第14話 松島先輩

文字数 597文字

「お偉いエース様は先輩の言うことも聞けないらしいな」
上山先輩が大村くんに詰め寄りました。
「やめてくれよ。僕が悪いんだから」
「うるせぇ!お前は引っ込んでろ!」
止めに入った先輩に上山先輩が怒声を浴びせました。
私は怖くなって、どうしていいのかわかりませんでした。

「おい、もういいだろ。上山」
ずっと黙っていた松島先輩が言いました。
「大村!お前も先輩無視してんじゃねぇぞ!」
少しの沈黙の後
「すみませんでした」
大村くんは渋々謝りました。
大村くんはバッテリーを組む松島先輩のことは信頼しているようです。

上山先輩は松島先輩を睨みつけ
舌打ちをして、グラウンドを後にしました。

「松島くん。ありがとう」
先輩がそう言うと、松島先輩はキャッチャーミットの手入れをしながら
「勘違いするな。あいつらの言うことも一理ある。
 お前が頑張ってるのは認めるが、
はっきり言って、チームの練習の邪魔になっているのも事実だ」
そう言って松島先輩はグラウンドを後にしました。

先輩は落ち込んだ様子で、松島先輩の後ろ姿を見つめていました。
大村くんと池崎くんは、そんな先輩を見つめていました。

「松島さんも冷てぇよなぁ。
 あんな言い方しなくても良いのに」
池崎くんが先輩に駆け寄ってそう言うと、先輩は
「仕方ないよ。松島くんの言う通りだし」

大村くんと私はその様子を黙って見つめていました。
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