第58話 勘違いしてるのは

文字数 673文字

「いやぁ。今日は激動の一日でしたねぇ」
いつものように私と先輩、大村くん、池崎くんの4人での帰り道。
池崎くんが呑気に言いました。

「でも最後は松島くんがビシッと締めてくれたから、
 なんかチームが一つになった気がしたなぁ。
 やっぱり松島くんにキャプテン引き受けてもらって正解だったでしょ?」
先輩がそう言うと
「何言ってんすか。児玉さんが副キャプテン引き受けたから、
 みんな一つになったんじゃないっすか」
大村くんが言いました。
「違うって。違う。違う。みんな何か勘違いしてるんじゃない?
 色々あり過ぎて、みんなおかしくなってるんだよ」
先輩が反論すると、池崎くんが手を広げて、首を横に振りながら
「わかってないっすねぇ。勘違いしてるのは児玉さんの方ですよ。なっ?」
私と大村くんは大きく頷きました。
先輩はやっぱり納得いっていない様子で、いぶかし気な顔をしています。

「それより、児玉さん。やりましたね」
池崎くんがそう言うと、先輩は不思議そうな顔で
「何が?」
「いや、だって、上山と金子が抜けたら、
 2年生が6人で1年生が3人、全部で9人っすよ」
先輩はまだ不思議そうな顔で
「だから?」
「だから?って。野球は9人でやるもんでしょ。
 てことは俺も児玉さんもレギュラーってことじゃないっすか」
「えぇーーーーーーっ!!」
先輩は凄く驚いた様子で大声を上げていました。

「それはマズい!マズいって!」
先輩が慌てた様子でそう言うと、池崎くんが
「何でですか!試合に出られるんですよ」
「いや、そういう問題じゃなくて・・・」
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