第59話 平和な未来を!
文字数 2,106文字
今日はお父様 のご法話の日だ。
入口では毎回、被害者の会と称してお父様をペテン師と非難する声、クローン兵の廃止反対派が邪魔をしている。
『毎月毎月、困ってしまうわ。この方々も目覚めさせなくては滅亡が阻止できない。でも私は、どうしたら良いのだろう』
このことに悩まされていた。
そして、お父様が檀上に上がる。
アモン兄さまも横に並んだ。
「アトランティスの皆よ。本日も忙しい中、集まってくれてありがとう。そして家庭のスクリーンに観てくれている国民もありがとう」
いつものように謙虚に挨拶をされた。
「本日は以前にも少し話をしたアチ地区奪還の際にアトランティス軍が使った試作兵器のことを今一度、話させて欲しい」
会場を埋め尽くす国民に視線を送った。
皆は静かに次の言葉を待っている。
ここに集っている国民はアカシック王の教えに素直に従っている希望の方々なのだ。
「成層圏に二酸化炭素濃度を一気に濃くし、冷却弾も備えたものであったのでドライアイスの雪を降らせたのが真相なのだ。政府は極秘事項として国民に開示していないが、これは事実なのだ」
会場中に騒めきが起こった。
静まるのを待って、お父様のご法話が続く。
「確かにアトランティス軍の被害はほぼ無しでアチ地区が奪還できた。それだけを見れば、とても素晴らしいことに思える」
会場中が息をのむのが伝わってくる。
「しかし! 人が気象を強制的に変更させることをトート神はお許しになっていないのだ!! もっと別の手段を考えることができたはずである」
まさに言霊。心に大きく響いた。
「この試作兵器はその後も政府、軍が完成に向けて着々と開発をすすめている。いや、実はもう完成してしまっているのだ」
驚きの声が上がる。
「アトランティスの皆よ。どうか国民1人1人の声、その総意で政府と軍を止めて欲しいのだ! このままでは危険なのだ」
黙って聞き続ける会場中の国民。
「強力過ぎる力を持つと人は狂気に走る。それが歴史の常なのだ」
寒気がしてくるほど恐ろしい話だ。
「巨人族はその後、大人しくしている。我がアトランティスに再侵攻してきたのなら防御戦は必要だ。しかし、もし巨人族の国を攻撃しようと思いついたのなら、今度は立場が逆になってしまう」
今日のお父様は凄みが増している。
「以前に質問があり、私はこう答えた。”その国民 が平和に暮らしている国家に対して、侵略することは悪である!”と」
「強力過ぎる力を持ってしまった我が政府、軍にそのような過ちを犯させてはならない! 残念ながら象徴となってまい実権のない王家では防ぐことができない。それができるのは、アトランティスの民だけなのだ。是非とも、暴走しないように止めて欲しいのだ」
会場中に響き割ったったあと歓声があがった。
「必ずや王様のおっしゃるように、そんなことはさせません」
「そうよ! 侵略はいけないことだわ」
「恐ろしい兵器を機密にして国民の人気どりをしている政府に断固抗議いたします!」
その言葉を聞いて、お父様はとても安心されたご様子だった。
「アトランティスの民よ。皆の1人1人の善意がアトランティスの未来を築くのだ。よろしく頼む」
そう言って本日のご法話は終わった。
そして質問状への回答が始まった。
順調に答え、最後の質問状になった。
「これが本日最後の質問状への回答となる」
「内容は、『古代からの記録には、”ムーの避難者には中枢部の人たちはいなかった”と伝わっておりますが、中枢部の方々はいったいどうなったのでしょうか?
大陸とともに海に沈んだのでしょうか?』と言う内容である」
質問者とみられる者をお父様は見つめる。
「私の説法とは異なるものだが、そうだな。皆も確かに気になることであろう。こういった内容を語れるのはトート神が地上におられたとき以降、私しかいない」
期待で会場が沸く。
「ムーの避難者は様々に散っていった。一部は科学者を連れアトランティスに避難してきた。あと民衆は西の諸島の方へ逃れていって今もその子孫がほそぼそと生活している」
会場に来ている者たちがワクワクしている。
『そうよね。神秘の扉が開いたのですもの。ワクワクするわね』
私もそう思って目をキラキラさせていた。
これからお父様は本題に入られる。
「そしてラ・ムー大王の教えを受け継いでいた中枢の人たちは北へ向かい、竜のように細長い形をしたヤマトという国に逃れ、そこでアトランティスとは違った形で文明を興している。ヤマトという国の至るところにもピラミッドが建設されているがエネルギー発電としては利用していない。もっと神秘的な力を使っている」
会場大騒ぎになった。
『なんですって! ムーの中枢部は別のところに避難して別の文明を開化させていたなんて、素晴らしいわ!』
私も1人の観衆として聞き入っていた。
「このアトランティスの危機が去った暁には、是非ともアトランティスもそのヤマトの国と交流をしてみたい。国民の皆よ、そういった未来を築こうではないか! それでは、また来月を楽しみにしている」
そういって檀上から降り王宮へ戻っていった。
この後の観衆の熱気は1時間は治まらなかった。
入口では毎回、被害者の会と称してお父様をペテン師と非難する声、クローン兵の廃止反対派が邪魔をしている。
『毎月毎月、困ってしまうわ。この方々も目覚めさせなくては滅亡が阻止できない。でも私は、どうしたら良いのだろう』
このことに悩まされていた。
そして、お父様が檀上に上がる。
アモン兄さまも横に並んだ。
「アトランティスの皆よ。本日も忙しい中、集まってくれてありがとう。そして家庭のスクリーンに観てくれている国民もありがとう」
いつものように謙虚に挨拶をされた。
「本日は以前にも少し話をしたアチ地区奪還の際にアトランティス軍が使った試作兵器のことを今一度、話させて欲しい」
会場を埋め尽くす国民に視線を送った。
皆は静かに次の言葉を待っている。
ここに集っている国民はアカシック王の教えに素直に従っている希望の方々なのだ。
「成層圏に二酸化炭素濃度を一気に濃くし、冷却弾も備えたものであったのでドライアイスの雪を降らせたのが真相なのだ。政府は極秘事項として国民に開示していないが、これは事実なのだ」
会場中に騒めきが起こった。
静まるのを待って、お父様のご法話が続く。
「確かにアトランティス軍の被害はほぼ無しでアチ地区が奪還できた。それだけを見れば、とても素晴らしいことに思える」
会場中が息をのむのが伝わってくる。
「しかし! 人が気象を強制的に変更させることをトート神はお許しになっていないのだ!! もっと別の手段を考えることができたはずである」
まさに言霊。心に大きく響いた。
「この試作兵器はその後も政府、軍が完成に向けて着々と開発をすすめている。いや、実はもう完成してしまっているのだ」
驚きの声が上がる。
「アトランティスの皆よ。どうか国民1人1人の声、その総意で政府と軍を止めて欲しいのだ! このままでは危険なのだ」
黙って聞き続ける会場中の国民。
「強力過ぎる力を持つと人は狂気に走る。それが歴史の常なのだ」
寒気がしてくるほど恐ろしい話だ。
「巨人族はその後、大人しくしている。我がアトランティスに再侵攻してきたのなら防御戦は必要だ。しかし、もし巨人族の国を攻撃しようと思いついたのなら、今度は立場が逆になってしまう」
今日のお父様は凄みが増している。
「以前に質問があり、私はこう答えた。”その
「強力過ぎる力を持ってしまった我が政府、軍にそのような過ちを犯させてはならない! 残念ながら象徴となってまい実権のない王家では防ぐことができない。それができるのは、アトランティスの民だけなのだ。是非とも、暴走しないように止めて欲しいのだ」
会場中に響き割ったったあと歓声があがった。
「必ずや王様のおっしゃるように、そんなことはさせません」
「そうよ! 侵略はいけないことだわ」
「恐ろしい兵器を機密にして国民の人気どりをしている政府に断固抗議いたします!」
その言葉を聞いて、お父様はとても安心されたご様子だった。
「アトランティスの民よ。皆の1人1人の善意がアトランティスの未来を築くのだ。よろしく頼む」
そう言って本日のご法話は終わった。
そして質問状への回答が始まった。
順調に答え、最後の質問状になった。
「これが本日最後の質問状への回答となる」
「内容は、『古代からの記録には、”ムーの避難者には中枢部の人たちはいなかった”と伝わっておりますが、中枢部の方々はいったいどうなったのでしょうか?
大陸とともに海に沈んだのでしょうか?』と言う内容である」
質問者とみられる者をお父様は見つめる。
「私の説法とは異なるものだが、そうだな。皆も確かに気になることであろう。こういった内容を語れるのはトート神が地上におられたとき以降、私しかいない」
期待で会場が沸く。
「ムーの避難者は様々に散っていった。一部は科学者を連れアトランティスに避難してきた。あと民衆は西の諸島の方へ逃れていって今もその子孫がほそぼそと生活している」
会場に来ている者たちがワクワクしている。
『そうよね。神秘の扉が開いたのですもの。ワクワクするわね』
私もそう思って目をキラキラさせていた。
これからお父様は本題に入られる。
「そしてラ・ムー大王の教えを受け継いでいた中枢の人たちは北へ向かい、竜のように細長い形をしたヤマトという国に逃れ、そこでアトランティスとは違った形で文明を興している。ヤマトという国の至るところにもピラミッドが建設されているがエネルギー発電としては利用していない。もっと神秘的な力を使っている」
会場大騒ぎになった。
『なんですって! ムーの中枢部は別のところに避難して別の文明を開化させていたなんて、素晴らしいわ!』
私も1人の観衆として聞き入っていた。
「このアトランティスの危機が去った暁には、是非ともアトランティスもそのヤマトの国と交流をしてみたい。国民の皆よ、そういった未来を築こうではないか! それでは、また来月を楽しみにしている」
そういって檀上から降り王宮へ戻っていった。
この後の観衆の熱気は1時間は治まらなかった。