第56話 Co2気象兵器
文字数 1,999文字
待っているとお父様がご説明くださった。
「皆も当然知っていると思うが、水を酸素で凍らせるとなにが出来る?」
「え? 氷ですよね。それが今回のこととどう関係があるのでしょうか?」
私は問い返した。
「氷の雨を降らせて巨人にダメージを与え弱ったところに一気に攻め落としたのですか?」
と追加した。
「そうではない。続いて問うが、では水を二酸化炭素で凍らせるとなにが出来るのだ?」
「はい。ドライアイスです」
そう私は答えた。
「そうだ。軍は‥‥いや政府は、とてつもないものを開発し使用したのだよ」
皆がじっくりと聞いている。
「成層圏に二酸化炭素濃度を急激に上昇させ、空の気温を下げる兵器を用いたのだ。大 気 中 の 二 酸 化 炭 素 濃 度 が 上 が る と 、 こ の 星 は 寒 冷 化 す る 。その原理を兵器として利用したのだよ」
「そのようなことが可能なのですか? 人が気象をコントロールすることなどできるのでしょうか?」
「今回は試作兵器だったようだ。更に元々温暖なアトランティス大陸であったから持続時間は一夜限りであった」
「そ‥‥そのような恐ろしい兵器を作り、敵とは言え生命体の上に落とすなんて神をも恐れぬ所業です」
ラファティア姉さまが悲鳴に近い声を上げた。
「だが現実に政府は造り巨人たちに使用した。ドライアイスの雪を降らせ、寒さに強い巨人を凍死させたのだよ。これは悪魔の所業なのだ」
お父様が念を押す。
「そのようなことが許されるのでしょうか? トート神がお怒りになられるのではありませんか?」
アモン兄さまの声が震えていた。
「だからアトランティスが滅亡への道を進み始めたと言ったのだよ。アモン」
「では、私たちはどうすれば良いのでしょうか?」
ラファティア姉さまが懸命になってお父様に問うた。
「前々から話しているようにアトランティスの未来は、アトランティスの国民1人1人の総意で決まるのだ。今回の兵器のことは最高機密となっており国民にも、軍人にも知らされていない。だからこそ、今後も国民に善とは何か? 人としてやって良いことと悪いことを教え、政府を弾劾する意思を持ってもらわなくてはならない」
「政府と敵対するとお父様のご法話ができないようにしてくるのではないですか?」
私はそう思った。
「政府は支持率を気にしている。前回の選挙では私の教え、トート神の教えに帰依した勢力が35%にもなった。そう簡単には中止できないよ」
お父様は、とても冷静に答えてくださった。
「それならば良いのですが‥‥気象兵器のことは隠蔽されています。だから国民が否と声をあげることができません」
私は疑問に思ったことを次々とお父様に伝えた。
「私が、次回の法話の際に伝える。そして、それは神の怒りを買う行為であると国民に伝えることとする」
「お父様の身が心配です」
「大丈夫だ。まだ国民の良識を信じている。滅亡はまだ回避することが可能だ。あくまでも国民の総意が選ぶのだがね。さぁ皆よ、今日はこれまでにして寝なさい」
「はい。そのようにいたします」
4人が従い、それぞれの自室に戻った。
『闇が濃くなってきた。強力な兵器を手にした政府、軍がアチ地区奪還で満足してくれると良いのだが、強力過ぎる力は人を狂わせる。それを制御できるだけの理性を持っておるか? バレンスタインよ』
アカシック王は、そう考えていた。
*
自室に戻り、先ほどの話を思い浮かべる。
『とんでもないことになってきた。アトランティスの滅亡‥‥今までは心の何処かで、そんなことは起こらない。絶対に回避できると思っていたけど、今日のお父様の話を聞いてしまうと現実味を帯びてきたわ』
『私に何ができるだろうか?』
心を静め考えるが、何も思い浮かばない。
『とにかくお父様のご法話を支援し、支え継続させていくことが一番肝心だわ』
そう考えを決めた。
そして今日1日起こったこと、思ったこと、想ったことを振り返り至らぬ点は反省し詫びた。
そして眠りに着いた。
*
寝てしばらくすると、私は何故か水晶神殿にいた。
『あれ? 確か私は寝たはずだけど、なぜ水晶神殿にいるのかしら?』
周りを見回すと何処か違和感があった。
『ここは水晶神殿だけど違うわ! でも、どこの水晶神殿なのだろう?』
そう思ったら、目の前に光が集まりだしてカルディアが現れた。
「カルディア!」
「そう私よ、ラムディア。こうやって会うのは初めてね」
『本当に私そっくりだわ』
そう思った。
そして、その背中には天使の白い羽が生えていた。
カルディアは天使なのだとわかった。
「そりゃそうよ。私たちは魂の姉妹で一心同体だって前から言っているでしょう?」
と答えが返ってきた。
「あ! 考えただけで伝わるのだったわね」
「そうよ。特に私たちはツーツーよ」
「私をここに連れてきたのは、カルディアなの?」
「そうよ。話をしたかったの。だから呼んだの」
夢の中で‥‥いや天上界でカルディアとの話が始まった。
「皆も当然知っていると思うが、水を酸素で凍らせるとなにが出来る?」
「え? 氷ですよね。それが今回のこととどう関係があるのでしょうか?」
私は問い返した。
「氷の雨を降らせて巨人にダメージを与え弱ったところに一気に攻め落としたのですか?」
と追加した。
「そうではない。続いて問うが、では水を二酸化炭素で凍らせるとなにが出来るのだ?」
「はい。ドライアイスです」
そう私は答えた。
「そうだ。軍は‥‥いや政府は、とてつもないものを開発し使用したのだよ」
皆がじっくりと聞いている。
「成層圏に二酸化炭素濃度を急激に上昇させ、空の気温を下げる兵器を用いたのだ。
「そのようなことが可能なのですか? 人が気象をコントロールすることなどできるのでしょうか?」
「今回は試作兵器だったようだ。更に元々温暖なアトランティス大陸であったから持続時間は一夜限りであった」
「そ‥‥そのような恐ろしい兵器を作り、敵とは言え生命体の上に落とすなんて神をも恐れぬ所業です」
ラファティア姉さまが悲鳴に近い声を上げた。
「だが現実に政府は造り巨人たちに使用した。ドライアイスの雪を降らせ、寒さに強い巨人を凍死させたのだよ。これは悪魔の所業なのだ」
お父様が念を押す。
「そのようなことが許されるのでしょうか? トート神がお怒りになられるのではありませんか?」
アモン兄さまの声が震えていた。
「だからアトランティスが滅亡への道を進み始めたと言ったのだよ。アモン」
「では、私たちはどうすれば良いのでしょうか?」
ラファティア姉さまが懸命になってお父様に問うた。
「前々から話しているようにアトランティスの未来は、アトランティスの国民1人1人の総意で決まるのだ。今回の兵器のことは最高機密となっており国民にも、軍人にも知らされていない。だからこそ、今後も国民に善とは何か? 人としてやって良いことと悪いことを教え、政府を弾劾する意思を持ってもらわなくてはならない」
「政府と敵対するとお父様のご法話ができないようにしてくるのではないですか?」
私はそう思った。
「政府は支持率を気にしている。前回の選挙では私の教え、トート神の教えに帰依した勢力が35%にもなった。そう簡単には中止できないよ」
お父様は、とても冷静に答えてくださった。
「それならば良いのですが‥‥気象兵器のことは隠蔽されています。だから国民が否と声をあげることができません」
私は疑問に思ったことを次々とお父様に伝えた。
「私が、次回の法話の際に伝える。そして、それは神の怒りを買う行為であると国民に伝えることとする」
「お父様の身が心配です」
「大丈夫だ。まだ国民の良識を信じている。滅亡はまだ回避することが可能だ。あくまでも国民の総意が選ぶのだがね。さぁ皆よ、今日はこれまでにして寝なさい」
「はい。そのようにいたします」
4人が従い、それぞれの自室に戻った。
『闇が濃くなってきた。強力な兵器を手にした政府、軍がアチ地区奪還で満足してくれると良いのだが、強力過ぎる力は人を狂わせる。それを制御できるだけの理性を持っておるか? バレンスタインよ』
アカシック王は、そう考えていた。
*
自室に戻り、先ほどの話を思い浮かべる。
『とんでもないことになってきた。アトランティスの滅亡‥‥今までは心の何処かで、そんなことは起こらない。絶対に回避できると思っていたけど、今日のお父様の話を聞いてしまうと現実味を帯びてきたわ』
『私に何ができるだろうか?』
心を静め考えるが、何も思い浮かばない。
『とにかくお父様のご法話を支援し、支え継続させていくことが一番肝心だわ』
そう考えを決めた。
そして今日1日起こったこと、思ったこと、想ったことを振り返り至らぬ点は反省し詫びた。
そして眠りに着いた。
*
寝てしばらくすると、私は何故か水晶神殿にいた。
『あれ? 確か私は寝たはずだけど、なぜ水晶神殿にいるのかしら?』
周りを見回すと何処か違和感があった。
『ここは水晶神殿だけど違うわ! でも、どこの水晶神殿なのだろう?』
そう思ったら、目の前に光が集まりだしてカルディアが現れた。
「カルディア!」
「そう私よ、ラムディア。こうやって会うのは初めてね」
『本当に私そっくりだわ』
そう思った。
そして、その背中には天使の白い羽が生えていた。
カルディアは天使なのだとわかった。
「そりゃそうよ。私たちは魂の姉妹で一心同体だって前から言っているでしょう?」
と答えが返ってきた。
「あ! 考えただけで伝わるのだったわね」
「そうよ。特に私たちはツーツーよ」
「私をここに連れてきたのは、カルディアなの?」
「そうよ。話をしたかったの。だから呼んだの」
夢の中で‥‥いや天上界でカルディアとの話が始まった。