第8話 初陣
文字数 2,130文字
それから2日後の朝8時、拠点から北の海岸線へ出発した。
1時間ほどで到着し休憩となった。
ファーレンが近づいてきた。
「姫様は、この場でお願いします。くれぐれもこれ以上前には来られないようにお願いいたします。状況は通信でお聞きできると思いますので気を抜かずに把握しておいてください」
右耳に装着している通信機に手を触れ、
「わかったわ」
「では配下20人を残し、私は前線へ赴きます」
「ファーレン。気を付けて」
「光栄に存じます。それでは行って参ります」
*
ここは最前線から300mは離れている高場だ。戦場が見渡せる。
私、シルバー、シャレム隊15人、ファーレン配下が20人の全員で37人のみ。
ファーレン配下のリーダーが挨拶してきた。
「私はラーゼと申します。姫様のお命は必ず私たちがお護りいたしますゆえ、ご安心くださいませ」
「はい。こちらこそ、お荷物になってしまってごめんなさいね。そして、よろしくお願いします」
「はい! 光栄です」
そう言って、少し前の方に移動していった。
「どれくらいの人数で攻めてくるのでしょうか?」
とシルバーに確認すると、
「100人ほどとお聞きしております。ですので、こちらは前線に330人を配置しております。前回は大部隊で侵攻してきたため死者が100人ほどでたとお聞きしておりますが、今回は嫌に少ないですね」
「数だけだとアトランティスが有利だけど、実際には拮抗している感じね。前回の侵攻から僅か2週間少し、よほど悔しかったのでしょう。100人も被害を出したのだからと短期間で攻めてきたのでしょうか?」
「確かにそうですな。我が前線部隊は歴戦の戦士ばかりですので、頼りにしてあげてください」
「わかりました」
シャレム隊に向け、
「いい? 今回の私たちの目的は実践経験ではなく戦場を肌で感じ、巨人の強さや弱点をその目に焼き付けることよ。だから危なくなったら逃げなさい! わかりましたか?」
「はい!」
全員からハッキリと返事が返ってきた。
それからシルバーにこっそりと、
「私は、できれば実践経験を積みたい。勿論、前線にはいかないけど、ここに巨人族は来た場合には戦うわ。シルバー、よろしくお願いいたします」
「やっぱり、そういうおつもりでしたか‥‥はぁぁ 予想はしていましたが、かしこまりました。身命を賭してお守りいたします」
「ありがとう」
装備は長剣に盾、防具は軽装備。兜もハーフタイプ俊敏性重視。
どの道、我が女性部隊では力では勝てない。
攻撃を避けてカウンター攻撃が一番のため、そうしている。
シルバーは、中重装備である。
*
1時間ほどすると通信で敵の船影が見えるようになり、2時間後には上陸間近にまで迫ってきていた。
そして前線で先頭の火蓋が切られた。
こちらから見ていると、流石に歴戦の戦士たちだった。
見事にチームワークで敵を翻弄しつつ、少しづつ打撃を加えている。
「この調子なら、見て帰るだけになりそうね」
と思わず呟くとシルバーから、
「ラム様、油断は禁物とファーレン殿に忠告を受けていたのをお忘れですか?」
と直ぐに注意を受けてしまった。
「そうですね。ごめんなさい。気を引き締めるわ」
*
そのまま戦闘が1時間と半時過ぎたころ、こちらから見ると一艘だけ右海岸から上陸してくるのが見えた。
前線からは視覚になって見えないところだ。
巨人族は肌が薄い緑色をした、いわば緑色 人種で髪の色も深い緑色をしている。
「伏兵を用意していたのね‥‥ファーレン。そちらからは見えないと思いますが右海岸に船が一隻上陸してきました」
「なんですと! 姫様方は私の配下を残して退却してください」
「わかったわ」
と返事をしたものの、このままでは帰りたくない。
シルバーに退却の件を伝え、一緒に残って欲しいとお願いした。
「まったく、こまったお人だ」
と言いつつも、頷いてくれた。
シャレム隊に向け、
「みんな、ファーレンより念のために撤退の指示がでたわ。引いて」
と指示し、
ファーレンの配下のラーゼたちには、
「皆さん、よろしくお願いしまね」
と声を掛けた。
*
シャレム隊も名残惜しいらしく動きが鈍い。
その間に、あの一隻から5人の巨人がこちらに向け一直線に突進してきたのだ。
装備は、片手斧に盾装備と珍しいと聞いてたものだった。
意外に動きが早い。
巨人といっても、アトランティス人の3倍ほどなのだ。
のろのろ動いている訳ではない、彼らも軍人なのだ。
ラーゼたちが、私たちの前に配置を変えた。
「姫様方、早く撤退を!」
と叫び声が聞こえてくる。
あっという間に、ここは戦場となった。
シャレム隊は撤退が終わっていたはずだか、シャレムだけ戻ってきてしまった。
「シャレム。何故、戻ってきたの?」
「ラムディア様だって、こちらに居るではないですか! それに命令通り隊員は全員撤退させましたよ」
「やられたわ‥‥いい? 無茶はしちゃダメよ」
「ラムディア様に、そのお言葉をそのままお返しいたします」
目の前で繰り広げられる実戦闘。
巨人は5人。
ファーレン配下は20人。
4:1だから前線より条件がいい。
『でも珍しい片手斧に盾装備。油断できないわ』
と少し後方で状況を注意深く観察していた。
1時間ほどで到着し休憩となった。
ファーレンが近づいてきた。
「姫様は、この場でお願いします。くれぐれもこれ以上前には来られないようにお願いいたします。状況は通信でお聞きできると思いますので気を抜かずに把握しておいてください」
右耳に装着している通信機に手を触れ、
「わかったわ」
「では配下20人を残し、私は前線へ赴きます」
「ファーレン。気を付けて」
「光栄に存じます。それでは行って参ります」
*
ここは最前線から300mは離れている高場だ。戦場が見渡せる。
私、シルバー、シャレム隊15人、ファーレン配下が20人の全員で37人のみ。
ファーレン配下のリーダーが挨拶してきた。
「私はラーゼと申します。姫様のお命は必ず私たちがお護りいたしますゆえ、ご安心くださいませ」
「はい。こちらこそ、お荷物になってしまってごめんなさいね。そして、よろしくお願いします」
「はい! 光栄です」
そう言って、少し前の方に移動していった。
「どれくらいの人数で攻めてくるのでしょうか?」
とシルバーに確認すると、
「100人ほどとお聞きしております。ですので、こちらは前線に330人を配置しております。前回は大部隊で侵攻してきたため死者が100人ほどでたとお聞きしておりますが、今回は嫌に少ないですね」
「数だけだとアトランティスが有利だけど、実際には拮抗している感じね。前回の侵攻から僅か2週間少し、よほど悔しかったのでしょう。100人も被害を出したのだからと短期間で攻めてきたのでしょうか?」
「確かにそうですな。我が前線部隊は歴戦の戦士ばかりですので、頼りにしてあげてください」
「わかりました」
シャレム隊に向け、
「いい? 今回の私たちの目的は実践経験ではなく戦場を肌で感じ、巨人の強さや弱点をその目に焼き付けることよ。だから危なくなったら逃げなさい! わかりましたか?」
「はい!」
全員からハッキリと返事が返ってきた。
それからシルバーにこっそりと、
「私は、できれば実践経験を積みたい。勿論、前線にはいかないけど、ここに巨人族は来た場合には戦うわ。シルバー、よろしくお願いいたします」
「やっぱり、そういうおつもりでしたか‥‥はぁぁ 予想はしていましたが、かしこまりました。身命を賭してお守りいたします」
「ありがとう」
装備は長剣に盾、防具は軽装備。兜もハーフタイプ俊敏性重視。
どの道、我が女性部隊では力では勝てない。
攻撃を避けてカウンター攻撃が一番のため、そうしている。
シルバーは、中重装備である。
*
1時間ほどすると通信で敵の船影が見えるようになり、2時間後には上陸間近にまで迫ってきていた。
そして前線で先頭の火蓋が切られた。
こちらから見ていると、流石に歴戦の戦士たちだった。
見事にチームワークで敵を翻弄しつつ、少しづつ打撃を加えている。
「この調子なら、見て帰るだけになりそうね」
と思わず呟くとシルバーから、
「ラム様、油断は禁物とファーレン殿に忠告を受けていたのをお忘れですか?」
と直ぐに注意を受けてしまった。
「そうですね。ごめんなさい。気を引き締めるわ」
*
そのまま戦闘が1時間と半時過ぎたころ、こちらから見ると一艘だけ右海岸から上陸してくるのが見えた。
前線からは視覚になって見えないところだ。
巨人族は肌が薄い緑色をした、いわば
「伏兵を用意していたのね‥‥ファーレン。そちらからは見えないと思いますが右海岸に船が一隻上陸してきました」
「なんですと! 姫様方は私の配下を残して退却してください」
「わかったわ」
と返事をしたものの、このままでは帰りたくない。
シルバーに退却の件を伝え、一緒に残って欲しいとお願いした。
「まったく、こまったお人だ」
と言いつつも、頷いてくれた。
シャレム隊に向け、
「みんな、ファーレンより念のために撤退の指示がでたわ。引いて」
と指示し、
ファーレンの配下のラーゼたちには、
「皆さん、よろしくお願いしまね」
と声を掛けた。
*
シャレム隊も名残惜しいらしく動きが鈍い。
その間に、あの一隻から5人の巨人がこちらに向け一直線に突進してきたのだ。
装備は、片手斧に盾装備と珍しいと聞いてたものだった。
意外に動きが早い。
巨人といっても、アトランティス人の3倍ほどなのだ。
のろのろ動いている訳ではない、彼らも軍人なのだ。
ラーゼたちが、私たちの前に配置を変えた。
「姫様方、早く撤退を!」
と叫び声が聞こえてくる。
あっという間に、ここは戦場となった。
シャレム隊は撤退が終わっていたはずだか、シャレムだけ戻ってきてしまった。
「シャレム。何故、戻ってきたの?」
「ラムディア様だって、こちらに居るではないですか! それに命令通り隊員は全員撤退させましたよ」
「やられたわ‥‥いい? 無茶はしちゃダメよ」
「ラムディア様に、そのお言葉をそのままお返しいたします」
目の前で繰り広げられる実戦闘。
巨人は5人。
ファーレン配下は20人。
4:1だから前線より条件がいい。
『でも珍しい片手斧に盾装備。油断できないわ』
と少し後方で状況を注意深く観察していた。