第28話 はじまり

文字数 624文字

いよいよ新チームが始動しました。
新キャプテンには投票で上山先輩が選ばれました。
2票だけ児玉先輩に票が入りました。
きっと大村くんと池崎くんだと思います。
先輩方は笑っていましたが、
私も大村くんや池崎くんと同じ気持ちです。

部室から出てきてから、
大村くんはずっと憮然とした表情でした。
投票中も、ランニング中も、練習中もずっと。

「あっしたっ!」
グラウンドに野球部員たちの声が響き渡り、
監督がグラウンドをあとにしました。
いつものように1年生はグラウンド整備の用意を始め
先輩はベンチの端でグローブの手入れを始めました。
その時
「1年!集合!」
金子先輩の声が響き渡りました。
何事かという様子で、1年生は道具を置いて集合しました。

上山先輩がベンチの真ん中に座り、
その横に金子先輩が立っています。
1年生がその前に集合すると、上山先輩が口を開きました。
「今日から居残り練習をやる!
 俺がキャプテンになったからには、チームを強くする!」
1年生たちが顔を見合わせながら、ざわざわしています。
「静かにしろ!」
金子先輩は随分、偉そうです。
最上級生になったからでしょうか。

「よし、じゃあ、まずは・・・」
上山先輩が1年生を見まわし、不敵な笑みを浮かべ
「大村!守備位置に付け!」
大村くんは上山先輩を睨みつけています。

「早くしろ!」
上山先輩に言われ
大村くんはグローブを手に取り、
渋々、マウンドへ向かいました。
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