第72話 巨人族撤収2
文字数 1,795文字
「ご説明くださいますか?」
スーがギランにそう申し出る。
「信じられないかも知れないが、ラグナロク王の命令だ。1ヶ月停戦することになった。よって、戦はせずに本国に帰るぞ」
「なんですと! それは本当なのですか? いくらギラン様がここにおいででも信じられませぬ」
「そうであろう。俺もスーの立場なら同じことを言う」
「本当なのですか?」
「そうだ! これがラグナロク王の命令書だ」
そう言って、ギランはスーに命令書を手渡した。
「こ‥‥これは! 確かにラグナロク王の命令書」
「わかってくれたか」
「まだ混乱しておりますが理解はしました」
「説明するとだな。このアトランティスの女性、実は第2王女なのだが」
「え? 王女!!」
「そうだ。紛れもなくな。しかも俺が初めて片手武器部隊を送り込んだときの隊長であるゴルンを倒した1人でもある」
「なんですと! あの歴戦の強者であったゴルンを‥‥」
「話が逸れたな。このラムディア王女が、たった1隻の小型の飛行船で突然、ラグナロク王の元に来たのだ」
「!! ‥‥良くラグナロク王がお会いしましたな」
「このように度胸のある王女でな。ラグナロク王も気に入ったらしい。”巨人族なら妃にしたところだ”と言っておったぞ」
「信じられません‥‥が‥‥この命令書。そして、ここのギラン様がおられることが、このことが真実であると物語っております」
「そういうことだ」
「わかりました。戦はせず撤収いたします」
「すまぬな」
話がついたようなので、私もスーに話かけた。
「初めまして、スー殿。突然のことで、さぞかし驚かれたと思いますが、ギラン殿がご説明されたように1ヶ月だけラグナロク王に時間をいただきました」
「どのようにお答えしてよいのか判断しかねますが」
『私が王女と知って、対応に迷っているようね』
そう思っているとギランが、
「この王女は期限付きとは言えラグナロク王を説得した強者だ。王女として敬意を払ってくれ」
と言ってくれたので、
「はい。かしこまりました」
そう納得してくれた。
「私は、あなたたち巨人族と和平を結び、戦をやめて貿易を通じて互いの国を発展、繁栄させていきたいと願っています。そのことをラグナロク王は一時的にせよ、理解して時間をくださいました」
「はい」
スーは片膝を付いて礼を払ってくれた。
「折角、戦をと遠路遥々来られて申し訳ないけど、本国に戻っていただけますか?」
「承知いたしました」
「ありがとうございます」
『人対人、ちゃんと話をすれば分かり合える』
更に強くそう思った。
「ギラン様は如何なされますか?」
スーがギランに問うた。
「俺もスーの船に乗せてくれ。一緒に帰国する」
「かしこまりました」
「王女よ。短い日数であったが楽しかったぞ。これでお別れだ」
そう言って、またしゃがんで私を降ろしてくれた。
「ギラン殿。お別れというのは寂しいですよ。また公式の場で再会しましょうね」
「そうなることを俺は、本心から願っておるぞ」
「嬉しいわ。ありがとう」
「これから約1ヶ月弱だな。王女が政府と軍を説得できるかに掛かっている」
「ええ。ラグナロク王がくださったチャンスですもの絶対に説得してみせるわ」
「期待しておるぞ」
「ギラン殿、ありがとう。気をつけて帰ってくださいね。ラグナロク王にもよろしくお伝えください」
「承知した!」
そう言って、スーと共に船に乗り込んだ。
船が出発する。
「スー殿もお気をつけて帰ってください。軍の皆さまは戦ができずお怒りになると思いますが、よろしくお願いします」
「はい。お任せください。ラグナロク王の命令書がありますので心配無用」
そう答えてくれた。
続いてギランが、
「正直、説得はかなり難関であると思う。頑張ってくれ、応援しているぞ」
「はい」
「もし交渉が上手くいかなくても、王女個人は敵ではないと、これからも信じるぞ」
その言葉に思わず、涙がこぼれ出る。
「頑張って説得してみせるわ!」
懸命に返事をした。
「では、さらばだ。また会おうぞ!」
「ええ。また会いましょうね」
そう返事して、大きく手を振ってバイバイをし続けた。
ギランとスーは、それをいつまでも見続けていてくれた。
『信頼に答えたい! 和平を実現したい! アトランティスの危機を回避したい!」
情熱がフツフツを湧き上がってきた。
ギランたちの船が船団と合流し、10分ほどすると巨人族の船は北方の本国へ引き返していった。
スーがギランにそう申し出る。
「信じられないかも知れないが、ラグナロク王の命令だ。1ヶ月停戦することになった。よって、戦はせずに本国に帰るぞ」
「なんですと! それは本当なのですか? いくらギラン様がここにおいででも信じられませぬ」
「そうであろう。俺もスーの立場なら同じことを言う」
「本当なのですか?」
「そうだ! これがラグナロク王の命令書だ」
そう言って、ギランはスーに命令書を手渡した。
「こ‥‥これは! 確かにラグナロク王の命令書」
「わかってくれたか」
「まだ混乱しておりますが理解はしました」
「説明するとだな。このアトランティスの女性、実は第2王女なのだが」
「え? 王女!!」
「そうだ。紛れもなくな。しかも俺が初めて片手武器部隊を送り込んだときの隊長であるゴルンを倒した1人でもある」
「なんですと! あの歴戦の強者であったゴルンを‥‥」
「話が逸れたな。このラムディア王女が、たった1隻の小型の飛行船で突然、ラグナロク王の元に来たのだ」
「!! ‥‥良くラグナロク王がお会いしましたな」
「このように度胸のある王女でな。ラグナロク王も気に入ったらしい。”巨人族なら妃にしたところだ”と言っておったぞ」
「信じられません‥‥が‥‥この命令書。そして、ここのギラン様がおられることが、このことが真実であると物語っております」
「そういうことだ」
「わかりました。戦はせず撤収いたします」
「すまぬな」
話がついたようなので、私もスーに話かけた。
「初めまして、スー殿。突然のことで、さぞかし驚かれたと思いますが、ギラン殿がご説明されたように1ヶ月だけラグナロク王に時間をいただきました」
「どのようにお答えしてよいのか判断しかねますが」
『私が王女と知って、対応に迷っているようね』
そう思っているとギランが、
「この王女は期限付きとは言えラグナロク王を説得した強者だ。王女として敬意を払ってくれ」
と言ってくれたので、
「はい。かしこまりました」
そう納得してくれた。
「私は、あなたたち巨人族と和平を結び、戦をやめて貿易を通じて互いの国を発展、繁栄させていきたいと願っています。そのことをラグナロク王は一時的にせよ、理解して時間をくださいました」
「はい」
スーは片膝を付いて礼を払ってくれた。
「折角、戦をと遠路遥々来られて申し訳ないけど、本国に戻っていただけますか?」
「承知いたしました」
「ありがとうございます」
『人対人、ちゃんと話をすれば分かり合える』
更に強くそう思った。
「ギラン様は如何なされますか?」
スーがギランに問うた。
「俺もスーの船に乗せてくれ。一緒に帰国する」
「かしこまりました」
「王女よ。短い日数であったが楽しかったぞ。これでお別れだ」
そう言って、またしゃがんで私を降ろしてくれた。
「ギラン殿。お別れというのは寂しいですよ。また公式の場で再会しましょうね」
「そうなることを俺は、本心から願っておるぞ」
「嬉しいわ。ありがとう」
「これから約1ヶ月弱だな。王女が政府と軍を説得できるかに掛かっている」
「ええ。ラグナロク王がくださったチャンスですもの絶対に説得してみせるわ」
「期待しておるぞ」
「ギラン殿、ありがとう。気をつけて帰ってくださいね。ラグナロク王にもよろしくお伝えください」
「承知した!」
そう言って、スーと共に船に乗り込んだ。
船が出発する。
「スー殿もお気をつけて帰ってください。軍の皆さまは戦ができずお怒りになると思いますが、よろしくお願いします」
「はい。お任せください。ラグナロク王の命令書がありますので心配無用」
そう答えてくれた。
続いてギランが、
「正直、説得はかなり難関であると思う。頑張ってくれ、応援しているぞ」
「はい」
「もし交渉が上手くいかなくても、王女個人は敵ではないと、これからも信じるぞ」
その言葉に思わず、涙がこぼれ出る。
「頑張って説得してみせるわ!」
懸命に返事をした。
「では、さらばだ。また会おうぞ!」
「ええ。また会いましょうね」
そう返事して、大きく手を振ってバイバイをし続けた。
ギランとスーは、それをいつまでも見続けていてくれた。
『信頼に答えたい! 和平を実現したい! アトランティスの危機を回避したい!」
情熱がフツフツを湧き上がってきた。
ギランたちの船が船団と合流し、10分ほどすると巨人族の船は北方の本国へ引き返していった。