第3話 歴史2

文字数 1,301文字

 本日も起床して洗顔、家族との朝食を終えると水晶神殿に真っ直ぐに向かった。
 トート神への朝のお祈りを済ませると、歴史資料館へ向かった。



『さぁ、昨日の続きを観るとしよう』
と丸いボタン状の上に手を置き、昨日の資料の続きを探った。
 そして、目の前にホログラフィーで内容が映し出された。
 ナレーションが始まる。

「ムーからの技術継承を受けた我がアトランティスは、その後、植物の成長エネルギーと太陽エネルギーを上手に使い、徐々に科学的発展を遂げていきます」

「そして今から1587年前に、偉大なるトートがこのアトランティスの地に生を受けました」

「トートは多彩な才能の持ち主であり、政治、科学、宗教万能の神の如き方でした。その実績とカリスマ、徳をもってアトランティック王家が誕生したのです」

「在世中は、王として国を治め、宗教家として知性と発展を説き、科学分野ではピラミッドパワーを用いて人を乗せ空を飛ぶという飛行船、また海の中に潜ることのできる潜水艇、そして重力無効化技術まで開発したのです。真に神の如き方でした」

「晩年は宗教家としての才が高まり、
① 愛とは人から奪うものではなく与えるものである
② 人には親切に、思いやりを持って接すること
③ そして科学技術に溺れず天上界の神々に感謝して生きることの大切さ
④ 科学技術の向上だけではなく、それに伴った人格の向上も必要である
とお説きになられました」

「トートは死後、天上界より王家の才あるものに啓示を送り、その意を受けて(まつりごと)が行われ、このアトランティスを更に発展させていきました」

「その後、永きの時間の中で残念ながら王家に才を持つ者が現ないときがあり、その時代にはトートの教えにあった民の投票で為政者を選ぶという共和・民主主義という制度によってアトランティスは治められていました」



 気づくと13時を過ぎていた。
『この1500年以上の時間の経過とともに、王家は政治的権力を失い国の象徴にまで堕ちてしまった。トート神の教えも風化していき、今では見えないものは信じない。科学万能主義の風潮になってしまった』

『今やトート神の忠告に耳を傾ける者が減ってきている。敵国との戦もあり、科学技術に頼り過ぎている。宰相たちも何やら目論んでいる様子』

『昨夜、お父さまからお聞きした悟りの内容には私でも驚愕(きょうがく)した。トート神の声をあれほど受けれる才をもった王も久しぶりの誕生だ。民はお父さまのなさる今後の説法に耳を傾けるだろうか? いや、行き届かせなければならない!』

『風化してしまったトートの教えを何としても再度、復活させなくてはならない。お父さまは本日、バレスタイン宰相と政府の王家顧問ゴーランに、説法の開始の話をされていかれている。順調にことが運ぶだろか?』

『権力を永きに渡り握ってきた宰相が、本当にトート神への信仰を抱いているのか? 私には正直、そうは思えない。お父様を助け、支えなければ!』
 と固く心に誓った。

『さて昼食を済ませたら、近衛隊の修練に参加しよう。2日間もサボってしまってはアーク兄さまがおっしゃったように身体がなまってしまう』

 そして操作パネルで終了させ、昼食に向かった。
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登場人物紹介

アトランティス王家最後の第二王女で、本作の主人公

ラムディア・ラァ・アトランティック

「皆さま、どうかアトランティスの悲劇を現文明で繰り返さないようお願いします」

アカシック王

アトランティス滅亡を防ぐため降臨した救世主(メシア)

「愛とは奪うものではなく与えるものである。爽やかに吹き渡る風のように」

「創造神は人に完全なる自由を与えた。しかし自由には責任が伴うのだ」

後世、イエス・キリストとして降臨する。

アモン(第一王子)

アカシック王の後継者。

アカシック王の第一子。

性格は温厚で優しく、遠視や未来を視る能力を持つ。

重要な役割を負うことになる。

ラファティア(第一王女)

アカシック王の2番目の子で、巫女を務める。

能力が高く結界の守護者。

性格は早くに亡くなった母のように母性の高く思いやりに満ちている。

アーク(第二王子)

アカシック王の3番目の子で、近衛隊長を務める。

性格は正義感が強いが、気性が少し荒い。

曲がったことが嫌い。

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