第101話 来た!

文字数 434文字


上山はすっかり諦めた様子だったが、
オレへの詫びの気持ちからか、止めることなく続けてくれた。

上山はサイドスローで投げた。
バシン!
「おっ」
見ていた大村が思わず声を上げた。
上山もマウンド上で少し驚いた様子だ。
来た!
あの球に近いボールが。

「上山!今の良かったぞ!今度はもう少しスリークォーター気味に投げてみろ」
オレはボールを返球し、構えた。
上山はマウンド上で腕の振りを確認している。
そして

スパーーーーン!!!
来た!
この球だ!
あの頃の上山のキレのあるストレートだ!

「松島!早く返せ!もう一丁!」
オレはすぐにボールを返球し、上山もすぐにもう一度、投げた。
スパーーーーン!!!
スパーーーーン!!!
スパーーーーン!!!
来る!来る!来る!
何度投げてもこの球が来る!

「上山さん、肩壊してたんじゃねぇの?すげぇじゃん」
池崎をはじめ、チームメイト達が驚いた様子でオレ達を見ている。

スパーーーン!!!
「上山!ナイスボール!」
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