第6話 戦場へ
文字数 1,722文字
お父様 より政府から説法の許可がでたとのご報告があった。
準備には、やはり1か月は掛かるとのことだった。
これは広報も併せてとなるので仕方がないというところだ。
私も近衛隊としての周辺警備など準備があるから、良い頃合いだと思った。
*
それから1週間が経過したとき、北方の島に住む巨人族がまたも我がアトランティスに侵攻してくるとの情報が軍から届いた。
そこで私はある決意をした。
「お父様、私は王族であるということもあり実際に巨人族と相対したことはございません。危険は承知ですが是非、一度戦場に立ち実際の脅威を感じてきたいと思っております。どうかご許可をお願いいたします」
「ラムディアよ。そう言っておいて、もう心は決まっているのであろう?」
「はい。行く決意でございます。我が配下の一隊も連れて行きます」
「現場主義なのは知っているが、まさか戦の現場に行きたいと言ってくるとは正直、驚いたが、いいだろう。但し、護衛にシルバーをつけること。そしてできる限り後方支援のみとし最前線にはでないこと。約束できるなら許可しよう」
「あ、ありがとうございます。お父様!」
*
そうして近衛隊修練時に、一時その場を離れシルバーにお願いをした。
「な! なんと、おっしゃいましたか? 私の耳は幻聴でも聞こえるようになったのでしょうか?」
「冗談ではありません。真剣です。そして、お父様には許可をいただきました。その際の条件は、あなたを護衛につけること、後方支援のみで最前線にでないことです。何としても、一度現場、戦場 を見て体験しておきたいのです」
「かしこまりました。身命を賭してラム様をお守りいたします」
「ありがとう。あとシャレム隊も同行させるわ。あの隊が一番腕が立つから」
「姫様は‥‥申し訳ございません。ラム様は言い出したら引っ込まないのは存じておりますゆえ」
*
お父様より、軍の最高司令官のガハルに話を通していただいたようで、戦場へ行くことが決定した。
巨人族は我がアトランティスのように科学技術は発達していない。
ゆえに船で南方のこの大陸にやってくるのだが、あと1週間もすれば上陸してくるだろう。
出立は、晴れていれば5日後の10時に飛行船で出立することとなった。
雨ならば6日後の出立となる。
アトランティスの飛行船は太陽エネルギーで動いているため雨天だと飛べないのだ。
もちろん充電機能はあるけど、それは緊急用と決まっている。
*
「ガハルよ。姫様の護りを厳重にし怪我一つないようにするのだぞ。あの活発な姫様は国民に人気があるからな」
「は! そのようにいたします。バレスタイン宰相」
「まぁ。政府と軍としては精一杯、護りの体制をとっておいても事故は起こる。その場合は将来の邪魔者が一人早く去るだけだ。いずれ王族どもは不要になるのだからな。そうなったら、精々派手な国葬をしてやろう」
とニヤリと笑った。
「そうです。何が起こるか分からないのが戦場ですから。ふふっ」
とガハルは思わず笑いが口に出てしまった。
*
次兄のアーク兄さまも
「俺が近衛隊長なのだから、俺もいくぞ!」
と当然ながら言い出したのだけど、お父様の説法の準備や警護などがあるため引き留められた。
出立の日がやってきた。
皆が見送りに来てくれたが、アーク兄さまだけがふくれっ面だった。
「アーク兄さま、申し訳ございません。しっかりとご報告いたしますので警護の方よろしくお願いいたします」
「ああ。分かっているよ」
とぶっきらぼうに返事が返ってきた。
シルバーから
「さぁ、飛行船の乗り込みますぞ」
と声がかかった。
「それでは、みんな行ってきます」
と挨拶を済ませると、シャレム隊のみんなに視線を送り
「みんな。乗り込むよ」
と声をかけ乗り込んだ。
飛行船の定員は、この標準タイプだと30名となる。
王家用の飛行船のため、金色のシャチのエンブレムが右舷左舷の側面2ヶ所に輝いている。
全員が乗り込むと、飛行船の上部についた小型ピラミッドが光始めスーっと浮き出した。
どんどん地上が小さくなっていく。
私を含め全員、初めてではないが戦場へ出向くということもあり緊張していた。
100mほど浮くと、北方へ進路をとり進み始めた。
準備には、やはり1か月は掛かるとのことだった。
これは広報も併せてとなるので仕方がないというところだ。
私も近衛隊としての周辺警備など準備があるから、良い頃合いだと思った。
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それから1週間が経過したとき、北方の島に住む巨人族がまたも我がアトランティスに侵攻してくるとの情報が軍から届いた。
そこで私はある決意をした。
「お父様、私は王族であるということもあり実際に巨人族と相対したことはございません。危険は承知ですが是非、一度戦場に立ち実際の脅威を感じてきたいと思っております。どうかご許可をお願いいたします」
「ラムディアよ。そう言っておいて、もう心は決まっているのであろう?」
「はい。行く決意でございます。我が配下の一隊も連れて行きます」
「現場主義なのは知っているが、まさか戦の現場に行きたいと言ってくるとは正直、驚いたが、いいだろう。但し、護衛にシルバーをつけること。そしてできる限り後方支援のみとし最前線にはでないこと。約束できるなら許可しよう」
「あ、ありがとうございます。お父様!」
*
そうして近衛隊修練時に、一時その場を離れシルバーにお願いをした。
「な! なんと、おっしゃいましたか? 私の耳は幻聴でも聞こえるようになったのでしょうか?」
「冗談ではありません。真剣です。そして、お父様には許可をいただきました。その際の条件は、あなたを護衛につけること、後方支援のみで最前線にでないことです。何としても、一度現場、
「かしこまりました。身命を賭してラム様をお守りいたします」
「ありがとう。あとシャレム隊も同行させるわ。あの隊が一番腕が立つから」
「姫様は‥‥申し訳ございません。ラム様は言い出したら引っ込まないのは存じておりますゆえ」
*
お父様より、軍の最高司令官のガハルに話を通していただいたようで、戦場へ行くことが決定した。
巨人族は我がアトランティスのように科学技術は発達していない。
ゆえに船で南方のこの大陸にやってくるのだが、あと1週間もすれば上陸してくるだろう。
出立は、晴れていれば5日後の10時に飛行船で出立することとなった。
雨ならば6日後の出立となる。
アトランティスの飛行船は太陽エネルギーで動いているため雨天だと飛べないのだ。
もちろん充電機能はあるけど、それは緊急用と決まっている。
*
「ガハルよ。姫様の護りを厳重にし怪我一つないようにするのだぞ。あの活発な姫様は国民に人気があるからな」
「は! そのようにいたします。バレスタイン宰相」
「まぁ。政府と軍としては精一杯、護りの体制をとっておいても事故は起こる。その場合は将来の邪魔者が一人早く去るだけだ。いずれ王族どもは不要になるのだからな。そうなったら、精々派手な国葬をしてやろう」
とニヤリと笑った。
「そうです。何が起こるか分からないのが戦場ですから。ふふっ」
とガハルは思わず笑いが口に出てしまった。
*
次兄のアーク兄さまも
「俺が近衛隊長なのだから、俺もいくぞ!」
と当然ながら言い出したのだけど、お父様の説法の準備や警護などがあるため引き留められた。
出立の日がやってきた。
皆が見送りに来てくれたが、アーク兄さまだけがふくれっ面だった。
「アーク兄さま、申し訳ございません。しっかりとご報告いたしますので警護の方よろしくお願いいたします」
「ああ。分かっているよ」
とぶっきらぼうに返事が返ってきた。
シルバーから
「さぁ、飛行船の乗り込みますぞ」
と声がかかった。
「それでは、みんな行ってきます」
と挨拶を済ませると、シャレム隊のみんなに視線を送り
「みんな。乗り込むよ」
と声をかけ乗り込んだ。
飛行船の定員は、この標準タイプだと30名となる。
王家用の飛行船のため、金色のシャチのエンブレムが右舷左舷の側面2ヶ所に輝いている。
全員が乗り込むと、飛行船の上部についた小型ピラミッドが光始めスーっと浮き出した。
どんどん地上が小さくなっていく。
私を含め全員、初めてではないが戦場へ出向くということもあり緊張していた。
100mほど浮くと、北方へ進路をとり進み始めた。