第63話 集中できない理由

文字数 618文字

「さぁ、こーい!」
池崎くんはいつにも増して元気だ。
きっと、必死に盛り上げようとしてくれているのだと思う。

金子くんが抜けたセカンドには、
元々セカンドだった1年生の鈴木くんがそのまま入り
上山くんが抜けたファーストには、
元々外野手だった2年生の高橋くんがコンバートされた。
池崎くんがライトに入り、僕はレフトを守ることになった。

僕はいつにも増してエラーを連発してしまった。
「児玉!朝練を思い出せ!もう一丁!」
松島くんが檄を飛ばしてくれる。
でも僕はどうしても練習に集中できず、その後もエラーを連発してしまった。

練習後
「どうした、児玉。練習に集中できてなかっただろ」
松島くんはやっぱり鋭い。
「ごめん・・・」
「エラーはともかく、練習に集中できてないなんて、お前らしくないぞ」
「う、うん・・・」
「いいか。懸命にプレーした上でエラーするのは仕方ない。
 でも集中力を欠いたプレーでのエラーは、チームの士気を下げるからな。
 お前ももうこのチームの中心なんだから、しっかりしてくれよ」
「う、うん・・・」
松島くんは心配そうに僕を見ている。

すると池崎くんが近づいてきて
「そうっすよ。もうあいつらのこと考えるのは止めて、練習に集中しましょう。
 児玉さんも来週の試合はレギュラーで出るんですから」
「そうだね・・・」

確かに辞めてしまった1年生のことも考えていた。
でも一番、僕の頭に浮かんでいたのは・・・
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