第23話 再び戦場へ
文字数 2,564文字
訓練場に着くと、皆が待っていた。
「遅くなって、ごめんなさいね。みんな準備はできてる?」
「はい!」
と元気な声が返ってきた。
「それでは、行くわよ」
と飛行船乗り場まで案内した。
王家用の発着場のためシャレムを除けば皆、初めてだった。
「わぁ、凄い。このようなところに来れるなんて思いもしなかった」
「流石、王族用だぁ。黄金のシャチのエンブレムがついている!」
とこれから戦場に向かうと言うのに、一時的に忘れてはしゃいでいた。
『まぁ怖くなって足がすくむより、ずっとマシね』
と思った。
「みんな乗り込むわよ。シャレム隊とイスカ隊はあちらの飛行船。あとの隊は私と一緒に大型機の方ね」
と指示した。
シャレムは実戦を経験している。
巨人と剣で会い交えているのだ。
だから、もう1機に搭乗してもらった。
シャレムも、それはわかっているようだった。
『ありがとう。シャレム』
シャレムの目を見て、心の中で御礼を言った。
するとウィンクをしてきた。
『まぁ。あの子ったら』
と思ったが、頼もしくも思えた。
*
全員が乗り込み、しばらくすると2機とも空へと浮き出した。
100mほど浮き上がると、北へ向かって進みだした。
もう1機にも通信を繋ぎ、話しだした。
「今回の戦場はアソ地区の拠点、つまり砦で迎え撃つの。私たちは砦の上から片手武器の巨人の目を標的に光弾を撃って支援する。場所的には安全だから大丈夫だと思うけど、石を投げてきたりするかも知れないから警戒だけはしてね」
少し間をおいて、
「バッテリーパックは大量に用意してあるから安心して。標準だけ見ていると投石などに気づけないといけないから各隊長は射撃より、戦場を観察することを優先して隊員を守って! みんなで生きて帰るのよ!!」
「本当に危なくなったら、私たちは待機させたままの飛行船で撤退。これは厳守よ。その時は、私が指示を出すわ」
「はい!」
と返事が聞こえる。
「それでは拠点に着くまで武器の点検をしておいて、船酔いするという者は夜でもいいわよ」
と通信を終えた。
『さぁ今度は、みんなの命がかかっている。私も我慢して戦場を観察して最悪の事態になった際には、迷わず撤退の指示をしなくては』
そう気を引き締めた。
*
3時間後、拠点近くに到着した。
ここならば撤退するには良い場所であった。
「各隊長は私に着いてきて。あとのみんなは一旦下船してもいいけど、舟から離れちゃダメよ」
と声を掛け下船する。
外でシャレムとイスカと合流し、拠点に向かった。
*
「失礼するわよ」
と待機していたファーレンたちと合流した。
「姫様! 本当においでになるなんて、なんて無謀なことを!」
ファーレンが言い出す。
「私が行くといったら行くの。あと私の各隊長を紹介するわね」
とシャレムたちを紹介した。
「アモン兄さまからのお知恵もあり、私たちは砦の上からの援護射撃に徹するわ」
と伝える。
「そうですか! 我々も支援隊が来るなら砦で戦うのが一番だろうと意見が一致していました。アモン王子は凄い力をお持ちです」
と感動していた。
「あと危なくなったら悪いけど配下を連れて飛行船で撤退するわ。だから心配しないで」
とも伝えた。
「はい。それで構いません」
とファーレンが答える。
「しかし通信機がありません」
「大丈夫よ。私たちみんな装備してきたわ。周波数だけ教えて」
「はい。早速」
そうして各隊長の通信機に周波数を設定しテストし確認もした。
「ファーレン。男性みんなは全員剣で戦うの?」
「いえ。100人は光銃モードで支援します。あとは全員、剣で戦います。それしか対抗できませんので、そう致します」
「わかったわ。そちらの支援兵も砦の上よね? 配置だけ決めないとね」
「いえ。砦の下に隠れる場所が随所にありますので、そこに配置いたしますので砦の上は姫様の部隊でお任せいたします」
「そうなの‥‥わかったわ。明日は9時ごろに巨人がこちらに出発するとアモン兄さまが視てくれたから、この砦に到着するのは30分くらい後かしら?」
ファーレンが、
「左様ですか。アモン王子には頭が上がりません。これで休息時間も決めることができます。そうですね。巨人の移動速度からは早くて30分ほどでしょうか。大部隊ですから45分ほどかかると思われます」
と答える。
「わかったわ。それでは砦の上まで誰か案内してくれるかしら? 砦の上を見たら舟に帰るわね。明日9時には砦上で配置完了するようにするわ。それでいい?」
「はい。それで充分です。クルツ、姫様方をご案内さしあげてください」
「かしこまりました! 姫様、よろしくお願いいたします」
クルツがこちらに来て挨拶してきた。
「クルツとは前回、挨拶したくらいね。よろしくお願いするわ」
と答えた。
「光栄に存じます」
と案内してくれた。
案内中、クルツが話をしてくれた。
「私だけ姫様からの事前連絡の件を知らされていました。作戦会議では全員一致で支援兵を剣での戦闘に切り替えるしかないとなっていたのです。ですが支援兵が減ると片手武器の巨人との戦闘での被害が甚大になるわかっていました。それでもファーレン様は、姫様への支援を決断できずにいたのです」
続いて、
「そのようなどん詰まりの状況のときに姫様から通信が入ったのです。こちらに向かうと言って通信をお切りになられたそうで、ファーレン様も開き直られ作戦会議に戻るや否や直ぐに姫様が75人の配下を連れ今日中にこちらに到着されると報告してくれました」
と感謝の言葉を述べてくれた。
クルツは、
「前回の戦闘時に、ファーレン様が姫様を勝利の女神を言いましたが、本当にそう思いました。姫様は女神様の生まれ変わりなのではないでしょうか?」
と真剣な目で聞いてきた。
「そんなことはないわよ。でも、ありがとう。今回も勝利の女神でありたいわ。でもね。真実を言うとアモン兄さまの透視の力のお陰なのよ」
「そうでありましたか! アモン王子にも感謝の念でいっぱいです。是非、王宮に戻られましたらアソ地区のみながアモン王子に感謝していたとお伝えくださいませ」
心のこもった言葉だった。
武人としても立派だと嬉しく思った。
クルツに案内してもらい、砦の上での配置を各隊長と決め砦から出た。
その際、クルツに御礼を言って舟に戻った。
「遅くなって、ごめんなさいね。みんな準備はできてる?」
「はい!」
と元気な声が返ってきた。
「それでは、行くわよ」
と飛行船乗り場まで案内した。
王家用の発着場のためシャレムを除けば皆、初めてだった。
「わぁ、凄い。このようなところに来れるなんて思いもしなかった」
「流石、王族用だぁ。黄金のシャチのエンブレムがついている!」
とこれから戦場に向かうと言うのに、一時的に忘れてはしゃいでいた。
『まぁ怖くなって足がすくむより、ずっとマシね』
と思った。
「みんな乗り込むわよ。シャレム隊とイスカ隊はあちらの飛行船。あとの隊は私と一緒に大型機の方ね」
と指示した。
シャレムは実戦を経験している。
巨人と剣で会い交えているのだ。
だから、もう1機に搭乗してもらった。
シャレムも、それはわかっているようだった。
『ありがとう。シャレム』
シャレムの目を見て、心の中で御礼を言った。
するとウィンクをしてきた。
『まぁ。あの子ったら』
と思ったが、頼もしくも思えた。
*
全員が乗り込み、しばらくすると2機とも空へと浮き出した。
100mほど浮き上がると、北へ向かって進みだした。
もう1機にも通信を繋ぎ、話しだした。
「今回の戦場はアソ地区の拠点、つまり砦で迎え撃つの。私たちは砦の上から片手武器の巨人の目を標的に光弾を撃って支援する。場所的には安全だから大丈夫だと思うけど、石を投げてきたりするかも知れないから警戒だけはしてね」
少し間をおいて、
「バッテリーパックは大量に用意してあるから安心して。標準だけ見ていると投石などに気づけないといけないから各隊長は射撃より、戦場を観察することを優先して隊員を守って! みんなで生きて帰るのよ!!」
「本当に危なくなったら、私たちは待機させたままの飛行船で撤退。これは厳守よ。その時は、私が指示を出すわ」
「はい!」
と返事が聞こえる。
「それでは拠点に着くまで武器の点検をしておいて、船酔いするという者は夜でもいいわよ」
と通信を終えた。
『さぁ今度は、みんなの命がかかっている。私も我慢して戦場を観察して最悪の事態になった際には、迷わず撤退の指示をしなくては』
そう気を引き締めた。
*
3時間後、拠点近くに到着した。
ここならば撤退するには良い場所であった。
「各隊長は私に着いてきて。あとのみんなは一旦下船してもいいけど、舟から離れちゃダメよ」
と声を掛け下船する。
外でシャレムとイスカと合流し、拠点に向かった。
*
「失礼するわよ」
と待機していたファーレンたちと合流した。
「姫様! 本当においでになるなんて、なんて無謀なことを!」
ファーレンが言い出す。
「私が行くといったら行くの。あと私の各隊長を紹介するわね」
とシャレムたちを紹介した。
「アモン兄さまからのお知恵もあり、私たちは砦の上からの援護射撃に徹するわ」
と伝える。
「そうですか! 我々も支援隊が来るなら砦で戦うのが一番だろうと意見が一致していました。アモン王子は凄い力をお持ちです」
と感動していた。
「あと危なくなったら悪いけど配下を連れて飛行船で撤退するわ。だから心配しないで」
とも伝えた。
「はい。それで構いません」
とファーレンが答える。
「しかし通信機がありません」
「大丈夫よ。私たちみんな装備してきたわ。周波数だけ教えて」
「はい。早速」
そうして各隊長の通信機に周波数を設定しテストし確認もした。
「ファーレン。男性みんなは全員剣で戦うの?」
「いえ。100人は光銃モードで支援します。あとは全員、剣で戦います。それしか対抗できませんので、そう致します」
「わかったわ。そちらの支援兵も砦の上よね? 配置だけ決めないとね」
「いえ。砦の下に隠れる場所が随所にありますので、そこに配置いたしますので砦の上は姫様の部隊でお任せいたします」
「そうなの‥‥わかったわ。明日は9時ごろに巨人がこちらに出発するとアモン兄さまが視てくれたから、この砦に到着するのは30分くらい後かしら?」
ファーレンが、
「左様ですか。アモン王子には頭が上がりません。これで休息時間も決めることができます。そうですね。巨人の移動速度からは早くて30分ほどでしょうか。大部隊ですから45分ほどかかると思われます」
と答える。
「わかったわ。それでは砦の上まで誰か案内してくれるかしら? 砦の上を見たら舟に帰るわね。明日9時には砦上で配置完了するようにするわ。それでいい?」
「はい。それで充分です。クルツ、姫様方をご案内さしあげてください」
「かしこまりました! 姫様、よろしくお願いいたします」
クルツがこちらに来て挨拶してきた。
「クルツとは前回、挨拶したくらいね。よろしくお願いするわ」
と答えた。
「光栄に存じます」
と案内してくれた。
案内中、クルツが話をしてくれた。
「私だけ姫様からの事前連絡の件を知らされていました。作戦会議では全員一致で支援兵を剣での戦闘に切り替えるしかないとなっていたのです。ですが支援兵が減ると片手武器の巨人との戦闘での被害が甚大になるわかっていました。それでもファーレン様は、姫様への支援を決断できずにいたのです」
続いて、
「そのようなどん詰まりの状況のときに姫様から通信が入ったのです。こちらに向かうと言って通信をお切りになられたそうで、ファーレン様も開き直られ作戦会議に戻るや否や直ぐに姫様が75人の配下を連れ今日中にこちらに到着されると報告してくれました」
と感謝の言葉を述べてくれた。
クルツは、
「前回の戦闘時に、ファーレン様が姫様を勝利の女神を言いましたが、本当にそう思いました。姫様は女神様の生まれ変わりなのではないでしょうか?」
と真剣な目で聞いてきた。
「そんなことはないわよ。でも、ありがとう。今回も勝利の女神でありたいわ。でもね。真実を言うとアモン兄さまの透視の力のお陰なのよ」
「そうでありましたか! アモン王子にも感謝の念でいっぱいです。是非、王宮に戻られましたらアソ地区のみながアモン王子に感謝していたとお伝えくださいませ」
心のこもった言葉だった。
武人としても立派だと嬉しく思った。
クルツに案内してもらい、砦の上での配置を各隊長と決め砦から出た。
その際、クルツに御礼を言って舟に戻った。