第17話 河原のグラウンドで

文字数 504文字

「いきまーす」
「おし、こーい」
町村さんがボールを渡し、大村くんがノッカー
池崎くんが球拾いをしてくれた。
僕は良い後輩たちに恵まれた。
こんなへたくそな僕の練習に自ら付き合ってくれるなんて。

「もう一丁!」
「いきまーす」
僕は懸命にボールを追った。
しかし、なかなか上手く捕球することができない。
みんなの想いに応えられない自分が歯痒かった。

「もうボール見えないっすよ」
池崎くんの言う通り、辺りはすっかり暗くなり
橋の街頭の光だけが頼りだった。

「ラスト!もう一丁だけ!」
僕の言葉に大村くん、池山くん、町村さんの3人は
お互いに顔を見合わせて、ニコッと微笑んで
「じゃあ、ラスト!いきまーす!」
大村くんの放った打球は、橋の街頭に照らされて、
僅かに見えるくらいだった。
僕は懸命に打球を追った。
「もうちょいバックです!」
池崎くんが声を出してくれている。
僕はなんとか打球に追いつき、捕球することができた。
「ナイスキャッチ!」
みんな一緒に喜んでくれた。

僕たちは練習に夢中で、全く気付いていなかったが
このとき、松島くんがたまたま通り掛かり
僕たちの練習の様子を見ていたらしい。
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