第60話 赤色人種と巨人族
文字数 1,649文字
時は少し戻り、アチ地区奪還後。
赤色人種のレッドキャニオン国。
報告を受けたテスタロッサ王は思わず王座から立ち上がった。
「なんだと! アトランティス軍が1日で北方を奪還しただと!!」
「はい。事実でございます」
バーンは偵察の者から受けた報告をテスタロッサ王に伝えにきたのだ。
片膝を着いて頭を下げる。
「そんなことがありえるのか! 相手はあの巨人族だぞ。アトランティスは敗退し1年以上も奪還に失敗し攻めあぐねていると言っておったではないか」
「はい。わたくしめもそのように認識しております」
「アトランティスはなにをしたのだ? わかっておるのか?」
「いえ。ほとんど情報がございません。わかっているのは奪還前日の夕刻に雪とは違うなにかが降り注ぎ巨人たちが次々と倒れたということくらいです」
バーンは、自分を律して静かに報告することに努めた。
「アトランティスの科学技術は計り知れん。またなにかを開発したのか」
「は! そうだとわたしめも思います」
「アトランティスから持ち帰った武器、防具。我が国の科学者どもに分析させたが、良く解らない素材だったそうだ。そしてピラミッド! 結局、どういう原理で太陽光を増幅しているのか未知のままだ」
「はい。ですがピラミッドは未知ではございますが、同じ素材は用意できませんが真似して作れば同じ効果を発揮するとわかり現在、我が国でも取り入れようとしております」
「そうだ。少しでもアトランティスに近づかねば、レッドキャニオン国が危ない。今までは巨人族を相手にするのに手いっぱいであったが、巨人族を抑えることに成功したのなら、我が国に牙を向けてくるやも知れぬ」
「そう思い科学陣営には急がせております」
「うむ。しかし真似をしてもアトランティスは次々と新しい物を開発してくる。いざとなったときに対抗できるのか‥‥いや対抗できねば平和な我が国家が亡ぶ。バーン! 心せよ」
「は! 身命にかけても!!」
そう心から答えた。
***
そして時はオリハルコン歴1593年に戻り、ここは巨人族の国グリーンラッド。
「アトランティスに領土を奪還されて1年以上経過してしまった。兵士もそろそろ忍耐の限界だ」
ラグナロク王はそう発言した。
「はい。一刻はあの悪夢の1日のことで鎮まっておりましたが、時間が経つとともに恐怖心は薄らぎ反撃すべきだと言う声が日に日に増しております」
トール軍最高司令官が答える。
「スーよ。お前の意見はどうか?」
ラグナロク王が意見を求める。
「はい。正直申し上げますと、いつ暴走するかわかりかねる状況でございます」
スーは、素直に答えた。
「あの領土での食糧生産ははかどった。本国にも作物が届き充分な食糧を確保することができた。確かに欲しい」
ラグナロク王は一度味わってしまった豊かさが恋しくて仕方がなかった。
「しかし侵攻に成功しても、またあの不思議な雪を使われては全てを失ってしまいます」
トールがブレーキをかける。
「そうなのだ。わかっておるのだ。前回は温暖なアトランティスゆえ、寒さ対策はしておらなんだ。だが次には防寒着を用意し、不思議な雪が降っても良いように避難所を設け暖をとれるようにすれば良いのではないのか? そうだ! 充分に準備をして侵攻するぞ」
ラグナロク王は決断した。
「今より2ヶ月後、アトランティスに再侵攻するぞ! これは決まりだ。良いな」
「かしこまりました」
トールとスーは、従うことにした。
*
「いざとなったら舟で撤退しよう。舟でも暖をとれるようにするのだ」
トールはスーに、そう命令した。
「良いのですか? 王はそのような弱気なことを言っておりませんでした」
スーが反論する。
「王には従う。その対策をし攻める! 成功しても、対策が通じない場合は避難が必要だ。そのことも‥‥撤退も視野に入れて侵攻するのだ。軍人とて大事な命だ。むざむざと全滅はさせられん!」
「は! そのようは配慮でございましたか。ありがとうございます」
こうしてアトランティスへの再侵攻の準備が始まった。
赤色人種のレッドキャニオン国。
報告を受けたテスタロッサ王は思わず王座から立ち上がった。
「なんだと! アトランティス軍が1日で北方を奪還しただと!!」
「はい。事実でございます」
バーンは偵察の者から受けた報告をテスタロッサ王に伝えにきたのだ。
片膝を着いて頭を下げる。
「そんなことがありえるのか! 相手はあの巨人族だぞ。アトランティスは敗退し1年以上も奪還に失敗し攻めあぐねていると言っておったではないか」
「はい。わたくしめもそのように認識しております」
「アトランティスはなにをしたのだ? わかっておるのか?」
「いえ。ほとんど情報がございません。わかっているのは奪還前日の夕刻に雪とは違うなにかが降り注ぎ巨人たちが次々と倒れたということくらいです」
バーンは、自分を律して静かに報告することに努めた。
「アトランティスの科学技術は計り知れん。またなにかを開発したのか」
「は! そうだとわたしめも思います」
「アトランティスから持ち帰った武器、防具。我が国の科学者どもに分析させたが、良く解らない素材だったそうだ。そしてピラミッド! 結局、どういう原理で太陽光を増幅しているのか未知のままだ」
「はい。ですがピラミッドは未知ではございますが、同じ素材は用意できませんが真似して作れば同じ効果を発揮するとわかり現在、我が国でも取り入れようとしております」
「そうだ。少しでもアトランティスに近づかねば、レッドキャニオン国が危ない。今までは巨人族を相手にするのに手いっぱいであったが、巨人族を抑えることに成功したのなら、我が国に牙を向けてくるやも知れぬ」
「そう思い科学陣営には急がせております」
「うむ。しかし真似をしてもアトランティスは次々と新しい物を開発してくる。いざとなったときに対抗できるのか‥‥いや対抗できねば平和な我が国家が亡ぶ。バーン! 心せよ」
「は! 身命にかけても!!」
そう心から答えた。
***
そして時はオリハルコン歴1593年に戻り、ここは巨人族の国グリーンラッド。
「アトランティスに領土を奪還されて1年以上経過してしまった。兵士もそろそろ忍耐の限界だ」
ラグナロク王はそう発言した。
「はい。一刻はあの悪夢の1日のことで鎮まっておりましたが、時間が経つとともに恐怖心は薄らぎ反撃すべきだと言う声が日に日に増しております」
トール軍最高司令官が答える。
「スーよ。お前の意見はどうか?」
ラグナロク王が意見を求める。
「はい。正直申し上げますと、いつ暴走するかわかりかねる状況でございます」
スーは、素直に答えた。
「あの領土での食糧生産ははかどった。本国にも作物が届き充分な食糧を確保することができた。確かに欲しい」
ラグナロク王は一度味わってしまった豊かさが恋しくて仕方がなかった。
「しかし侵攻に成功しても、またあの不思議な雪を使われては全てを失ってしまいます」
トールがブレーキをかける。
「そうなのだ。わかっておるのだ。前回は温暖なアトランティスゆえ、寒さ対策はしておらなんだ。だが次には防寒着を用意し、不思議な雪が降っても良いように避難所を設け暖をとれるようにすれば良いのではないのか? そうだ! 充分に準備をして侵攻するぞ」
ラグナロク王は決断した。
「今より2ヶ月後、アトランティスに再侵攻するぞ! これは決まりだ。良いな」
「かしこまりました」
トールとスーは、従うことにした。
*
「いざとなったら舟で撤退しよう。舟でも暖をとれるようにするのだ」
トールはスーに、そう命令した。
「良いのですか? 王はそのような弱気なことを言っておりませんでした」
スーが反論する。
「王には従う。その対策をし攻める! 成功しても、対策が通じない場合は避難が必要だ。そのことも‥‥撤退も視野に入れて侵攻するのだ。軍人とて大事な命だ。むざむざと全滅はさせられん!」
「は! そのようは配慮でございましたか。ありがとうございます」
こうしてアトランティスへの再侵攻の準備が始まった。