第51話 バックホーム

文字数 653文字

「ちわーすっ!」
上山くんと金子くんがグラウンドに姿を現すと、
グラウンド整備をしていた1年生部員たちが元気よく挨拶をした。
1年生部員が少なくなってしまったので
僕や他の2年生部員もグラウンド整備を手伝っていた。
松島くんは手を止めて、じっと上山くんの方を見ている。

上山くんは松島くんには一切、目もくれず、松島くんの横を通り過ぎたが、
その間も松島くんはじっと上山くんを見つめていた。
2人の間に何かあったのだろうか。
松島くんからそんな只ならぬ気配を感じた。

その後は何事もなく、いつものように練習が始まった。
ランニング、ストレッチ、ダッシュといつものメニューをこなし、ノックが始まった。

「ファースト!」
「さぁこいっ!」
監督の掛け声に上山くんはいつも以上に大きな声で応えた。
ファースト右側に打球が飛ぶ。
上山くんは華麗にさばいて、セカンドへ送球。
ファースト右側やや前方に打球が飛ぶ。
上山くんは素早く捕ってサードへ送球。
その後も、上山くんはいつも以上に華麗に、溌溂とプレイしているように見えた。

「次!ライトいくぞ!」
「さぁこいっ!」
僕の前に打球が来た。
僕はワンバウンドで何とか捕球。
「四つだ四つ!」
上山くんからバックホームの合図。大きく手を上げ、中継に入ってくれている。
ホームベース上では松島くんが大きく手を上げている。
僕は思い切って投げた。
ボールは上山くんの胸に真っ直ぐ収まり、上山くんは素早くホームへ送球。
ボールは松島くんのミットへ力強く吸い込まれた。
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