第16話 アカシック王の法話
文字数 1,843文字
法話後の撤収にも混乱はなく、アトランティス国民の民度の高さが伺えた。
シルバーに御礼の挨拶を済ませると、お父様の戻られた王宮に帰った。
「お父様! 素晴らしいご法話でした。私は心底、感動いたしました」
とお声を掛けた。
「ラムディア、ありがとう。混乱もなく無事に終えれて安堵しているよ」
「アモン兄さまも、お疲れ様でした。悠然 とお父様とお並びになられて、妹として惚れ惚れいたしました」
「ラム、ちゃかしたダメだよ」
と照れ笑いしていた。
その後はラファティア姉さま、アーク兄さまを交え、家族団らんで話がいつまでも終わらなかった。
*
「はっはっは! 見たか? 3千5百万人も国民がいるのに、10万人の広場もたった1万人しか集まらずスカスカであったではないか!」
バレンスタイン宰相は大笑いしていた。
「そうですな。警備の人数が多すぎましたな。ふふふ」
とガハル最高司令官が同調する。
「まぁまぁ、最初の法話だったのですから、仕方ありませんよ。ぷっ」
王族担当のゴーランは、言葉ではフォローしているのに、思わず吹き出していた。
「これからも、こんなものだ。あの王様には毎月好きなようにやらせておけば良い。どうせ次も1万人しか集まらないわ! いや? 減る可能性の方が高いな。ははは」
バレンスタインは上機嫌だった。
「何が魂だ? 心だ? それならご自分のを取り出して光る玉でも見せて納得させれくれ。実にくだらん。天から地上に降りて、また天に還る? はぁ? 世迷言もあそこまでいくとかえって気持ちがいいな。ふっ」
「他人を傷つけることは、自分を傷つけることになる? 傷ついていないではないか。なぁ?」
と言葉が止まらない。
「まったくでございます。この発展した科学の元、こんなに繁栄しているのに何が不満なのでしょうな」
ガハルも上機嫌だ。
あのスッカスカの広場を思い出すと笑いが込み上げてくる。
「質問状など集まるのでしょうか? 私は役割上、各所に受付を設置しなくてはならなくなりました。事前に相談もなく勝手にあの場で言い切るものだから、えらい迷惑な話です」
ゴーランが愚痴をこぼす。
「頑張ってな。王族担当殿! ふふふ。ははっはー」
バレンスタインもガハルも笑いが止まらない。
「やらせておけ。私たちは王様の臣下なのだからな。建前はだが」
とゴーランに継続的に実施するように指示をした。
*
平穏は日々が続いた。
珍しく巨人族は一度も攻めてくる気配もなく、1ヶ月が経過した。
今日は、お父様の第2回目のご法話の日だ。
どれくらい人が集まるのだろうか?
質問状は、結局1通も来なかったという。
『いったい、この国の民は王族を何と思っているのだろう』
嘆かわしい限りだ。
今回はお父様の近くでの護衛につき、あとは近衛隊に任せた。
見る限り集まっている国民は先月と変わらないようだった。
『あれほど、立派なご法話だったのに国民には伝わらなかったのか』
と悔しさが滲み出る。
時が来て、お父様が檀上に上がる。
そして、アモン兄さまも横に並んだ。
「このアトランティスの皆よ。本日も忙しい中、集まってくれてありがとう。そして家庭のスクリーンに観てくれている国民にも御礼を述べたい」
お父様はあくまで謙虚であった。
その目は慈愛に満ちていた。
私から見れば、本当に神々しく感じられた。
「今より4千9百年前に一夜にして沈んだムー大陸。かの大陸からの移住者を受け入れ我がアトランティスは飛躍的に科学技術が発展した。肌の色の違いを気にせず、温かく迎え入れた当時のアトランティス国民は立派であった」
と広場を見渡す。
皆が、聞いていることを確認すると法話は続いた。
「あの寛容さも愛であったのだ。その愛の行為ゆえに、その恩恵を受けれるといった善意が還ってきたのだ」
「全盛期に現れたと伝え聞くラ・ムー大王は、こうムーの国民に話をしていたそうだ。”あの太陽の如く無償の愛を注ぐ存在を目指すのだ”と」
「太陽は、ピラミッドを通してエネルギーを供給しくれている。昼間は明るく照らしてくれている。そして作物を育ててくれているのだ」
「しかし、太陽は何も見返りも求めない。ただ与えるのみであるのだ」
すると、広場に集まった国民に言葉が染みわたっていく感覚がした。
「そう神は太陽のような存在なのだ。物理的には太陽が、霊エネルギーは神から供給されている」
そうしてご法話は続いた。
人を殺すなかれ、盗むなかれ、姦淫するなかれ、嘘をつくなかれ、正直であれという内容であった。
シルバーに御礼の挨拶を済ませると、お父様の戻られた王宮に帰った。
「お父様! 素晴らしいご法話でした。私は心底、感動いたしました」
とお声を掛けた。
「ラムディア、ありがとう。混乱もなく無事に終えれて安堵しているよ」
「アモン兄さまも、お疲れ様でした。
「ラム、ちゃかしたダメだよ」
と照れ笑いしていた。
その後はラファティア姉さま、アーク兄さまを交え、家族団らんで話がいつまでも終わらなかった。
*
「はっはっは! 見たか? 3千5百万人も国民がいるのに、10万人の広場もたった1万人しか集まらずスカスカであったではないか!」
バレンスタイン宰相は大笑いしていた。
「そうですな。警備の人数が多すぎましたな。ふふふ」
とガハル最高司令官が同調する。
「まぁまぁ、最初の法話だったのですから、仕方ありませんよ。ぷっ」
王族担当のゴーランは、言葉ではフォローしているのに、思わず吹き出していた。
「これからも、こんなものだ。あの王様には毎月好きなようにやらせておけば良い。どうせ次も1万人しか集まらないわ! いや? 減る可能性の方が高いな。ははは」
バレンスタインは上機嫌だった。
「何が魂だ? 心だ? それならご自分のを取り出して光る玉でも見せて納得させれくれ。実にくだらん。天から地上に降りて、また天に還る? はぁ? 世迷言もあそこまでいくとかえって気持ちがいいな。ふっ」
「他人を傷つけることは、自分を傷つけることになる? 傷ついていないではないか。なぁ?」
と言葉が止まらない。
「まったくでございます。この発展した科学の元、こんなに繁栄しているのに何が不満なのでしょうな」
ガハルも上機嫌だ。
あのスッカスカの広場を思い出すと笑いが込み上げてくる。
「質問状など集まるのでしょうか? 私は役割上、各所に受付を設置しなくてはならなくなりました。事前に相談もなく勝手にあの場で言い切るものだから、えらい迷惑な話です」
ゴーランが愚痴をこぼす。
「頑張ってな。王族担当殿! ふふふ。ははっはー」
バレンスタインもガハルも笑いが止まらない。
「やらせておけ。私たちは王様の臣下なのだからな。建前はだが」
とゴーランに継続的に実施するように指示をした。
*
平穏は日々が続いた。
珍しく巨人族は一度も攻めてくる気配もなく、1ヶ月が経過した。
今日は、お父様の第2回目のご法話の日だ。
どれくらい人が集まるのだろうか?
質問状は、結局1通も来なかったという。
『いったい、この国の民は王族を何と思っているのだろう』
嘆かわしい限りだ。
今回はお父様の近くでの護衛につき、あとは近衛隊に任せた。
見る限り集まっている国民は先月と変わらないようだった。
『あれほど、立派なご法話だったのに国民には伝わらなかったのか』
と悔しさが滲み出る。
時が来て、お父様が檀上に上がる。
そして、アモン兄さまも横に並んだ。
「このアトランティスの皆よ。本日も忙しい中、集まってくれてありがとう。そして家庭のスクリーンに観てくれている国民にも御礼を述べたい」
お父様はあくまで謙虚であった。
その目は慈愛に満ちていた。
私から見れば、本当に神々しく感じられた。
「今より4千9百年前に一夜にして沈んだムー大陸。かの大陸からの移住者を受け入れ我がアトランティスは飛躍的に科学技術が発展した。肌の色の違いを気にせず、温かく迎え入れた当時のアトランティス国民は立派であった」
と広場を見渡す。
皆が、聞いていることを確認すると法話は続いた。
「あの寛容さも愛であったのだ。その愛の行為ゆえに、その恩恵を受けれるといった善意が還ってきたのだ」
「全盛期に現れたと伝え聞くラ・ムー大王は、こうムーの国民に話をしていたそうだ。”あの太陽の如く無償の愛を注ぐ存在を目指すのだ”と」
「太陽は、ピラミッドを通してエネルギーを供給しくれている。昼間は明るく照らしてくれている。そして作物を育ててくれているのだ」
「しかし、太陽は何も見返りも求めない。ただ与えるのみであるのだ」
すると、広場に集まった国民に言葉が染みわたっていく感覚がした。
「そう神は太陽のような存在なのだ。物理的には太陽が、霊エネルギーは神から供給されている」
そうしてご法話は続いた。
人を殺すなかれ、盗むなかれ、姦淫するなかれ、嘘をつくなかれ、正直であれという内容であった。