第7話 辞めねぇの?

文字数 562文字

「なんだよ。お前、辞めねぇの?」
翌日、グラウンドに現れたアイツに上山が言った。
上山の横で、金子がニヤニヤ笑っている。

「お前いい加減にしろよ!」
高坂が上山に食ってかかった。
「あぁん。てめぇこそ、いちいちしゃしゃり出てくんじゃねぇぞ!」
高坂と上山は睨み合い、お互いに今にも殴り掛かりそうな勢いだ。
「待ってよ。止めてよ」
アイツの言葉は二人には全く届いていないようだ。

オレは何も言わなかった。
いや、もしかしたら言えなかったのかもしれない。
本心では上山と同じように考えていたからなのかもしれない。

「おい1年!さっさとグラウンド整備始めろよ!」
「チッ!」
先輩方が現れ、高坂と上山は睨み合いながらも、渋々グラウンド整備を始めた。

アイツはやはりへたくそだった。
守備に付けば
ゴロはトンネル、バウンドにはタイミングが合わない
フライも前に行き過ぎたり、後ろに行き過ぎたり、全く距離感が掴めていない
送球もフォームがひどいし、制球もバラバラ
まともな守備をすることなど、10回に1回くらいだ。

バッティングも同じ
空振り、空振り、また空振り
たまに当たってもどん詰まり
タイミングも取れていないし、フォームもバラバラ

正直、上山だけでなく、監督や先輩方
そしてオレも、呆れてしまう程、へたくそだった。
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