第23話 静寂と歓喜

文字数 469文字

ホームベース上、松島くんが大きく手を広げ
「ツーアウト!締まっていこう!」
と気合の入った声を上げ、内野陣もそれに応える。

大村くんはマウンド上で深く息を付いた。
真剣な表情で松島くんのサインに頷き
セットポジションに入る。
各ランナーを目で牽制し
投球動作に入った瞬間、球場は静まりかえった。

カキーン!!
金属バットの甲高い音と共に
大村くんの顔の横を痛烈なライナーが抜けていった。

大歓声の中
打球はセンター前に落ち、センターが捕球
3塁ランナーが還り同点
「バックホーム!」
松島くんの声が響く
2塁ランナーは3塁を回っている
センターバックホーム
微妙なタイミングでボールがホームベースに還ってくる
ランナーはキャッチャーを交わしながらヘッドスライディング
松島くんが捕球しタッチ
砂埃の中、松島くんとランナーが同時に審判を見る
再び球場が静まりかえる。

「セーフ!セーフ!」
審判が両手を左右に広げた。
飛び上がって喜ぶランナー
ベンチから飛び出す城東ナイン

大村くんは膝から崩れ落ち
マウンド上でうなだれていた。
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