(もうしん)する女よ、(かたく)なに絶望し打ち(ひし)がれるのなら望み通りの死を与えてやる! 死にたいのなら(ひと)りでに死ね!!」


「…!? …ちょっと待って、ピナスさん!!」


 その宣告に狼狽(ろうばい)したのは、ドールと会話の余地を模索していたステラの方だった。だがドールにはその悶着(もんちゃく)を振り返る余裕など皆無(かいむ)であり、襲い掛かかってくる黒い大蛇から目を離せなかった。

 ピナスの台詞(せりふ)通りならこの場にいる7人全員が等しく(えさ)同然のはずであったが、大蛇は脇目(わきめ)も振らず間近(まぢか)にいたドールに牙を向けていた。

 そして胸の(あな)を突き抜けてくる鋭い敵意には、はっきりとした心当たりがあった。


——『死神』が持っていた古びた杖…ディヴィルガムみたいな武器から仕向けられていた感覚と同じだわ。…いや、あのときよりも更に強くて鋭利で、(おぞ)ましいような…!?


 明確な畏怖(いふ)に鳥肌が立ったドールは、それを払拭(ふっしょく)するかのように精一杯の蒼炎(そうえん)を放出して黒い大蛇を迎撃しようとした。

 だが大蛇は炎の中を切り()くようにうねりながら突撃を続け、(たちま)ちドールの頭上に(せま)って大顎(おおあご)を振り(かざ)した。

 『悲嘆(ひたん)』に(まみ)れた感情の爆発など容易(たやす)()し潰すような、乱暴とも言える敵意を前にドールはすっかり立ち(すく)み、()(すべ)なく大いなる闇に呑まれた。




 どれだけ気を失っていたのか、そもそも意識が途切(とぎ)れていたのかすらも(わか)らないまま、ドールは一面の暗闇の中で周囲を見渡す感覚だけを味わっていた。

 それは(かつ)(ただよ)った『死』の空間を彷彿(ほうふつ)とさせたが、身体は(とろ)け出すことなく原型を保っており、地に足が付いている確かな自覚があった。
 思考もはっきりしている一方で、魔力の放出を抑圧されているような息苦しさを感じていた。


——ここは…あの不気味な蛇のお(なか)の中なのかしら? 驚いたわ…あの世界にあんな()(もの)がいたなんて。


 ドールはこの状況とは裏腹に、御伽噺(おとぎばなし)(えが)かれるような規格外の大蛇を冷静に思い返していた。そしてどこか脱出する方法はないものかと、少しの間平坦(へいたん)な暗闇を(あて)もなく彷徨(さまよ)っていた。

 すると、無音だったはずの闇の中で誰かが(すす)り泣く声が聞こえた。


——誰かがいる? 子供みたいな泣き声…もしかして私と同じように、蛇に呑まれているっていうの?


 その声音を辿(たど)ってドールは慎重に、だが()るような足早で暗闇を()き分けた。

 (やが)てその()(そば)まで行き着いたものの、相変わらず視界は黒一色に()られて泣き声の(ぬし)を捉えることは出来(でき)なかった。

 困り果てたドールだったが、不図(ふと)思い付いたように小さな蒼炎(そうえん)(あかり)を生み出した。
 空間一帯を燃やし尽くすような魔力は依然(いぜん)として発揮(はっき)出来(でき)なかったが、周囲を照らすランタンのような炎を掲げる程度は支障がなかった。


 そしてその灯火(ともしび)は、足元に(うずくま)る子供の影を見つけるのに充分であった。
 子供の姿そのものが影のように(おぼろ)げで、曖昧(あいまい)輪郭(りんかく)からは片目を前髪で隠す少年か少女であることを、突如(とつじょ)(とも)された(あお)(あかり)に驚いた表情で察していた。


(きみ)、大丈夫? びっくりさせてごめんね。」


 ドールは極力(きょくりょく)優しい声音を取り(つくろ)いながら(かが)み込んだが、影のような子供は()ぐに(ふさ)ぎ込むように膝に顔を(うず)めた。
 その理由が白髪(はくはつ)忌避(きひ)したからではないことを密かに願いながら、ドールは更に語り掛けた。


「安心して。怖い思いをしたのでしょうけど、私が(きみ)を外に連れ出して見せるから。」


 だが勇気付けたにも(かかわ)らず子供はかえって(おび)え出し、両腕で更に窮屈(きゅうくつ)に膝を抱えたように見えた。


『…駄目(だめ)だ……俺に…行く宛なんてない……これから何をすれば…いいのかも…(わか)らない……。』


 その(かす)かに響く声音からは、男子か女子かの判別は出来(でき)なかった。ドールは悄気(しょげ)たような子供への接し方に再三(さいさん)戸惑ったが、なんとか心を開かせようと声を掛け続けた。


「お父さんやお母さんは、どうしたの?」


『…ずっと前に…死んじゃった…。』


「他に誰か、頼れる人はいないの?」


『……いない…。』


「じゃあ今はお姉さんを頼っていいよ。これでもお姉さんは…その、教会に仕えていたことがあったから。修道女って言ってね、(みんな)の悩みとか、不安なこととかを聞くのは上手なんだよ。」


 あくまでそれは一般的な修道女の生業(なりわい)であり、白髪(はくはつ)(うと)まれていた生前のドールは信者の前に立つことすら許されていなかった。
 
 その後ろめたさを抱えつつも、現状を打開するためにこの子供に寄り添える手段を模索していた。
 他方で影のような子供は、()だ少し躊躇(ためら)いつつも憮然(ぶぜん)としたように(こた)えた。


『……沢山(たくさん)の人の命を…奪った。…その中には…修道女の人もいた。……それでも…同じことが言えるの……?』



 ドールはこの(ちぢ)こまった子供が(およ)そ口にするとは思えない返答の中身に、思わず目を丸くした。だがその動揺を気取られないよう、()かさず微笑(ほほえ)み返した。


「大丈夫。私の答えは変わらないわ。だって(きみ)は後悔しているんでしょう。どうしてそんなことをしてしまったのか、()いてもいい?」


『…そうする以外に……生きる(すべ)が…理由が……なかったから……。』


(きみ)は、自分の意志で人の命を奪っていたの? それとも、誰か逆らえないような他人(ひと)の言いなりになってやっていたの?」


『……(わか)らない……けど…どっちにしろ……許されることじゃ…ない。…誰も俺を罰さなくても……命を奪われた人は…ずっと…俺のことを見ている。…誰にも罰せられない…代わりに……奪った命の分だけ価値ある人生を歩めるかどうか…張り付くように審査してるんだ……。』


 影のような子供は徐々に口数が増えつつあったが、ドールにとっては耳が痛む内容でもあった。

 あの夜『悲嘆(ひたん)』のままに何百という教徒達を焼き尽くしたドールにはそのような罪悪感を(いだ)いたことも、冷たい眼差(まなざ)しを投げかける面影(おもかげ)を感じたこともなかった。
 (ある)いはそれらもまた『悲嘆(ひたん)』の栄養分として、自然と溶け込んでしまったのかもしれないと推測した。

 それ(ゆえ)に、この子供が測り知れないほどの重荷を背負ってしまったことが痛いほどに伝わってきていた。
 ドールは何と(こた)えるべきか(しば)し思案を巡らせていたが、自分が(すで)に死んだ身であることを踏まえて(ささや)くように言い聞かせた。


「実は私もね、大勢の人の命を奪ったことがあるんだ…そうしないと私自身が殺されていたから。まぁ結局は後になってから命を狙われて殺されちゃったし、私を殺した人については素性(すじょう)も声も(わか)らないんだけどね。でも私はその人のことを(うら)んではいないし、私の分まで良い人生を送ってほしいなんて思ってないんだ。」

勿論(もちろん)命を奪ったからにはそこに()(とう)な意味を見出(みいだ)してほしいとは思うけど、そんなの確かめようがないしね。こんな私は死んで当然だったし、(むし)

あの『死神さん』には、感謝してるくらいなんだけどね。」


 鬱屈(うっくつ)した子供には、少しでもその重荷が軽減されるよう(なだ)め掛けていたつもりであった。
 
 だがその子供はドールの励ましを聞き終わると、影のように揺らめく輪郭(りんかく)強張(こわば)らせたのち、恐れ(おのの)くように問い返した。


『…あんたは……ディレクタティオにいた白髪(はくはつ)の修道女なのか?』
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登場人物紹介

【ドール】齢19の修道女。

▶ラ・クリマス大陸北西部にあるディレクト州の歴史ある街ディレクタティオで暮らしており、グレーダン教の総本山であるディレクタティオ大聖堂に連なる修道院に属している。

▶生まれつきの白髪が忌み嫌われ、赤子の頃に大聖堂に託された孤児だった。

▶対人関係が希薄なため幼い頃から本の虫であり、好奇心が旺盛。

▶その性格が災いしてか、あることをきっかけに異端者、廻者として糾弾されることになり、その理不尽な仕打ちを機にラ・クリマスの悪魔を顕現させてしまう。

【死神】ドールの命を狙い対峙する謎めいた人物。

▶グレーダン教徒に似た紫紺のローブを纏い、真っ白で無機質な仮面を着けている。

▶グレーダン教に代々継承されてきた司教杖に似た、武器と言い難い杖を構える。

▶その先端に着装された黒い鉱石からは、悪魔を脅かす不思議な力が醸し出されている。

▶「死神」という名称は、ドールが便宜上付与したものにすぎない。

【ネリネ・エクレット】齢16の貴族令嬢。

▶大陸南東部ヒュミリア州、2大交易都市の1つであるメンシスを治める領主ホリー・エクレットの1人娘。

▶穏やかで物腰柔らかな性格だが、箱入り故に世間知らずである。艶のある金髪の持ち主。

▶だが突如メンシスを襲った猛烈な竜巻で被災し、親も家も失う。

▶街の再建を大陸軍に任せて親戚の元へ身を寄せることになるが、その言動はまるで別人になったようであった。

【カリム】大陸議会の事務官を名乗る青年。

▶年齢はネリネと同じくらいと思われ、左目を前髪で隠しており陰気そうな印象である。

▶身に付けている赤を基調としたシャツと議会所属を表すバッジを留めた黒地のチョッキは所定の制服のようなもの。

▶馬車に乗りメンシスを去るネリネに随行し、竜巻被害について聴取しようとする。

▶大陸北東部の孤児院の出身で、過去に何か苦い経験をしているようである。

【リリアン・ヴァニタス】ヴァニタス海賊団の若き首領。

▶巻き毛の金髪が特徴で、体術では随一の戦闘力を持つ。

▶急逝した父の遺言により、齢16にして首領の座を継承しているが、経験が乏しく未熟であるため、父の右腕であった幹部ローレンの助力を得ながら海賊団を存続させている。

▶海賊団はアルケン商会という善良な団体を騙る裏で、密輸品などの取引を働いていた。

【ロキシー・アルクリス】齢17の女使用人。

▶大陸中央部プディシティア州にあるセントラム農業盆地の領主クレオーメ・フォンス伯爵の別邸に仕える。

▶物心ついた頃から母レピアと共に別邸に棲み込みで従事しており、あまり外界との接触がない。

▶長い藍色の髪をしており、やや陰鬱な印象とは裏腹に齢離れした恵体の持ち主。

▶使用人長でもあるレピアとともに好からぬ秘密を抱えており、大陸軍側からの詮索を敬遠している。

【ルーシー・ドランジア】大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長。

▶すらりとした上背に長い黒髪を湛え、銀縁の眼鏡の奥に黄金色の瞳を覗かせる齢28の女性。

▶メンシス港の機能停止を受け、セントラムの生産品の出荷計画などを見直すべく部隊を牽引しフォンス邸別邸を訪れるが、密かに別の目的も念頭にあるらしくロキシーに探りを入れる。

▶飄々として掴みどころのない性格。身内も大陸議会の関係者であるらしい。

【ステラ・アヴァリー】齢24の孤児院管理人。

▶大陸北東部カリタス州の新興都市グリセーオで大陸軍が設立し運営を委託するジェルメナ孤児院に従事している。

▶領主キーウィ―・アヴァリーの1人娘であり、2年前に母から管理人の立場を継承している。

▶赤みがかった茶髪を三つ編みで束ねている。世話焼きで責任感や正義感が強い。

▶過去に厄災を経験して以来、1人でも多くの親なき子の命を護りたいと身を粉にして働いているが、結果としてこれ以上収容できないほどの孤児を拾ってしまい、食糧などの遣り繰りに頭を悩ませている。

【リオ】かつてジェルメナ孤児院で暮らしていた少女。

▶物語開始時点から7年前、グリセーオ西端を流れる川に独り漂着していたところを救助されたが、虚弱体質に陥っていたためジェルメナ孤児院に引き取られ静養することになる。

▶救助以前の記憶をほとんど引き出すことが叶わず、当時は齢7,8程度と推測されていた。

▶2年後に『強欲の悪魔』を顕現させてしまい、命を落としている。栗毛と鈍色の瞳が特徴。

【ピナス・ベル】伝説の瑠璃銀狼の血を引くラピス・ルプスの民の少女。

▶外見は齢12,3ほどだが、人間と比べて齢を重ねる間隔が緩やかで、既に30年生きている。

▶大陸北部アヴスティナ連峰の中腹にあるクラウザという集落で同胞と共に密かに暮らしている。

▶とある目的を果たすため『貪食の悪魔』を宿して鳥の姿となり、大陸西部へ向かっている。

▶7年前のとある出来事で人間側との軋轢を経験し、その際に『貪食の悪魔』を宿した母を失っているほか、サキナとも面識をもっている。

【オドラ―・ベル】ピナスの祖父であり、クラウザの集落を束ねる長老。

▶齢200を超え、ラピス・ルプスの民の特徴である銀色の毛並みは灰色にくすみ、全身毛むくじゃらである。

▶大陸の人間が内戦時代を経て現代に至るまでの歴史だけでなく、千年前から続く厄災についても口伝により知識を蓄えている。

▶人間と対立する気はないが、緩やかに数を減らしてく一族の行く末を憂い、『貪食の悪魔』を同胞から生み出さぬためにも、人間の手を借りてでも種を存続させるべきか思案している。

【クランメ・リヴィア】齢28の博物館職員兼調査研究員

▶大陸西部グラティア州、首都ヴィルトス近郊のアーレア国立自然科学博物館に従事している。

▶やや小柄で、分厚い眼鏡と象牙色の髪が特徴。大陸南西部ミーティス州の農村出身で、独特な訛りで喋る。

▶ルーシーとはグラティア学術院で同期生の関係だが、当時はあまり好ましい印象を抱いていなかった。

▶ラ・クリマスの悪魔の『封印』に関わるとある仕事を引き受けている。

【イリア・ピオニー】齢26にして大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長を務める軍人。

▶桃色がかった金髪と強い正義感の持ち主。国の平和のため心身を尽くそうとする厳格な性格。

▶現代に至る国内軍事を統括し続けた由緒あるピオニー家の娘。父ジオラスは元帥の地位にあり、2人の兄も同じく軍人である。

▶十代のころに出会ったルーシーの理想に感銘を受け、励まされたことでその背中を追い続けている。

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