第27話 勝利の喜びと戦の悲しみと
文字数 1,559文字
それから1時間半ほど経過すると向こうからファーレンたちの主力部隊がこちらに向かってくるのが見えた。
『やった。両手武器部隊を壊滅させたんだわ!』
「みんな! 主力が戻ってきたわよ。これで私たちが優勢になったから、頑張って!」
と声を掛けると、
「やったぁー」
「もう一息ね」
「絶対、勝つんだから!」
と声があがる。
士気が上がってきた。
「でも油断はダメ。岩だって拾って攻撃してこれるんだからね。各隊長! ちゃんと見張っていてよ」
と通信で伝える。
*
流石に片手武器部隊でも、これだけを相手すると不利だ。
それこそ両手武器の方が、広範囲、長距離で攻撃できる。
「チキショー! 何故、我らはこんな小人どもに勝てないのだ!!」
悔しそうに吠えている者が出てきた。
もう勝敗は決していた。
しかし巨人たちは、撤退しない。
必死の形相で、玉砕覚悟で攻撃してきたため、一時的には押された感じになったが長くは続かなかった。
戦場でほら貝の音がした。
すると、巨人たちは撤退し始めた。
「追撃は無用だ。怪我人が増えるだけだ!」
ファーレンが指示をだす。
そして巨人たちが戦場から去っていった。
「やったぁぁぁ! 勝ったわ!!」
「嬉しいぃぃ!」
配下の子たちが次々と歓喜の声を上げだした。
地上でも兵たちが、勝利を噛みしめている。
疲れ果ててその場で寝転ぶ者、座っている者、それぞれが休息をとっていた。
それと共に死傷者の手当や回収をし始める。
1時間ほどすると偵察から、”巨人たちが舟で北へ逃れ始めた”との報が入った。
これで戦いは終わりを告げた。
巨人たちも負傷者を連れていったので殲滅まではいかなかったが、国に帰れた兵は150人ほどであったようだ。
アトランティス軍は、時間稼ぎに徹したこともあり今日の死者は50人ほどであった。
重軽傷者は200人と意外に多く出ていた。
私の配下では軽傷者が9人と少なく済んだ。
現時刻は16時過ぎ、これなら急げば首都に帰ることは可能だったがそうしなかった。
明日の葬儀には参加すべきだと思ったからだ。
*
死者の回収が終わるころには日が沈んでいた。
私の配下のみんなには、あのあと飛行船に帰らせた。
私は残っていて、死者への弔いに神殿で祈りを捧げていた。
ファーレンの部下が、私を呼びに来た。
「姫様。お待たせいたしました。どうぞ、会議場へおいでくださいませ」
「はい。ありがとう。伺うわ」
と後をついて行った。
兵は無言だった。
『戦友が亡くなったのかしら、背中が泣いているわ』
そう思った。
会議場へ到着すると、各隊長が揃っていた。
みんな勝利への喜びと共に、悲しみを背負っていた。
ファーレンが出迎える。
「姫様。この度は、本当に援軍として来てくださり心より御礼申し上げます。姫様の連れてきてくださった女性兵の援護射撃がなければ昨日で負けていました」
「いいのよ。お役に立ててなによりだわ」
そう答えた。
「急げば本日中に首都にお帰りできたと思います。残っていてくださったのですね。そして神殿で祈りを捧げてくださっていたのですね。重ねて御礼申し上げます」
「このアトランティスを命を懸けて守ってくれた人たちを、ほっておいて帰ることはできないわ。でも遺体の回収、怪我人の手当も手伝わずごめんなさい」
と謝った。
「とんでもございません! そのようなことをさせてしまう訳には参りません。悲惨な光景ですから、できるだけ見て欲しくないと思っております」
と皆が、首 を垂れた。
「明日、また葬儀に参加させてくださいね。王族として英霊へ感謝を伝え冥福を祈らせて欲しいの」
「はい。光栄に存じます。是非、よろしくお願い申し上げます」
と快諾してくれた。
*
翌日、全員で葬儀に出席し、私も前回のように祈りを捧げた後、首都への帰途に着いた。
『やった。両手武器部隊を壊滅させたんだわ!』
「みんな! 主力が戻ってきたわよ。これで私たちが優勢になったから、頑張って!」
と声を掛けると、
「やったぁー」
「もう一息ね」
「絶対、勝つんだから!」
と声があがる。
士気が上がってきた。
「でも油断はダメ。岩だって拾って攻撃してこれるんだからね。各隊長! ちゃんと見張っていてよ」
と通信で伝える。
*
流石に片手武器部隊でも、これだけを相手すると不利だ。
それこそ両手武器の方が、広範囲、長距離で攻撃できる。
「チキショー! 何故、我らはこんな小人どもに勝てないのだ!!」
悔しそうに吠えている者が出てきた。
もう勝敗は決していた。
しかし巨人たちは、撤退しない。
必死の形相で、玉砕覚悟で攻撃してきたため、一時的には押された感じになったが長くは続かなかった。
戦場でほら貝の音がした。
すると、巨人たちは撤退し始めた。
「追撃は無用だ。怪我人が増えるだけだ!」
ファーレンが指示をだす。
そして巨人たちが戦場から去っていった。
「やったぁぁぁ! 勝ったわ!!」
「嬉しいぃぃ!」
配下の子たちが次々と歓喜の声を上げだした。
地上でも兵たちが、勝利を噛みしめている。
疲れ果ててその場で寝転ぶ者、座っている者、それぞれが休息をとっていた。
それと共に死傷者の手当や回収をし始める。
1時間ほどすると偵察から、”巨人たちが舟で北へ逃れ始めた”との報が入った。
これで戦いは終わりを告げた。
巨人たちも負傷者を連れていったので殲滅まではいかなかったが、国に帰れた兵は150人ほどであったようだ。
アトランティス軍は、時間稼ぎに徹したこともあり今日の死者は50人ほどであった。
重軽傷者は200人と意外に多く出ていた。
私の配下では軽傷者が9人と少なく済んだ。
現時刻は16時過ぎ、これなら急げば首都に帰ることは可能だったがそうしなかった。
明日の葬儀には参加すべきだと思ったからだ。
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死者の回収が終わるころには日が沈んでいた。
私の配下のみんなには、あのあと飛行船に帰らせた。
私は残っていて、死者への弔いに神殿で祈りを捧げていた。
ファーレンの部下が、私を呼びに来た。
「姫様。お待たせいたしました。どうぞ、会議場へおいでくださいませ」
「はい。ありがとう。伺うわ」
と後をついて行った。
兵は無言だった。
『戦友が亡くなったのかしら、背中が泣いているわ』
そう思った。
会議場へ到着すると、各隊長が揃っていた。
みんな勝利への喜びと共に、悲しみを背負っていた。
ファーレンが出迎える。
「姫様。この度は、本当に援軍として来てくださり心より御礼申し上げます。姫様の連れてきてくださった女性兵の援護射撃がなければ昨日で負けていました」
「いいのよ。お役に立ててなによりだわ」
そう答えた。
「急げば本日中に首都にお帰りできたと思います。残っていてくださったのですね。そして神殿で祈りを捧げてくださっていたのですね。重ねて御礼申し上げます」
「このアトランティスを命を懸けて守ってくれた人たちを、ほっておいて帰ることはできないわ。でも遺体の回収、怪我人の手当も手伝わずごめんなさい」
と謝った。
「とんでもございません! そのようなことをさせてしまう訳には参りません。悲惨な光景ですから、できるだけ見て欲しくないと思っております」
と皆が、
「明日、また葬儀に参加させてくださいね。王族として英霊へ感謝を伝え冥福を祈らせて欲しいの」
「はい。光栄に存じます。是非、よろしくお願い申し上げます」
と快諾してくれた。
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翌日、全員で葬儀に出席し、私も前回のように祈りを捧げた後、首都への帰途に着いた。