第10話 辛勝
文字数 1,325文字
シャルムの元に着くと、シャレムの上半身をそっと抱え声を掛けた。
「ううう‥‥」
とうめき声が出る。
「良かった。生きていて」
と涙が出てきた。
シャレムの様子を見ると盾攻撃を、瞬間に盾で受けたようで左腕が骨折しているようだった。
『凄まじい攻撃力だわ』
「シルバー、シャレムは怪我はしているけど無事よ。それよりファーレン隊を助けてあげて」
「かしこまりました」
と走っていった。
「シャレム。また意識を失ったのね。でも息はしているから大丈夫。本当に良かった。ごめんなさい」
その時、シャレム隊の一人が様子を見に来たらしく、こちらに向かってくるのが見えた。
「あなたは、確かリョーカね。こちらに来て!」
「あ! はい!」
と急いで駆けてきた。
「シャレムを連れて引いて! お願いね」
「え? 姫様は?」
「私は、まだ引けない。シャレムを任せたわよ」
と走り出していた。
*
流石にシルバーのようにはもう戦えない。
剣の柄を90度曲げ銃剣モードに切り替え、遠距離で巨人の意表を突きファーレン隊が攻撃できるようにするだけしかできない。
剣先を巨人に向けると、光のスコープが浮かぶ。
狙いを定めて打つ。
当たるが、ここからではまるでダメージはない。
当たり前だ、目の前にいても切り傷程度にしかならないのだから。
しかし、狙い通りに攻撃に隙ができた。
兵は、その瞬間を見逃さず攻撃を加えていく。
バッテリーパックを交換しつつ、銃光で兵の攻撃する隙を作っていく。
巨人どもは隊の長だったのか、私を狙った奴が倒されたことによって動揺している様子。
そして、残り4人も倒すことができた。
兵にも死者はでていないものの、怪我人は多く出ているようだ。
*
前線のファーレンに通信で、
「こちらは5人とも倒したわ。そちらは?」
「ひ‥‥姫様、何故にそこにおられるのですか!!」
「そんなことは、今はどうでもいいの。前線はどうなの?」
「は! 死者が数人でてしまいましたが、勝利は確実になった状況です」
「そう。それはよかったわ。そちらには行けないけど頑張ってください」
「はい。勝利の女神にそういって頂けたなら、絶対に負けません!」
『私のことを言っているのよね?』
とは思ったが、それ以上言わなかった。
*
シルバーを含め、ラーゼたちファーレン配下の20人もヘトヘトになっていた。
盾持ちは、今後の脅威になると感じた。
「ファーレン。盾持ちには今後、対策が必要だわ。巨人族にその脅威が伝わらないように、一兵足りとも逃さないで」
「はい。かしこまりました」
*
夕刻、戦は終わった。
こちらの被害は少ないが辛勝だったと言えよう。
『敵を全滅させたから、盾持ち作戦の功は伝わらないわよね‥‥』
そして北方 拠点への撤退が開始された。
*
誰も気づいていなかったが、伏兵の着岸した右 側ではなく反対側に小型の舟が一隻着岸していたのだ。
『ゴルン隊長が亡くなったか。惜しい人材を失ってしまったが、やはり盾持ちはアトランティス人には有利になるようだ。まったく軍に奴らは力推しだけしか能がない奴ばかりで「両手武器での戦闘こそ我らが巨人族の戦い方だ」などほざいていたが、これで聞く耳を持つだろう』
夜になると、舟は離岸に北方へ消えていった。
「ううう‥‥」
とうめき声が出る。
「良かった。生きていて」
と涙が出てきた。
シャレムの様子を見ると盾攻撃を、瞬間に盾で受けたようで左腕が骨折しているようだった。
『凄まじい攻撃力だわ』
「シルバー、シャレムは怪我はしているけど無事よ。それよりファーレン隊を助けてあげて」
「かしこまりました」
と走っていった。
「シャレム。また意識を失ったのね。でも息はしているから大丈夫。本当に良かった。ごめんなさい」
その時、シャレム隊の一人が様子を見に来たらしく、こちらに向かってくるのが見えた。
「あなたは、確かリョーカね。こちらに来て!」
「あ! はい!」
と急いで駆けてきた。
「シャレムを連れて引いて! お願いね」
「え? 姫様は?」
「私は、まだ引けない。シャレムを任せたわよ」
と走り出していた。
*
流石にシルバーのようにはもう戦えない。
剣の柄を90度曲げ銃剣モードに切り替え、遠距離で巨人の意表を突きファーレン隊が攻撃できるようにするだけしかできない。
剣先を巨人に向けると、光のスコープが浮かぶ。
狙いを定めて打つ。
当たるが、ここからではまるでダメージはない。
当たり前だ、目の前にいても切り傷程度にしかならないのだから。
しかし、狙い通りに攻撃に隙ができた。
兵は、その瞬間を見逃さず攻撃を加えていく。
バッテリーパックを交換しつつ、銃光で兵の攻撃する隙を作っていく。
巨人どもは隊の長だったのか、私を狙った奴が倒されたことによって動揺している様子。
そして、残り4人も倒すことができた。
兵にも死者はでていないものの、怪我人は多く出ているようだ。
*
前線のファーレンに通信で、
「こちらは5人とも倒したわ。そちらは?」
「ひ‥‥姫様、何故にそこにおられるのですか!!」
「そんなことは、今はどうでもいいの。前線はどうなの?」
「は! 死者が数人でてしまいましたが、勝利は確実になった状況です」
「そう。それはよかったわ。そちらには行けないけど頑張ってください」
「はい。勝利の女神にそういって頂けたなら、絶対に負けません!」
『私のことを言っているのよね?』
とは思ったが、それ以上言わなかった。
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シルバーを含め、ラーゼたちファーレン配下の20人もヘトヘトになっていた。
盾持ちは、今後の脅威になると感じた。
「ファーレン。盾持ちには今後、対策が必要だわ。巨人族にその脅威が伝わらないように、一兵足りとも逃さないで」
「はい。かしこまりました」
*
夕刻、戦は終わった。
こちらの被害は少ないが辛勝だったと言えよう。
『敵を全滅させたから、盾持ち作戦の功は伝わらないわよね‥‥』
そして
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誰も気づいていなかったが、伏兵の着岸した
『ゴルン隊長が亡くなったか。惜しい人材を失ってしまったが、やはり盾持ちはアトランティス人には有利になるようだ。まったく軍に奴らは力推しだけしか能がない奴ばかりで「両手武器での戦闘こそ我らが巨人族の戦い方だ」などほざいていたが、これで聞く耳を持つだろう』
夜になると、舟は離岸に北方へ消えていった。