第30話 精神修行
文字数 1,840文字
次の日から、早速精神修行に入った。
女性の近衛隊の訓練は、アーク兄さまが引き受けてくれた。
「ラム。昨日、お母様のお姿こそ視えなかったけど光は視えていた。だから、しっかり鍛えるわよ」
「はい。ラファ姉さま! よろしくお願いいたします」
水晶神殿の中での修行が始まった。
「まずは集中力よ。雑念をなくし、心を空 にするの」
そう指示があり早速実行するが、直ぐに様々な想いが浮き上がってきて雑念が取れない。
「簡単に習得できないのは当たり前、焦ってはダメよ。そうね、あなたは木の葉でできた舟になりなさい。そして、その舟が川を下っていくイメージをするのよ」
『それくらいなら出来る』
と思っていたが、まるでダメだった。
諦めず根気よく修行をしていると、あっという間に1週間が過ぎた。
*
今日も水晶神殿での精神修行が始まる。
開始前には必ずトート神に祈りを捧げ、心を落ち着かせている。
1週間で、やっと小川に流れる葉舟になり上流から中流、中流から下流は流れていくイメージができるようになった。
「葉舟のイメージは出来るようになったわね。次は、あなたの目の前には静かな海があり、空には綺麗な満月が浮かんでいる。あなたと宙に浮いて、それを眺めているのよ。何も考えず感じるのよ。いい?」
結局、このイメージができるようになるにも1週間を要した。
「難しいですね。心を無にするというのは」
「そうよ。自らの心を制御しなくてはできないのよ。でも、やはりラムは筋が良いわ。2週間でここまで進んだのですもの」
と褒めてくれた。
「ありがとうございます。しかし、私はまだまだ未熟です。長時間は続けられません」
「いいのよ。訓練して、その持続時間を延ばしていければ、あなたは心の勝者になれる。焦らなくていいから、ゆっくりやっていきましょう」
ラファティア姉さまは、本当に優しい。
「はい!」
と元気よく返事をした。
お姉さまは満足そうにしていた。
*
今日は4回目のお父様のご法話の日だ。
今日は精神修行は行わず、お父様の護衛を兼ねて檀上ではないが近くに配置していた。
最近、剣の修行をしていない。
『何かあったときに、以前のように剣を使えるだろうか』
と心配になった。
お父様とアモン兄さま檀上にあがる。
「アトランティスの皆よ。今日も忙しい中、来てくれて、観てくれてありがとう」
といつも通り謙虚であった。
「本日は、1万5千人も集まってくれていると報告を受けている。皆、よく来てくれた。嬉しく思う」
ご法話が始まり、質問が10通来ていたが的を得ていると判断した2通について回答をされた。
そうして、本日も何事もなく無事にご法話が終わった。
*
このように過ごし、あっという間に年が変わり3ヶ月が過ぎた。
今では、お父様のご法話に2万人以上集まるようになっていた。
私の精神修行も進み長時間、心の調和を保つことできるようになっていた。
この頃から午前中は修練場で剣の訓練、午後は水晶神殿での精神修行を行うようになっていた。
最初は、頭の切り替えができなかったが慣れてくるに従って切り変えれるようになった。
そしてその間、巨人族の侵攻はなかった。
「裸の王様と思っていたが、半年で参加者が倍以上に増えたぞ。なかなかやるではないか」
バレスタインは少し感心していた。
「そうですね。最近、質問状も増える一方でございます」
ゴーランが同調する。
「まぁ、良い。所詮2万人だ。あの広場がスッカスカなのは変わりはない。こちらの時間稼ぎにもなっている。やらせておけ」
バレスタインは余裕であった。
「さてガハル、マシュロンよ。クローン兵の方がどうだ? 次に巨人どもが侵攻してきたときには使えそうか?」
「は! 現在、100体は戦闘可能な状態です」
「知性の低い者の教育も進み、各家庭への販売も可能な状態になりました」
「おぉ! それはいい話だ。私の息子の会社を通じて販売しよう。もちろん政府が国民の生活を楽にさせることを目的に進めた結果だというアピールはしてな」
「はい。そのように進めて参ります」
マシュロンは嬉しそうだった。
ガハルが、
「次の巨人どもとの戦にクローン兵を用いてもよろしいでしょうか? 倒すことは無理でもアトランティス兵の盾にはなりましょう」
「うむ。そうして犠牲者を減らせば、支持率が上がるであろう。我ら政府への絶対的な信頼を得て盤石になり長期政府を続けられるであろう」
と許可した。
こうして、いよいよ。アトランティスの暗雲が空を覆い始めた。
女性の近衛隊の訓練は、アーク兄さまが引き受けてくれた。
「ラム。昨日、お母様のお姿こそ視えなかったけど光は視えていた。だから、しっかり鍛えるわよ」
「はい。ラファ姉さま! よろしくお願いいたします」
水晶神殿の中での修行が始まった。
「まずは集中力よ。雑念をなくし、心を
そう指示があり早速実行するが、直ぐに様々な想いが浮き上がってきて雑念が取れない。
「簡単に習得できないのは当たり前、焦ってはダメよ。そうね、あなたは木の葉でできた舟になりなさい。そして、その舟が川を下っていくイメージをするのよ」
『それくらいなら出来る』
と思っていたが、まるでダメだった。
諦めず根気よく修行をしていると、あっという間に1週間が過ぎた。
*
今日も水晶神殿での精神修行が始まる。
開始前には必ずトート神に祈りを捧げ、心を落ち着かせている。
1週間で、やっと小川に流れる葉舟になり上流から中流、中流から下流は流れていくイメージができるようになった。
「葉舟のイメージは出来るようになったわね。次は、あなたの目の前には静かな海があり、空には綺麗な満月が浮かんでいる。あなたと宙に浮いて、それを眺めているのよ。何も考えず感じるのよ。いい?」
結局、このイメージができるようになるにも1週間を要した。
「難しいですね。心を無にするというのは」
「そうよ。自らの心を制御しなくてはできないのよ。でも、やはりラムは筋が良いわ。2週間でここまで進んだのですもの」
と褒めてくれた。
「ありがとうございます。しかし、私はまだまだ未熟です。長時間は続けられません」
「いいのよ。訓練して、その持続時間を延ばしていければ、あなたは心の勝者になれる。焦らなくていいから、ゆっくりやっていきましょう」
ラファティア姉さまは、本当に優しい。
「はい!」
と元気よく返事をした。
お姉さまは満足そうにしていた。
*
今日は4回目のお父様のご法話の日だ。
今日は精神修行は行わず、お父様の護衛を兼ねて檀上ではないが近くに配置していた。
最近、剣の修行をしていない。
『何かあったときに、以前のように剣を使えるだろうか』
と心配になった。
お父様とアモン兄さま檀上にあがる。
「アトランティスの皆よ。今日も忙しい中、来てくれて、観てくれてありがとう」
といつも通り謙虚であった。
「本日は、1万5千人も集まってくれていると報告を受けている。皆、よく来てくれた。嬉しく思う」
ご法話が始まり、質問が10通来ていたが的を得ていると判断した2通について回答をされた。
そうして、本日も何事もなく無事にご法話が終わった。
*
このように過ごし、あっという間に年が変わり3ヶ月が過ぎた。
今では、お父様のご法話に2万人以上集まるようになっていた。
私の精神修行も進み長時間、心の調和を保つことできるようになっていた。
この頃から午前中は修練場で剣の訓練、午後は水晶神殿での精神修行を行うようになっていた。
最初は、頭の切り替えができなかったが慣れてくるに従って切り変えれるようになった。
そしてその間、巨人族の侵攻はなかった。
「裸の王様と思っていたが、半年で参加者が倍以上に増えたぞ。なかなかやるではないか」
バレスタインは少し感心していた。
「そうですね。最近、質問状も増える一方でございます」
ゴーランが同調する。
「まぁ、良い。所詮2万人だ。あの広場がスッカスカなのは変わりはない。こちらの時間稼ぎにもなっている。やらせておけ」
バレスタインは余裕であった。
「さてガハル、マシュロンよ。クローン兵の方がどうだ? 次に巨人どもが侵攻してきたときには使えそうか?」
「は! 現在、100体は戦闘可能な状態です」
「知性の低い者の教育も進み、各家庭への販売も可能な状態になりました」
「おぉ! それはいい話だ。私の息子の会社を通じて販売しよう。もちろん政府が国民の生活を楽にさせることを目的に進めた結果だというアピールはしてな」
「はい。そのように進めて参ります」
マシュロンは嬉しそうだった。
ガハルが、
「次の巨人どもとの戦にクローン兵を用いてもよろしいでしょうか? 倒すことは無理でもアトランティス兵の盾にはなりましょう」
「うむ。そうして犠牲者を減らせば、支持率が上がるであろう。我ら政府への絶対的な信頼を得て盤石になり長期政府を続けられるであろう」
と許可した。
こうして、いよいよ。アトランティスの暗雲が空を覆い始めた。