第20話 意外な一言

文字数 597文字

「あっしたっ!」
練習後、僕はいつものようにベンチの端でグローブの手入れをしていた。
反対側の端で、松島くんもミットの手入れをしている。

「いよいよ明日っすね!なんか燃えてきたな!」
池崎くんが言った。
明日はいよいよ夏の大会、1回戦の日だ。

「なんでお前が燃えてんだよ。ベンチにも入れねぇのに」
金子くんがニヤニヤ笑いながら言った。
「いいじゃないっすか。
 プレーはできなくても、自分は応援で頑張るんっすから」
「暑苦しい奴だな。ま、せいぜい頑張って応援しろや」
上山くんが言うと、金子くんはニヤニヤ笑い、2人は帰って行った。

「なんだよ。自分だってどうせ試合出れないくせに」
池崎くんが金子くんの背中に向かって小声で言った。
松島くんが池崎くんを睨みつける。
松島くんの視線を感じ取った池崎くんは、気まずそうに
「すみません・・・」
「まぁ、僕たちは一生懸命、応援しよう」
僕の言葉に、池崎くんは笑顔を取り戻し、元気良く
「はいっ!」
と返事をした。
その様子を大村くんと町村さんは微笑ましく眺めている。

「大村。しゃべってないで、さっさと片付けて帰れよ。
 しっかり体休めておけ」
そう言うと松島くんは立ち上がった。
「はい。お疲れっした」
「お疲れっした」
大村くんに続いて、池崎くんもそう言うと
「お前も早く帰れよ。応援頑張るんだろ」
松島くんはそう言って、帰って行った。
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